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知財,特に特許を中心とした事件を扱っている理系の弁護士の雑記帳です。知財の判決やトピックについてコメントしたいと思っております。
1 現在オリンピックが進行中です。まだ半分も来ておりませんが,結構な盛り上がりです。それをスマートフォンで確認したり,いろいろなソーシャルメディアに投稿したりということも多いと思います。そして,丁度アメリカでは,そのスマートフォンの技術等を巡って,本格的審理(trial)が始まるようです。

2 日本は大陸法の国であり,アメリカは英米法の国ですし,いくら現在の日本が実質的にアメリカの植民地であったとしても,形式上の主権はあるようですから,裁判制度にはかなりの違いが見られます。

 例えば,日本もアメリカも,原告が訴状を提出することが訴訟係属のきっかけになり,その後被告からの答弁書が提出されるところまでは大体同じです。

 ところがその後の審理のやり方は日本とアメリカでは大きな違いがあります。
 日本の場合,その状態で,弁論の期日が指定され,基本裁判所での本格審理がスタートします。月に1度くらい原告と被告(弁護士が代理人をすることが多いです。そして,この訴訟代理人が,弁護士の仕事の大きなウェイトを占めています。)が出廷し,それぞれの主張を交わし合います。
 そして,書面等の証拠によって事実認定できないような場合は,終盤で証人尋問等が設定され,その後判決ということになります。

 他方,アメリカの場合,裁判所での審理はかなりの後です。先程の状態の後に始まるのは,あの悪名高きディスカバリーです。アメリカでの弁護士費用の過半がこのディスカバリー代と言ってもよいのではないでしょうか(タイムチャージで請求する場合が多いので,それだけ時間がかかるということでしょうね。)。

 このディスカバリー,直訳すると,発見ですが,その名のとおり,相手方や第三者に対して,情報の開示を迫るものです。
 これが何故悪名高いかと言いますと,裁判の論点に関するありとあらゆるもの(例外はありますが。)が,対象となるからです。
 このブログをご覧になられている企業の知財部の方でも経験がある方もいるかもしれませんが,本当に担当者は大変です。その論点に関する証拠っぽいやつは全部ダンボールにまとめないといけませんし,メールのアーカイブも掘りくり出さないといけません。さらには,期日外の証人尋問と言えるデポディションという制度もあります。
 ただ,こういう制度があっても,守られないと意味はないのですが,これらを担保するための制裁がきついのです。一番有名なのは,法廷侮辱罪ってやつですね。何で,民事での話が刑事になるんだ?という気がしないでもないですが(日本でも偽証罪は民事訴訟にも適用はありますけどね。)。

 こういう制度が何故あるのかよくわかりませんが,まあ衡平ということですかね。日本の場合,重要な証拠が手元になく,持っていそうな相手方がすっとぼけ,裁判所も特段問題視しない,ということがよくあります。本当,どうにかならないかなあと思いますね(あと,執行の実効性も高めて欲しいですね。民法の債権法の改正なんちゅうオナニーしていないで,こういう所をもっとどうにかして欲しいですな。)。ただ,色々な諸制度を整備しないと,今の日本の民事訴訟制度にはそのままディスカバリーは合わないとは思いますが。

 そして,このディスカバリー制度により,原告も被告も大体相手方の手の内がわかりますので,この後は,和解で決着するのが通例です。つまり,今回のアップルとサムソンのように,trial(本格審理)まで行くのは非常に珍しいということです。

 ほんで,和解で決着できなかった場合には,漸くここで,本格審理に入ります。日本と比べると,準備期間が非常に長いというわけです。
 その本格審理は,陪審審理も非陪審審理の両方ありえますが,それまでの裁判官の態度等を考え(要するに,陪審員の方が有利だと思えば陪審審理にすればよいし,そうでないなら,非陪審審理もありえます。もっとも,陪審審理は彼の国の憲法上の権利ですので,相手が陪審審理の権利を放棄しないといけないようですが。),どちらかを選択します。
 そして,今回のアップルとサムソンの場合は,陪審審理でやるということになったようです(jury trial)。

 ところで,このjury(陪審員),今やっているオリンピックの柔道でも現れてビックリです。ジュリーと言えば沢田研二ですが,ちょっと違いますね。
 私の場合,この用語は昔から知っていたのですが,別に法律に興味があったからではありません。彼の国は,通常の映画も法廷を舞台にした映画が多く,名作も多いと思うのですが,私の好きなジャンルの映画(x-rated)にも,結構法廷ものがあったりします。

 もう20年近く前でしょうかね,その中でも,「Takin' it to the Jury」という作品があり,主演女優のRacquel Darrianが結構な私好みで,目を皿のようにして見た記憶があります。
 そのため,このjuryってなんだべと気になり,ジュエリーのことかと思ったら,陪審員のことだとわかった次第です。で,その中身もその
Racquel Darrianが法廷を舞台にくんずほぐれつ・・・って,ちょっと話がズレ過ぎましたかな。いやはや。まあ世間的には殆ど夏休みなので,許してちょ。それにもともと私しゃ金権エロ弁護士ですから~♫

3 何の話でしたっけ。あ,アップルとサムソンの特許訴訟の話でしたね。

 話を元に戻すと,サムソンの方は,ディスカバリーで,design patent系の証拠として,アップルがソニーのデザインを参考にしたというような資料を見つけてきたようです。具体的には,ウェブで公開されていますので,こちらをどうぞ(7頁目あたり)。


 この図を見ると,確かにソニーっぽいですね。表側のボタンのデザインなんかまさにソニー,特にウォークマンⅡを彷彿とさせるものだと思います。
 確かに,ソニーって昔から凸凹のあるデザインを嫌う傾向にあり,タッチパネル的なスイッチを志向していたと思います。例えば,このデザインを見てください。1981年,TC-FX1010です。およそ30年前のカセットデッキ!ですが,格好良いですよね。この頃は,今のアップル以上にトンガっていたわけです。まあそれが今や・・・というとまた大きく議題から逸れそうなのでやめますが,まあ何を言わんかなです。

4 で,相変わらずまとまりのないまま強引にまとめますと,今回の米国でのアップルとサムソンの訴訟は,かなりの大きな影響があり,その結論は各国での訴訟にも影響すると思います。おそらく,今回の訴訟の結果によっては,全世界での訴訟も終焉を迎える可能性がある,それほど大きなものです。ですので,このjury trialを十分に注視しておきましょう。
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理論物理学者を志望したのはもう30年近く前のこと。某メーカーエンジニアを経て,弁理士に。今は,弁護士です。
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