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知財,特に特許を中心とした事件を扱っている理系の弁護士の雑記帳です。知財の判決やトピックについてコメントしたいと思っております。
1 読書週間はまだまだ続くよ~♫というわけじゃないですが,今日はこんな本の紹介です。
 ま,時期的には実にいい感じじゃないかと思います。何せ,平昌五輪,開会式は明日ですが,競技は既に始まっております(これマジ)。
 
 日経の土曜の書評で紹介されて,実に面白そうだなあと思い(しかし,お陰で書評の移った日曜の紙面はスカスカですよね~。「NIKKEI The STYLE」って評判いいのかねえ。あんなクソみたいな内容,誰が読むんじゃ!と思いますが。),買ってみたわけです。

 いやあそしたら,凄い面白かったです。字びっちりで360pくらいある,非常に大部なものですが,多分1週間かかってないですね(本屋で実物見てください。)。
 読み進めると,何と言いますか,よく出来た推理小説みたいに,謎解き・・・が進むのですね(とは言え,私が最後に推理小説を読んだのは小学生のとき)。

 しかも,あとがきでそれに類したことを著者が書いているのですけど,これは私が好きな系譜学ですわ~つまりは「悲劇の誕生」「道徳の系譜」みたいな,ね。
 

2 このくらいじゃ何のことかわかりませんが,ちょっとタイトルがイマイチではあるのです。

「オリンピック・デザイン・マーケティング」というタイトルなのですけど,これは分かりにくいです。
 正確にには,オリンピック・デザインとオリンピック・マーケティングだと思います。だけど,オリンピックが共通項なので,パンデクテン方式か数式の整序か分かりませんが,オリンピックを前だししたのでしょう。

 なので,中身は,オリンピックデザインから始まって,オリンピックマーケティングに移行していくという話がメインです。
 
 ところで,ここでよく書いているように,私の目下のところの目標は,東京オリンピックにおけるアンブッシュマーケティング規制法の阻止!です。

 別に,それは嫌儲じゃないですよ。私も大手企業や大手企業から金もらっている人と同様,金こそすべてじゃ~という資本主義信奉派ですからね。
 ただし,だったら全部スポンサー筋で何とかせいや,税金出させるなや,ただでさえ金がないのに~♫ちゅう理由です。

 東京オリンピックも,税金投入0,全部トップパートナー等で賄います,なら何の文句も言いません。でなければ,私も含む国民の自由を制限することには断固反対ってわけです。五輪まんじゅうくらい売らせろや,バーカ,っていうことなのですね。

 なので,この本もいかにオリンピックがスポンサー筋の方を向くようになったか,そして,それに電通が絡んでいったかってことをよく書いています。

 例えば,長野大会に関する記述でこんな記述があります(そう言えば長野からちょうど20年ですね。)。

 「長野冬季大会は”電通マーケティング祭り”なのであった」p143
 「このようなアンブッシュ対策が強まれば強まるほど,長野市民の期待値は下がったことである。」p149

 他にも
 「開催都市や企業がなぜIOCの方針(なかでもスポンサー保護)に従わなくてはならないのかは疑問に思われてしまうところである。」p173
 の記載もあります。

 2020に向けてアンブッシュマーケティング規制法を望む方からのロビー活動は今後激しくなりそうですが,私は若干楽観しております。
 この本によると,スポンサーを取り付けた代理店のフィーは大会によってマチマチではあるのですが,およそ,10~15%くらいのようです。
 とすると,上記のトヨタのスポンサー就任に関し,電通が得たのは,200億から300億円!

 ですので,仮にスポンサー筋からのロビー活動がきつそうなときは,え?そのアンブッシュマーケティング規制法って,結局電通が儲けるためだけじゃないの~っていうことでネットの嫌儲派に火をつければ(電通には,こういう痛いスネの傷もあるはずです。),旧エンブレム騒動のようになるかもしれませんよ~。

 ま,私も金儲けは大好きなので,ほどほど&バランスが大事ってことでシクヨロ~♫

 おっと,本の話かいつものようなスポンサー筋への悪口か,とっちらかってよく分からなくなってしまいましたね。

3 ということで,この本は,ほぼ文句はない労作,秀作です。
 でも,それだけじゃ面白くないわけで,1点苦言,1点アドバイスなどを。

 今回,エンブレムに纏わる話ですので,マークの話の分量も多かったと思います。なので,その辺に関する記述が気になったのですが,完璧でした。専門じゃないと思うのですが,知財に関する記述に文句はありません。

 だけど,1点,法律の条文が間違っています。まあ細かい話なのですけど,いかんせん一応弁護士なもので,気になるのですよ。
 p354に
 「地方自治法(第一六七条の二)における随意契約
 という記述があります。ま,しかし,地方自治法に第一六七条の二という条文はありません。
 これは,地方自治法施行令の間違いですね。随意契約は,その施行令マターですから。
 
 法律監修の先生マターの話かもしれませんが,2刷か重版のときに直しておいてください。

 次にアドバイスです。
 私はここで何度も書いているとおり,負け組貧乏弁護士です。ですが,弁護士にとって本というのは,お店の仕入れみたいなもので,売上が低くても一定程度支出しないといけないものです。
 ということで,私が利用するのは,至誠堂の1割引!がメインです。ですが,これ,法律書だけで,今回のような本は売っていません。
 
 なので,そういう場合どうするかというと,ソニー友の会での楽天ブックスの割引か,弁理士協同組合の1割引&送料無料に合わせるかってことになります。でも,これ本の種類や時期が限られてたりするのです。

 ですので,結局,アマゾンの中古で買うことが多いのです。法律書じゃない本は殆どアマゾンの中古かなあって感じです。
 今回のこの本もそうで,送料入れても1割以上安く買えました。

