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知財,特に特許を中心とした事件を扱っている理系の弁護士の雑記帳です。知財の判決やトピックについてコメントしたいと思っております。
1 この前の大合議の事件というと,医薬品で存続期間が延長された場合の特許権の効力が論点でした。

 そして,今回もまた医薬品絡みですね~。

 詳しくは,こちらの知財高裁のサイトを見てもらうとして,事件番号は,平成28年(行ケ)第10182号と平成28年(行ケ)第10184号ですね。
 無効審判の不成立審決に対する審決取消訴訟のようです。

 特許番号は,特許第2648897号で,無効審判の番号は無効2015-800095です。
 なので,これを見てもらった方が早いかなと思います。

 クレームは以下のとおりです。

【請求項1】  式(I):【化1】

 (式中、R1は低級アルキル、アリールまたはアラルキルでありこれらの基はそれぞれ置換基を有していてもよい;R2およびR3はそれぞれ独立して水素、低級アルキルまたはアリールであり該アルキルおよびアリールはそれぞれ置換基を有していてもよい;R4は水素、低級アルキルまたは非毒性の薬学的に許容しうる塩を形成する陽イオン;Xは硫黄、酸素、スルホニル基または置換基を有していてもよいイミノ基(該置換基はアシル基、置換されていてもよいアミノ基または置換スルホニル基である。);破線は2重結合の有無をそれぞれ表わす。但し、R1がアラルキル、R2およびR3がそれぞれ独立して低級アルキルまたはアリールかつXが硫黄または酸素である場合を除く。)で示される化合物またはその閉環ラクトン体である化合物。

 高コレステロール血症に効く薬のようですが,まあ電機メーカー出身の私には若干荷が重い~♫って所です。

 で,無効審判での無効理由は,進歩性欠如とサポート要件違反だったようです。
 
 ほんで,ようわからんのは,これで何が大合議になるほどのものなのか?ってことです。

 審決の進歩性についての部分を読みましたが,まあ普通です。一致点・相違点があり,相違点の部分については想到容易じゃないって話です。

 他方,サポート要件についても,例のパラメータ事件大合議のやつを使って,判断しております。
 ただ,もしかするとですが,本件特許の課題が,従来技術に対して「優れた」という所にあるらしいので,この「優れた」という点に関して,医薬品特許において「優れた」というためには一体どの程度を要するか?みたいな論点になっているのかもしれません。

 ですので,まあ無責任な通りすがりとしては,医薬品の特許におけるサポート要件の程度が問題になっている~と一応書いておきましょう。

 まあ代理人の先生方からすると何間違ってることを喧伝してんねん!となるのかもしれませんが,だからと言ってはっきり書かずに誤魔化すってのは私の流儀に合わないのですね。
 間違ってたら,私はバカで浅はかでした~,ってちゃんと指摘します(このときのように。)ので,ご容赦を。
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1 本日は,月曜日。日経紙の法務面特集の日ですね。
 で,このところ,知財立国は成ったかという連載ものをやっておりますので,一応コメントしておきます。

2 今回は,2題です。
 まず,一つ目は,トヨタで特許ソンというのをやっているというやつです。

「 「特許ソン」。トヨタ自動車は2017年4月、新規事業とそれを支える特許を考える会社横断イベントを始めた。IT企業などで様々な職種の人々が集まり、新しいソフトやアイデアを考える「ハッカソン」をもじった命名だ。

 大した話じゃありません。いわゆるリエゾンの一環で,ブレインストーミングをやることは多いと思います。知財創出の基本の基本です。私の書いた「知財実務のセオリー」にも載っています。
 ま,そのブレインストーミングの参加者にちょっと目新しさがある,っていう程度の話です。しかし,こんなのでやった感を出して満足していたとしたら大丈夫か?トヨタ?という風に大いに思いますが,まあ日経の記事ためのリップサービスなんでしょうね。

