忍者ブログ
知財,特に特許を中心とした事件を扱っている理系の弁護士の雑記帳です。知財の判決やトピックについてコメントしたいと思っております。
1 本件は,名称を「メディアプレーヤーのためのインテリジェントなシンクロ操作」とする発明についての特許権(特許第4204977号)を有する控訴人(原告でアップル)が,被控訴人(被告らでサムソン)が別紙被告製品目録記載1ないし8の各製品を輸入,販売等する行為が同特許権の間接侵害(特許法101条5号)に当たると主張して,被告らに対し,特許権侵害の不法行為に基づく損害賠償金の一部請求として,連帯して1億円及びこれに対する訴状送達の日の翌日(平成23年9月1 日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた,特許侵害訴訟の控訴審の事案です。

 まず,原審(東京地方裁判所平成23年(ワ)第27941号,平成24年8月31日判決)の東京地裁民事40部(東海林さんの合議体です。)は,請求を棄却しました。理由は,構成要件該当性なし,です。このブログでも紹介しました。

 で,アップルは当然納得行かず,控訴したというわけです。

 これに対して,知財高裁2部(塩月さんの合議体ですね。)は,控訴を棄却しました。要するに,原判決とおりでOKというわけですね。

2 問題点
 問題点は,基本1つです。原審でも問題となった「メディア情報」のクレーム解釈ですね。
 詳しくは,私のブログの原審の紹介のところを覧て下さい。

 ま,よくあるパターンです。原告としては,広く解釈したいし,被告は狭く解釈したいというやつです。

 ただ,よくはあるのですが,このパターン,当然筋があり,例えば明細書から見て,どう考えてもお前の言うことは屁理屈だというような場合は,屁理屈の方が負けます。そりゃ当然です。
 裁判て難しく考えている人も多いようですが,結局は普通の常識で判断されるわけです。そうすると,言い逃れのため,屁理屈を重ねている場合は,これまた普通の常識で,すぐにわかりますね。

 つーことはどういうことでしょうかね,ウフフフ。

3 判旨
 「・・・・本件発明における「メディア情報」とは,一般的なファイル情報の全てを包含するものではなく,音楽,映像,画像等のメディアアイテムに関する種々の情報のうち,メディアアイテムに特有の情報を意味するものと解するのが相当である。
 「メディア情報」なる用語はその語そのものからいかなる情報までを包含するか明確でなく,当該発明の技術的課題や作用効果を参酌してその意義を解釈しなければならないところ,原判決は,特許請求の範囲における構成要件の記載や本件明細書の記載等を踏まえて,「メディア情報」を上記のように解釈したものであり,引用した上記各記載に照らしても,その判断を支持することができる。
 以上の説示に照らし,ファイルサイズが「メディア情報」に含まれないことは,原判決も「原告の主張について」と題して39頁以下のイの項で詳細に説示しているとおりであり,当裁判所が付加すべき理由はない。控訴人の上記主張は理由がない。」

4 検討
 検討もクソも,屁理屈を言ってたのは,アップルなわけですね。結局,サムソンがやってた技術というのは,従来型の技術で,アップルの特許のような妙なメディア情報なんかシンクロするのに使ってなかった,というただそれだけです。

 ですので,マスコミの報道等に比べて,控訴審の判決はえらい短いです~。ま,これが本人訴訟だったら,この1/3くらいの短さでしょうね~,つーかアップルの訴訟を本人訴訟呼ばわりしているのですが♪,ハハハ。

 まあ偉い先生が雁首並べて訴訟代理人になっているから,ちょっとくらいは書いてやらんと面目丸つぶれだろうと,裁判官に思われたことは確実です。いやあ大笑いさせてくれますね。

 だーかーらー,控訴審じゃあひっくり返らないよ,と私が指摘したとおりです,エヘンオホン。

 勿論,最高裁でもひっくり返らないから念の為。
 ま,代理人としては,金ももらえるし,クライアントがやると言っているものを無理やり止めさせるわけにもいきませんからね。しょうがない?のです。

 ところで,アップルVSサムソンの第三幕の中間判決がなかなかアップされませんね。こんな間抜けなものより,そっちの方がよっぽど興味深いです。
PR
678  677  676  675  674  673  672  671  670  669  668 
カレンダー
09 2017/10 11
S M T W T F S
8 9 11 14
15 16 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31
ブログ内検索
プロフィール
HN:
iwanagalaw
HP:
性別:
男性
職業:
弁護士
趣味:
サーフィン&スノーボード
自己紹介:
理論物理学者を志望したのはもう30年近く前のこと。某メーカーエンジニアを経て,弁理士に。今は,弁護士です。
カウンター
アクセス解析
忍者アナライズ
Admin / Write
忍者ブログ [PR]