 で,中古なのに,状態は凄く良かったです。ほぼサラ,つーか新品でしょって所です。全く読んだあとが窺えませんでした。
 まあ,良い品に巡り会えて良かったわいと読み進めてたら,この本からチラチラ~と紙切れが舞い落ちました。
 ああ,栞か何かと思ったら,こんなものでした。
 
 「謹呈 著者」と書かれております。

 私も2回ほど本を書きまして・・・,それはいいのですが,出版社からの謹呈分を誰に謹呈するかいつも迷います。
 お世話になった人を中心に~という所でしょうね。

 なので,この本を書いた加島先生にアドバイスすることは,謹呈はもっと人を選んだ方がいいのではないかということです。
 ちっとも読みもせず,こんな紙が挟まってることすら確認することもなく,せどり屋に出すような輩に謹呈しても仕方ないでしょう。

 まあでも気になったのは,この2点でしかも1点は属人的な話だけですから,非常に勉強になったというか,良かったですね。
 著者の言いたかったことはタイトルにもある「エンブレム問題からオープンデザインヘ」のことなのかもしれませんが,あっしには関わりのねえことでござんすっちゅうことなのでありまして,でも,そういう面を抜きにしても良い本だと思います。

4 追伸
 そうだそうだ,今日の日経の2面に関連深い話が載っていたのでした。
 「 五輪選手 CMから消える 肖像権を理由に自粛の動き 知財保護と応援、どう両立 」

 上記の本の話は,主としてオリンピックシンボルやオリンピックエンブレムというマークの話でした。

 他方,オリンピックの金づるにはもう一つありまして,それが選手の肖像権です。
 これはピンクレディー事件で明白になったとおり,パブリシティ権というものがあって,それは一定の条件の下,認められたわけですね。最高裁の判決では,人格権由来のものということですが,それに商業的価値がついたのですね。
 でも,私が今ここでパブリシティ権と言い換えたとおり,「肖像権」というと,法の明文も判例もなく,ようわからんものになってしまうのです。なので,上記の記事の話も本来はパブリシティ権のことかなあと思います。

 兎も角も,選手の肖像を利用する権利もトップパートナー等に限られているわけです。

 なので,この日経の2面に載ったような問題が起きうるのです。

 ただ,商標権のような外延のはっきりしたものとは異なり,よく分からない肖像権ですからねえ,ちょっとJOCもノイローゼ気味じゃないですかね。
 だって,自分の会社の社員なんだから,何難癖つけてんじゃ,クソJOCが,おんどりゃー,出るトコ出たろかワレ!という対応でいいのではないかと思います。

 JOC等が文句を付けて来たとしてもそれがどうしたというのでしょう。
 上で紹介した本には,やはり前の東京オリンピックのときにJOCが著作権侵害(オリンピックシンボルのね。)で,ある団体に仮処分をうった所,東京地裁で「著作権の保護期間は過ぎており・・・」という決定が出たとの記載もあります。

 64年の際には戦った団体や人も沢山居たのですから,今回も戦ってみてはどうしょうか?

 あと余計な話ですが,今回のオリンピック&パラリンピックエンブレムについては,既に商標登録出願されており,しかもこの年始に登録されたようです(第6008759号~第6008762号。カラーと白黒のそれぞれ2種です。代理人はTMIのようですね。)。

 こんなやつが代表ですね。
 指定商品等は,所謂全群の出願です。

 で,ここから重要なのは,こいつらの登録日は,1月5日です。
 なので,2ヶ月内の3月5日まで異議申し立てが出来る!ということです(商標法43条の2~)。
 どうですか~誰かやってみませんかねえ。

 あ,一応説明しておきますと,こういうブログに,上記のオリンピックエンブレム等を掲示しても,商標権侵害にはなりません(商標法26条1項6号)。所謂商標的使用じゃないってことになりますので,ご心配なく。
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1 東京は今日も雪っすね~。もう殆どやみかけてますが。
 ということで,読書週間な今週ですが,今日は単行本ですね。

 なんでもそうですが,本当にそうか?実際どうなのか?ってことは多いと思います。
 例えば,私がメインの仕事としてやっている知財,特に特許ですが,じゃあ特許を取得すると,何がいいんだ?定性的じゃなく,定量的に答えてくれ,って言われて,答えられる専門家いますかね?

 つまり,特許を取る前は,売上高**円,経常利益**円だった,特許取得後,売上高**円に上昇,経常利益**円に上昇,これは特許取得費用や為替変動や物価の上昇その他の要因の影響を除いても,**円(**%)の上昇となる,つまりは特許取得によってメリットがあったと考えられる,てな具合でね。

 特許って別に倫理的な話はちっともなく,専ら経済的な話なので,定量評価に合っていると思うのですね。でもあんまりそんな話はしない~♫
 恐らく本当にそんな調査を大々的にやったら,あれ?特許取らない方がいいじゃん,特許制度って要らないじゃんってことがバレるかもしれないから・・・ですかね??。

 ま,そんな中,昔ここで紹介した研究は,画期的でした。

 で,前置きが長いですが,今回の本は,そのコーポレートガバナンスバージョンって言って良いでしょう。
 

2 コーポレートガバナンスって,まあ最近はコンプライアンスっていう風にも言うのかもしれませんが,私のイメージ的にはこんな感じです。

 インチキコンサルやそれっぽい弁護士が,消費者相手だと国センに通報されそうな謳い文句で,企業の人を騙くらかして高い金をボッタクる。更に最悪なのは,複雑で分かりにくい会社法,金融商品取引法・・・で官製の障壁を構築し,専門家のアドバイス等無くば,にっちもさっちもいかないようにでっち上げている。

 どうですか~?いい線いっているでしょ。

 例えば,最近の論点だと,東芝の話から派生した,相談役・顧問の要否の論点ありますよね。
 自分を上げてくれた相談役に反することなど出来ない,相談役になっても経営に口を出す,一体何人居るんだ相談役?みたいな感じで悪者にされております。