3 もう一つは,三菱電機の話です。
乗用車の後部やドアから伸びる光線が、地面に矢印や扇状のマークを映し出す。そのマークは動いて、車がバックしたりドアが開いたりすることを歩行者らに警告する。」

 記事には写真付きで出ています。

 これはいつかのWBSで紹介されておりましたが,実に面白い技術だなあと思います。
既に約20件の意匠と約10件の特許の出願を済ませた。」そうです。

 しかし,意匠の方は,軒並み拒絶査定になっており,不服審判→審決取消訴訟を提起してもNGだったようです(特許の方は各自で。)。
 平成28(行ケ)10239,平成28(行ケ)10240,平成28(行ケ)10241,平成28(行ケ)10242
 ざっとこの4件の訴訟事件が上がりますが,いずれも同じ理由でNGです。

画面デザインを意匠権により保護できるようにするために,平成18年改正により,意匠法2条2項が設けられた。  
 このような立法経緯を踏まえて解釈すると,同項の「物品の操作…の用に供される画像」とは,家電機器や情報機器に用いられてきた操作ボタン等の物理的な部品に代わって,画面上に表示された図形等を利用して物品の操作を行うことができるものを指すというべきであるから,特段の事情がない限り,物品の操作に使用される図形等が選択又は指定可能に表示されるものをいうものと解される。  
 これを本願部分についてみると,本願部分の画像は,別紙第1のとおりのものであって,「意匠に係る物品の説明」欄の記載(補正後のもの,別紙第1)を併せて考慮すると,画像の変化により運転者の操作が促され,運転者の操作により更なる画像の変化が引き起こされるというものであると認められ,本願部分の画像は,自動車の開錠から発進前(又は後退前)までの自動車の各作動状態を表示することにより,運転者に対してエンジンキー,シフトレバー,ブレーキペダル,アクセルペダル等の物理的な部品による操作を促すものにすぎず,運転者は,本願部分の画像に表示された図形等を選択又は指定することにより,物品(映像装置付き自動車)の操作をするものではないというべきである(甲1,5)。  
 そうすると,本願部分の画像は,物品の操作に使用される図形等が選択又は指定可能に表示されるものということはできない。また,本願部分の画像について,特段の事情も認められない。  
 したがって,本願部分の画像は,意匠法2条2項所定の「物品の操作…の用に供される画像」には当たらないから,本願意匠は,意匠法3条1項柱書所定の「工業上利用することができる意匠」に当たらない。
」(平成28(行ケ)10239の判旨)

 まあ意匠法による画像デザインの保護を逐一フォローしていた人には分かると思います。

 ただ,そうじゃない人に説明すると,意匠法による画像デザインの保護は,操作ボタンを画像で置き換えたようなものしか保護しない,ってことです。
 本件で,三菱電機の出願したものは,ハンドルやウィンカーのスイッチや,ブレーキペダルやアクセルペダル,変速のノブを画像で置き換えた訳じゃない~からNG!ってことですね。

 これは昨年出た判決なのですが,ここ最近の意匠の事件で最も重要な判決だと思いますよ。あんまり話題になってませんけどね。

 とは言え,新しい視点での出願は良いことだと思います。それに,こういうのは,特許で取れればいいんじゃなーいかな。

 ま,こんな所で,知財立国は成ったかという大上段に構えたタイトルの割には,中身は弱火~というよくある話でした。

4 西部邁さんが亡くなられたという報道がありました。
 昨日午後ボケっとテレビ見ていたら,本当にびっくりしました。

 私は,このブログでも書いたように,ゴーマニズム宣言の愛読者です。初期のころからほぼずっと読んでいます。

 なので,私の中での西部邁さんというのは,ゴーマニズム宣言を介しての西部邁さんでしかありません。
 それでも,差別論などを出し,薬害エイズ事件の問題をやって,サヨク系リベラル系と思われていたよしりんが,その後大きく右展開することになったとき,西部邁さんがその精神的支柱だったと思っております(今は,法哲学者の井上先生かな。)。

