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知財,特に特許を中心とした事件を扱っている理系の弁護士の雑記帳です。知財の判決やトピックについてコメントしたいと思っております。
1 ということで,予告とおり,年度が変わって,紹介判決のまとめの時期となりました。別段忙しかったわけじゃないのですが,昨年と同時期くらいになってしまいました。まあしょうがないですね。色々あるのです。

2 さて,今年も去年同様,統計データから入ります。

 何と昨年度の紹介判決は64件でした。結構な量ですね。平均すると週に1件以上,判決を読んでときには明細書まで読んで~ということですので,いかに私が暇だったかわかります。確定申告がイマイチだったのも,しょうがない所ですね。ま,いいか。

 ほんで特許は40件で一番多いです。地裁の判決が6件,知財高裁の控訴審が3件,審決取消訴訟が30件で,その他が1件でした。さらに,審決取消訴訟のうち,進歩性が16件,記載要件が7件でした。やっぱ進歩性が多いですね~。

 商標は12件でした。地裁が4件,高裁の控訴審は0件,審決取消訴訟が8件でした。

 意匠は相変わらず0件です。

 著作権は,4件で,地裁の本案が3件で,保全が1件でした。

 不正競争防止法は,今年は3件もあり,どれも地裁のものでした。
 
 最高裁は,5件でした。どれも知財じゃありません。

 で,この64件のうち,独断と偏見でベスト3~と言いたいところですが,紹介判決が多いので,ベスト5+次点2つにしました。

3 まず,次点その1です。
 不正競争防止法の平成23(ワ)28857号(東京地裁平成25年7月19日判決)追伸ありにしました。
 この事件は平たく言うと,電動こけし事件というわけです。ほんで今年の2月に控訴審の判断もありました。こういうのを判決の発表会でやるとやっぱセクハラになるんですかねえ。

 イ号物件をちょっと試してみましょうか~,そこの若手の女性の先生パンツ脱いでささこちらへ~どうですか~ちょっと下の毛の処理がイマイチなので,うまく入りませんネ~なんてやるとこりゃセクハラ?つーかセクハラ以上ですね。
 そのうち,形態模倣の案件で,アナルプラグとかラッキーホールとか出てくるのかなあ。面白そうだけど,キテレツな世界だなあ。

 ということで,イ号と形態が面白かったので,一応次点。でもそれ以上じゃないので,次点とまりです。

 で,次点その2です。
 特許の平成24(行ケ)10306号(知財高裁平成25年07月18日判決)です。打って変わって,固い感じです。で,これは国内優先権の効果が認められる要件が問題になったわけです。
 こういうのって,補正・訂正・分割の例の新たな技術的事項~の規範か,記載された発明,つまりは公知文献,サポート要件でよく使われる規範のどちらか?一応気になりますが,今回は後者だとしたわけです。

 さて,いよいよベスト5です。
 5位です。
 商標の平成25年(行ケ)10158号(知財高裁平成25年12月17日判決)レディ・ガガ事件にしました。やはり,世間的にも有名だし,昔良かったのに今はダメ,今後もこういう事件がたくさん出るだろうけど,どうするんだろう,という所が気になったからです。でも気になっただけなので,5位です。

 続いて4位です。
 またまた商標の平成25年(行ケ)10256号(知財高裁平成26年01月29日)です。エコルクス事件ですね。これは切ないというか,ミスったというか,兎に角企業の商標担当者は,必見の事件です。自信があるのは程々にしておいた方がいいよという話です。いやあアイリスオーヤマには粛清の嵐が吹き荒れたのではないかと戦々恐々としちゃいますね。

