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知財,特に特許を中心とした事件を扱っている理系の弁護士の雑記帳です。知財の判決やトピックについてコメントしたいと思っております。
1 私が日々読んでいるのは日経紙ですが,おそらく多くの人が全く看過するような記事が載っておりました。
 それが表記の件です。

2 ITOというのは,Indium Tin Oxideの略で,酸化インジウムとスズの混合物のことです。非常にマニアックな物質ですが,今やどこの家庭にもこの物質はあります。それは,液晶テレビですね。
 おそらく,これを読んでいる人が持っているスマートフォンにも,この物質は入っております。

 その液晶等の具体的にどこに使われているかと言いますと,電極膜として使われております。液晶等は,ディスプレイとして,透明性が重要ですから,電極も透明でなければなりません。ですので,このITOが必要なわけですね。

3 さて,このITOですが,液晶を作る際に,スパッタリングで成膜します。スパッタリングとは,その名の通り,叩き出しですね。
 アルゴン等の不活性ガスをプラズマ化して高速化した後,ITOのターゲット(ITOの塊)にぶつけます。そうすると,その運動量でITOの微粒子が叩き出されて,製造途中の液晶基板などに堆積し成膜するというわけです。

 そして,近時,このITOについて,アスベストと同様な粉じん被害の元となるのではないかということが懸念されておりました。まあ具体的な健康被害があったからだと思うのですが。
 そこで,昨年厚労省は都道府県の労働局長宛に通達を出しておりました。これからでも,かなり重篤な問題だということがわかりますね。

 で,いよいよ今回は,もはや通達どころではなく,法規制しなければしょうがないということに至ったようです。
 ただ,特定化学物質に指定されると,設備や安全衛生のために新たな出捐をしなければならないし,作業主任者も置かないといけないし,結構な負担です。

4 しかしながら,私がこの記事に注目したのは,そういう技術的な側面や法的側面ではありません。単に我が身の心配です。

 実は,私がソニーに入ってエンジニアをやっていたころの実質最初の仕事が,アルミのスパッタの担当だったのですね。そして,ITOのスパッタは隣!
 当然,クリーンルーム内なので,粉じん等は最小限で,マスクもしておりましたが,全く無関係というわけではないでしょう。というのは,開発ラインでの担当だったので,クリーン度もそんなに高くないし,しょっちゅうターゲットの取り外し等もやっていたからですね。

 アスベストといい,ITOといい,あとでそんなこと言われても困るよ~ってなものが多いですが,非常に気になった記事でした。
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理論物理学者を志望したのはもう30年近く前のこと。某メーカーエンジニアを経て,弁理士に。今は,弁護士です。
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