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知財,特に特許を中心とした事件を扱っている理系の弁護士の雑記帳です。知財の判決やトピックについてコメントしたいと思っております。
1 概要
 本件は,発明の名称を「化粧用チップ」とする発明について,平成22年1月18日に特許出願(特願2010-7777号)をした原告に対し,特許庁が,平成23年10月26日付けで拒絶査定を下し,これに対する不服の審判(不服2012-1824号)を請求するとともに,手続補正書を提出した(本件補正)にも関わらず,特許庁は,本件補正を却下した上,拒絶審決(進歩性なし)を下したため,これに不服の原告が審決取消訴訟を提起したものです。

 これに対して,知財高裁3部(設樂さん!の合議体ですね。)は,原告の請求を認容し,審決を取り消しました。

 またまた設樂さん,そしてまたまた進歩性,ということで取り上げました。

 一応,クレームも見ておきましょうかね。補正後の本件補正発明です。
【請求項1】
塗布部先端の端縁部を直線状又は平面状にしてなる化粧用チップであって,
支持具の一端に繊維束ではない多孔性の基材が接着又はアウトサート成形されることにより設けられた化粧用チップ。

 化粧用チップというのがわかれば,そんなに難しくないクレームだと思います。化粧用チップというのは,化粧用のブラシのような奴のことなのですが,このものの特徴としては,クレームのとおり,筆状ではなく,スポンジ状のものがある,ということが特徴のようですね。

2 問題点
 問題点としては,端的に進歩性です。

 しかし,今弁護士知財ネットで,平成23年度言渡し判決の検討をやっているのですが,進歩性の章にどんどん近づいており,どうすんのかなあと思います。
 実は,以前書いたとおり,出版物に載っている141件の判決のうち,審決取消訴訟での特許の進歩性が論点となったのは,44件もあるのです。なので,本来的には,そこがメインなので,詳細に検討べきだと思いますよ。

 でも,特許の進歩性って,技術内容がわからないとサッパリですからね~。付いていける弁護士はあんまりいないし,実際,弁護士が代理人としてメインにやっているわけじゃなく弁理士が代理人としてやっているのが多数ですから,もしかすると,飛ばしちゃう,つーか,恐らく飛ばすんでしょうね。ま,情けない話ではあります。

 さて,本題に戻ると,今回,具体的な争点となっているのは,相違点認定がオカシイというものです。
 進歩性は新規性,つまり同一性が問題となっているわけではないので,引例と一致している所もあれば,相違している所もある,というのが前提です。ですので,まずは,どこが合って,どこが違うかという所から始めるわけなのですね

 多くの場合は,そのような前提について,全く間違っているというようなことはありません。特許庁の審査官・審判官は,当業者の一人とされているような所もありますので,のっけから間違えるわけはないのですね。

 でも,逆に言えば,ここが間違っているならば,その後の進歩性の法的判断も間違っているということになりますから,審決の取り消しなどを主張する側からすると,極めて戦いやすい所です。
 つーか,審決取消訴訟を提起してまで戦えるかどうかの第一次的判断は,エンジニア等にインタビューして,特許庁の言う引例の認定がオカシイのかまともなのか,それを確かめるというところじゃないですかね。そこで,そうそう,特許庁はこう言ってるけど,この技術と本願って,・・・が・・・で,結構違うので,ま,間違いやすい所なんだけど,やっぱ勘違いしてるんだよね~,なーんて答えが帰ってくるともうそれだけで,勝負が見えているって感じです。

 他方,そうじゃなく,そこの認定はOKなんだけど,進歩性の判断自体を攻撃するというのは,結構シンドイ戦いになりますね。

 さて,本件の場合ですが,引例は,アイライナーの発明のようです。
 ですが,審決は,アイライナーと化粧用チップの差異は,捨象して,「塗布部先端の端縁部を線状又は面状にしてなる化粧用チップであって,支持具の一端に繊維束ではない多孔性の基材が設けられた化粧用チップ」が一致点としたわけですね。

 アイライナーってわかりますかね。まさにアイにラインをひくやつです。細い特定の場所に細く塗るためのものです。
 他方,化粧用チップは,若干違う所があり,もっと一般的に使うもののようです。

