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知財,特に特許を中心とした事件を扱っている理系の弁護士の雑記帳です。知財の判決やトピックについてコメントしたいと思っております。
1 首記は,先週の金曜,イイノホールで行われた,弁理士会の中央知的財産研究所主催の公開フォーラムです。

 昨年も同じ時期に違う題目で行われており,恒例ですね(それを再録したのが,問題の別冊パテント16号です。)。
 このブログでも一昨年のやつは記事にしていますね。

 で,今回は損害賠償論ということで,現在,知財システムについて再考検討が進められていますが,大きなテーマの一つはその損害賠償論だと思います。
 なので,弁理士会がこういう研究をやって,その成果を発表するというのは実に良いのではないかと思います。

2 特にパネルディスカッションが良かったですね。
 パネラーは,中村合同の飯田先生,NOTの三村先生,早稲田の高林先生,北大の田村先生の4名でした。

 で,この人選も良かったかなあと思いますね。純粋弁護士の飯田先生,裁判官出身で今は弁護士の三村先生,裁判官出身で今は学者の高林先生,純粋学者の田村先生と,4人4様だったからですね。

 法的なものが好きな人には大変面白かったのではないかと思います。ま,弁理士会も懲りて無ければ,別冊パテントか,パテント本誌に載るでしょうから,行けなかった人はそれを期待してください。

 で,聴講者の中に知財高裁の清水所長が居て,あと知財高裁1部の裁判官も来ていましたね。清水所長は,けっこうマメにこういう場に来ていますよね。

3 で,帰りに知り合いの弁理士の人と少し立ち話をしたのですが,こういう話になると弁理士の方はちょっと感じ方が違うようです。そうすると,まあ私が理系と言ってももはや遠くに来たのだなあとしみじみ思いましたね。

 どういうことかというと,その弁理士の方が言うには,技術的な意義だとか内容とかいうのを捨象しているような気がするので・・・と言うのですね。だから釈然としない所がある,ということのようです。

 損害賠償論について,そんな感想を抱く弁理士やら技術者って多いのかもしれません。

 まあでも私のような質の悪い相対主義者からすると,所詮,フィクションの世界ですよ,法律の世界なんてね。
 交通事故で人が死んだなんて典型です。制裁というか賠償というかは呼びようで何でもいいのですが,そういう場合に,責任を取らせる方法ってそんなに多くないわけです。今の世の中。

 打ち首にでもしますかね。ま,その代わりが刑務所行きではありますが,それじゃあ民事的な責任を取ったことにはなりません(まあ,刑事・民事というのも,単なる恣意的な枠組みではあるのですけどね。)。
 なので,死んだ人間について,仮定に仮定を重ねてお金の額で評価し,そのお金の支払で責任を取ったことにするというフィクションの世界が実現されているわけです。

 なので,目に見えない情報のパクリの知財の侵害訴訟での,金勘定も似たような話にならざるを得ないわけです。取得価格200万円で2年使った自動車が無くなった,という話とは根本的に違うわけです。

 さらに言えば,そもそも何かをお金で評価する,つまり値段をつけるって難しい話なのですね。相対取引じゃない場合は,本当難しいと思います。

 ま,弁理士会がやるのですから,そういう話もあれば良かったかなあとは思います。今回の公開フォーラムは,弁理士向けとは言いづらい所があったのは確かですからね。

4 追伸
 ところで,今日の日経の朝刊の経済教室,慶応の小林教授の論文が載ってましたが,読んだ人いますかね。

 いやあ,しょうもないというか,経済「学」のインチキ臭さというか,でっち上げ感が如実に出た,ある意味,実に素晴らしい論文でしたね。

「経済学が物理学に倣って理論を発展させたことはよく知られている。」だそうです。
 しかし,経済「学」が世の中に役に立つ理論か何かでも構築したなんて聞いたことがないですわ。

 勿論,経済「学」が物理を真似しているというのは知っていますよ。でもそれは,所詮パチもんでバッタモンに過ぎないと思いますね。その典型が,所謂ノーベル経済「学」賞だというのは,ここで書いたとおりです。すべてがでっち上げだということです。

 まあ,偽物が偽物である分には勝手にやって頂戴~で良いのですが,今回何がまずいかというと,知らない人を勘違いさせる箇所があって,それが本当マズイですわ。

「量子力学の根本的な性質として、ハイゼンベルクの不確定性原理がある。量子力学の観測とは、観測者が光子(光の粒子)を観測対象にぶつけて、跳ね返ってきた光子を観測装置でキャッチすることである。当然、光子をぶつけられた相手の位置や運動量は変化するので、観測行為によって相手の位置と運動量を両方同時に確定することはできない。これが不確定性原理だ。」

 と小林教授,書いています。
 しかし,これは,説明を分かりやすくするために,直感的に分かりやすい,こういう説明をすることもありますが(啓蒙書というか入門書にはこのようなことを書く場合も無くはありません。),不正確だし,通説的解釈ではありませんよね。
 少なくとも,大学の教授が,説明に使うには不適です。

 正確には・・・そうですね。私が昔書いた,この記事でも見てもらいますか。一言で言えば,観測の不確定さとは別に,量子力学には本質的な不確定さがあるってことです。

 まあ,量子力学は難しいですよ。大学の教授と言えども,経済「学」の教授レベルで理解できるもんではありませんね。啓蒙書を斜め読みしたかちょっとググっただけで書いたのでしょうね。

 おっと,追伸と言いながら,けっこう書いてしまいました。
 経済は重要です。私も日々身にしみております。ですが,経済「学」は,それとは別の話です。私が,経済「学」の本をけっこう読むのは,日経にこういう論文を載せる事のできる,世間で偉いと言われるような人たちから騙されないため,ただそれだけです。

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理論物理学者を志望したのはもう30年近く前のこと。某メーカーエンジニアを経て,弁理士に。今は,弁護士です。
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