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知財,特に特許を中心とした事件を扱っている理系の弁護士の雑記帳です。知財の判決やトピックについてコメントしたいと思っております。
1 やはり今日はこの話題でしょうね。
 先程,参議院の本会議で可決成立したらしいです。
 
 いやあ結構長い話でした。紆余曲折を経て改正要項仮案が出たのが,2014年の8月です。
 それから,改正案がまとまり,審議未了で継続審議などを経て,今日のこの5/26に漸く成立したわけです。改正要項仮案からも3年ですね。

 さらに思い起こせば,加藤先生の著作を読んだ,もうあれは6年も前ですね。この民法を改正しようという話がでたのは民主党政権下のことでもありました。

 まあ色々あって,アメリカ的な立法にしよう,売国的立法にしようということは無くなったので,ああ良かった良かった~,それが上の改正要項仮案のころです。

 ということで,売国的立法が防げた時点で私の興味はほぼ無くなったのですが(この3年くらい改正民法の話はここで殆ど無かったでしょ。),今般ついに成立ということで,そりゃ取り上げないといかんでしょ~って所です。

2 改正案そのものは,ここから見れます。
 ただ,これは見にくいですね。上記のとおり,売国的立法を避けることはできたのですが,改正点は多くあります。なので,細かい点を見ていくとキリがないですし,ここは知財系の方が多く見ると思いますので,そこら辺にしぼりましょう。

 まず,従前10年だった債権の時効の期間の変更です(今の規定「債権は、十年間行使しないときは、消滅する。 」)。

 改正後
債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
 一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。
 二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。」

 ということで,基本,5年と10年になりました。

 何のときに,重要かというと,損害賠償請求に替わる不当利得返還請求ですね。不法行為の損害賠償請求の消滅時効はほぼ変わりません。

 従前は,3年より前の請求については,不当利得返還請求で10年前まで請求できていたわけですね。

 ところが,今回の民法改正で上記のとおり,5年の場合も出てくることになります。まあこの「知った時」っていう解釈で一苦労ありそうですけどね(結局最高裁の判示が出るまではあやふやな所が残るでしょう。)。
 兎も角も,特許権侵害でのお金の請求の際,無条件にいつでも10年遡るってわけにはいかなくなりそうです。

 同様に,影響を受けるのが,発明者の相当の利益請求です。昔は相当対価請求って言われていたやつです。

 この請求権の消滅時効も10年(一般債権として)とされておりましたので,ここも短く5年となる可能性があります。
 なので,知財部としては,発明者に上手く知らせることが重要でしょう(つまり,寝た子を起こすことなく,5年の消滅時効が適用できるように,ね。)。

 次に,請負の規定が結構変わりますので,IT系のベンダー,そしてそのユーザも契約書を見直した方がいいでしょう。

 ただし,民法146条があり強行法規性のある消滅時効と異なり,請負での契約なんて,当事者の好き勝手に決められますので,気は楽です。
 しかしながら,補充性のある民法が変わりますので,従前,民法にお任せ~♫ってしていた所は,細かく契約書で定めておいた方が良いと思います。

 ま,知財関係で重要な所はこんなもんですかね。あとは他の弁護士やら学者やらできちんとやってくれる所もあるでしょう。ですので,そういう所を見れば良いと思います。

 とは言え,実際に改正民法が施行されるのは,2020年目処らしいです。
 まだまだこれからでも間に合う話ですから,そう慌てる必要はありません(そう,個人情報保護法改正だとか,何とか法改正だとか,慌てさせてセミナーで儲けようとする,コスい弁護士とかそういう輩は多いですからね。)。
 そのうち,良い本も出ますから,それからでも遅くないですよ。
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