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知財,特に特許を中心とした事件を扱っている理系の弁護士の雑記帳です。知財の判決やトピックについてコメントしたいと思っております。
1 いよいよ今年もあとは2週間となってまいりました。
 気の早い人というか,有給が沢山余っていてもう今週で終わりだよ~という人もいるかもしれません。

 で,今日は,先週末に多少知財の話題があったので,その話からです。

2 まずは特許権侵害訴訟です。
 大阪のカプコンというゲーム会社が,横浜のやはり同業のコーエーを特許権侵害で訴えていた事件の判決が,大阪地裁であったのですね(平成26年(ワ)第6163号)。
 今時の特許権侵害訴訟では3年もの・・・という長丁場です。

 判決はまだ最高裁のサイトにアップされていないので,ようわかりません。
 当事者のコーエーからのIRによると,特許権は2つあり,特許第3350773 号(A特許),特許第3295771号(B特許)らしいです。

 そして,Aについては請求棄却,Bについては一部原告勝訴だったようです。

 まず,A特許3350773の方からです。

【請求項1】  ゲームプログラムおよび/またはデータを記憶する記憶媒体を所定のゲーム装置に装填してゲームシステムを作動させる方法であって、上記記憶媒体は、少なくとも、所定のゲームプログラムおよび/またはデータと、所定のキーとを包含する第1の記憶媒体と、所定の標準ゲームプログラムおよび/またはデータに加えて所定の拡張ゲームプログラムおよび/またはデータを包含する第2の記憶媒体とが準備されており、上記拡張ゲームプログラムおよび/またはデータは、上記標準ゲームプログラムおよび/またはデータに対し、ゲームキャラクタの増加および/またはゲームキャラクタのもつ機能の豊富化および/または場面の拡張および/または音響の豊富化を達成するように形成されたものであり、上記第2の記憶媒体が上記ゲーム装置に装填されるとき、上記ゲーム装置が上記所定のキーを読み込んでいる場合には、上記標準ゲームプログラムおよび/またはデータと上記拡張ゲームプログラムおよび/またはデータの双方によってゲーム装置を作動させ、上記所定のキーを読み込んでいない場合には、上記標準ゲームプログラムおよび/またはデータのみによってゲーム装置を作動させることを特徴とする、ゲームシステム作動方法。

 クレーム1でこんな感じです。
 ざっと見ると,そんな難しいものではなく,CD-ROMを念頭においている記憶媒体でのゲーム機の特許です。

 第1の記憶媒体(CD-ROM)に標準のゲームプログラムと何やらキーを入れておいて,そして,第2の記憶媒体(CD-ROM)に拡張のゲームプログラムを入れておいて,ガッちゃんこすれば拡張機能で遊べるのだけれど,第1の記憶媒体(CD-ROM)のキーが読み込めないと拡張機能はキルされるってやつです。

 ただし,この特許既にエクスパイアしております。特願平06-306428 (平6.12.9)なので,H26.12.9,つまり3年前に死んだということで,死ぬ前に提訴したのでしょうね。とは言え,損害賠償請求は原則過去分,ですので,訴訟のときにエクスパイアしている特許でも構いません(差し止めは当然無理ですよ。)。

 つぎに,B特許3295771です。

【請求項1】  遊戯者が操作する入力手段と、この入力手段からの信号に基づいてゲームの進行状態を決定あるいは制御するゲーム進行制御手段と、このゲーム進行制御手段からの信号に基づいて少なくとも遊戯者が上記入力手段を操作することにより変動するキャラクタを含む画像情報を出力する出力手段とを有するゲーム機を備えた遊戯装置であって、上記ゲーム進行制御手段からの信号に基づいて、ゲームの進行途中における遊戯者が操作している上記キャラクタの置かれている状況が特定の状況にあるか否かを判定する特定状況判定手段と、上記特定状況判定手段が特定の状況にあることを判定した時に、上記画像情報からは認識できない情報を、体感振動情報信号として送出する振動情報制御手段と、上記振動情報制御手段からの体感振動情報信号に基づいて振動を生じさせる振動発生手段と、を備えたことを特徴とする、遊戯装置。

 これもさほど難しくはないです。ポイントは,「上記特定状況判定手段が特定の状況にあることを判定した時に、上記画像情報からは認識できない情報を、体感振動情報信号として送出する振動情報制御手段と、上記振動情報制御手段からの体感振動情報信号に基づいて振動を生じさせる振動発生手段」の所でしょう。

