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知財,特に特許を中心とした事件を扱っている理系の弁護士の雑記帳です。知財の判決やトピックについてコメントしたいと思っております。
1 ということで,年度が変わって,紹介判決のまとめの時期となったのですが,今年は遅れました~。すみません。
 本来,今月の上旬くらいに出したかったのですが,色々あるのですよ~。
 まあやることがあるっていうのはありがたいことです。

2 さて,今年も去年同様,統計データから入ります。

 何と昨年度の紹介判決は49件でした。一昨年度の64件に比べると随分減りました。まあ,その原因は,ここで何度も言ったとおりです。宣伝ついでに言うと,「知財実務のセオリー」の執筆のため~ですね。
 それでも,平均すると週に1件程度,判決を読んでときには明細書まで読んで~としていたわけです。結構マメですね。

 中身に行きます。特許は38件で一番多いです。一昨年度に比べても大して減っていません。やはり,このブログのメインテーマでもありますしね。
 地裁の判決が8件,知財高裁の控訴審が3件,審決取消訴訟が27件でした。
 さらに,審決取消訴訟のうち,進歩性が14件,記載要件が5件でした。昨年もやっぱ進歩性が多いですね~。

 商標は4件でした。地裁が2件,高裁の控訴審は0件,審決取消訴訟が2件でした。商標は結構減ってしまいましたね。

 意匠は相変わらず0件です。

 著作権は,2件で,知財高裁の控訴審が2件でした。

 不正競争防止法は,今年は4件もあり,どれも地裁のものでした。2件がおしゃべりクマのおもちゃの話で,もう2件は特許侵害の警告に伴う虚偽の事実の告知の関係でした。
 
 最高裁は,1件でした。知財じゃありません。会社法の解釈が問題になったやつです。

 で,この49件のうち,昨年度も紹介判決が多いので,ベスト5にしました。

 ではいきましょう。

3 まずは,5位です。
 平成25年(ワ)4040号(東京地裁平成26年12月24日判決)ですね。特許権侵害訴訟で,均等侵害を認めたものです。例のシスとトランスの違いで,均等を認めたことから話題になりました。でも,射程は短いでしょうから,この順位です。

 続いて4位です。
 平成25年(ワ)6158号(東京地裁平成26年10月30日判決)です。これは現行法になってからほぼ初めてと言って良い,職務発明の相当対価請求訴訟の判決です。
 例の,野村證券事件ですね。そういう意味で画期的なのですが,中身は大したことがないので,まあこんな順位です。

 3位です。
 平成26年(行ケ)10087号(知財高裁平成27年1月28日判決)です。特許の無効審決に対する審決取消訴訟です。地味な判決で,特段話題にもなってませんが,実に味わいがあります。というのは,新規事項追加がOKかNGかになるかの判断で,上位概念への訂正でもOK!を認めたからです。実務でも結構使える判決じゃないかなあと思います。それ故,3位です。

 2位です。
 平成26年(行ケ)10127号(知財高裁平成26年11月26日判決)です。これは商標の審決取消訴訟です。標章はドクロマークのやつで,請求人の登録商標に似ている商標についての無効審決を取り消そうと思ったけど,却下されちゃった!というびっくりのものです。
 要するに,前訴(前請求)で一部の指定商品を無効にして,今回は残りの指定商品をターゲットにしたわけです。で,やはり無効審決が出たので,被請求人としては,当然審決取消訴訟を提訴したのです。
 ところが,清水さんの合議体は,これで却下~。何ですか,そうすると,一部の指定商品が無効になったときには,残りについて請求されたらもう諦めろって言うんですかいな。実に不可思議極まりない感じです。まーいいや。

 そして,1位です。
 平成24年(ネ)10091号(知財高裁平成26年9月10日判決)ですね。これは特許権侵害訴訟の控訴審を取り上げたものです。結論は原審同様,原告側の負けだったのですが,その理由が問題です。
 何と,実施可能要件違反となったのです。今どき珍しいですね~。しかも,知財高裁のレベルですので,重要なのだと思いますよ。
 とは言え,皆さんの予想とは違うかもしれませんね。昨年度は,FRANDの大合議やら存続期間の延長の大合議もありました。でも,こういうやつはランク外です。なんつっても,私はひねくれ者ですからね。

 で,ランクを翻ってみると,清水さんの合議体の判決が3つも入っております。おーちょっと前の飯村さんの合議体のように,今は清水さんの合議体で話題の判決が出るようですね。これからも侮れない男~清水部長をよろしく~♡

 ところで,来年の1位は今から既に予想できます。さすがに最高裁での特許の事件を外すわけにはいかんでしょう。例のプロダクトバイプロセスクレームの事件ですよ。

 で,私の予想ですが,結論は2審と同じで,規範とあてはめが最高裁オリジナルになるのではないかと思います。そう!インクタンク事件と同じパターンです。
 どういうことかというと,インクタンク事件も二審が知財高裁の大合議で,そこですげえ複雑な規範を定立したのですが,最高裁では全く無視されたという裁判官にとっては悲しく,外野にとっては大笑いできる事件でした。
 今回のプロダクトバイプロセスクレームの事件もそんな臭いがプンプンしますね。とは言え,結論もひっくり返るならば,もう10年に一度かそれ以上の大事件となるでしょう。

 それでは,皆さん,今年度も呆れ返ることなくお付き合い頂ければ幸いです。
 
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理論物理学者を志望したのはもう30年近く前のこと。某メーカーエンジニアを経て,弁理士に。今は,弁護士です。
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