忍者ブログ
知財,特に特許を中心とした事件を扱っている理系の弁護士の雑記帳です。知財の判決やトピックについてコメントしたいと思っております。
1 素っ頓狂なタイトルで失礼します。本来なら,知財高裁平成22(ネ)10091号(平成23年12月22日判決)の紹介をすべきなのでしょうね。
 でも,何故か公開されておりません。閲覧制限(民訴法92条)がかかっているからなのかもしれません(なお,審決取消訴訟の方はあり,それは公開されております。両方,有効審決を維持する結論です。)。

 この事例だけ説明しておきますと,本件は,発明の名称を「飛灰中の重金属の固定化方法及び重金属固定化処理剤」とする特許第3391173号の特許権者である原告(東ソー)が,被告(ミヨシ油脂)が被告製品を製造及び販売する行為が原告の本件特許権の侵害に当たる旨主張して,被告に対し,特許法100条1項及び2項に基づき,被告製品の生産,使用,譲渡等の差止め及び廃棄を求めるとともに,特許権侵害の不法行為による損害賠償として27億2925万6208円及び遅延損害金の支払を求めた事案です。

 そして,一審の東京地裁民事46部(大鷹さんの部です。)は,差止め(廃棄も)と12億円弱の損害賠償をミヨシ油脂に命じました。これが,平成19年(ワ)507号(平成22年11月18日判決)です。

 詳細な中身は判決を見て下さい。技術的範囲に属し,無効の抗弁も効きませんでした。

2 さて,私が珍しいと思ったのは控訴審です。
 上記のように控訴審の判決は見れないのですが,原告の東ソーさんの発表によると,賠償額が一審より上がっているのですね。元々の請求は,27億円余というせいもあるのですが,それにしても控訴審で値が釣り上がるなんて本当に珍しいです。

 さらに言えば,差止めも認められたままですから,近時にない,教科書的勝利と言えます。特許を勉強したての頃,ハネウェルVSミノルタ事件,ポラロイドVSコダック事件,みたいな例を挙げて,ほら特許の威力ってすごいだろ~♫みたいな話をされることがあると思うのですが,実務に入れば入るほど,こんな事例がめったにないことがわかります。
 まあ要するに,人が犬を噛んだような話だからこそニュースになるのですね。

 ところが,今回,賠償も巨額なら,差止めもそのままで,被告へのダメージは本当に致命傷と言えるものですね。ああ珍しい。

 ところで,私は弁護士ですので,こんなすごい事件をやった代理人って誰だろうとヤッカミ半分で見たのですが,原告側は,あまり知らないなあ~ってところです。顧問弁護士の方かもしれません。他方,被告側は・・おおこっちは有名知財弁護士だ~♫
 要するに,下町ロケットとは,真逆の話ですね。特許訴訟と言えども,いかに訴訟というのものが,筋次第(腕次第じゃなくてね)というのがわかると思います。

3 そして,あっちちの話です。
 被告の発表によると,被告は,上告を取下げ代取も更迭するようです。報道も出ております。

 まさにあっちちですね。この訴訟をやった法務部ないし知財部の部長の首もぶっ飛んだでしょうね。
 筋は早いうちに見極め,負けなら意地や体面を気にせず,うまい具合のライセンスなどで落ち着かせないと・・・。代理人,企業その他の知財関係者に非常に教訓になる事例です。
PR
408  407  406  405  404  403  402  401  400  399  398 
カレンダー
04 2017/05 06
S M T W T F S
1 4 5
7 8 9 12 13
14 17 18 20
22 25 26 27
28 29 30 31
ブログ内検索
プロフィール
HN:
iwanagalaw
HP:
性別:
男性
職業:
弁護士
趣味:
サーフィン&スノーボード
自己紹介:
理論物理学者を志望したのはもう30年近く前のこと。某メーカーエンジニアを経て,弁理士に。今は,弁護士です。
カウンター
アクセス解析
忍者アナライズ
Admin / Write
忍者ブログ [PR]