 その後,パール判事の評価をめぐり,よしりんと中島岳志との論争が勃発し,何故か西部邁さんが中島岳志側についたことで,袂を分かつことになったのは非常に残念でした。

 そう言えば,当の中島岳志は報道ステーション等で見ることが出来ますが,知らんうちに東工大に来ていたのですね~。
 東工大って池上彰とかパックンとかテレビ芸人を先生で呼んでくるのが好きですが(私が通っていたころも,当時NHKアナの宮崎緑を呼んだりして,そのミーハー具合は昔からです。),この中島岳志はどうにかならんかったのか~という気がしますね。
 おっと議題から逸れましたな。

 やはり東工大の先生だった江頭先生もそうですが,どうも保守系の評論家の先生方は,精神的に弱い所があるのではないかと思っております。
 よしりんは,立派だと書いていましたが,私はそうは思いませんね。老醜,いいじゃないですか~。すべてを肯定し,それを踏まえて生きていく,それも保守の道じゃないかなと思う次第です。非常に残念です。
 今はただご冥福をお祈りします。

5 追伸
 東京は午後から大雪になりました。まあそう言ってはいるけど,そんな積もるか~と思って事務所を出たら,結構積もっていました。
        
               

 ちょっと横になっていますが,まあ適当に見てください。
 ここが東口の三叉路,東急のビルの前です。

 
  ここが東口のロータリーの反対側から撮ったものです。

 いやあ久々ですね。恐らく,2014年の2月,だから4年ぶりの大雪と思いますが,かがでしょうか~。

1 今日は土曜なので,あんまりキター!的な話も少ない曜日です。
 ですが,今日の日経の5面にこんな記事が載っておりまして,ちょっと注目した次第です。

 ポイントは「特許庁はこのたび特許を持つ通信メーカーなどにできるだけ情報開示を促すための指針(ガイドライン)の案を固めた。」ということですね。

 この件は昨年多少ツッコミました。似たような懸念を示しているのは,私だけではなく,日弁連の方も意外とツッコんでおります。

 まあ,分かりますけどね。日弁連って裁判所のやることにはあまりツッコミません。向こうが上だと思っているのでしょうね。でも,特許庁に対しては,下だと思っているので,ツッコめるということです。所詮この程度の話ではあるのですが,中身はマトモなので,いいでしょう。

2 ガイドラインの案自体はまだ公表になっていないようなので,ちょっと分かりません。恐らく週明けかなという気がします。

 ただ,この日経の記事を読めば現在の問題点は概ね分かりますので,それは評価できる所です。

 要するに,今まで手慣れしていない企業がライセンシーとなるので,そこでライセンス契約が紛糾する虞がある,ということが発端です。

 とは言え,異業種だからと言って紛糾するってわけではないと思います。異業種だろうと同業種だろうと,ライセンス契約でのライセンス料はある程度合理的な所に落ち着くだろうからです。
 それに,異業種,この記事で念頭においているのは自動車メーカーだと思いますが,そりゃ舐めすぎですよ。

 昨年のアメリカでの特許登録数のランキングを見てのとおり,自動車メーカーは様々に力を入れております。

 特許に対抗できるのは別な特許だけですので,カウンター特許を沢山持つというのは,基本優れた戦略です。勿論,特許制度自体,本当に経済的に優れた制度か?,イノベーションを阻害するのではないか?という疑念自体は払拭出来ませんが,そりゃ核兵器と同じようなもんです。
 現実に核兵器を有している国がある以上,我が国も持った方がいい,そして保有する,こんなことも戦略としてはあり得る所じゃないでしょうかね。

