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知財,特に特許を中心とした事件を扱っている理系の弁護士の雑記帳です。知財の判決やトピックについてコメントしたいと思っております。
1 首記は本日の日経紙の1面,トップです。ただ,特許の実務家からすると,またかよ~♫ってところなのではないでしょうか。

 特許の世界共通化っていうのは昔からある構想ですが,基本いまだ実現しておりません(私はその必要もないとおもっておりますが。)。
 同じ日経紙には,国際特許出願の企業ランキングで中国の企業が一位になったという記事もありました。
 ここでいう国際特許出願というのは,世界共通の特許に近いものですが,これは謂わば各国出願の束と言えます。つまり,世界共通特許が実現すれば,それは1つの出願でしょうが,この国際特許出願というのは,出願したい国分の複数の出願の束,という大きな違いがあるのですね。

 結局特許というのは,権利行使をしてナンボのものですので,出願のみを共通にしても,世界共通特許にはならないという大きな壁があるのですね(上記のとおり,私はこの壁は必要だと思っております。)。

 どういうことかというと,例えば,世界共通特許ができたとして,そのクレームは何語にするんですかね?英語,まあそれはそれでよいですよ。
 では,裁判所法74条は?「裁判所では、日本語を用いる。」とありますが。改正する?まあそれはそれでよいですよ。
 では,実施者が,俺は英語はわからん,特許公報が公開されても英語だからわからん,ほんで俺には過失がない,と言ったらどうしますか?特許制度の趣旨って,公開の代償じゃなかったんでしったけ?公開と言えないのに,代償のみ与えていいの?また,防御できず不意打ちになる可能性があるのに,それはいいんですかね。告知と聴聞という適正手続の基本を全うできておらず,憲法31条違反になる可能性すらありますがね。

 ということになります。じゃあ世界共通特許の言語は日本語に??英語圏?その他の国は?ってなります。
 さらに,差止請求を認めていない国はどうするの?差止めは認めるけど,廃棄は認めていない国は?特許訴訟やるとすべての証拠の開示義務のある国もあるけど,他の国はどうするの?・・・・・・・・・

 どうですか,出願段階をうまくクリアしても,これだけのハードルがあります。そして,それは各国の歴史・風土などとも結びついたものですので,そこまで共通にしなくてもいいんじゃねえのと思いますけどね。

 日経紙にも今回の共通化の協議の論点が載っておりますが,まあ大したことない話ばかりです。というか,上記のとおり,大したことない話しかできないのですけどね。

2 じゃあ何故こんな話が今更出ているかというと,記事の副見出し「日米欧など 中国取り込む」,のとおりですね。まあ中国への牽制ですよ。

 中国にも特許制度はあります(今は商標が話題)。そして,色んな裁判もやっているようです。その詳細に関しては実務をやっている方に聞いた方が良いと思います。

 他方,私が問題と思っているのは体制の方ですね。中国が民主的じゃないからイカンとか言うつもりはありません。
 アメリカの言う民主的なんちゅうのが,ただのインチキに過ぎないというのは明白ですからね。
 ですので,問題はただ1つ,権力が抑制的になっていないということです。
 例えば,今やっている全人代もこのごろ話題の人民法院も一応中共から独立しているようですが,それらを統べるのが中共ですから,結局全人代は国会モドキ,人民法院も裁判所モドキでしかありません。中共が暴走した場合,抑えられないわけです(人民解放軍なんか中共の軍事部門に過ぎませんからね。あれは中国軍ではないのですよ。知らない人も多いかもしれませんね。)。

 この点について,面白いシーンに出くわしたことがあります。
 ある知財のシンポジウムで,裁判官サイドの講師に対し,何故知財高裁の部等で進歩性の基準が違うのか,特許庁みたいに基準を設けてやればいいのではないか,中国でもそんなことはないというのに,というおそらく弁理士からの質問がありました。
 これに対し,その講師はまさに鼻白む感じで,裁判所は行政庁とは違う,また中国は三権分立していない,これだけ答えたと思います。裁判官の方もわかっているのねん~♫

 まあですので,世界共通特許なんぞどうでもよいとは思いますが,中共を抑えるのが主眼というのであれば応援も吝かではありません。河村市長への応援にもなりそうですからね。

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理論物理学者を志望したのはもう30年近く前のこと。某メーカーエンジニアを経て,弁理士に。今は,弁護士です。
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