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知財,特に特許を中心とした事件を扱っている理系の弁護士の雑記帳です。知財の判決やトピックについてコメントしたいと思っております。
1 気がつくと,1週間以上更新していなかったりしています~。珍しい。

 ま,このブログを見ている人は,何だかんだ言っても常識人が多いでしょうから,更新が何故ないか,そんなのは分かりますよね。単純に忙しいから,です。

 私は別に霞を食って生きているわけではなく,勿論,年金で暮らすにはまだ若すぎます~。しかも,事務所は,私しか弁護士しか居ません。その事務所は,五反田の駅からほど近い場所にあり,そこに私が住んでいるわけでもありません。そして,もう丸9年も維持しております。

 何が言いたいか~ちゃんと仕事していないといけないってわけです。世の中を斜めに見たような悪口ばかりのブログを書くのが私のメインの仕事じゃありません。

 勿論,こういうブログも書けないくらい忙しいのは,年に数回くらいですけど,大して忙しくないときも仕事はやっているわけです。
 ま,上記のとおり,常識人が多いとは思いますけど,勘違いしている人もいるかもしれませんので,念の為。

2 で,この1週間で変わったことと言えば,ああ夏が終わったなあという感じでしょうか。
 前の土日は実に暑く,日曜はサーフィンに行ったのです。いつも通る辻堂海浜公園の屋外プールはまだやっていました。ちびっこも大はしゃぎしてました。セミは・・・あんまり鳴いていませんでしたが,The夏!でしたね。

 波も,夏の典型的なオンショア波で,岸の方まで乗っていき,ザブンと飛び込む~実に気持ちの良いものでした。勿論,海パンにラッシュガードだけ,です。
 つまりは,今年の夏は9月9日で終わった,ということです。

 ほんで,今日は多少太陽が出ていますが,火曜水曜と一気に寒くなりました~。
 散歩に目黒川沿いを歩いてもちっともセミが鳴いていません。よく考えると,9月の初旬って結構たくさんセミが鳴いていたような気がしますが,今年は鳴き終わりがちょっと早いのではないでしょうか。

 午前中,裁判所に行きましたが,日比谷公園も鳴いていませんね。辛うじて,弁護士会のとなりの厚労省の植え込みでアブラゼミが鳴いていたようですが・・・。

 また約1年,夏の来るのを待ちましょう~♪

3 さて,せっかくなので違う話で,スポーツ~,大坂さん,森保ジャパン,稀勢の里と思いましたが,どこかで聞いたことのある話くらいしか書けそうにないので,やめておきます。またの機会ですかね。

 あと,この更新のない1週間,閲覧数も低レベルかと思いきや,結構閲覧数があったみたいです。
 で,何を皆さん見ていたか,過去ログを・・・と思ったら,アレですね~。
 ま,その話も色々あるので,やめておきます。本人がブログやっているようなので,そっちを見た方が早いと思いますよ(これで何のことか分かりますね。)。

 つーことで,いきなり特許の話にしましょう。

 クリスパーキャス9の特許についてです。こちらは日経ですかね。
 インターフェアレアンス後の審決取消訴訟で請求棄却,つまりは,審決そのままで良いと判断されたわけです。
 
 まあこの技術分野が私には土地勘が無い所なのですが,誤りを承知で多少述べましょう。

 ノーベル賞候補だと言われているのは,自分の発明だといちゃもんをつけた方の,カリフォルニア大バークレー校のダウドナさんです。そして,このクリスパーキャス9の技術に関して,一番最初に見つけたのでしょう。

 ただし,どうやら,真核生物への適用ということまではこの最初に発見したとき,及び最初に特許を出したときには考えていなかったようです。
 ダウドナさん側の最先の特許は,米国の13/842859のようです。グーグルパテントで見ると,こんな感じです。ところが,真核生物は英語で,eukaryoticですから,これで検索すると,結構検索できます。