 ま,ですので,特許制度がある以上は,使わないと損だということです。

 つーことなので,実際は特許庁が心配しているような紛糾は起こらないのではないかと私は見ています。
 上記のとおり,異業種だからと言って既に特許について一定の戦略と戦術を持っている企業が多くなっていることが一つです。
 他方,一定の戦略と戦術を持っていない企業はいます。でもそんな企業は昔から居て,謂わばライセンサーの言い値でライセンス料を払ってきたわけです。ということは,そんな企業は,多少状況が変わりライセンサーが変わっても,やはり言い値でライセンスが妥結されますので,こちらも揉めようがない,ってわけです。

 ま,今回のライセンスのガイドラインはそこそこ大きな話ですので,これからもフォローしていきます。

1 ということで,またまたセミナーをやることになりました。

 「<エンジニアと知財担当者のための>  特許出願・特許明細書作成の実務ノウハウ」

 日時:2018年3月23日(金) 12:30-16:30
 場所:[東京・京急蒲田]大田区産業プラザ(PiO)1階B会議室
 主催:㈱情報機構

 おっと今回はもうビジネスモデルの話じゃありません。主催者側はあの話にまだまだ興味が有るようでしたけど,これもその同じ主催者からの提案です。

 要するに,これは,タイトルのとおり,去年出版したの解説!です。

 あの本は,本当分かりやすいと多くの人から言って頂き(勿論,仕事で特許なんかとは縁もゆかりもない方々です。),非常に良かったと思っております。 
 まあそんな分かりやすい本をこれ以上どう分かりやすくするのか?という根本的な問題はあろうと思いますが,まあやってしまいます。

 なので,去年出した本に興味があろう人や,その他の理由で聞きたいという人には良いかなと思います。

 なお,出版社側には仁義を切っておりますので,そこは問題ありません。販促に繋がるということで,大歓迎ってことでした。

2 ただ,この本を読めば分かりますが,かなりの初心者向けです。そりゃそうです。特許なんかとは縁もゆかりもない人に向けた本ですからね。

 ですが,こういうセミナーをやると,絶対知財部の人や弁理士の人が来ちゃうのですね~。ほんで内容が簡単過ぎだとか程度が低いだとか文句を言って帰る~♫こんなパターンです。

 でもね~,セミナーの申し込みサイトにも書いています!「入門者向け!」です。しかし,何か知らんけど,来ちゃうのですねえ。ある意味不思議~♡

 なので,一応経験者に向けた話も多少やろうと思っております。
 今回,後半に進歩性をぶっこんでおります。そこでは,このブログでは暫くやっていない,でも後継ブログではときどきやっている進歩性のディープな話を裁判例を交えて色々話そうかなあと思っております。

 ま,本当マニア向けというかマニア対策ですね。ですので,私の話を聞きたいけど,あの本の話だけじゃなあ~って人には朗報かもしれません。

 あと,情報機構のこの手のセミナーは少人数形式ですので,申し込むなら早めが良いかもしれませんね。上のPioの会議室はいつもに増して狭い所のようですし。
1 さて,新年も本格的に始動した今週,特段ワタシ的に書くニュースも無かったのですが,今日,ちょっと注目すべきニュースが2つ入ったので,それですね。

 まずは,任天堂とコロプラの特許権侵害訴訟です。

 ゲーム会社の特許権侵害訴訟というと,年末にあったコーエーとカプコンの訴訟が話題になりました。
 このとき,ちょっと調べたのですが,カプコンの特許の出願数です。年間100件近く出願しておりました。コーエーも最近は凄く出願しているようでしたが,カプコンはかなり昔からコンスタントに多数出願しており,凄いなあって感じです。

 他方,今回の件ですが,任天堂は,もうメジャー所ですので,結構多いのですが,ペースとしては,カプコンとコーエーの間くらいです。まあそう考えるとカプコンの凄さがわかります。
 で,相手方のコロプラですけど・・・,ハハハ,ここが一番すごかった~♪昨年一年で公開された特許は,241件!
  
