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知財,特に特許を中心とした事件を扱っている理系の弁護士の雑記帳です。知財の判決やトピックについてコメントしたいと思っております。
1 首記は,昨日,ニッショーホールで行われた弁理士会主催の研修です。講師は,北大の田村先生ということで,私も聞きに行ってきました。
 
 田村先生は,普段大学で教鞭をとっており,あまたの講演も担当しておりますので,講師慣れは当然で,聞きづらいということはありませんでした。ただ,弁理士相手にしては,ちょっと普段の弁理士の仕事とは離れている内容故か,出席者は意外と少なかったですね。
 
 ということで,支障のないレベルで,内容も若干紹介しましょう。
 
2 営業秘密ということで,基本不競法の話です。裁判所の統計によると,一定の割合の訴訟もあるようですが,確か近時すごく減ったのですよね。その上,不競法の訴訟って,色んなタイプがあり,この営業秘密の争いに絞ると,更に非常に少ないのではないかと思います。

 と言いますのは,田村先生も話されていましたが,営業秘密って,何が営業秘密かわからないと請求を立てられず,他方,きちんと営業秘密として立てると,公開の法廷で公けになってしまうというジレンマがあるのですね。
 もちろん法改正で,秘密保持命令(10条),当事者尋問等の公開停止(13条)等が加わり,ジレンマを緩和するようになりましたが,やはり,いまだ不十分さは拭えません。それに,何とかそのジレンマを乗り越え,営業秘密の立証に踏ん切りをつけても,実際の立証は,本当大変です。自分の所で,営業秘密として,厳重に管理していたわけですから,相手方もそれ相応に管理している筈です。とすると,なかなか尻尾をつかむことなんてできないわけですね。

 田村先生の講義では,現在の裁判例に関し,この辺のことを,秘密管理性について,緩和説→厳格説→緩和説となり,今また緩やかとなってきており,さらに立証としても直接証拠だけでなく,いくつもの間接証拠積み上げ型がデフォーなので,ある程度は,原告の負担を下げるようになっている旨を話されておりました。

 でもねーとは思いますね。上記のとおり,訴訟の数は少ないと書きましたが,企業からの相談は結構多いのですね。でも,なかなか上記のとおりで,訴えるまでも行かない,内容証明すら出せない,これが現実です。
 
3 後半は,営業秘密とは勿論関係がありますが,どっちかというと労働問題的な話で,弁理士の皆さんわかったのかなあという感じの話でした。

 その一が,退職時の競業避止契約の有効性の話です。近時は,韓国・台湾・支那の会社へ,技術者が転職し,そのときに前に勤めていた日本の会社のノウハウがダダ漏れしているのではないかという話もあり,ある意味ホットイシューなものです。まあでも,こういう話を弁理士に相談しますかね~という感が非常にしますね。それに,これで弁理士が具体的に事件処理をすれば,特定不正競争の事件に当たらず,非弁の可能性が強いですしね。

 むしろ,弁理士が当事者になる場合があるので,気をつけた方がいいですよ,と言う方がいいでしょうね。あ,もう最近の人は知りませんかね。大阪の某有名な特許事務所が,その事務所を辞めた従業員に課したそのような競業避止契約の有効性が問題になった件を(平成17年10月27日大阪地裁決定平成17年(ヨ)第10006号)。恥ずかしいたっりゃありゃしませんね。
 
 そして,その二が,従業員の引き抜きの件です。さらに,知財から離れていきますね。弁護士だったら,債権侵害の一事例として,すぐに頭に浮かぶと思いますが,これまた,こういう話を弁理士に相談しますかね~という感が非常に強いですね。
 
 実は,今回の話は,東弁の知的財産権法部の定例部会で,昨年11月にやった講演と基本同じものなのですね。弁護士相手なら,後半の労働問題も,ホットイシューとなりますが,弁理士にとっては,雑学の範囲かなあというところじゃないでしょうかね。
 ま,同じネタを何度もやらなきゃ元が取れないというのは,メーカーでも,芸人でも同じですから,そこは責めるつもりはありませんけど。
 
4 今回の講演は判決の紹介がかなりありましたので,具体的な事件に応用する分はいいでしょう。ただ,その数が少ないので,実戦で試すのはいつになることやらって所ですね。
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理論物理学者を志望したのはもう30年近く前のこと。某メーカーエンジニアを経て,弁理士に。今は,弁護士です。
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