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知財,特に特許を中心とした事件を扱っている理系の弁護士の雑記帳です。知財の判決やトピックについてコメントしたいと思っております。
1 ということで,本日,無事新年度となりました。

 ここ,五反田にも新入社員ぽい人が歩いておりました。思い起こせば,21年前,私もこの五反田近くの会場で,入社式を迎えたものでした。
 とにかく,物理学者の夢を諦めての就職だったので,世間のバブル景気とは裏腹に,最悪で憂鬱な気分だったのをはっきりと覚えております。
 五反田で事務所を開いたのも,ある意味リベンジの面はあると思います。私は,蛇蝎のごとく執念深いものですから。
 この話になると脱線必至なため,本題に移ります。

2 この1年さまざまな判決を紹介しました。特に,継続的に特許の判決を紹介しましたので,その紹介した中での注目度ランキングというのを勝手にやりたいと思います。
 まああまり長々やっても仕方ないので,ベスト3としたいと思います。

・まずは,次点の4位から行きます。

平成22(行ケ)10187号(知財高裁平成22年12月28日判決)

 「伸縮可撓管の移動規制装置」事件です。一昨年から勃発した進歩性のいわゆる新傾向判決のまとめ,と言えるような判決だと思います。新傾向って何だべ?というような方は,この判決を読むとよくわかるのではないでしょうか。
 しかしながら,その程度の意義しかありませんので,惜しいかな,次点の4位というわけです。

・次は,3位です。

平成21(ネ)10028号(知財高裁平成22年04月28日判決)

 「鉄骨柱の建入れ直し装置」事件です。これは,記号を見るとわかりますが,審決取消訴訟ではありません。侵害訴訟の控訴審です。しかも,3部ではありません。4部の滝澤さんの合議体です。

 これを取り上げたのは,侵害訴訟でも進歩性の新傾向が感じられたからです。新傾向判決を一言で言えば,発明の課題を重視する,ということになります。
 この判決でも課題の違いを重視して,進歩性を逆転で認めております。誰もあまり指摘しておりませんが,この判決は後々重要になると思います。

・今度は2位です。

 平成21(行ケ)10238号(知財高裁平成22年7月15日判決)

 「日焼け止め剤組成物」事件です。これは,有名ですよね~。まあ賛否うず巻く,大問題判決ということでしょうね。
 判タ1337号の評釈には「1つの考え方であるようにも思われる。」と書かれてありますが,何のこっちゃ?!という感がします。誤魔化すのはよくないなあ,左陪席さん。
 ともかく,インパクトは大で,2位にしました。

・最後は1位です。

平成21(行ケ)10033号(知財高裁平成22年01月28日判決)

 「性的障害の治療におけるフリバンセリンの使用」事件です。おっと,私のいつも使っている薬が~事件になったから~という理由ではありません(ノリツッコミですよ,念のため。)。これは明細書の記載要件に関して(特にサポート要件),新傾向判決だと思うからです。つまり,新傾向判決は,もはや進歩性だけではないのです。
 そのポイントは,「技術的事項の範囲」となります。準備書面や鑑定意見書を原告的立場で書く場合は,もうパラメータ事件大合議で書くのは,流行遅れで,この判決の規範によるべきでしょうね。3部は現在も引き続き,この規範での判決を繰り出しております。
 判決当時でのインパクトの大きさ,及び現時点での影響力の大きさからして,1位としたわけです。

3 さて,平成23年度はどのような判決を紹介できますか乞うご期待。

追伸:一覧性を高めるため,それぞれの判決紹介のときに,裁判所の判決全文のpdfへのリンクを設定することにしました。ググればよいという話もありますが,まああれば便利ですので。


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理論物理学者を志望したのはもう30年近く前のこと。某メーカーエンジニアを経て,弁理士に。今は,弁護士です。
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