3 判旨
 「本願補正発明の「化粧用チップ」と引用発明の「アイライナーの芯2」とは,化粧料を化粧部位に塗布する化粧用具の先端部という点では共通するものの,本願補正発明の「化粧用チップ」は,まぶたや二重の幅にアイシャドー等を付するために,化粧料を面状に付着させたり,塗布したり塗り拡げたり,ぼかしてグラデーションを作るなどするための化粧用具の先端部であると共に,これを目の際に使用して線状のアイラインを描くためにも用いることができるものであるのに対し,引用発明の「アイライナーの芯2」は,まぶたの生え際(目の際)に線状のアイラインを描くためにのみ使用する化粧用具の先端部であり,本願補正発明の「化粧用チップ」のように,化粧料をまぶたや二重の幅に面状に塗布したり塗り拡げたりして,アイシャドー等を付するとの機能を備えた用具の先端部ではない点で異なるものである(化粧用チップは,面状のアイシャドー等及び線状のアイライン形成のいずれのためにも使用することができるのに対し,アイライナーの芯2は線状のアイライン形成のためにのみ使用することができるものであり,面状のアイシャドー等を形成するために使用されるものではない。)。したがって,化粧用チップとアイライナーの芯2とは,一部において用途が共通するとしても,その主たる用途は異なるものであり,これを化粧用具の先端部として同一のものとみることはできない。
 してみると,審決が,引用発明の「アイラインを描くためのアイライナーの芯2」又は「芯2」が,文言の意味,形状又は機能からみて本願補正発明の「化粧用チップ」に相当すると判断し,これを本願補正発明と引用発明との相違点として認定せずに,両者は,「塗布部先端の端縁部を線状又は面状にしてなる化粧用チップ」である点で共通すると認定したことは誤りである。」

4 検討
 いやあ結構細かい,つーか,繊細な認定ですね。味噌も糞も一緒だろ,スポンジ状の先っちょに,何か知らんけど付けて,それを顔に塗ったくるだけだろう,おんなじなんだよ,という審決に,いやいやそうでないよ,よく考えてみてっちょ,というのが判決でした。

 まあある程度,画一的,平均的,一般的に処理しなきゃいけない特許庁の審査・審判(それは,商標の類似群コードというシステムを考えればよくわかりますよね。)と,個別具体的な事件の解決という裁判所の裁判をそのまま対比すると,若干特許庁には可哀想なところもあるのですが,致し方ないですね。これが行政と司法の違いなわけです。

 兎も角も,面白いし,技術もわかりやすいので,是非一次資料の判決から見て欲しいですね。

5 追伸
 そう言えばちょっとの間お休みしていたゴ3ネタさんが復活していましたね。このブロクもそうですが,昼休みに色々見ている人が多いと思うのですね。私のお気に入りの1つがゴ3ネタさんで,昼休みによく見ていました。いやあ元々はボ2ネタのパロディだと思うのですが,本家よりも面白いですもんね。

 ところが,ネタ探しに窮したのか,突如お休み~♫そして,漸く復活したわけです。

 ただ気になったのが,その復活したゴ3ネタさんのコメント欄に,ゴ3ネタさんに紹介されたと自分のブログでは書けなくてごめんなさい~みたいなコメントがありました。要するに,そんなことを自分のブログで書いたら依頼者も見ているだろうから,問題になるかもと危惧されたのでしょうね。

 しかし,たぎってねえなあ,ええ,何を気にしているんだよ。私なんか2回しか載っけてもらえなくて非常に寂しいですよ。もっと載せて欲しいし,このブログでもゴ3ネタに紹介されましたって書きますよ。自慢にしかなりませんけどね。

 やっぱ何かを取り繕うような所があると,こんな行動に出るんでしょうなあ。

 私は,よしにつけ悪しきにつけ,真摯さ誠実さこそが取り柄だと思っております。自分ではクソ真面目だと思っております。
 え,アナルセックスがどうのこうのと書いていることのどこが真面目なんだとお思いでしょうが,以下のことを読めば少しはわかりますかね。

 私だって,商売人の端くれなので,自分の事務所にたくさんお客さんが来て欲しいと思っております。ただ,だからと言ってこのブログで,お金に関係なく小さな仕事もやっておりますとか,自由と正義のために日々頑張っておりますとか,人柄だけが取り柄です~みたいなことは書きません。
 だってそんな取り繕いはすぐに綻びますもの。勿論,実際にそうなら別ですが,私はそんな人ではありません。にも関わらず,そういう取り繕いをするということは,そういうことをやれば,お客さんを騙せると思っているからに他ならないわけです。そんな人を馬鹿にした話がありますかな。

 そんな自分が思っている程他人は馬鹿じゃないですよ~,客が欲しくて言ってんだなあなんてものはすぐに見透かされてしまいます。TVは意外と真実を写す,と言われますが,こういうブログでもそうだと思いますよ。どうせ,金のことしか考えてねえんだろ,っていうのは結構わかるもんじゃないですかね。