 つまり特許出願数のペースからいくと,コロプラ>カプコン>任天堂>コーエーてな具合です。

 皆さん,巨大な任天堂が中小のコロプラを訴えた~♪と思っているかもしれませんが,特許の実力は,もしかすると,コロプラの方が上かもしれませんよ。コロプラがその気になれば,今回任天堂が権利行使した特許以上の特許がカウンターで任天堂に襲いかかる,私がプロデュースするなら,当然そうします。

 任天堂って言うちゃ悪いけど,マリカーのを見ても,法務・知財は大したことないですよ。
 まあ,私も大手企業に居たからわかるのですが,大手企業だからと言って,それ相応の凄い人材が居るわけでありませんからね。

 例えば,昨日の日経紙に,「原発事業「0円買収」の暴走 検証東芝危機」という特集が載っていたのですが,ここにはこんなことが書かれておりました。
「WHで何かが起きている。だが東芝が抜本策を採ろうとした形跡は関係者の証言をたどっても読み取れない。田中の意を受けた財務部や法務部はむしろ隠蔽に動いた。」(注,田中とは田中久雄元社長のこと。)

 いやあガハハハ~♪ですな。木っ葉サラリーマンって所詮この程度ですわ。法務部が隠蔽に加担~ですって。ま,そういうことに関しては,法曹資格の有無は関係ないようですニャー。

 ま,任天堂の法務・知財に言っておくことは,自分らの首を今からよく洗ってた方がいいんじゃね,ってことですかね。

 あ,念のため言っておきますが,私,任天堂のアンチじゃないですからね。岩田さんは数少ない素晴らしい東工大OBだと思ってますから。

 とは言え,詳細は該当特許が分からんと何とも言えないなあ。

2 次は,米国の特許登録数です。色んな所で報道されております。

  1位は常連のIBMですね。2位はサムソン,3位はキャノン,この辺は去年と同じです。
 で,私が着目するのは,増加率です(やはり微分量が重要ですね。)。トップ20の増加率1位は,何とトヨタです。3位もフォードです。奇しくも今ウィンターCESが開かれておりますが(今はAVNと同時開催じゃないらしいので,残念ですね。むっつりスケベの日本企業の皆様。),話題は車~ですよ。

 それがこういう所にも現れているわけです。

 ま,特許というと,年末ホリエモンが言ったことなどもあり,そりゃあ諸手を挙げて良いことばかりってわけじゃありません(ちなみに私,ホリエモンの言っていることに,何言ってんだこいつ~みたいなことはちっとも思いません。妥当な意見です。)。
 ですが,何らかの指標になることは確かで,こういう所にそういうことが現れているのですよ。

 ちなみに,昔私が居たソニーだと,年間2000件ぐらいの登録数ですが,これ,多分今の日本での出願数とそんな変わらないと思います。つまりは,アメリカに出願するような特許しか日本でも出願しないってことじゃないですかね。

 まあ古き良き時代よ,さらば,ですね。
 さらにちなみに,こうすれば抜本的に日本も回復出来るというアイデアはあるのですが,披露するのはやめておきます。
 いやあ前々からおかしいおかしいと思ってたけど,やはり画期的におかしいやつだと思われるだけですので。
1 本日は,休刊日の月曜日。突っ込むべき日経法務面も,まあまあ気になる知財の話題もありません。

 こういう場合は,最近,どうでもいい話を書くか,それとももうスルー(こっちが多いかな。)のパターンだと思いますが,ま,先週行った研修で気になる所がありましたので,この話題で。

2 ということで,弁理士会の2つの研修ということです。
 まずは,前半です。
「「シートカッター事件」最高裁判決から学ぶ訂正の再抗弁主張のタイミング」ですね。
 
 シートカッター事件というのは,ここでも取り上げました。様々な理由から(様々じゃないか~♫)もう判決はあまり紹介しなくなったこのブログですが,一応の大ネタのため,取り上げました。