 でも,定量的に見たらどうなんだろう?大量データ(ビッグデータって謳ってないのは,多分わざとですね。)から見たらどうなんだろう?ってのがこの本です。

 だから,おおそうなんだ~ってこともありました。
 ・・・こともありました~って言うのは理由がありまして・・・まあいまだ発展途上かなあ,中間報告かなあという感じです。

 ですので,この本見たら,何もかも全部分かる・・・てわけではないです。実は私もそういう感じで期待していたのですが,それはさすがにちょっと高過ぎる期待でした。

 この本自体にも書いているのですが,「データの入手可能性が低いという制約と,定量化の困難さという壁にぶつかる。」とあります。
 これはやはりこのとおりなのでしょうね。

 上で特許の例を書きました。その際に,倫理的な話がないって書きました。要は,単純なのですね。
 
 ところが,コーポレートガバナンスって複雑ですよ。経済的利益という基準だけでは判断できない話もあります。

 例えば,企業の儲け第一に考えると,カリスマによる独裁を敷いて(じゃないと従業員に不満がたまる。),従業員を安月給で死ぬほど働かせるのがベストでしょう。ここで書いた,昔のパソコン屋のように。
 なので,コーポレートガバナンスなんて要らない,無視してやった会社の方が,経済的利益は多そうなのですね。
 でも,恐らく,そういう感じじゃダメで,つまりは経済的利益以外の基準でも測らないといけないわけですね。

 だから,非常に難しい挑戦なわけです。
 なので,今回は,うーん,それくらいのことしかわからんかったのか~っていうのが正直な感想ではあるのですが,発展途上の中間報告と考えればいいのではないかと思います。

 つーことで,困難な挑戦をやってくれる,それは実に素晴らしいのですから,ま,あんまり足を引っ張るようなことはしたくないっす。でもイマイチな所はそう言わないとね。私はニーチェ主義者なので,強者の論理にしか興味がありませんから。

 兎も角も,企業法務やっている弁護士の人は読んだ方がいいと思います。弁理士や知財部の人は,この系のリテラシーが低いでしょうから,無理する必要はないでしょう。ムフフ。

3 ま,こういう法や経済に関する話は,なかなか難しいです。何つっても,結局規範的な話に尽きますからね。例えば,法でいう損害や経済でいう利得なんて,客観的に測れるものじゃありません。こうあるべきとかそんなわけのわからんものが入り込んできています。

 だから,刑事裁判で,真実発見なんて出来るわけがないし,そんなことを目標にしているわけじゃないのですよ。
 刑事裁判ってのは,犯人ぽい人に責任を負わせる,謂わば,茶番劇,フィクションの世界です。
 だって,神でもない人間(犯人ぽい人も含めてね)が,本当に罪を犯したかなんてわかるわけがないのです。なので,物語をでっち上げる~それが刑事裁判の何百年変わらない実相です。
 で,世の中の99%はプロレスだと豪語したのはこの私ですから,別にそれはそれでいいのではないかと思います。

 他方,民事裁判は何かというと,これは単なる利害調整の場です。勿論,私人でも利害調整は出来ますが,それを強制執行出来るようにしたというのが唯一の利点です。

 ま,どっちにしろ,裁判なんてもんに過大な期待を抱かない方がいい~ってことですね。

 さて,こんなことを言っていると,このブログをよく読んでいる人は,今度は一体何の前置きなんだろう?と思うのでしょうね。そう,これらは前置きです。

 じゃあ規範的な話から恐らく最も遠い,物理の世界では?って話です。

 阪大につづいて,京大でも入試の出題ミスが見つかったということです。報道は,この辺ですかね。

 ま,これらの問題の解説は,私じゃ無理です。理系って言っても所詮IT(InTiki)ですからね。
 だけど,これらの原因がやっぱり驕り高ぶりっちゅうことなのはわかります。

 無謬性って知ってますかね。最近は行政だとかなり薄れたと思います。良いことです。
 他方,司法,つまり裁判所はいまだダメですね。間違えるわけがない!って思っているわけです。

 でも今やお上意識が抜けず,間違えるわけがない!と思っている役所は少数派ですわ。

 ところが,阪大も京大も,その少数派だったってわけです。
 どちらも物理の問題だってこと,しかも音源と壁があって,音の強め合う(弱め合う)条件を探すという,似たような問題だったのですね。

 古典論の範囲内ですから,答えは一義的です。もちろん,初期条件が定まっていないとダメですけど。
 まあなので,解けない問題があるとしたら,それは初期条件が定まっていない問題だというのがわかります(カオスティックなものという可能性は無いことはないですが,大学入試じゃ出ないでしょ。)。

 古典論で初期条件の大事さは肌に染み付いたものだと思いますので,それに気付かないっていうのは本来どうかしています。

 でも,もっとダメなのは,プライドが高くて許さないのか,システム的に認める手段がないのかわかりませんが,失敗を正す方法がないって所ですね。恐らく,阪大も京大も「出題ミスをした場合マニュアル」,みたいなものが無かったのでしょう。

 ま,それか,予備校の先生を舐めていたかどちらかですね。
 予備校の先生のレベルは高いですからねえ。
 ずっと自由競争の荒波に揉まれていたわけで,定年まで保障された中しょうもない研究だか何だかわからないものをやっている人達とはレベルが違うのでしょう。

 なので,ここは国立・私立,文系・理系を問わず,日本全国の大学の先生方,全員任期制にした方がいいんじゃないかなあと思います。
 そしたら,初期条件すらまともに定めることも出来ない耄碌した年寄りどもも,ちょっとは真剣にやってくれるのではないかと思いますよ。
 それに,ポスドクの人達の空きポストも沢山出来るでしょうし,優秀な海外の研究者にも来てもらえると思いますから,良いことばっかりですよ。