 ほんでベスト3,3位です。
 最高裁から,最高裁平成25年6月6日判決(平成24(受)349号)を選びました。これは,明示の一部請求で,残部の扱い(消滅時効)はどうなるのかという,民法というか民事訴訟法で有名な論点の判示があるものです。しかも,これは知財にも関係があり,特に職務発明の相当対価請求訴訟で問題になったりするから,載せました。
 どういうことかというと,やっぱ発明者って個人のことが多いので,印紙代とか大変なのですね。だから,大きな請求でもOKそうだとなってから,請求を拡張したり,別訴を提起したりしたいわけです。ところが,大きな請求がOKそうという判断には結構時間がかかったりします。ただでさえ職務発明の相当対価請求訴訟は消滅時効でアウトの事が多いのに,明示の一部請求をしていて残部の請求の要件が厳しいと,無理して印紙代を出さないといけなくなったりします。そのときの論点に一応の決着がついたので良かった良かったということでしょうね。

 2位です。
 またまた商標で平成25年(行ケ)10226号(知財高裁平成26年03月13日判決)のカムイ事件です。何と言っても,法改正後初めて(恐らく)商標法56条1項で準用する特許法167条の「同一の事実及び同一の証拠」の解釈が問題になった事件だったので,取り上げました。
 法改正前は,この要件は厳格に解釈して,特許法167条はなるべく適用されないようにしていたようです。ところが,法改正後は,第三者を縛ることはありませんので,逆に変な当事者の変な再アタックを防ぐため,どんどん適用しよう,緩やかに解釈しようという雰囲気になったわけです。この判決も飯村さんの合議体ですが,そんな雰囲気が現れております。

 で,いよいよ1位です。何でしょうかね?!
 特許から,平成25年(行ケ)10163号(知財高裁平成26年01月30日 判決)を選びました。おめでとうございます~。
 何と言っても,この事件の審決,引用発明の認定にあたって,本願発明の明細書の記載から認定したのです。すごいでしょ。
 ほんで,当然,訴訟で取り消されたのです。これは無効審判の取消訴訟だったので,審決で勝った請求人(東芝ホームアプライアンス)も,いやあこりゃまずい勝ち方だなあと思ったに違いありません。仮に思わなかったとしたら,バカです。
 しかし,特許庁の審判合議体,何か悪いものでも食ったか,どうしたんでしょうね。今回,これを1位にしたのは,猛省してもらうためです。実は,この判決以外にも,変な事実認定が相次いで見られました。

 昨年1年は,特許でこれは画期的!というような判決はなく,どれも小粒だったのですが,気になるのは,特許庁の変テコぶりです。審判官のレベルが落ちているのか,それとも外注に出している先行技術調査の質が悪いのか,ちょっとどちらかわかりませんが,週刊ダイヤモンドの特集の働きがいのある官庁という記事で,非常に高ランキングに居たっていうのに,奢りじゃありませんかね(こんなのまでよく見てるでしょ。)。

 兎に角,特許庁には今年一年褌を締め直してもらわないと困ります。このブログにもめちゃくちゃしょっちゅう見に来ているのはバレバレなのですから,本当,技監とか審判部長クラスにはよく言っておいてください。長官は1年で変わるので,どうでもいいですが。

 いやあちょっと残念というか,そういう結果になりましたが,今年度はどんな判決を紹介できるでしょうかね。さすがに今年は去年並の数はなるべく避けたいなあ,少しは仕事もしてえなあということではありますが,果たしてどうなりますやら。

4 追伸
 ということで,恒例の桜です。

 まずはいつものイマジカ前。いやあ結構散ってますね~。残骸って感じです。ただ,目黒川沿いも場所によって木によっては残っているものもあります。


 かなり海側です。この辺はまだ残っていますね。


 続いて,これです。某会社の元の本社ビルです。もう建物収去土地明渡に入っているかどうかわかりませんが,こんな工事用の覆いがされております。ただ,中に社員が出たり入ったりしてましたので,本格的な撤去工事はもうしばらく後でしょうね。


 4号館とか3号館とかようわからんというあなたには,この案内地図をどうぞ。これも4号館の端っこにあるので,そのうち無くなるんでしょうね。
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理論物理学者を志望したのはもう30年近く前のこと。某メーカーエンジニアを経て,弁理士に。今は,弁護士です。
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