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知財,特に特許を中心とした事件を扱っている理系の弁護士の雑記帳です。知財の判決やトピックについてコメントしたいと思っております。
1 首記は、本日の日経紙朝刊一面の見出しです。
 要するに、縷々行っていた特許法改正の方針が漸くまとまったということです。
 そもそも今回の改正は全くのモデルチェンジだった筈ですが、それがマイナーチェンジになってしまったのは、以前書いたとおりです。
 まあ、大人の世界は色々ありますからね。

2 しかし、それでも今回の改正はある程度規模の大きなものになることは間違いありません。
 日経紙の記事だけでも、使用権(主に通常実施権のことでしょうけど。)の安定性の話(ライセンサが、倒産や身売りされた場合の未登録実施権の保護)、冒認されてしまった真の権利者の保護の話、職務発明訴訟での証拠開示の話(これは先送りの模様)、などなどありました。
 特許法の実質的な改正はここ数年ありませんでしたから、マイナーチェンジと言っても、大規模になるのでしょうね。

3 さて、ここからはあまり得意でない立法論です。実務家から、最も変えて欲しいという要望のあるものは何でしょうね。

・まず、弁理士の方からです。これは当然、シフト補正絡みですね。

 従前、最初の拒絶理由を受けた時には、結構好き勝手に補正できました。もちろん、新規事項を追加してはいけないのですが、明細書にある事項ならば、基本的に自由だったのです。
 ところが、H18年改正で最初の拒絶理由に対応する補正でも、補正前と後とで、発明の単一性を維持するような補正でないとダメということになってしまいました。これは、補正に制限がないと、いつまで経っても実質的に再度の審査をしているのと同じで,最初から真面目にやっている出願人と公平を欠くということから規定されたようです。

 私は現時点で特許出願をやっておりませんので,身をもってそのキツさを語るということはできませんが,想像に難くなく,多くの弁理士の方が,この規定に不満を持っているようです。他方,弁護士は,このシフト補正違反が無効事由となっておりませんので,今一その重大さがわからないようですね。

・では,弁護士の方ではどうでしょう。
 これは,単純ですね。訴訟を起こしやすく,賠償金も多めに,というところでしょうね。民法709条の特則としての懲罰的損害賠償の規定の創設,強制力ある網羅的証拠開示制度の創設,そして,無効の抗弁はほどほどに,というところではないでしょうか。まあ現金な話ですね。

・では,企業知財部の方はどうでしょう。
 これは,職務発明制度の廃止ですね。まあ廃止しなくてもいいのですが,きっと相当対価の請求権はなくして欲しいというのが本音でしょう。いまだに年に2,3件ありますからね。こういうのは予測可能性に欠きますので,私も廃止した方がよいとは思います。

 何が言いたいかというと,本当にニーズにあった改正なのかい,今回の改正は?,ということですね。
 立法者は,本来経産省の外局の特許庁の官僚ではなく,国民の代表機関である国会なのですから,しかも今の総理大臣は弁理士ですし,ちゃんとニーズにあった改正の方がいいと思いますね~。
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理論物理学者を志望したのはもう30年近く前のこと。某メーカーエンジニアを経て,弁理士に。今は,弁護士です。
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