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知財,特に特許を中心とした事件を扱っている理系の弁護士の雑記帳です。知財の判決やトピックについてコメントしたいと思っております。
1 正確には昨日のニュースですが,結構大きな話題だったらしく,本日も派生のニュースなどがありますので,これでいきましょう。

 私がソニーで液晶のエンジニアをしていたというのは,ここでも色々書いたとおりです。
 ですので,こういう記事が出ると感慨深いですね。東芝のことはよくわかりませんが,ソニーのことなら少しはわかりますので。

2 現在のソニーでの液晶は,3つのまとまりに分けられると思います。
①まず,ブラビアに搭載されている大きなやつです。ソニーは東芝などの他社と異なり,自社での大画面液晶の技術はありません。その経緯は,この記事で書いたとおりです。結局,新デバイスで上市できるものが消えていったため,久夛良木さんが音頭をとり,慌ててサムソンなどから供給できる体制を急こしらえたというものです。

 したがって,今のソニーのテレビは,外部調達のデバイスがメインですので,技術的にも上限があり,コスト的にも限界があるということになります。テレビの体制を現在のようにしてから,一度も黒字になったことがないというのも,その辺に理由があると思いますね。

 トップのでくのぼう外人からすると,そんなテレビ事業なんて売りたくて売りたくて堪らないのでしょうが,それを売った途端,ソニーといえどもパイオニアやビクターの二の舞になることは必至でしょう。しかし,いつまでも赤字の垂れ流しを続けるわけにもいかないでしょうから,ソニーのジレンマはしばらく続きそうです。

②つぎに,①に比べて歴史の長い小型液晶です。私がエンジニアをしていたのは,ここということになります。プレゼンで用いられるLCDプロジェクターなどに使われている液晶ですね。
 詳しくは,この記事を見てもらうとして,ポイントはほぼ半導体の技術を用いているということにあります。上の①に比べてプロセス温度が高く,製造原価は割高なものです。そのため,小さくつくって理収をあげるという,まさに半導体的に作る必要があるのです。なお,実際に製造しているのは,九州各地の子会社ですね。

③最後に,首記の記事の,中小型液晶です。②のメンバーから,90年代半ばに分かれて,三洋と提携し,その後,豊田自動織機と合弁会社を作り(現在は解消),近時エプソンの事業を吸収し,そして,今般,産業革新機構の出資により,東芝と合弁会社を作るというのがこれです。

 さてさて,中小型液晶というと,え!,別に大型に比べれば簡単なんじゃないのという感はあろうかと思います。①の大型の技術で,サイズを小さくすればいいだけの話でしょ,というわけだと思います。

 しかし,よく考えてください。40インチの大型の液晶でHDの1920×1080の画素数は,大型電気店で安売りされているとおり,現時点ではもはや簡単なものです。ではその技術のまま,例えばipadのような10インチの液晶で1920×1080を実現するとどうなるでしょうか?

 真っ暗くら~になりますよ。液晶ディスプレイとは網のようなものだとおもってください。糸の太さを変えずに,網の目をこまかくすると・・・,何じゃ糸だらけじゃとなってしまいますね。
 これと同じことです。小さい液晶でも大きな液晶と解像度を同じにする場合に,開口率をある程度保たないと超強力バックライトを使わないといけなくなってしまいます。
 それを防ぐためには,液晶の配線を細くし,駆動トランジスタも小さくして(細い糸を使うというイメージ),開口率を保たないといけないわけです(②で半導体の技術が必要なのも,そのためです。)。

 その技術は,①の大型の技術とまた違うのです。むしろ,②の技術に近いと言えます。日本の技術の優位性がいまだにあるというのは,こういう部分のためなのです(いやあテクノライターとしても,結構イケテますね~,私って,と自画自賛。)。

 ソニーでこれをやっているのは,豊田自動織機との流れから愛知にある事業所です。
 おそらく次世代の有機ELも睨んでのことだと思いますので,何とかモノにして欲しいですね。ねーたくちゃん。
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理論物理学者を志望したのはもう30年近く前のこと。某メーカーエンジニアを経て,弁理士に。今は,弁護士です。
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