 また土建ルートでちょっとやってみますかねえ。ムフフ。

4 追伸
 毎度おなじみ流浪の弁護士,散歩のコーナーです。
 本日は,ここ山本橋に来ております。
 
 いやあ,今日は寒いです。先週は確かに寒かったのですが,今週はちょっと緩む日もありまして,油断しておりました。
 雪もまだやまずに降ってましたね。

 もうじき立春ということなのですが,本格的な春にはまあまだ遠いなあって感じです。

 ところで,日経の速報で出ていましたが,ソニーの社長(CEO)は平井さんから吉田さんに変わるらしいですね。
 平井さんでの業績は好調でしたから,この間にさっさと交替ってわけです。

 上のコーポレートガバナンスの話に従うと,ソニーは指名委員会等設置会社(会社法2条12号)だったと思いますので,指名委員会できちんと指名したのでしょうねえ。ムフフ。

 智さんは変わらずかな~。
1 昨日に続いて,今日も雑誌?の紹介ですね。
 まあ私,大体暇なのですが,先週大物の仕事の〆があって無事クリアし,お陰様で今週は普段に輪をかけて暇~ということで,本の読むスピードも進むってことです。

 昨年は,1月の日経の小論文,3月にパテントの論文,そして8月の単行本と,アウトプットが相次ぎましたので,今年はインプット中心というわけでもあります。営業に全く結びつかなかったってこともありますしね。

 おっと議題から逸れそうだわい。
 元に戻しますと,この本の経緯等はイマイチよく分からないのですが,グーグルアラートやら様々に話題になっていたようなので,買って読んでみたという所です。
 

2 技術と法律,というと,そう,アレとよく似ています。L&Tです。もう私は買いませんけどね。
 なので,企画としてはよく分かります。そういう視点からちょっと眺めてみたい,ニーズは多そうです。

 L&Tの方は,弁護士が編集して,何やらエスタブリッシュぽい感じがあります。しかし,その反面,既に編集が年寄り臭くなっており,死臭・腐臭が漂っていると言ってもよいでしょう。

 だから,こういう新しい人達で新しいことをやるというのは非常に良いと思います。
 目次は以下のとおりです。
 ・民事訴訟におけるソースコードの取扱いについて
 ・パーソナルデータの収集・利用と法規制
 ・強いIoT特許を取得するには
 ・スマートコントラクトは裁判で使えるのか(前編)
 ・技術と法律についての雑感
 ・お金にまつわるリエンジニアリングへの期待
 ・電子機器を製品化する際に必要な法的対策
 ・ハッカソンから考える法と政策制度
 ・エンタメと知財分科会とは
 後半は,何だかエッセイぽいのが並んでおりますが,前半は結構オモシロそうです。

 一番最初の記事は,非常にマニアックな話で,何故こんなマニアックなんだろうと思ったら,実は裁判官の人の書いたものだったのです。判例タイムズによくある感じで,ちょっと固いですわ。
 
 まあ個人的な考えを言わせてもらうと,ソースコードの開示をしてもらわないといけないような場合ってもうそれじゃダメかなって感じがします。
 いやいやいや著作権侵害の場合は,ソースコードの同一性がポイントだから,そこが分からないといけないんじゃないの?と思われるでしょう。それはそうです。

 でも,赤の他人の第三者でソースコードをそのままデッドコピーしたっていう事例って,今の御時世そんなにありますかね。クリーンルーム方式でやっているでしょうに。しかも難読化暗号化している筈です。
 だとしたら,それにもかかわらず,デッドコピー的コードの事件って,退職者とか下請け業者からの流用パターンですから,そんなの刑事とかでやった方が早いです。

 じゃあ特許権侵害の場合は?ってことですが,アルゴリズムはソースコードから分かりますので,そりゃあ侵害したかどうかってソースコードが分かれば一発のこともあるでしょう。でも,開示しろだの嫌だの言ってる間に時間はドンドン過ぎます。
 どういうことか?つまりは,ソースコードの開示がないと侵害の立証が出来ないようなクレームじゃダメだ!ってことです。

 表面上の画面遷移等で分かるようなクレームにしないといけないってことです。
 例えば,知財高裁平成29(ネ)10027, これは昨年末判決が出たのですが,何と逆転で特許権侵害が認められ話題になりました。恐らく,所謂フィンテック特許(ビジネスモデル特許でもあります。)で初の特許権侵害が認められた事件じゃないかと思います。もっと話題になってもいいくらいです。

 で,この事件の特許のクレームも,ソースコードが分からなくても何とか立証OKになっているのが特徴です。なので,逆転で勝訴したのではないかと思います。

 あんたそう言うけど,ソフトウエアで,表面上の画面遷移だけで上手くクレーム作るってそうそう簡単なことじゃないっすよ~と思われるかもしれません。
 でも本当にそうですかね~??。ゲームソフトの特許ってみんな表面上の画面遷移だけっすよ!ソースコードの開示がなけりゃ侵害立証出来ません!なんてクレーム作ったら,クライアントからアホかお前!ってやられるわけです。

 ゲームソフトの業界は,表面上の画面遷移命です。その裏のソースコードが似てようが似ていまいがどうでもいい話です。

 近時,ゲームソフトの会社間で特許権侵害訴訟が結構沢山起きています。これね,他の業界,特にソフトウエアをメインに考えている業界(かなり多いと思います。勿論,自動車業界も。),非常に勉強になりますよ。そのクレームの立て方がね。

