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知財,特に特許を中心とした事件を扱っている理系の弁護土の雑記帳です。知財の判決やトピックについてコメントしたいと思っております。
1 1月のまとめは,こちらです。そこでも書きましたが,去年の反省を生かして,少しはこういう普通のブログっぽいことも書くというわけです。いつもいつもネトウヨっぽいばかりじゃないってことですな。

 さて,1位は514件で,2/26です。内容は判例タイムズの最新号の紹介がメインだったので,こんなに閲覧数があったということは別の理由です。その記事の中でも少し触れたのですが,弁護士ドットコム経由で,B-CASの解説記事が,ヤフーのトップニュースにも載ったりして,その影響です。

 むしろこのブログより,閑古鳥の鳴いている本家のHPの影響が凄かったです。過去最高だと思いますね。このブログと違い,単なる事務所紹介のHPですので,一日,20~40件くらいしか閲覧されません。負け組弁護士ですので,致し方なし,というところです。
 ところが,このヤフーのトップで紹介された,2/26-2/27にかけて,700-800位の閲覧数がありました。普段の20~30倍というとんでもない数です。いやあ,ヤフーもなんだかんだ言われながらも影響力はデカイのですね。

 ま,タダで,宣伝してもらえて本当大助かりです。今の所,全く仕事には結びついてはおりませんが,そんな直接的に効果のあるようなものなんてありませんので,これくらいで丁度良いというところです。

 
 2位も,その影響で,2/27です。ですので,あんまり参考になりませんね。

 なお,検索ワードの一位は変わらず,理系弁護士でした。

2 こういうどうでもいい話だけじゃつまらないので,知財のネタを1つ。

 日本におけるアップルVSサムソンの裁判で,2つ目の判決が出たようですね。
 で,昨日ネットでは既に報道があり,権利乱用でアップルの勝ちというところまで認識しておりました。

 問題なのは,この中身です。権利乱用というので,私はすっかり無効の抗弁で権利行使NGだったのかと思っていました。ところが,今日の日経の社会面に詳しい記事が載っており,それを読んでびっくりしましたね。

 「判決で大鷹裁判長は,特許の有効性を認めたうえで,サムソンが国際的な業界団体に対し,他社の特許使用申請に応じる旨の宣言(FRAND宣言)をしていたことを重視。「アップルが使用許可を求めたのに,サムソンは誠実に交渉すべき信義則上の義務を尽くさなかった」として,アップルに対する損害賠償請求は,「権利の乱用に当たる」と判断した。

 技術的範囲に属するかどうかについては,明らかではないですが,この書きようからすると,恐らく属しているのでしょう。つまり,構成要件充足性があり,そして,特許は有効(無効の抗弁NG)であるにも関わらず,権利行使をできないとした,とても恐ろしい判決です!いやあこれは凄い,一体どこの国の判決だ~♪って気がしますね。

 で,問題のFRAND宣言とは,何かというと,Fair, Reasonable And Non-Discriminatoryの略です。つまり,公平で,合理的で,差別的ではない,という特許許諾の条件のことです。

 これを議論するには,パテントプールや独占禁止法などの知識が必要となってきます。


 通常,標準技術に使われる特許,すなわち,デジタル放送や,画像等の圧縮伸長のやり方,携帯電話の通信プロトコルなどなど,多くの人に使われることが予定される技術については,特許権者を尊重した上で,なるべくお金を払えば使ってもいいようにした方がいいですよね。じゃないと,技術の発展,ひいては一般の人の便利さを阻害することになります。勿論,特許権者も重要ですので,要は,バランスということですね。

 ともかくも,そういう標準技術の特許については,上記の観点から,公平で,合理的で,差別的でない条件で特許の許諾を行わければならないということになります。仮に,それをしなかった場合には,公平な競争を阻害したとして,独占禁止法等の競争法違反の可能性が出てきます。

 例えば,日本の独占禁止法だと,不公正な取引方法になるのかなあって感じです。
 公取委の知的財産ガイドラインの「第4 不公正な取引方法の観点からの考え方」の「2 技術を利用させないようにする行為」には,「(3)ある技術が、一定の製品市場における事業活動の基盤を提供しており、当該技術に権利を有する者からライセンスを受けて、多数の事業者が当該製品市場で事業活動を行っている場合に、これらの事業者の一部に対して、合理的な理由なく、差別的にライセンスを拒絶する行為は、知的財産制度の趣旨を逸脱し、又は同制度の目的に反すると認められる。したがって、このような行為が、これらの事業者の製品市場における競争機能を低下させることにより、公正競争阻害性を有する場合には、不公正な取引方法に該当する(注12)(一般指定第4項)。」とあります。
 この一般指定第4項とは,「(取引条件等の差別取扱い)  4 不当に、ある事業者に対し取引の条件又は実施について有利な又は不利な取扱いをすること。」です。
 何か~ドンズバって感じはしますねえ。

 これは学者でも,裁判官でも,今まであまり議論されていなかったものだと思います。
 つまり,仮に独占禁止法上問題になったとしても,その私法上の効果は??しかも,特許侵害訴訟上の効果って???と,今まで全くと言って議論が無かったところです。それはそうです。独占禁止法のエンフォースメントって,公取委の専任で,知財が問題となった場合も,公取委の課徴金などの行政処分に不服だ~とかいうVS国との土俵が主だったからです。

 ところが,これは特許侵害訴訟の抗弁として,謂わば,独占禁止法違反が主張されたみたいな話ですので(判旨がないので正確には不明),非常に新しいものですね。

 ただし,世界的には結構こなれた話で,特にサムソンは欧州委員会から睨まれているということで,昨年ニュースになったりしました。

 しかし,面白い話です。早く判決を見てみたいものです。いやあ学者の皆さん,いい飯の種が出来ましたね。論文一番乗りは誰かなあ~。
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