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知財,特に特許を中心とした事件を扱っている理系の弁護士の雑記帳です。知財の判決やトピックについてコメントしたいと思っております。
1 概要
 本件は,原告(自然人)が,別紙商標目録記載の商標権を有するとして,被告(法人)に対し,別紙登録目録記載の登録の抹消登録手続,被告による別紙被告標章目録記載1ないし6の標章(被告標章)の使用の差止め及び被告標章を付した商品等の廃棄並びに本件商標権侵害による損害賠償として損害金500万円及びこれに対する平成24年6月12日付訴えの変更申立書送達の日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案です。

 これに対して,東京地裁民事47部(高野さんの合議体です。)は,原告の請求の一部(抹消登録のみ)を認めました。つまり,侵害は無かったけど,あんたが保持するのはオカシイというわけです。

2 問題点
 問題点と言っても大して問題点はありません。引き続き,概要的な話をします。

 登録商標は,標準文字で,「RATIOFIN」です。
 そして,指定商品等は,
 「第25類 被服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴
 第28類 サーフボード,サーフボード用バッグ,サーフボード用附属品,サーフボード用デッキ,サーフボード用リーシュコード,サーフボード用プロテクター,サーフボード用流れ止め,サーフボード用ワックス」です。

 ま,サーフィンしているとわかりますね。サーフィンのフィンのブランド,というわけです。
 他方,被告の使っていた商標は,代表的なもので,こちらです。
 32bd6c66.jpeg
 





 ま,RATIOFINを飾り文字にしたもので,フィンを初めとする色んな被告商品にこの商標を付していたようでした。ですので,形式的には,侵害と思えるわけですね。

 ところが,まあ,こういう中小事業者でよくある話で,原告と被告は共同事業をやっていたわけです。これが,問題となっているサーフボードのフィンの製造販売で,そのブランドが,レイシオフィンだったのです。

 しかし,そのうち,色んな理由で,原告は被告に事業を譲渡し,そして,理由は定かではありませんが。本件の登録商標も被告に移転登録がなされました。
 さらに,しかし,被告の方は,このブランドではなく,独自のブランド,「PROSFIN」を立ち上げ,レイシオフィンの事業はやめたらしいのですね。
 ということで,宙ぶらりんとなったレイシオフィンのブランドを巡っての争いが顕在化したようなのです。

3 判旨
「原告が被告代表者らに対して本件商標権を譲渡したことを認めるに足りる証拠はない。
 確かに,本件事業は,「ratiofin」のブランド名を使用したサーフボード用フィン等の製造販売を目的とするものであり,本件事業を遂行するためには本件商標の使用が不可欠であるが,そうであるからといって,本件商標権を保有していなければ本件事業を遂行することができないというわけではないから,本件商標権が当然に本件事業資産を構成することにはならない。そして,証拠(原告,被告代表者)によれば,原告から被告代表者らに対して本件事業を譲渡するに当たり,本件商標権の譲渡について当事者間で特段の話合いが持たれた形跡がないことが認められる。そうであるから,本件事業を遂行するために本件商標の使用が不可欠であることをもって,原告が被告代表者らに対して本件商標権を譲渡したということはできない。
 したがって,原告が本件商標権を喪失したとは認められないから,原告の抹消登録手続請求は理由がある」

4 検討
 商標権の移転は,商標法35条で準用する特許法98条1項1号により,「登録しなければ,その効力を生じない」のです。つまり,効力発生要件なのですね。

 この点について,不動産の登記が第三者対抗要件であるのと違います。しかしながら,勘違いなきようにして欲しいのですが,商標権の登録が効力発生要件だろうが,不動産の登記が第三者対抗要件だろうが,その前提の実体的法律関係が無効なら,そもそも効力も発生しないし,第三者対抗力も発生しません。

 ですので,原告から被告への実体的な関係がないのに(通常は,譲渡契約),何らかの方法で(多くは書類の偽造),特許庁の登録簿だけを動かしても,ダメなわけですね。まあ当たり前です。

 そのため,商標権が原告にあることになったわけですが,請求のそれ以外の商標権の侵害については,裁判所は認めていません。要するに,共同事業やってたんだから,許諾してたんだよね~ということです。

 ちなみに,この問題となっているサーフボードのフィンってわかりますかね。
 サーフボードの後の方に舵をとるヒレ状のものが付いております。あれがフィンです。今はおそらく3つ付いているトライフィンが一番多いと思います。ロングボードだと,でかいフィンが真ん中に付いているだけのシングルフィンも見かけますし,ショートでかなり短い板で,5つついているやつもあります。

 で,今回のトラブルとなったフィンの商売がきちんと事業となるようになったのはここ最近のことだと思います。
 というのは,10年くらい前までは,グラスオンフィンという一体型のものが主流で,取り外しなんか出来なかったのです。私が最初に買った板も,二番目に買った板もこれでした。

 当然一体型で,あんな薄っぺらいものですので,ちょっと油断をすると,すぐ折れたり壊れたりしたのです。
 サラリーマン時代,海外やその他サーフトリップによく出掛けましたが(毎年ハワイに行っておりました~♬),気になるのはサーフボードの持ち運びです。ホテルに着いたら,まずフィンを確認!いやあ面倒臭いったりゃありゃしません。

 ところが,その10年くらい前から取り外し可能なフィンのシステムが多くなり,今やこっちが主流と言って良いくらいです。私が普段使いしているアルメリックのエポキシのボードもこれです。代表的なのがFCSというものですね。

 ただ,これ,着脱可能なのは非常にいいのですが,着脱するのに,細い六角レンチが必要です。
 しかし,たまにしか着脱しないので,この六角レンチがすぐになくなるのです。マーフィーの法則?私も何度なくしたことか。
 ということで,今は無くさないように,携帯のストラップに付けております(紳士の玩具じゃありません,ムフフフ。)。

 という風に,着脱可能なフィンのシステムが普及してきたので,今回問題となっている取り替え用フィンの事業も,単独で商売になっているというわけなのですね~。深い話ですね~♪(それほどでもないか。)

 さて,昨日はエロ話,今日はサーフィンということで,一体どんな弁護士じゃというわけですが,ま,超適当で,人権嫌いの金権悪徳変態エロ弁護士ということでよろしいんじゃないでしょうかね。
 
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理論物理学者を志望したのはもう30年近く前のこと。某メーカーエンジニアを経て,弁理士に。今は,弁護士です。
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