 ゲームのキャラが何かの状況に陥ったとき,画面から分からない情報が発せられ,これでゲームのコントローラーに振動を生じさせるってやつです。
 
 個人的には,記憶媒体が必須のA特許に比べて,こっちのB特許の方が手強いって感じがします(記憶媒体が必須なら,ダウンロード型のゲームソフトでは該当のしようがない・・・。)。
 ちなみに,この特許も,特願平06-119347 (平6.5.31)なので,H26.5.31にエクスパイアしております。まあでもお金の請求なら,あまり関係ないことは上記のとおりです。

 あと,特許Aとは異なり,この特許Bは一度訂正審判での訂正があり,そして,この訴訟の対抗でしょうが,コーエーからの無効審判が提起されております(無効2016-800041)。
 これについては,訂正を認められ,審判不成立で,既に知財高裁に舞台が移っております(平29行ケ10174ですね。3部に係属しているようです。)。

 この無効審判の審決だと,相違点がなかなか埋まらない気がしますが,どうでしょうかね。

 ま,兎も角も,侵害訴訟も知財高裁へ行くことになるでしょうから,被告のコーエーはもうちょっと無効資料を探した方がいいでしょうね。
 で,原告のカプコンは新しい無効資料が出た場合,訂正を再度検討する,ってことになるかと思います。

3 ほんで,つぎは,商標権侵害訴訟です。
 anelloってわかりますかね。そのバッグというかリュックの話です。

 こういうのって,この業界の人は疎い人が多いと思いますが,まあ彼女か奥さんに聞いた方が早いです,と聞いている所で既に性バイアスがかかりまくっておりますけど(このブログを読んでいる人はオッサンばっかだという前提です。だって,女性はこのブログのような話題,好きじゃないでしょ。),私は差別主義者なので,ムフフ~♡

 このバッグは本当よく見ます。電車通勤している人は回りを見渡すといいのですが,1つの車両で,1人以上必ず見ますよ。
 一昨年くらいですかねえ,流行り出したのは。

 ということで,類似品も氾濫したのですが,何と,ロゴもそのまま!で発売していた,豪胆な所もあり,今般そこが差し止めをくらったようなのですね。報道は,このですかね。

 これも判決が出ておりませんので,情報はこれくらいですね。
 ちなみに,これも大阪地裁~何かいいですよね~って所です。

4 続いて,GIです。

 GIはわかりますかね。地理的表示制度のことで,うちの田舎だと「大分かぼす」とかありますね。

 これは特許庁ではなく農水省で登録するものなのですが,ポイントは1つです。
 通常の商標だと,上の3で書いているように,自分で弁護士を雇い,そして訴訟で決着をつけないといけないのですが,このGIは全て行政任せでいい!ってことです。

 色んなことを行政の方でやってくれるので,地方の団体とかは地域団体商標制度よりもこっちがいいのではないかと言われているのですね。

 で,当然これはヨーロッパの制度を真似したのですが,今般ヨーロッパとの間で,最終合意がなされたということです。詳しくはこちらですね。

 で,ここでのポイントは,勿論,日本の大分かぼすみたいなものをヨーロッパでも保護されるようになったということもありますが,ヨーロッパのGIも当然日本で保護されるってことです。

 報道でも多少ありましたが,ゴルゴンゾーラがその代表です。イタリアの当該地域産の乳製品で無ければ,ゴルゴンゾーラと名乗っちゃダメです。

 侵害とされるのは以下のような態様です。
「 I. 当該産品名称の使用が、GI産品の産地と誤認を与える場合 
 II. GIの明細書(品質基準、生産方法等を示す文書)に沿わない産品については 
 ①  真正の産地を記載している場合 
 ②  翻訳、音訳である場合 
 ③  ~種、~タイプ、~スタイル等の表現を伴う場合 
であってもGIの侵害とみなす

 パルミジャーノ・レッジャーノなどの特定の「チーズにつ いては、国内での消費目的であれば、協定発効後7年間は、国内でカット・包装等を行うことが可能。」らしいです。
 ゴルゴンゾーラと何が違ったんだろうって感じですけどね。

 ちなみに,「カマンベール」や「パルメザン」みたいに,もはや普通名称化しているものや,もはや別物のはお目こぼしになったようです(勿論,カマンベール・ド・ノルマンディやパルミジャーノ・レッジャーノと誤認させるような場合はダメのようですけど。)。

