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知財,特に特許を中心とした事件を扱っている理系の弁護士の雑記帳です。知財の判決やトピックについてコメントしたいと思っております。
1 首記は,半導体レーザーを題材に,日米での技術進歩の対比を通じ,「スピンアウトがイノベーションのパターンに与える影響を明らかにする」というものです。

 年末年始にこの本にかかりっきりとなり,今般漸く読了したというわけです。
 いやあ面白かったです。

2 この本との出会いは,日経紙ですね。
「日経・経済図書文化賞」を受賞したという記事が,確か昨年の11月だったかな~載っていて,これは面白そうだということで,読み始めたわけです。

 ま,こういう固い本って,ちょっと読んで,ゲ!何書いているかさっぱりわからん,おもしりもクソもねえというパターンが多いのですが,この本,実にわかりやすいです。

 大学の先生ともなると,小難しいことを小難しく言うか,単なる知識自慢か,そんなパターンもよくあると思うのですが,この先生はそういう誤魔化しを一切やっていません。非常に素晴らしいです。

 ま,もちろん,私が東工大出でソニーにも勤めていたということで,半導体レーザーって???てなわけはなく,ある程度のことを知っていたということはあると思うのですよね(ただし,私がソニーでやっていたのは,シリコンの半導体で,しかもTFTでしたが。)。
 
 例えば,前の東工大の学長の伊賀先生やら(確か陸上部の一つ下の後輩がここの研究室だったような。ほんで半導体レーザーをやっていたような。),日電の方(スポーツ大将の録画を失敗した先輩のお父さん)やら,登場人物に親近感がありましたからね。

 だとしても,つまらん書き方をされると,途端に読むのをやめたくなるはずです。でも,この本は,半導体レーザーのプロジェクトXみたいな所もあり,読み物としても優れているのですね。

3 で,そうは言いつつも,一番,恐れ入ったのは,イノベーションと関係の深い特許について,私と同じの,非常に明瞭な考えを持っている所でした。

 この本の62pに,こういう一節があります。
しかし,取得した特許のうちで実際に経済的な価値を生み出しているものは多くはない。もしも,経済的な価値を生み出していないとすれば,それは発明(インベンション)ではあるが,イノベーションとは言えない。

 私は常々特許というのものは,金儲けの道具,単にそれだけだと考えております。技術的に高度だとか優れているか,そんなものは必須ではありません。しかし,金儲けに通じない特許には何の価値もないのです。

 自称特許の専門家の方々もこの単純なセオリーというか,定理に,気づかずにというか,誤魔化しているというか,そんな感じでお茶を濁すことも多いのですね。こう書かれて,ドキッとした方もいますかね。

 ところがこの先生,よくわかっております。ですので,この一説が実に説得力を増していたわけです。

4 最近,法律の本もある程度読みますが,それ以外のイノベーションにまつわるも結構読んでおります。

 で,この手の本はビジネス本と同様,出来不出来の差が非常に大きいですね。

 半可通の,実はイノベーションのことをちっともわかっていないだろうという本(あの本のことかなあ?)や,え,何それ,先生の商売の宣伝やっているだけとちゃいまっかという本(あの本のことかなあ?)も多い中,実に信頼できる本だと思います。

 とは言え,時間のない人も多いと思います。日経の昨年12/30の経済教室に清水先生の論文「イノベーションに何が必要か(下)スピンアウトに功罪両面 累積的な技術改善に支障」が載っておりました。そこに今回の本のエッセンスは載っていると思います(ということで,よろしいですかね。)。
 時間のない人はこちらを読むとよくわかるのではないかと思います。

 でも,今回の本は面白い本ですので,オススメしますね。
 
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