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知財,特に特許を中心とした事件を扱っている理系の弁護土の雑記帳です。知財の判決やトピックについてコメントしたいと思っております。
1 報道によりますと,コメダ珈琲の店舗とよく似た店舗の事件,和解で決着がついたらしいです。

 私のような通りすがりの無責任な弁護士からすると,また規範がわからず,あーあって感じですけど,当事者からするとそれどころじゃないって所でしょうね。

 恐らく,昨年年末の仮処分の決定が効いたであろうことは疑いない所です。店舗の使用は既にしていないらしいですから,お金と後始末でネゴできたのでしょうね。

2 ということで,袖振り合うも何かの縁ということで,昨年,このブログでも紹介しましたので,その続きを行きましょう。

 どういうことかというと,今回,改めて,仮処分の決定を探してみたら,裁判所のHPにアップされていたのです。
 東京地裁平成27(ヨ)22042(平成28年12月19日決定)です。 
 債務者であり被告の店舗等はこちらを。あと,こちらも。

 債権者であり原告の店舗は,上記の報道を見てもらうとよいと思います。

 さて,私が興味があったのは,裁判所の規範です。

 それは,こちらです。
店舗の外観(店舗の外装,店内構造及び内装)は,通常それ自体は営業主体を識別させること(営業の出所の表示)を目的として選択されるものではないが,場合によっては営業主体の店舗イメージを具現することを一つの目的として選択されることがある上,①店舗の外観が客観的に他の同種店舗の外観とは異なる顕著な特徴を有しており,②当該外観が特定の事業者(その包括承継人を含む。)によって継続的・独占的に使用された期間の長さや,当該外観を含む営業の態様等に関する宣伝の状況などに照らし,需要者において当該外観を有する店舗における営業が特定の事業者の出所を表示するものとして広く認識されるに至ったと認められる場合には,店舗の外観全体が特定の営業主体を識別する(出所を表示する)営業表示性を獲得し,不競法2条1項1号及び2号にいう「商品等表示」に該当するというべきである。

 この規範を見ると,知財の弁護士など,あ!あの規範だ!とピンと来るのではないでしょうか。これ見ておお初めて見る~なんて思った人は,知財の素人ですね。

 物のデザインなどをパクられたものの,意匠権をとっていない,さらには,日本国内での最初の販売から3年(不競法19条1項5号イ)経っちゃったときにどうするか?
 不競法2条1項1号や2号の商品等表示に該当しないか?って考えますよね。アレですよ,アレ。

 そのとき,セカンダリーミーニング論っていうやつを取りますが,まさにこれです。
 この鏑矢は,かなり昔の東京地裁昭和46(ワ)5813号(昭和48年3月9日判決),いわゆるナイロール眼鏡事件です。

「其ノ他他人ノ商品タルコトヲ示ス表示」とは、右法条に例示された氏名、商号、商標、商品の容器包装などと同様に、商品の出所表示の機能を有するものを指すと解すべきである。ところで、商品の形態は、もともと、その商品の目的とする機能を十分に発揮させるように選択されるものであつて、商品の形態の選択には自ずから右目的からくる一定の制約が存する。しかし商品の種類によつては、右制約の範囲内で需要者の嗜好の考慮、構成材料の選択などにより同種商品の中にあつて、形態上の特異性を取得する場合があるし、それに宣伝などが加わつ て、商品の形態自体が、取引上、出所表示の機能を有する場合がある。

 これですね。上記の今回の規範とほぼ同じことを言っています。独創的な形態と,宣伝等です。
 これにより,プライマリーミーニング(機能)だけでなくセカンダリーミーニング(識別性)が出現する,というわけです。

 で,あてはめは,もう決定を見てもらった方がいいでしょう。顕著な特徴(独創的な形態)と周知(宣伝等)は認められ,商品等表示であると認定されています。

 そして,類似性も認められる,混同を生じさせると認定したわけです。

 ただ,この事案では一番重要なのは,経緯だと思います。仮処分の決定にはそこもよく載っています。さすが,嶋末部長です。

債務者は, 平成25年 初頭, コメダ珈琲店のフランチャイズチェーンの店舗を開業したいと考え,同年 2月頃,新規事業として,自ら店舗用土地(現在の債務者店舗所在地)を取得した上で ,債権者のフランチャイジーとして和歌山市内に喫茶店を出店したいと の希望を債権者に伝えた。 これを受けて, 同月20日及び同年 3月14日に債権者 の 従業員と債務者 の役員及び 従業員との間で面談がされ たが, 債権者においては,当時,和歌山県下において既に株式会社ドリーム (以下「ドリーム」という。) が債権者のフランチャイジーとして営業していたこととの関係を考慮する必要があったため,同日の面談では,債権者から債務者に対し,ドリームとの調整が必要である旨 が 告げられた 。 債務者は,平成25年3 月19日 ,債権者に対し, フランチャイズの 加盟申込書 を提出したが ,債権者 においては, 社内での検討の結果, ドリーム による店舗展開 を尊重するとの経営判断に至った。 そこで, 債権者は, 債務者に対し, 同年4月3 日,債務者を和歌山県内のコメダ珈琲店のフランチャイジーとして受け入れることができない旨を通知し ,同月9日,執行役から面談においてその旨 を 再度説明した。 債務者は,同年7月25日,なおも債権者に対し 再検討を依頼したが,債権者は, 経緯を再度説明してこれを断り,その他のエリアであれば検討可能である旨伝えた。 その後,債務者から債権者に対し連絡はされなかった。