 おっとと,大幅に議題から逸れましたな。

 なので,そういう意味からして,上から3番目の記事など面白かったです。欲を言えば,もうちょっと事例を多くすると良いかな~と思います。
 あと,こういう企画をパテントでやると,恐らく非難轟々だと思いますが(俺の作ったクレームを貶すんじゃない!という他の弁理士からのツッコミが沢山来ると思いますので。弁理士って意外とケツの穴が小さいというか,狭量というか,まあ私もですけどね。そういう弁理士の生態を見るには,そうですね~,昨年のパテント9月号の編集後記の更に下に載っている「ご連絡」を見ると良いと思います。),気にせず続けてもらえると良いかなあ。

3 ただ,出来たばかりの企画なので,イマイチな点もあります。ま,このブログ,悪口を言ってナンボなので,まあご容赦ください。

 一つ目。一つ一つの論文の量はそんなに多くはないものの,左綴じで横書きの文字だけが結構ずーっと続きます。
 表紙には,萌えキャラが載っているのに,このディスコミ的UIはいかがなものかと思いますよ。もうちょっと,図や絵を使って分かりやすくしようと思わなかったのですかねえ。
 だって,「技術者と法律家が互いの「コード」を理解するための場として」作ったのですよね。だったら,一方の当事者が分かっても,もう一方の当事者に分かってもらわないと意味がないわけです。
 
 特に,上から1番めと2番め,ジュリストやらNBLならこれでいいかもしれませんけど,萌えキャラ表紙の新しい媒体では,これじゃダメでしょ!私が編集なら,何カッコ付けてんじゃ,書き直しじゃボケ!ってしましたね。

 2つ目。印刷がズレています。
 電子書籍中心で,紙での印刷は従,だと思いますが,これは困ります。
 
 これは「はじめに」のページですが,印刷が右肩上がりになっています(iphoneのレンズの収差などの影響じゃありません。)。つまり右上の余白が小さく,左綴じ側の余白が大きいのです。
 読んでいて,すぐに気づきました。どのページもこうなっています(見開きの左側は鏡面対称にズレています。)。
 新たな挑戦は実に良いことですが,ちゃんとCHECKをしてから始めた方が良いかな~って所です。

 3つ目。ちょっと値段が高い。
 電子書籍は多少安いのですが,紙だと1620円(税込み)もします。昨日紹介したジュリストより高いのです。
 これはいけませんね。内容はまだまだ発展途上ですので,ミニコミ誌程度と思った方がいいです。なのに,いっちょまえの値段~舐めすぎです。
 ま,本家というか死臭漂うL&Tも,2100円と超ボッタクリ価格なのですけど,そこは古い因習に合わせなくてもいいのではないかと思います(広告をとるとかやりようは一杯ありますよ。)

4 とは言え,新しい試みは素晴らしいと思います。
 私は,超保守的で差別主義者でレイシストのネトウヨ,極右弁護士ですが,新しいものは大好きです(既に,AIスピーカも持っており,テレビにクロームキャストを繋いで,口で動画を見ております。)。
 もっと分かりやすく,もっとチープに,これに懲りずに第二号,第三号と続けていって欲しいと思いますよ。
1 今日は月曜日,日経の法務面の特集がある日ではあるのですが,似たような特集の雑誌が続けざまに出たので,その話からということで行きましょう。

 一つは,弁理士会の会報であるパテント,もう一つはジュリストですね。
  

2 まずは新しい方のパテントから行きましょう。
 パテント2018年1月号の特集は,「オリンピック・パラリンピックと知財」です。重要なことは,「知財」です。そりゃ当然ですよね。だって,弁理士会の会報ですから。

 ところが,知財と関係のない話が結構あります。
 巻頭のハンマー投げの室伏広治氏へのインタビューです。短い上に知財の話はほぼありません。有名人にインタビューすりゃあいいってもんじゃありません。

 さらに,アンチドーピングの話,これも知財と全く関係ありません。誰だ!こんなの載っけようと言ったのは?
 別に,これが弁護士会の会報である「偽善と欺罔」(別名,自由と正義)に載ってるっていうんじゃ別に何の問題もないでしょう。でも,これ弁理士会の会報で,しかも「・・・と知財」という特集ですからね。
 原稿がとれりゃ誰でもいいってわけじゃありません。

 ま,あとの記事というか論文で,一読の価値があるのは,ユアサハラの青木先生のやつくらいです。さすがですね~。

 ほんで,更なる苦言です。
 アンブッシュマーケティング規制の必要性を説く記事が載っています。執筆者は,どこかで見た名前~♫そうだ,こんときの講演者です。
 いや別に世の中には色んな考えがありますから,スポンサーのために動く,あり得る話でしょう。私だって,弁護士やっているのは金のためだけですから。

 だけどねえ,弁護士会の講演のときは,自分の立ち位置をはっきり言ってました,この執筆者。
 オリンピックのトップスポンサーにも名を連ねている某清涼飲料水メーカーに18年いたインハウスで,今は某大手企業のジェネラルカウンシルに転職した~みたいなことをね。
 そうすると,ああ,そっちの利益代表なのね,そっちのポジショントークなのね,ってのが分かります。予測可能性があります。

 ところが,最悪なのは,パテントの紹介です。「ニューヨーク州弁護士」としかありません。これだと,客観的で中立的な有識者が,様々な事情を考慮した上で,アンブッシュマーケティングの必要性に一理ある~と言っている,と受け止められがちになってしまいます。
 これは卑怯です。そう,西村あさひ事件と一緒です。

 これが好対照なのは,ジュリストと比べるとよく分かります。ということで,次に行きましょう。

3 次は,ジュリストの方です。
 既に,最新号ではなく,一つ前の刊になります。これも2018年1月号です。
 特集は,「スポーツビジネスと知的財産」です。

 それぞれの記事というか論文のタイトルは以下のとおりです。
 ◇特集にあたって
 ◇スポーツビジネスの法的基本構造と知的財産の保護・活用
 ◇オリンピックと知的財産
 ◇プロ野球ビジネスと知的財産
 ◇サッカービジネスと知的財産
 ◇大学スポーツと知的財産
 ◇プロスポーツと放映権
 ◇プロスポーツと商品化権