 これは大手の商社や高級スーパーにとって実に大きな話じゃないかと思います(私は貧乏弁護士なので,こういうヨーロッパの産品は食べませんからね。)。
 スケジュール的には,2018年調印,2019年発効を目指すということらしいです。
 こういうものは準備が重要ですからね,今からでも怠りなくすることが必要です。
 まあそういう系がお客さんに居る所の弁護士は,今後気にした方がいいでしょうね。

5 知財はここまでで,次は企業法務系の話です。

 今日の日経の法務面です。「企業が選ぶ弁護士ランキング」2017ですね。
 去年の話はこの辺です。

 ということで,ここ最近知財部門はありませんでしたが,今年もありません。
 その代わり,今年は一般の企業法務に加え,金融・ファイナンスと国際紛争・訴訟分野になっております。

 要するに,今年は,そういう所が企業法務系の中で話題だったということなんでしょうね。
 ま,あれですよ,フィンテック系と企業不祥事関連ですね。

 去年は,情報管理系だったので,知っている先生が居たりしたのですが,今年は知り合いは全く0ですね。本当,大手のパートナーの先生ばっかです。

 あと,企業が選ぶ企業法務分野1位は6年連続で同じ先生です。

 となるとアレですね。この業界もケつまらん業界ってわけです。いやあ別に選ばれた先生に恨みがあるわけでもなく,男の批判の9割は嫉妬ですので,そうなのですけどねえ・・・。
 ずっとトヨタが一番だとか,パナソニックが一番だとか,NTTが一番だとか,それでいいのですかね,っていうのと同じことです。

 あらゆる所でイノベーションは起こるべきですから,この弁護士の業界でも起きるべきでしょう。来年はそんなのにも期待です。

 ま,今年も知財がないので,内容に突っ込むことが出来ず,存在自体に突っ込んだ,ということですかね。ムフフ。

 あと,弁護士の票も加えての総合ランキングは要りません。大手の弁護士事務所にしか聞いていませんので,組織票バリバリ,八百長バリバリです。こんなのは意味ありません!企業が選ぶ,ってだけでいいと思いますよ。

 これ以上興味がある人は日経を見た方がいいです。

6 追伸
 散歩のコーナーの特別編ということで,今日はつい最近買った靴の話です。
 
 ナイキのズームフライです。

 先般より,ナイキの厚底のマラソンシューズに注目していたのですが,やはり何でも自分でやらないとねえということです。そ,理論が上手く行くのは唯物理学だけです。
 私も,物理学以降,すべて実践実地です。

 ナイキのオフィシャルサイトでもずっと品切れで(今も),ところが,ある大手スポーツ店で一気に在庫が入ったらしく,定価販売の情報をゲットしてポチったわけです。何事も定価以上で買うというのはねえ・・・。


 さて,その履き心地は・・・・?いやあこれは履く選手選びますね。つま先のラインに注目です。
 
 いままでよく履いていた同じナイキのフリーラン5.0とくらべてみました(ズームフライは左です。)。
 まずは,つま先の部分です。こうしてみるとフリーランもつま先は上がっているのですが,ソールの部材が柔らかいので,履くとつま先の部分もぺちゃんと地面に着きます。

 ところが,ズームフライは,ソールが固くて履いてもつま先は上がりっぱなし!です。
 なので,重心がつま先にかからざるを得なくなります。昔,リーボックかどこかで無かったですかね,かかとのソールが無いやつ。
 若しくはサイズの小さいスリッパを履いてる状態(こっちの方が分かりやすくかな),そんな感じです。

 そのため,ずっと重心がつま先側に行ってしまうのですね。
 これは不思議ですわ~実際履かないとわかりませんね。
 
 上から見た写真です(やはり左がズームフライです。)。

 ソール部分はこんな感じです。
 
 つま先部分の素材が違うかなあという感じです(やはり左がズームフライです。)。

 何事も実際やらないとわかりませんね。

 曲がりにくい固いプレートのような素材が入っていて,その下に厚いソール部があり,そこは柔らかいという感じになっております(恐らく特許も取っているのではないかなあって感じです。もう面倒なので,検索してませんけど。)。

 これが独特の履き心地を産んでいるようですね。

 ランニングとかそういうのに興味のある人には多少参考になる話でしたかね。
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理論物理学者を志望したのはもう30年近く前のこと。某メーカーのエンジニアを経て,弁理士に。今は,弁護士です。次は何かな。
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