 むん?だったらいいじゃん,ダウドナさん側勝利で・・・と思ったのですが,訴訟に先立つインターフェアレアンス(あ,これらは,AIAの改正法のギリギリ施行前の特許で,クソメンドクセー,インターフェアレアンスの適用ありなのです。)で,ダウドナさんらの一番最初の仮出願のやつには,真核生物での実施例が無かったようなのですね(そこら辺を探るには一件書類まで見ないと分からんでしょうね。)。

 他方,いちゃもんをつけられたブロード研究所のフェン・チャン博士単独発明!の特許は,US8,697,359号です。グーグルパテントだとこちらですかね。

 で,クレーム1です。
「1. A method of altering expression of at least one gene product comprising introducing into a eukaryotic cell containing and expressing a DNA molecule having a target sequence and encoding the gene product an engineered, non-naturally occurring Clustered Regularly Interspaced Short Palindromic Repeats (CRISPR)—CRISPR associated (Cas) (CRISPR-Cas) system comprising one or more vectors comprising:
a) a first regulatory element operable in a eukaryotic cell operably linked to at least one nucleotide sequence encoding a CRISPR-Cas system guide RNA that hybridizes with the target sequence, and
b) a second regulatory element operable in a eukaryotic cell operably linked to a nucleotide sequence encoding a Type-II Cas9 protein,
wherein components (a) and (b) are located on same or different vectors of the system, whereby the guide RNA targets the target sequence and the Cas9 protein cleaves the DNA molecule, whereby expression of the at least one gene product is altered; and, wherein the Cas9 protein and the guide RNA do not naturally occur together.」

 中身は難しすぎて全然分かりませんが,ポイントは分かります。上記のとおり,フェン・チャン博士の登録特許には真核生物(eukaryotic)の限定が入っているのです。

 人を含めた動物も,植物も真核生物です(要するに細胞核があるやつ),逆に細胞核が無い生物というと,かなり原始的な細菌とかその辺になってくるわけです。
 で,しかもこのフェン・チャン博士の特許は,基本的な特許のうちで最も早く登録されたわけですね。

 なので,ダウドナさんらとしては,当然看過できません。
 いやいやいやうちらが見つけたのです,真核生物適用を含めてこの技術は。そう,もう最初に見つけたときには,真核生物への適用もできる前提ですよ,そんなの当然じゃないですか!とインターフェアレアンスでも,今回の訴訟(CAFCでしょうかね。)でも,主張したわけです。

 ところが,ま,上記のとおり,真核生物に対するそりゃ多少の期待みたいなものはあったかもしれんが,発明者だと大々的に太鼓判を押すほどの段階まで来てなかったよね,ということで,真核生物に対する技術の発明者は,あんた(ダウドナさん)じゃなく,やっぱ,フェン・チャン博士だ!,そんな特許庁の決定でOKだ!とされたわけですね。

 高裁の判断ですので,連邦最高裁判所があるとしても,さすがに覆るのは難しいかなと思います。この記事のために,様々なところを見返しましたが,上記のとおり,ダウドナさんの一番最初の仮出願のときに,真核生物での実施例が無いというのだとなかなか難しいですな。

 で,こうやって私にはあまり詳しくない分野でも振り返ると様々な教訓があります。

 今は勿論,アメリカでもインターフェアレアンスなんちゅう手続きはなくなりましたので,発明者がどうのこうのという問題は起こりません。ただし,代わりに,ダイレクトに特許性の問題にはなりますので(日本やヨーロッパでは従前からこの話のみです。),出願のときにどこまで書くかは悩ましい話です。

 いやいやいや何でも想像力豊かに書けばいいんじゃないの~と言っても,記載要件,特にサポート要件違反(実施例がない広すぎるクレーム)や,実施可能要件違反(できもしない発明が載っている)の可能性が出てきます。

 他方,じゃあ謙虚に実証できたものだけ,次々に書き足す,優先権とか使ってだとか・・・みたいにしていると,今回みたいな鼻の先の争いのような超最先端技術の場合はみすみす大魚を逃がすことにもなりかねない(細菌でOKなんだから真核生物でも当然OKだよ~そんなもん!)。

 なので,今回の話は,出願戦略,つまり企業の知財部にとって,分野を問わずちょっと考えないといけない問題じゃないかなあと私は思うわけです。
 ですので,大して分かりもしない,この技術分野でもそこそこ書いたわけです。

