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知財,特に特許を中心とした事件を扱っている理系の弁護士の雑記帳です。知財の判決やトピックについてコメントしたいと思っております。
1 概要
  本件は,原告が,被告商品たるデジタル歩数計は,原告の販売する原告商品たるデジタル歩数計の形態を模倣したものであり,被告による被告商品の輸入,販売が,不正競争防止法2条1項3号の不正競争行為に該当する旨主張し,被告に対し,同法4条に基づく損害賠償及び遅延損害金の支払を求めた事案です。

  これに対して,東京地裁46部(大鷹さんの部ですね。)は,原告の請求を9割がた認めました。

  ここでは珍しい,不競法の事件です。さらに,今回は形態模倣というありそうで無かった類型のやつなので,何がポイントか楽しみですね。

2 問題点
不競法2条1項3号は,
他人の商品の形態(当該商品の機能を確保するために不可欠な形態を除く。)を模倣した商品を譲渡し、貸し渡し、譲渡若しくは貸渡しのために展示し、輸出し、又は輸入する行為
を不正競争行為と定義しております。
そして,ここでいう「商品の形態」と「模倣」については,不競法2条4項及び5項で,
4  この法律において「商品の形態」とは、需要者が通常の用法に従った使用に際して知覚によって認識することができる商品の外部及び内部の形状並びにその形状に結合した模様、色彩、光沢及び質感をいう。
5  この法律において「模倣する」とは、他人の商品の形態に依拠して、これと実質的に同一の形態の商品を作り出すことをいう。
と定義があります。

  まあこの辺ドラゴンソード事件 (東京高裁 平10.2.26)で示したとおり,デッドコピーでないとダメなのですね。
  ちなみに今回の原告製品は,ここをどうぞ。
  他方,被告製品は,ここをどうぞ。

  おっと,力いっぺ似ちょっ,よう似ちょんなあ,というところではないでしょうか。
  内側のボタンの位置が上と下で違いますが,あとはほぼ同じって感がします。そうすると?

3 判旨
「・・・,被告商品と原告商品は,商品全体の形態が酷似し,その形態が実質的に同一であるものと認められる。
(イ)  もっとも,原告製品と被告製品は,操作ボタンの形状及び配置構成(F,F’)に関し,①三つの楕円形ボタンが,原告製品は,中央ボタンの右斜め上,右斜め下及び「左斜め下」に配置されているのに対し,被告製品は,中央ボタンの右斜め上,右斜め下及び「左斜め上」に配置されている点,②中央ボタンの形状が,原告製品は隅丸四辺形であるが,被告商品は円形である点,③楕円形ボタンの形状が,原告製品は長楕円であるが,被告商品は端部が尖った楕円である点,④中央ボタンの表面文字が,原告製品は,「設定」の漢字2文字であるのに対し,被告製品は,「MODE」の英字4文字である点で相違する。
  しかし,①の点は,三つの楕円形ボタンのうち,二つの配置は共通し,一つの配置が「左斜め下」か,「左斜め上」かの相違であり,三つの楕円形ボタンを中央ボタンから三方に放射状に配置するという基本的な構成が共通し,楕円形ボタン自体の形状もほとんど変わらないことに照らすならば,商品の全体的形態に与える変化に乏しく,商品全体からみるとささいな相違にとどまるものと認められるから,原告商品及び被告商品の形態の実質的同一性の判断に影響を及ぼすものではない。
  また,②ないし④の点も,商品全体からみるといずれもささいな相違であって,両商品の形態の実質的同一性の判断に影響を及ぼすものではない。 」

4 検討
  あと,被告は,適用除外の19条1項5号ロの善意無重過失の譲受を主張したようですが,原告商品が超有名ヒット商品だったらしくNGでしたね。
  まあここまで似ているものをやるとは,何というかですね~。この形態模倣は,意匠権がない場合には結構有効ですね。そりゃデッドコピーにしか使えませんが,十分効果があるようです。
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理論物理学者を志望したのはもう30年近く前のこと。某メーカーエンジニアを経て,弁理士に。今は,弁護士です。
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