 ポイントは,ただ一つ,訂正の対抗主張のタイミングですね。

 原告代理人で,無効の抗弁がされた場合,本当このタイミングは苦労します。
 いや,無効の抗弁が明らかにヤバい,無効審判でも無効になった,一審でも無効の抗弁成立!なんて場合は,別に苦労しません。何とか訂正の対抗主張を考えて早めに主張する!ただそれだけです。悩みなんかありません。
 
 苦労する,悩むというのはそういうのではなく,無効の抗弁での公知資料が明らかに明後日~♫,勿論無効審判も不成立審決,一審でも無効の抗弁を排斥してたり判断していない場合での,二審です。

 こんな場合,訂正の対抗主張のインセンティブはありません。わざわざ権利範囲が狭くなるようなことを誰が好き好んでやりますかいな。

 だけど,判断するのは,裁判官なのです。これで無効?!中間判決かとばかり思っていたら,請求棄却の終局判決~ガーン!
 こんな経験やこれに似た経験ありませんか?

 なので,私がこの事件を取り上げたときには,「積極的に訂正の再抗弁を主張していった方がいい」と書きました。
 本来,こういう場合は裁判官が釈明すべきなのですが,そんなもん期待したって無駄に終わるだけです。なので,権利は多少狭まるのを覚悟で,明後日の引例と言えども,積極的に訂正の再抗弁を主張していくしかないのです。
 不意打ち的無効の抗弁成立が有りえますから。

 だけど,それは私の考え方・・・他の弁護士の考え方も聞きたくて,今回の研修を聞きに行ったのです。

 まあしかし,一応どういうタイミングでって話は最後の最後にほんの少し出たのですが,ちょっと期待ハズレでした。

 というのは,多くの時間をこの判決の評釈に費やしてましたから~。
 私はそんな知っている話なんかどうでもよく,あんたがこの事件の代理人だったらどうする?とそんな話を沢山聞きたかったわけです。

 ですので,私が上に書いたような話,早くやる,ちゅう当たり前のものしか出ませんでした。まあしょうがないですかね。

 本来は,上記のとおり,裁判官が釈明すべきが本筋だと思うのです。でもまあ,能力のない方々に多くを望むというのは,酷な気がします。代理人の方で忖度してやらないといけない,こういうことなのでしょう。ムフフ。

3 続いて後半の方です。
「合議事件判決誕生の実際・・・専門的知見を要する事件 を中心に-訴訟活動をする弁理士が知っていて欲しい判決形成過程の実態-」ですね。

 これは,知財高裁発足時の部総括の元裁判官が当時の思い出話を語る~というものです。
 まあ私のような自営業者ではとても得られない豊富な年金と(いやあ元公務員の年金の額にはびっくりしますよね。)非常勤の顧問などでの悠々自適生活からすると,とても大した話はないだろうと思っていたのですが,良い意味で裏切られました。
 実に興味深い話が沢山でした。

 まああんまり多くを取り上げるスペースはないし,行った人の褒美ということで1点だけにしておきます。
 それは調査官との関係です。

 知財高裁もそうですし,東京地裁と大阪地裁の知財専門部には,調査官という方々がつめております。これは非常勤ではなく常勤の職員ですが,その殆どが特許庁の審判官・審査官が出向してなるものです。

 講師の先生は,書面だけじゃよくわからんから,調査官の所によく聞きに行っていたということです。口頭で面前ですぐに答えてもらえるというのは実に有難かったということでした。いやあ,役に立っていますね~調査官・・・ってバカ!