 だから,私は,自分が書きたいことしか書かないわけです。それを誰がどう思うが私の知ったこっちゃありません。それに誰かや何かのことを気にしているものなんて,ちっとも面白くないですからね。そう,中邑真輔風に言えば,たぎっているんですね,イヤオー,私風に言えば,ちんぽの皮が剥けているわけです。

 ゴ3ネタが面白いのは,たぎっているし,ちんぽの皮もズル剥けだからであり,ボ2ネタがつまらないのは,たぎってねえし,皮被りだからですね。

 で,中邑ついでに脱線しますが,今の新日は面白いですね。ジュニアヘビーを見なおしていたら,ヘビーの方も非常に面白いですよ。中邑なんか,格闘技戦やIWGPチャンピオンだったころに比べて格段に良くなってますね。まさに,たぎって,ズル剥けなわけです。

 G1のせいか,7月の終わりからしばらく新日のテレビ朝日の中継がお休み状態だったのですが,寂しかったですね。で,そのG1ですが,いやこれ客が入るのわかりますわ。ちなみに私は第一回G1クライマックスを両国に見に行っているのですね(最終戦じゃないですが。)。

 で,そのG1の決勝は,前IWGPチャンピオンの棚橋とスターダストジーニアス内藤哲也の一戦でした。私は,レインメーカーオカダカズチカが上がってくるかと思ってたのですが,どうやらレインメーカーは,負けブック了承,ただし,決勝で負けるとアレなので,使いやすい棚橋の勝ち残りにしたようですね。他方,内藤のブロックからは内藤が勝ち残るというのは,ブックとおりという気がします(いやあプロレスって深いなあ。)。

 ま,決勝の攻防をここで書いても仕方がありませんので,それはどこかで見て頂くとして,今後の新日ですね。
 レインメーカーオカダカズチカは,上背もあり,打点の高いドロップキックなど,非常に見せてくれます。ただ,まだ若いので,ちょっと頼りない感はあります。その点を邪道のギミックで補っており,それはそれ良いのですが(私は,「特にありません。あとは邪道さんにしゃべってもらいます。」なーんて非常に好きですけどね。この前の高校の同窓会で真似したら,誰も知らなくてズッコケましたが。),やはり棚橋と比べると劣る部分はあります。
 でも,この棚橋,もう35歳を過ぎており,良いコンディションで,チャンピオンらしいチャンピオン,誰が見ても新日のエース,という残り時間があと少しなのでしょうね。

 というわけで,棚橋後,誰に引っ張ってもらうかを考えないといけないわけで,レインメーカーが試用期間中なので,ちょうど棚橋とレインメーカーの中間の世代の内藤についても,様子を見たい,ってわけなんだと思います。
 もう一度くらい棚橋がチャンピオンに返り咲くのもありかもしれませんね。

 で,私がこの三人よりも期待しているのは,いつかも書きましたが,高橋裕二郎です。アマレスの強豪選手から,ミスターR指定という,よくぞ一皮向けたとは思いますが,何ちゅうか,試合の方はまだしょっぱいですね。

 G1の中継も,お姉ちゃんのケツばっか印象に残りましたが,肝腎の裕二郎の試合は全く印象に残りません。典型的な出オチってやつです。
 選手紹介までにイッちゃって,開始のゴングからが,何か,フェラでイッたあとにまだ咥えられたときのむず痒さみたいな,それ要らんやろ,てな感じです。そう,中邑真輔的に言えば,たぎってねえし,私的にはちんぽの皮が剥けてないのですね,まだ。

 ガチンコで強いのはよくわかり,やられっぷりに説得力が全くないのは,ある意味ボケつぶしもいい所なので,もうちょっと何とかして欲しいです。
 実に期待しておりますので,と法曹界のミスターX指定からのお願いでした。

6 追伸 2015.2.4
 本日は立春ですが,同じ事件が審判に戻り,その後新しい引用例で拒絶審決となり,再度審決取消訴訟となりました。
 平成26年(行ケ)第10131号(知財高裁平成27年1月28日)です。

 これによると,新しい引用例(実開平2-112211号)などにより,進歩性なしの審決を是認する判決となっております。

 つまり,拒絶がほぼ確定ですね。まあ,最初の審決がイマイチだったので,本気を出して引用例を探したのでしょうね。そうすると,アイライナーじゃなくて結構似たようなやつがあったってことでしょう。

 進歩性って結局引用例が近いか遠いか~それだけの話ですので,致し方ないと思います。
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理論物理学者を志望したのはもう30年近く前のこと。某メーカーエンジニアを経て,弁理士に。今は,弁護士です。
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