 なお,この分野で一番分かりやすかったのは,EテレのサイエンスZEROの特集でした。あの番組は侮れませんよ。

4 追伸
 あ,そうそう,今日のBGMは,当然,ケツメイシの「夏の思い出」ですね。収録は,ケツノポリス3ですかな。いい曲です。

 で,追伸ということで,流浪の弁護士,散歩のコーナーです。
 本日はここ山本橋に来ております。
 
 ぱっと見た感じ,まだ桜も青々してはいますが,よく見ると,もう枯れた感じで,疎らにもなっております。自然は巡り巡りますなあ。


 で,今回はいきなりな感じなので,追伸もいきなりな話で。
 上記のとおり,本日は裁判所に行きましたので,地下の至誠堂で,買いたかった本をゲットできました。
 
 最近,書籍のコーナーやっていないなあ,いかんなあということで,そのコンペンセイトです。ま,正直な話,そんな本を読めていないので,紹介するべくもなし,という所なのですが。

 主目的は左の本,「民事保全手続」関述之著(きんざい)だったのですが,右の本「インターネット関係仮処分の実務」関述之,小川直人編著(きんざい)もついでに買いました。

 ま,保全の実務書というと,同じきんざいから出ている「民事保全の実務」上下が有名ですね。私も持っています(第三版,でも今確認すると第三版増補版というのがもう出ているのですね。)。
 ですが,有用だけど,基本マニュアルなので,何かアホっぽいわけです(要するに,要らんことで手間取らせるなよ~わしらは忙しいんじゃー~これを読め~アホ弁ども~,という裁判所からのお達し)。

 とは言え,学者の書いた基本書,こっちはこっちでさっぱり役に立たん~民訴ならまだ論点もありますが,保全でそんな論点の争いなんて~不毛とは言いませんが,だったら本案でガンガンやるべきですからね。

 なので,アホと不毛の間のちょうどいい本がないかと思ってたわけです~。私だってたまには保全にも関わりますからね(知財で保全は結構ありますから。)。

 ざっと見た感じ要領良くまとまっているのが実にいい感じです。
 上のアホ本は,架空のしょうもない論点,「・・・において,・・・はどうか」のパターンで,自分の知りたいことがどの問いに当たるかをサーチするのが面倒だし,その問いの答えも冗長なんですよねえ。

 あと,この本は関裁判官の単著なので,そこもいいです。やっぱ,一人の人が責任を持って書いているのは伝わるものが違います。アホ本は,そこも有象無象の多数著者ですから,ドッチラケちまいますね。

 買って損はないと思います(ちなみに,私は至誠堂なので,1割引きです。二冊でちょうど8000円くらいでした。)。

 あと,隣の右の本は,まあ,昔やってからなあということで・・・,お付き合いですね。
 この本のはしがきに載っていましたが,10年前には1%にも満たなかったネットの仮処分の割合が,今は20%!らしいです。驚くべきことです。
 にもかかわらず,私の仕事の割合は世間と真逆ですね。

 一時は50%くらいあった,ネットのそれ系のやつが,今は0ですもんね。
 ま,それはこの話になるといつも書いているとおり,「誹謗中傷 弁護士」などで検索してみると自ずと答えは分かるというものです。

 で,もうほぼやらないので,その当時の種本を書いておきますが,「新版 情報化時代の名誉毀損・プライバシー侵害をめぐる法律と実務」静岡県弁護士会(ぎょうせい)ですね。
 当時は,本当,具体的な書式まで載ったこの系の本って皆無でした。その後,色んな弁護士やら何かよくわからない団体から,様々なマニュアル本が出ましたが,当時は上記の本によくお世話になりました~。
 静岡県弁護士会もよくわかっているようで,もうこの本の改訂はしないようですね。

 自然が巡り巡るように,法曹業界も流行り廃りは当然あり,そして巡り巡る,というわけです。
 
 

 
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理論物理学者を志望したのはもう30年近く前のこと。某メーカーのエンジニアを経て,弁理士に。今は,弁護士です。次は何かな。
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