 私は昔からこの調査官という制度ってインチキ臭いというかインチキそのものだなあと思っています。そしてそう思っているのは私だけじゃないと思いますよ。

 例えば,修習時代,実務修習から後期の和光に戻ったときに,ある同期(今は沖縄ですかね。Iさん~ご無沙汰です。)から,知財修習というのがあったということを聞きました。東京修習ですね(当時すでに特許の事件は東京と大阪でしか扱えなくなってました。)。
 そのとき,知財部の裁判官から調査官という制度があるという話を聞いたんだけど,裁判の独立から問題あると思うんですよ,岩永サンどう思いますか?とも聞かれたわけです(私が元弁理士ってことは同期の修習生には知られてましたので。)。

 いや,だってそんなの中立性に問題があるのは当然で,知財高裁にも同様な制度があるけど,こっちはなお問題ですよ~と話したのを思い出します。

 つまり,こんな風に普通のリーガルマインドを持った人からすると,とても看過できない制度なわけです。

 今回の講師の先生は,調査官は確かに特許庁の人だったけど,中立性を疑わせるような言動は私の知る限り全く無かったと強調しておりましたが,問題はそこではありません。そもそも論です。

 例えば,刑事裁判,今は重大な犯罪について裁判員裁判をやっております。
 このとき,謂わば素人の裁判員たちに対し,刑事と言えばやはり専門は検察官ですよね,なので,現役の検察官を裁判所に出向させて,刑事調査官という制度を作りますので,裁判員の方々,疑問質問はこの調査官に遠慮無くどうぞ~♫って創設したら,どうですか?

 いい制度だと思いますか?
 恐らく,裁判員の皆さんにはすごく好評な制度になると思うのです。でも,被告人や弁護人にはひどく評判の悪い制度になるでしょうね。
 つーかこんな制度創設出来るわけがない!

 ところが,こんなおかしな制度が知財の世界には現在,存在しているのです。

 釈迦に説法とは思いますが,デュープロセスって知っていますかね。実質良ければいい!とは対極にある考え方です。

 特許庁の役人と言えども,裁判所に来たら中立公正,なので問題ないのです~たとえ被告が特許庁長官だとしても・・・そうそう,現行犯人で逮捕してしかも自白もあるんだから,お金も人もかかる裁判なんてやらずその場で処刑してもいいですよね~だって裁判になってもどうせ死刑になるんだし・・・。
 実質良けりゃいいじゃないですか。別に知財でも刑事でも,どうせ所詮は全てでっち上げ~この世の99%はプロレスだと豪語したのはこの私~なのですしね。

 まあでもでっち上げにもうまいでっち上げとまずいでっち上げがあると思いますよ。
 調査官制度をやるなら,利益相反を十分考慮して,そうですね~技術等の専門家として特許庁の出身の人達が必要なら,一旦調査官をやったら,二度と特許庁には戻れない,少なくともそうするのが筋とちゃいまっか~♫

 そうできないなら,今の調査官制度はやめて,技術裁判官を導入すべきでしょ(調査官を技術裁判官に横滑りさせればいいのです。ドイツのように。)。
 事実認定は法的判断の基礎となる非常な重要な部分です。そんな大事な所を裁判官じゃないやつの意見に左右される可能性がある,これだけで今の相撲協会と同じくらい,神戸製鋼チックで日産チックなことだと思いますけどねえ。ムフフ。
1 首記は昨日,弁護士会のクレオであった,日弁連法務研究財団と第一東京弁護士会総合法律研究所IT法研究部会との共催のセミナーです。

 昨年も同様のセミナーが開催され,それについては,ここでも取り上げました。

 まあ今回,今流行のAIですし,それと法務っていうことは,いわゆるリーガルテックってことで,一応聞きに行ったわけです。
 ですが,まあ去年にも増してダメ~でしたね。

2 ということで,ダメな点から行きましょう。
 まずは,去年あった町村先生の判例回顧がない!去年も掃き溜めに鶴だったのですが,今回も結局掃き溜めばかりだったので,町村先生がいないため,掃き溜めというより,ゴミ溜めでしたわ。