 で,その後債務者は,ダマでコメダ珈琲店と似た自社の店舗を出店したというわけです。いやあこういう経緯って裁判所が一番嫌う話ですね。
 なので,結論が今回のようになったのは実に致し方ないと思いますよ。

 裁判所に救済を求めるときはクリーンハンドで~♫,そうすれば,結構勝てるってことです。小狡いことを考えて(ほらほらしめしめ上手く落とし穴に入ったわい,みたいな。),それで救済を求めても,まあダメですね。逆に,卑怯なこと(ダマで,ダメ元でやっちゃおう~みたいな。)をやって訴えられた場合に,勝ちはないです。

 ま,債務者も良い薬になったのではないでしょうか。

 あと,こういうトレードドレスみたいなものが問題になった前の大阪高裁の判断,判断手法がちょっと違いますね。

 大阪高裁の方は,似ているかどうか問題になった部分の照合を先にやり,商品等表示の判断はしていません(似ていないから)。
 他方,今回の東京地裁の判断は,まず,商品等表示判断を行い,その後類似性の判断をしています。

 お!何かに似ている!そう,著作権のろ過テストと二段階テストにそっくりです。
 大阪高裁のやり方はろ過テスト的であり,今回の東京地裁のやり方は二段階テスト的です。

 あ,ろ過テストが何なのか,二段階テストが何なのかは,それくらい自分で調べてちょうだい。私だってそんなに暇じゃないのです。
 ただし,ヒントは差し上げます。2部時代の清水部長の判決をご覧ください。

3 せっかく更新したので,最近の話題,ゆるい系の話もしておきましょう。

 まずは,コンフェデレーションズカップです。
 南米王者のチリとユーロ王者のポルトガルが戦い,チリが勝ちましたので,そのまま優勝~!かと思いきや,サッカーは色々ありますね。

 チリが優勢だったのに,ほんの少し,たった一回のミス?!それをものにしてドイツが優勝しました。強いねえ。

 来年のW杯も連覇しちゃうかもねえ。

 つぎに,ツール・ド・フランスです。フルームではなく,チームメイトのトーマスでマイヨジョーヌは始まりました。
 で,問題は,昨日の第4ステージです。

 サガンとカベンディッシュが接触し,カベンディッシュは骨折リタイア,そしてサガンは失格ですからね。サガンは去年のリオ五輪もMTBに出ていて(テレビでオリンピックを見ていたら,何か似た名前のやつが出ているなあと思いきや,本人でしたわ。),最初は良かったものの,結果はメタボロでした。
 ま,良くも悪くも話題になる選手というわけです。

 でも,注目選手が序盤で2人も居なくなり,ちょっと残念ですわ。ツール・ド・フランスはまだまだ続きますので,非常に楽しみです。

 さらに,弁護士広しと言えども,私くらいしか注目していない話です。それは仮面ライダーWの続編です。
 漫画だということにブ~という意見が多いようですが,いやあ贅沢言いなさんなって所です。続編があるだけで良かった良かったと思いますね。

 スピリッツの8/7発売号からスタートするらしいですが,スピリッツを久々読むのでしょうね~立ち読みかな~。

 平成の仮面ライダーシリーズだとやはりクウガが別格に良いですが,その次というとWでしょうね。漫画がヒットしたら,また映画にすればいいじゃないですか,勿論配役はそのままで,ね。

 ところで,実家の方で大雨が続きました。幸い,私の実家のある近辺は海に近く,気温が比較的安定している所なので,日田とか九重,玖珠のような降りではなかったようです。まあでも天災は忘れた頃にやって来る,っていうことですから,気をつけるに越したことはありません。

4 追伸 170712
 このコメダの話,そう言えば,今月号のBLJに特集があったなあということで,きちんと見返しました。
 そうしたら,まあ確かに載っていることは載っていたのですが,大したことの無い話でした。しかも間違っているし~。

「店舗の外観を保護する方法 2 意匠法
 店舗の意匠を意匠権により保護することも考えられるが、意匠権は登録から 20 年で消滅する(意匠法 21 条)。・・・」などと書いてありました。

 はあ?
 意匠法の保護対象は,「この法律で「意匠」とは、物品(物品の部分を含む。第八条を除き、以下同じ。)の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合であつて、視覚を通じて美感を起こさせるものをいう。 」という意匠であることは確かなのですが,「物品の・・・」に該当しないですよ!

 どういうことかというと,店舗って不動産でしょ。物品じゃないですよ!こんなの弁理士だったら誰でも知っているイロハのイ~。

 いやあ,弁理士も沢山居る事務所の先生のようだから,事務所の弁理士にちょっとは聞けば良かったのに~。そういう所でしくじるということは,まあ・・・ちゅうことなんでしょうね。出直し,出直し。
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理論物理学者を目指したのはもう30年以上前のこと。某メーカーでの液晶ディスプレイのエンジニアを経て,弁理土に。今は,弁護土です。次は何かな。
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