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知財,特に特許を中心とした事件を扱っている理系の弁護士の雑記帳です。知財の判決やトピックについてコメントしたいと思っております。
1 知財関係が日経の1面に来るということは少ないのですが,今日は不競法絡みのでしたね。

 中身としては,例の最近至る所で,どうにかせんと~と言われている情報漏えい対策として,不競法の罰則の厳罰化の話です。

 慌てて,経産省のHP見たのですが,今回の改正案とかの骨子もそれに関係するようなことも一切載ってませんでした。ただ,当然ガセというわけではなく,経産省の政策室か何かからのリークなんでしょうね。これもある意味情報漏えいなんですが,こういうのはいいんでしょうかな~と私得意のメタ議論も少し。

 で,細かい話ですが,改正案は結構ケアされています。海外企業に漏らした場合は,併合罪みたいに1.5倍になるそうです(最長懲役15年)。法人の罰金の上限も6億円~と,特許侵害罪とくらべても,窃盗罪とくらべても,一段重いものになるってことです。また,情報の3次取得者以降も罰則の対象になるようで,抑止力としては考えうるところを全部盛りしたような感じです。

2 私は,保守派ではあるのですが,罰則を重くして抑止力を高めようというのはそんないい方法とは思いません。

 こういう企業秘密の漏えいが何故起きるか,それは2つの原因があると思います。一つは通りすがりの第三者によるもの,この前のベネッセとかの件ですね。これは要するに,泥棒と同じで,金目のもの(流動性の高い資産)があればやってしまうというやつですね。
 これにはある程度の重罰化も役に立つことがあるかもしれません。ただ,刑法犯をどうやって減らそうかという同じ話ですので(窃盗や強姦を減らそう~),時代背景とか景気とかそういったものによる影響の方がデカイと思いますね。
 
 で,問題はもう1つで,密接な関係を有する者によるもの,東芝や新日鉄住金とかの件ですね。これは要するに,裏切り者で,労使関係を初めとする様々な動機で,コンチクショーってことからやってしまうというやつですね。
 私は,これには重罰化は役に立たないのではないかと思っています。つまりは,人を呪わば穴二つってことを本人も自覚しているでしょうからね。いやあ別に犯罪になるかもしれんということは百も承知~,でもこの会社に一泡吹かせてやる!ってことでやることも多いでしょうからね。

 これを防ぐには・・・そう,職務発明の相当対価請求と同じなのですよね。不満を持つ社員からどう不満を除き,うまく次の職場に行ってもらうかっていう話なんですよね。
 例えば,大学には名誉教授という制度がありますが,会社でもある程度の実績のある退職者に対して,名誉従業員(これじゃああんまり名乗りたくないなあ,名誉技師とかがいいですかね。)とか称することを許すとかね。そうすると,心理的に裏切るってことは難しいですよね。
 誰かが,いやあ国民栄誉賞とかもらったら,もうソープランドとか行けないなあと言ってたのを思い出しますが,それと同じです。

 厳罰化もある程度しょうがないかなあとは思いますが,それと同時にうまい対策をしないといけないなあってことですね。

 あとは,経産省に早く改正案を公開してもらうって所でしょうか。
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