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知財,特に特許を中心とした事件を扱っている理系の弁護士の雑記帳です。知財の判決やトピックについてコメントしたいと思っております。
1 概要
 本件は,後記の登録商標(いわゆるピースマークの標章です。)の商標権者である原告が,被告(裏原宿系?の超有名ブランドです。)が当該登録商標に類似する標章を付した被服を販売し,原告の商標権を侵害した旨主張して,被告に対し,商標法36条1項に基づく上記販売等の差止め及び商標権侵害の不法行為に基づく損害賠償を求めた事案です。

 これに対し,東京地裁46部(大鷹裁判長の部です。)は,請求を棄却しております。

 まあよくある商標権侵害訴訟ではあるのですが,後述のとおり,商標的使用が問題となったので取り上げました。

2 問題点等
 争点は,複数個あったのですが,裁判所が判断したのは,被告各標章が被告各商品において本来の商標としての使用(商標的使用)がされているか,という点のみです。ですので,これだけを論じます。

 商標的使用というのは,まあご存じの方が殆どだと思いますが,定義的には上で書いたとおりです。

 何故このようなことが問題になるかというと,例えば,「私はソニーに11年勤続していた元ソニーマンです。そして,ソニーの厚木テックに勤めていました。ソニー在職中に弁理士試験に受かり,今に至ります。」と,書いたとします。

 さてさて,上で「ソニー」は4回出ましたね。そして,「ソニー」は当然に登録商標であります(例えば,商標第500038号など)。しかし,自分のキャリアの説明などにもかかわらず,いちいち「ソニー」を使ったから商標権侵害だとか,ライセンス料を払うとか,昔の同僚等のいる法務部にお伺いを立てる・・・というのでは,やりきれません。別に,私としても,ソニーぽい商品を売りたいからとか,ソニーの著名性にフリーライドして自分の商品を売りたいとかいうわけではありません。
 ですので,まったく,出所の混同だとかは生じていません。法律的には,このような場合,商標の本来的使用じゃないから,つまりは,商標的使用じゃないとして,商標権侵害ではないとするのです。

 まあ常識にはあってますよね。

3 判旨
「商標の本質は,当該商標を使用された結果需用者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるもの(商標法3条2項)として機能すること,すなわち,商品又は役務の出所を表示し,識別する標識として機能することにあると解されるから,商標がこのような出所表示機能・出所識別機能を果たす態様で用いられているといえない場合には,形式的には同法2条3項各号に掲げる行為に該当するとしても,当該行為は,商標の「使用」に当たらないと解するのが相当である。」

「これらの若者層以外の一般消費者においても,「ピースマーク」は「平和」の象徴として広く認識されていること,被告商品1の前身頃において上記キャラクターが中心部分に配置され,被告標章1がキャラクターの背景の一部として模様的に描かれていることに照らすならば,被告標章1については,「ピースマーク」として「平和」を表現するために用いられたものと認識し,商品の出所を想起させるものではないものと認められる。・・・」

「以上のとおり,被告各商品における被告各標章の使用は,本来の商標としての使用(商標的使用)に当たらないから,その余の点について判断するまでもなく,被告による被告各標章が付された被告各商品の販売は,「登録商標に類似する商標の使用」(商標法37条1号)に該当するものと認められない。」

4 検討
 被告商品には,鳩のイラストや平和を意味する文言があり,それとともに被告商標は補助的かつ模様的に表示されていたようです。したがい,裁判所が,出所表示機能等を発揮するような態様でないとしたのは,妥当な判断なのでしょうね。

 上述のように,よくある商標権侵害の事件ではあるのですが,逆に最近,典型的事件が少ないような気がしましたので(よくフォローされている方はご存じでしょうが,最近の商標の事件は,内部争いか特定の商標の事件ばかりです。),取り上げた次第です。

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理論物理学者を志望したのはもう30年近く前のこと。某メーカーエンジニアを経て,弁理士に。今は,弁護士です。
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