 論文の一つ一つが非常にレベルが高く,読ませるものでした。何と言いましょうか,痒い所に手が届くって感じがします。取り敢えず,原稿を頼める所に頼んだ感が満載のパテントとはえらい違いです。

 で,上で問題になったアンブッシュマーケティング規制についても,ジュリストにも載っています。上から3番目の「オリンピックと知的財産」です。

 中身は,パテントの記事とそう変わりません。スポンサーマーケティングのビジネスモデルの維持,他国の状況,等々を説明しているわけです。
 で,ジュリストがちゃんとしているなあと思ったのは,執筆者の属性を明らかにしている点です。東京オリンピックパラリンピックの組織委員会の法務部長と法務課長であると明記しております。

 これは予測可能性がありますよね。そうか,そっちのドンズバの人達の考えか~そりゃ当然,規制必要説に立つわなあ~,客観的でも中立的でもない一方当事者の意見だもんなあってわかりますからね。

 ま,ここで私の意見を言っておきますと,私も金権弁護士なので,金で考えればいいと思います。オリンピックのトップスポンサーともなれば,トヨタで2000億円出したとのことです。

 ただねえ,今回全額をスポンサーが出しているわけじゃないでしょ。
 足りない分は税金でしょ。税金は誰が出すの?国民でしょ。じゃあ国民もスポンサーなんだから,その自由を制限するのはよくねえじゃんってことです。

 足りない分をスポンサーが全額出すなら文句は言わねえよ~♡
 足りない分が1兆円とすると,トップスポンサーに追加500億円,国内スポンサーにその半分の250億円ほど追加で出してもらえれば,1兆円は軽く埋まります。
 pay or zip!これでいいんじゃね。


 あと,個人的に参考になったのは,放映権の話です。森浜の池村先生によるもので,これは実に良かったですね。

 実は,私,ここでも何度か書きましたが,一昨年のリオ五輪で,某国の某マラソン代表選手の,ユニフォーム関係の知的財産について法務アドバイスをしたのですね。ま誰のことだかわかりますね。

 で,この度,この選手のドキュメンタリー映画が作られることになりまして,そのことについての法務アドバイスもしたのですね。まあ仔細は話せませんが,今回の池村先生の論文の問題点とバッチリ合います。勿論,私の考えとは違う所はあるのですが,実に参考になりました。
 こういう論点て,大企業クライアントを持つ大事務所しか縁がないように見えますが,意外と私のような弱小負け組弁護士でも触れる機会があるのですねえ~♫ムフフ。

4 ちょっとまとめましょう。
 こう2冊比べると,優劣がはっきり分かりますね。勿論,ジュリストが優です。

 まあパテントは,結局弁理士が暇な時間に手弁当で編集しているわけで,要するにプロの作ったものじゃありません。それでも特許とか,得意な特集のときはいいのですが,今回のような,偶に,オリンピック前だし~,みたいなときにはボロが出ます。

 そう見ると,ジュリストはやはりプロの人達によるもので,個々の論文自体のレベルも高いし,一本筋も通っているし,パテントより高い十分な理由があると思いますね(ジュリストは1426円,パテントは800円)。

 まあでも普段と違う新規な挑戦は素晴らしいことですから,パテントはこれに懲りずに挑戦し続けて欲しいものです,これほんとうです。

5 続いて,日経の話もちょっとしておきましょう。
 法務面は,連載記事の恐らく最終回です。「知財立国は成ったか(下)特許か秘匿か 基準明確に 国内外で効率よく取得」

 今回は東レとマツダと天池合繊(天女の羽衣で有名です。)の知財戦略の記事でした。

 まあ,これも個々の積み重ねが結局知財立国に繋がるかもということは分かるのですが,じゃあ知財立国は成ったかどうかという肝腎の話については,これじゃあよく分からないなあというものです。

 ちなみに,特許か秘匿かという話については,ここでも書いているし,何よりも拙著「知財実務のセオリー」でも詳しく書いています。
 その「知財実務のセオリー」の意義というか話題に成った点って,突き詰めると3つあるかなと思います。

 一つは,クレームチャートの紹介。こういう実務的ノウハウってあまり開陳されてませんでしたから。
 次は,進歩性の解説。基本書を書くような偉い先生の解説は抽象的過ぎて分かりにくかったようですね。かと言って,弁理士の書いたものは具体的過ぎてこれまた分かりにくかったようです。そういう所に「知財実務のセオリー」の意義があったわけですよん。
 そして,最後が特許とノウハウの選別基準です。本当に分かっている実務家なら,端的にピシッと言えることなのに,これまで何故かこれもピシッと書いた本がありませんでした。
 うちの事務所にも,ときどき,経済産業調査会からセミナーのFAXが来たりするのですが,2時間もその特許とノウハウの選別基準をセミナーするという,これって詐欺だろ!みたいなものすらあったのです(まあしかし,経済産業調査会の本って,自分の所でやったセミナーのレジメをちょこっと本にしたみたいなもんばっかで,本当ダメだなあ。)。

 なので,手前味噌でアレですが,「知財実務のセオリー」,手に入れていない人は早めがいいと思いますよ。既に,定価の新品,というのが難しいようです(重刷も重版も予定がなく,絶版状態ですからね。)から。

 で,そんな記事より,気になったのが,3面です。
 「弁理士の業務拡大へ法改正 ビッグデータ活用促す 」
 これはたまがりました。

 中身を見ると,「改正案では、データの保護策の策定やデータ売買・利用許諾に関する交渉、データ利用を巡る企業間の争いの解決などを新たな弁理士の業務として追加する。」とあります。

