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知財,特に特許を中心とした事件を扱っている理系の弁護士の雑記帳です。知財の判決やトピックについてコメントしたいと思っております。
1 首記は,本日の日経紙の5面だったかなあ,ちょっと中の方にあった記事です。
 おー,こんな話出てたんだ~ノーマーク!こりゃ重要!
 ってことですので,紹介っつーか,メモしておくことにしました。

2 ま,例のFRAND特許の話です。このブログでも一応紹介しました(とは言え,実にひねくれた紹介でしたけどね。)。

 そのときの知財高裁の大合議は,そういう特許での権利行使について,FRAND条件によるライセンス料相当額を超える部分の損害賠償請求については,権利濫用という一般規定により認めなかったわけです。

 当然,独禁法違反の件も論点にはなりました。しかし,この点については,
(エ) 独占禁止法について
以上に関連して,被控訴人は,控訴人の一連の行為が独占禁止法に違反する旨の主張もしている。しかし,控訴人の主張に係る損害賠償の金額は,控訴人がFRAND条件によるライセンス料であると主張する金額に留まること(前記第3,7)に加えて,FRAND条件によるライセンス料相当額を超える損害賠償請求は原則として権利の濫用となり許されないことを考慮すると,本件全証拠によっても,FRAND条件でのライセンス料相当額の範囲内での損害賠償請求が同法に違反すると認めるには足らない。
と判示しただけです。

 そう,この判示じゃ,そりゃ権利濫用にならない部分はそうだろうけど,それを越えた部分はどうなのよ?っていう疑問には答えられません。
 ま,司法ってそもそも,その事件だけを解決できりゃあいい,その場限りの,究極の対処療法と言えるものですから,余計なことに答えないというのは,それはそれで素晴らしいことです。

 とは言え,私のような一般大衆としては,じゃあ,実際どうなのよ?権利濫用的にFRAND特許で権利行使してきた場合に,どういうときに独禁法違反になるかならないかってはっきりさせてよね,っていう問題は残ってたと思います。

 今回の指針案ってそれに答えるものです。

3 内容は,こちらを見た方が早いです。パブコメ募集となっていますが,ほぼこの案のままでいくかなあと思います。

 ポイントは,「FRAND条件でライセンスを受ける意思を有する者に対し,ライセンスを拒絶し,又は差止請求訴訟を提起すること等は,一般に,広く普及している規格を採用した製品の研究,開発,生産又は販売を困難にするものであり,
 ・当該製品の市場における競争を実質的に制限する場合には,私的独占に該当(独占禁止法第3条)
 ・私的独占に該当しない場合であっても,不公正な取引方法に該当(独占禁止法第19条[一般指定第2項及び第14項])
 だと思います。

 つまり,この指針が策定された場合,勿論法規ではないのですが,裁判所においても,FRAND特許の権利行使が独禁法違反である!と判断される場合が多くなるのではないかと思います。

 それに何より,これにより,道が2つ選べることにもなりそうです。

 何かというと,大合議事件のアップルがやったように,債務不存在確認訴訟が1つのやり方,そしてもう1つが公取委に対する申告(つまりは公取委によるエンフォースメント)ですね。
 公取委によるエンフォースメントは,行政がやるもの(つまりは自分達が弁護士を雇ってやる必要なし!)で,費用負担も少ないので,非常に使えると思います。

 ですので,今回の案とおり,指針に明記されるというのは実に大きな意義がある,ってことになります。そして,この話はもはや司法の世界から離れていくということでもありますね。
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