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知財,特に特許を中心とした事件を扱っている理系の弁護士の雑記帳です。知財の判決やトピックについてコメントしたいと思っております。
1 見出しを見て,ええ本当?!と思い,中身の記事も見ましたが,要するに低温ポリをやっていた鳥取工場を閉鎖するというだけの話ですね。
 大きな話には違いないとは思いますが,低温ポリの鳥取工場閉鎖=液晶パネル撤退,にはなりませんよ,日経の記者さん。飛ばし記事ってやつですか~。

 何故撤退にならないかというと,他の種類,高温ポリの液晶もやっているからです。
 これは,確か,本拠地の諏訪と北海道の千歳の工場だった思いますので,ここまで閉鎖するというのであれば,液晶パネル撤退でもよいとは思いますけどね。

2 さてさて,何故こんな極めてマニアックな話に詳しいかというと,エンジニア時代,この分野だったからです。

 今話題のリチウムイオン電池,これを初めて実用化したのは,どこだか知ってますか?それはソニーですね。ハンディカムのTR1という機種のバッテリーに採用したのが,世界で初めてでした。
 そのTR1ですが,実は,もう一つ,初めて採用されたものがありました。それが,ソニーの自社製のLCDでした。カムコーダのビューファインダーに採用されたのですね。もう20年近く前の話です。

 実は,それ以前のソニーのハンディカムにも液晶のビューファインダーは搭載されていたのですが,それはエプソン製の高温ポリのLCDだったわけです。
 つまりエプソンは,この高温ポリのLCDにおける先行者でありパイオニアだったのですね。私のいたソニーのLCDの部隊は,エプソンに追いつき追い越せという感じのあくまで2番手的地位だったと思います。

 その後,この分野のLCDは,単価の低さ(消費者向けですから当然ですね。)と,メインのフューチャーになれないということ(しばらくしてシャープの液晶ビューカムというものが発売され,覗くより眺める方が運動会などの撮影に便利ということで広まった。)で,頭打ちの様相となりました。

 しかし,今なおこの分野最強のアプリケーションとして君臨するプロジェクターの応用を見つけるに至り,事態は一変しました。プロジェクターは,事業者向けがメインですから,高額製品となり,利益率が非常に高いのです。
 そして,当時(95年あたり),ようやく一般にも普及し始めていたノートパソコン,ウィンドウズの普及とともにこれまた普及したマイクロソフトのパワーポイント,加えて液晶プロジェクター,これらが勢揃いし,プレゼン3種の神器として,OHP等からその地位を奪うことになったのです。

 それからの高温ポリのLCDは,半期に一度ごとに,VGA→SVGA→XGA・・・という画素数の争い,インチ数の争い,に突入していきました。もちろん,争ったのは,エプソンとソニーでした。

 現在では,通常のLCD以外でも,DMDを使ったものや反射型LCDを使ったもの,さらには,レーザー光を用いたものなど,さまざまなプロジェクターがあります。
 しかし,普及型のものは,いまだに,高温ポリのLCD(透過型)だと思います。そして,その内部に使われているLCDは,エプソン製か,ソニー製でしょう。ちなみに,液晶プロジェクター用LCDだけではなく,液晶プロジェクターそのもののシェアも,エプソンはかなり高いと思います。

3 ですので,高温ポリのLCDをエプソンが手放すとは考えにくいですね~。
 日経紙の記者さんには,ここまで確認できたら,初めて「液晶パネル撤退」と書くことを許してあげましょう。


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理論物理学者を志望したのはもう30年近く前のこと。某メーカーエンジニアを経て,弁理士に。今は,弁護士です。
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