 いやあ何故今年はやらんかったんだろう。理解出来ないなあ。まあ町村先生に愛想をつかされたのかもしれませんね。あーあ。

 つぎは,内容です。弁護士の話す内容はきっとしょうもない話になるだろうと思いましたので,私の興味は技術的な所onlyです。ですが,その技術面を一身に背負ったであろう,マイクロソフトのエンジニアの話がクソしょうもないものでした。

 恐らく,弁護士相手だから,どうせこのくらいでいいだろう~という舐めた内容に終始していたからですね。

 最初はね,現在のAIブームは2012年にグーグルが猫の画像を75%の精度で識別した!これがエポックメイキングとなり,従来の機械学習から深層学習へと進化した,ここがポイントだ!と,ふむふむ,いいねえ~と思ったのです。

 ところが,技術的な話は,ここまで。
 あとはウィキペディアか,広告料目当てのブログかに載っているような話で,わざわざマイクロソフトのバリバリのエンジニアが話すにしてはお粗末なものでしたね。

 何が深層学習のポイントで,従来の機械学習とどこが違うかとか,そういうことを話さないと。
 
 リーガルテックだから,まずは,人工知能とは何かという導入部を,よく分かっているエンジニアにやってもらう,これはいいですよ。人工知能なんて,へ?という人も来ますからね。
 でもねえ,だからと言ってこの内容じゃいかんでしょ。これじゃあ,まだ私の方が,技術的な話をきちんと出来る位のレベルですね。NEW知識0で終わりました。

 で,その次の宣伝に来ていた,カタリストのインハウスの弁護士の話はなかなか良かったです(後述)。

 ところが,その後のクソベテみたいな弁護士の,GWに暇だったから法律相談のチャットボットを作りました~というオナニー話。
 分かった分かった爺さんの頑張った話はいいから,もっとマシな話を聞きたいなあって所で,またまた会場を後にしたわけです。

 去年に引き続き,今年も途中退席~まあこんなもんでしょ。

3 良かった点
 ということで,半分も出席していなかったので,良かった点もクソもないものですが,一応。

 まずは,上のとおり,2番めの演者のインハウスの弁護士~。カタリストということで,アメリカの白人弁護士だったのですが,1990-2000の10年ほど日本に居たということで,日本語での講義でした。
 それも良かったのですが,内容も,結構,具体的な話に言及し,当然技術的な話もありましたので,全く期待していなかったのに予想以上に良かったです。

 ま,内容は,e-ディスカバリに纏わるものでしたので,渉外やってアメリカでの訴訟案件がある弁護士に特化した内容ではあったのですが,よーく分かりましたね。
 そういえば,今月の「偽善と欺罔」(別名,自由と正義)の特集は弁護士の秘匿特権の話だったので,そういう意味からするとタイムリーだったのかもしれません。

 つぎです。
 去年は開会の挨拶が,もう死にそうな爺さんだったのですが,今年は違いました。何と,ピロシでした。
 ピロシと言えば,成仏理論で超有名~♫ですし,おまえら成仏,俺モリハマ~♡という,キャッチーなコピーを残したことでもよく知られております。

 私は法学部出身じゃないので,有名と言われている法学者の面識はほぼ皆無です。ま,辰巳の日曜答練で出た人は知ってますけど(なので,吉野正三郎が懲戒されたのを聞いたときは色んな意味で衝撃でしたね。),それ以外は活字でしか知りません。

 ところが,今回ノコノコ出てきたので,おおーこれがあの有名なピロシか~結構ガタイがいいなあ~と初めてわかりました。良かったです。ムフフ。

 ま,それのくらいですかね。
 本当,こういうのって,弁理士会の方が遥かにマシですね,当たり前ですが。

3 ほんで,今年も折角なので,いじわるねずみを探しました(いじわるねずみのことは,去年の記事にも書いています。)。やはり居ましたね。

 ということで,これからしばらくもIT法研究部会への参加は見合わせたまま~です。
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