 この下線部の所なんて,弁護士法72条の例外じゃないとやれない話です,本来。なので,仮に弁護士72条の例外として弁理士法改正するというのであれば,実に大きな話です。
 恐らく専権業務ではなく標榜業務への追加になるとは思うのですが,この記事だけからははっきりしません。私は弁護士でもあるので,要注目って所です。
 
1 あちこちで面白いと評判のこの本,私も遅ればせながら冬休みの移動の友として買い,今般漸く読み終えたわけです。

 まああらすじは,大体分かりますよね。フィル・ナイトというのはナイキの共同創業者の一人です。なので,ナイキの大きくなるまでの話が沢山載っています。

 中でも注目したのは,フィル・ナイトの属性ですね。あんな大きな会社の創業者ですから,口八丁手八丁の私が一番苦手な,インチキコンサルタントタイプかと思っていたのですが,全く違いました。

 内気で引きこもりがち,スピーチも交渉も苦手~というのは初めて分かりましたね。

 それでも,ナイキがこんなに大きくなったのは,靴にかける情熱だったのでしょう。でも,シュードッグというのは,当然地口です。アンダードッグ(負け犬)にかけているのですね。

 フィル・ナイトは,この本を若い人に読んで欲しいようですが,いやいやオッサンでも十分いいのではないかと思います。女性には分かりません。

2 この伝記の中で日本企業との繋がりが非常に大きく取り上げられます。
 私もオニツカタイガーとの話は結構知っていたのですが(まあオタクなもんで),ケンカ別れの話の詳細までも詳しく載っています。

 まあ弁護士からすると,一方当事者の言い分ばかり聞くのは公平じゃないのですが,面白ければいいのではないかと思います。
 
 その後,ナイキを助けたのは総合商社の日商岩井ですけど(今は双日ね。),なかなか面白い,特に金に関する面白い話が沢山です。
 
 それ以外,もう1社日本の会社が出てきます。創業間もないナイキが目標にした,こんな会社になればいいなあって会社です。ま,それはいいですかね。我が古巣のソニーですけど,私が入社したころには単なる日本の大企業でしたから。

 この本がおすすめなのは,格好付けていないってことです。
 日経の朝刊の一番裏に「私の履歴書」という自伝の連載がありますが(同じ面に林真理子の「愉楽にて」というエロ小説があるので,その面ですわ。),面白いときと面白くないときの差が酷いですね。

 最近面白かったのは,当然江夏豊の回で(もう少し長くやってほしかった),最高に面白かったのは,ニトリの似鳥社長ですね(恐らく,衆目一致だと思います。)。
 ですが,多くは,格好つけて,何故か上手く行ったとか,運が良かったとか,正々堂々としていた~とか書いちゃうのですね。
 本当はそんなわけねえじゃん,卑怯なことも,あくどいことも,裏切りも,沢山沢山あったはずです。

 今回のシュードッグにはそういう面も多く書かれていますので,結論的には,それが良かったかなって思います。あと,訳も読みやすかったので,オススメだと思います。

 まあしかし,最近老眼が酷くて,この手の本を読むのにも時間がかかるようになりましたねえ。いやはや~。
1 首記は,ときどきここでも紹介しますが,知的財産権・科学技術・情報と法を結ぶ専門情報誌です。要するに,知財関係の法律雑誌ですね。 
 
 さて,今回の評価は?まあまあいや普通~という所でしょうか。

2 若干中身に入りましょう。
 と言っても普通~の理由,それからです。

 今号は,そうですね・・・。特許権侵害訴訟の代理人やっている人は全員読んだ方がいい論文が載っています。なので,買う価値があるとすると,それだけ!と言っても良いと思います。
 何かというと,例の最高裁判決,シートカッター事件の調査官解説が載っているからです。

 シートカッター事件のことは,このブログでも取り上げました。なので,事件については,そっちを見れば分かると思います。
 問題は,訂正の再抗弁のタイミング!これに尽きるわけです。ですので,技術的にどうのこうのという話ではなく,学者や文系の人にも十分ついていける話だと思いますよ。でも,あんまり評釈は見ないニャー。

 書いた調査官は,大寄麻代裁判官です。アレ!どっかで聞いた名前~そう,この前まで知財高裁の陪席をされていた方ですね(当時設楽所長での一部でした。)。 私も,事件が・・・お,勝ちの事件でありましたな。50期の方らしいです。

 で,この内容が実に踏み込んでいて,非常に良いです。当たり障りのない話を書かれても実務に使えませんからね。

 まず,今回の判決の射程は非常に広いようです。私は,上記の記事で書いたように,実は狭い?と思ったのですが,最高裁判決で下線を引っ張った要旨の部分とおり,広いようです。

 この点については,ナイフの加工装置事件との関係を述べた所で,以下のとおり述べております。

「これに対し、本判決は、上記のような事実関係を問うことなく、特段の事情がない限り、訂正審決の確定を理由に控訴審の判断を争うことは許されないとの法理を示したものであり、平成23年改正を踏まえて、平成20年最判の趣旨をより推し進め、一般化したものであるといえる 。」

 「上記のような事実関係」というのは,平成20年最判(ナイフの加工装置事件)の事実関係のことです。

 非常に一般化できるということです。
 つまり,口頭弁論終結までに訂正の再抗弁を主張しなかった場合は,原則として訂正の主張は以降許されない!ってことですね。

 つぎに,じゃあ例外はどうなんだ?ってことです。最高裁判決でいう「特段の事情」です。
 これについては,以下のとおりの例示があります。

「たとえば、 仮に本件の原審において、原告が(訂正審判請求をする機会が法律上なかったため、これを伴わずに)訂正の再抗弁を主張しようとし、これが認められるべきであったにもかかわらず、裁判所が、同主張は法律上許されないとの誤った判断に基づく訴訟指揮をしたため、原告が同主張をする機会が実質的に制限された場合や、新たな無効の抗弁が主張されたのに直ちに弁論が終結されたため訂正の再抗弁を主張する物理的な機会が全くなかったような場合が考えられる。」

