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知財,特に特許を中心とした事件を扱っている理系の弁護士の雑記帳です。知財の判決やトピックについてコメントしたいと思っております。
1 終戦の日ということで、テレビやマスコミが色々なことを述べております。
 まあ毎年のことですが、それにしても、頭の悪い、センスの悪い内容ばかりなのは残念です。私も凡庸な人間ですので、大して頭もセンスも良くないのですが、一定の最低限のレベルにすら達していないものはさすがにわかります。
 先の大戦に関する多くの報道、論評は、この最低限のレベルに達していないのが殆どです。

 それは何故か、まあ特許を例にしてわかりやすく述べたいと思います。特許を例にしたのは、私が特許の専門家であるということもあるのですが、理系の人間がここまで考えられるのだから、ちゃんとせえよ、文系の専門家、という得意の当てこすりです。

2 特許の進歩性は、私が予てから述べているように、特許の肝で、非常に重要なものです。これによって、権利行使がOKになったり、ダメになったりすることは当然ですが、その前の審査の段階でも、ほぼ90%以上の特許出願は一度は進歩性なしの拒絶理由通知をくらいますので、登録においても重要なのです。

 ですので、その判断については、きちんとした客観的なモノサシがなければなりません。そして、そのモノサシのうちで最も重要なものは、時間的基準です。
 例えば、本日現在の進化・精緻化した技術的基準で、過去の技術を見ると、その多くのものは、何て陳腐なんだろう、めちゃくちゃ簡単じゃん、いっこんが難しねえなあ、という評価になるのではないでしょうか。

 技術畑一筋で、リストラ等により、知財部に異動した元技術者が、最初にぶつかる大きな壁もこれです。知財部にあるのは、すべて過去の技術ですから、開発の部署から異動してくると、どれもこれも進歩性なしに見えるのです。私もそうでした。
 開かれた心というか、センスのある人は、しばらく経つときちんと対応できるようになるのですが、知識だけあって頭が固く、技術信奉度の高い人は、いつまで経っても使えねえなああのおやじ、という風に知財部で陰口を囁かれてしまうということになります。

 さてさて、技術というのは年々歳々進歩するものです。ですので、その進歩してしまった技術を基準にして、ある過去の発明を評価するのは妥当とは言えません。ある過去の発明であればこそ、そのある過去の時点を基準にして、その時点で、普通の人には考えつかないよなあ、こりゃ難しい、なまやーしねえなあ、という評価が得られるかどうかを見なければならないのです。

 とは言うものの、評価するのは現在の人々(裁判官やら審査官やら)ですので、その過去の時点に頭を切り替えるのは本当に難しいと思います。意識的に明晰にやらないと現時点での技術常識等で判断してしまうことになりかねません。したがい、そのようなことができる人は、頭の良いセンスの良い人と言ってよいと思います。裁判や審査でそのような人にあたるとラッキーですね。

3 まあここまで話すと、頭の良いセンスの良い人には、私が何を言いたいかわかっていただけると思います。

 要は、先の大戦についても、現時点を基準にした評価をいくらしたとしても、全く意味がないということです。
 現時点における各国からのいろんな要請・要望もあるでしょうが、そのようなものに拘泥しても、それは正確な評価たりえません。

 先の大戦の開戦の評価をするのであれば、昭和16年12月8日時点(まあこれが出願日みたいなものですな。)での、日本の置かれた状況(これが本願ですね。)、仮想敵国だった米国の状況(これが、主引例ですかな。)、アジア周辺国の状況(これが周知技術等になりますか。)、を客観的に見積り、それから判断しなければならないはずです。

 ところが、新聞等のマスコミは、結果の重大さに拘泥するあまり、開戦から69年も経ち、終戦からも65年も経った現時点の考え方により、須らく簡単に判断しております。曰く、先の大戦は、すべて悪、誤り、過ち、・・・。
 何だか、使えない元技術者と同じ、知識だけあって、センスのない、いわゆる頭の悪い人と同じですねえ~。
 本当に、悪で誤りで過ちだったのでしょうか。基準時における客観的評価をした上でのことでしょうか。後知恵の危険を排した上で行ったのでしょうか。

4 弁護士以外の者が、法律事務を取り扱うことは弁護士法72条で禁止されております。要は、素人による弊害の防止ですね。
 ところが、歴史の評価やマスコミ活動には、資格は要りません。ですので、大会社の「素人」、一流の「素人」による弊害が大きいところだと言えます。

 ところで、このような考えは特許マニアの私だけでしょうか。いえいえそうではないと思います。
 会社法における経営判断の原則というのも、広く後知恵の禁止と評価できる考え方です。
 「素人」はもちろんのこと、元技術者程度の頭の固い人は、今日を期に勉強し直すことをお薦めする次第です。
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理論物理学者を志望したのはもう30年近く前のこと。某メーカーエンジニアを経て,弁理士に。今は,弁護士です。
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