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知財,特に特許を中心とした事件を扱っている理系の弁護士の雑記帳です。知財の判決やトピックについてコメントしたいと思っております。
1 表題からして,ああいい判決も,その他の知財の話題もなかったのね♪ってえのがわかりますね。ということで,ほぼどうでもよい系の話です。

 私は,弁理士会の研修所の運営委員をしているのですが,全部の研修に目を配っているわけではありません。そんな余裕も権限もないのですが,そういう自分の担当ではないものでも,これは面白そうだなあという研修があります。
 中でも,一年おきに,知財高裁の裁判官と地裁の知財部の裁判官を招いて行われる講義式の研修は非常に興味をそそられるものの一つです。そして,今年は,知財高裁の順番ということで,大阪会場は知財高裁4部の滝澤部長(東京会場は某部の某部長)ということで決定した模様です。

 決定した模様ということは,弁理士会からの公式アナウンス(11/18付)によります。そして,そのアナウンスによると,内容紹介が非常にイカしていたのです。弁理士の方には誰でも知り得るものですから,全文を書きますね。

知財訴訟を担当していると、再三、技術が分かるのですかという質問を受ける。裁判官は素人という思いからであるが、反面、知財訴訟が訴訟であることを失念しているようである。その理解なくして訴訟に勝てる道理はない。技術の専門性を理由に訴訟に素人であることは許されない。もとより裁判官は訴訟の専門家であって、素人ではない。関係者も知財訴訟が訴訟であることを肝に銘じて取り組む必要がある。裁判官は素人という非難が自らが訴訟を理解していなかった責任を転嫁するものであってはならない。そのために、民事訴訟の視点から知財訴訟を見てみたい。

 そうです,この内容が表題につながっていくわけです。

2 弁理士の方はまだ良いですね。そして,エンジニアの人もまあよいでしょう。問題なのは,弁理士でない知財部員(エンジニア上がりの)ですかな。

 というのは,話の非常にし辛いことが多いのです。専門用語の連発,端折った説明,そして,それを指摘すると,えそんなことも知らないのという確信犯的反応,はっきり言って子供じみています。

 まあ気持ちはわかりますよ,エンジニアとして結局全うできなかった挫折感,不慣れな職場での孤独感,何と言ってもいまだに残る知財部行きという敗北感などなどが,ごちゃ混ぜになってコンプレックスとなっているというのは。
 ただ,いい加減大人になったらどうかなあという所です。

 ですので,そういう人を相手にすると,滝澤部長が受けたようなことを言われるわけですね。
 ただ,私は,東工大の修士を出てソニーでエンジニアもやっておりましたので,そういうイチャモンを付ける人よりも理系としてのプレステージが上のことも多く,次の機会からは黙って頂くこともままあります。でも本質は,私が理系だからではないのですね。

 ここでも何度も書きましたが,今や理系の専門というのは細分化されており,自分の専門を出ると,全くわからないことが多いと思います。
 同じ理系だからと言って,リサーチツールの分野の専門家に,BSデジタル放送のことを聞いてもわからないのは,当然ですが,同じ電気の分野だからと言って,BSデジタル放送の専門家に,薄型テレビの画素構造のことを聞いてもサッパリわからないでしょう。
 したがって,エンジニア上がりの知財部員は典型ですが,或る理系分野の「専門家」だなどと言うのは,結局,そのタコツボの中での自慢に過ぎないということです。
 しかもその自慢気な知識も本当の専門家から比べると,屁のようなものだったりします。そりゃそうですよ,本当にその分野での実力があったら,引っ張りダコな筈ですからね。

3 今回,滝澤部長がこういう内容を明確にしたのは,結構腹に据えかねた所があったのではないかと思います。

 ちなみに,私は,滝澤部長のことを知財高裁への異動前に知っておりました。「民事法の論点―その基本から考える」(経済法令研究会)が話題となり,それを読んでいたからです。さらに,近時,判タ1317号の「システム開発契約の裁判実務からみた問題点」という非常に網羅的な論文もあります。

 滝澤部長の上記の内容紹介文にカチンときたその道の「専門家」の皆さん,12/12に行われる予定の研修の前に,必ず,上記の書籍か論文のどちらかを読んでおいた方がいいと思いますよ。
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理論物理学者を志望したのはもう30年近く前のこと。某メーカーエンジニアを経て,弁理士に。今は,弁護士です。
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