 うーんなかなか厳しいです。
 どう厳しいかというと,この例示で2つの例があるのですが,前者は,原告としては再抗弁の準備をしてやる気満々だったのに裁判所に阻まれた例です。そして,後者も時間・機会が与えられれば必ず再抗弁をやったろうというような例です。

 つまり,こんな引例しか探せなかったしょぼい無効の抗弁なのに,どうして訂正しなきゃいけねえの~!?なんて逡巡したあげく,時期を逸したような場合は,ダメ!だし,勿論,法律上訂正審判も訂正請求も出来無かったのでほっときました~っていうような場合もダメってことです。

 ですので,なかなか厳しいのですが,でも実務は別にこれでいいのだと思います。どっちにしようか迷う場合は予測可能性が無くて困りますが,こういう風に,法律上請求出来ないだろうが,兎に角,口頭弁論終結までに訂正の再抗弁を主張しろ!このグズの役立たずめが~ってことですので,迷うことはもうないからですね。

 まあ,この事件についてはこれから学者も色んな評釈もするのでしょうが,この調査官解説ですべては解説済み~♡って感じがしますね。なので,これ以降出る評釈はよっぽどのものじゃない限り読む価値は0だと思います。

3 ということで,今号はこれだけです。他の記事や論文もありますが,ま,無理して読むほどのものはないでしょう。
 ですので,この調査官解説と他の記事を合わせて,普通という評価です。

 ほんで,私,定期購読はやめることにしました。
 元々金持ちではない貧乏弁護士なので,かけられる経費にも限度があります。意味のないものに出す金はありません。
 
 やはり酷かったのが丁度一年前の74号ですね。編集の勘違いぶりが甚だしいものでした。

 その後次年の定期購読をどうしようか迷ってはいたのですが,まあいいか~やめても~という所です。
 今号のように,いいものが載るときもありますが,今号にしたって,たった9p分です。それで2100円は高すぎます(9pくらいなら立ち読みかコピーでもすればいい~。)。良い特集や記事があるときだけ買えばいいのですしね。

 ということでやめることにしました~。世の中は厳しいのよん,その辺分かってないとあっさり切られるってことですね~。ムフフ。
1 結構,いつもとは毛色の変わった本です。
 大体私の場合,多くは特許というか知財に関するもの,あとはいわゆるビジネス系の本の紹介が多いですね。

 それは私の仕事と興味に直結するもの~だからです。でもこういうものも読むのですね。

 というのは,労働問題やこの本のタイトルにもある債権回収って,私もよくやる事件ですね,実は。私の事務所も,一応看板は企業法務という括りですから,どんな会社でも労働問題と債権回収の問題はあります。要するに,人と金,です。

 と相変わらずの前置きなのですが,前置きはまだまだ続きます。

 そんな私が,つい先日,NBLを立ち読みしていたところ(NBLを買うことはありませんので。いや,あの問題は西村あさひ問題と言った方が正解なのですが,NBLに全く責任がないわけじゃないですからね。私は蛇蝎のごとくしつこいのです。),ある弁護士が亡くなったということで,有名な先生達がたくさん追悼文を寄せていたのですね。

 はあ,凄く高名な先生なんだなあ~,私はよく知らんけど・・・と思って読んでいたのですが,あれ,この名前どこかで・・・あ,今年の春買った本の著者だ!あれ,しかもその本も載っている!ということなわけです。

2 実は,私がこの本を買ったのは,或る弁護士の先生からの推薦です。

 私はこの事務所のサイトでわかるとおり,弁護士知財ネットの会員です。で,弁護士知財ネットは月に一回ほど勉強会を催しておりまして,私も気が向いたときには勉強会とその後の飲み会にも参加~しております。

 この春に久々飲み会までも参加したときに,凄い先達の先生はwho?という話題になり,上記のとおり,或る先生からこの著者の先生が凄かったという話があり,本も出ているので,読んでみたら~ということで,その飲み会のうちにアマゾンでポチったわけです。

 ま,ここまで書くと或る先生が誰かは大バレの大バレですが,まあいいですよね~。
 嫌われ者の癖に意外とそういうのにも参加しているってわけです。ちなみに今日も一弁の知財系の勉強会の忘年会でして,そこにも参加しますよ~♫

3 ほんで漸く内容ですが,確かに条文にない話ばっかりでした。しかも倒産ぎりぎりでの売り物の回収だとか,実際どうなんだろうという話をまとめたものです。
 なので,ああこういう風に考えればいいんだあとか,おおこれは参考になるなあという所が沢山ありました。

 ま,なかなか実務というのは綺麗事ではないし,しかも裁判なんていう悪手を使わずに色々やりたいですからね。

 ところで,実は,この本,NBLの連載をまとめたもののようです。なので,NBLが特集を組んだというのがよくわかります。

 さて,驚くのは,現在のこの本の値段です。実は,私が春にこの本をアマゾンでポチったときは何と99円!でした。送料の方がずっと高かったのです。合計で数百円だけでした。リーズナブル~♫
 ところが,今アマゾンでの値段を見ると・・・!いやあビットコイン以上の値上がりぶり~♡びっくりしますよね。

 なので,企業法務系で債権回収をやられる先生も是非参考に~ちょっと古い本ですが(2003年の本なので,破産法は旧法のままです。)・・・と言いたい所ですけど,とてもとても手に入れられないでしょう,今からでは。

 持っている先生や図書館で借りるのがいいと思います。本の裏表紙にある定価は1700円(税別)ですので,これ以上払うのはアホですね。
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理論物理学者を志望したのはもう30年近く前のこと。某メーカーのエンジニアを経て,弁理士に。今は,弁護士です。次は何かな。
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