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知財,特に特許を中心とした事件を扱っている理系の弁護土の雑記帳です。知財の判決やトピックについてコメントしたいと思っております。
1 本日は,月曜日~。ちょっと肌寒い東京ですが,この後気温も上昇するのでしょうかね。肌寒いのは,半袖のせいだという感もありますが~。

 さて,その月曜と言えば,日経の法務面にツッコミを入れる日というわけです。今日の日経の法務面は,大々的に知財,それも特許の話だったので,こりゃあツッコミ甲斐もあろうってもんです。
 さらに,経済教室にもツッコミ甲斐のある話がありましたので,ここにも行きましょう。

 総じて,底浅~レベル低~だけど騙されるやつも多かろう~♪って所でしょうかね。

2 まずは,法務面の方からです。
(1) 「「攻めの知財」シフト進む 専守脱却、新事業に活用」
 見出しはこんな感じです。

 で,何の話かというと,IPランドスケープです。
 まあ近時,聞いたことのある人は多いのではないかと思います。

 何ちゅうか,ツイッターで今,「なう」って言葉使いますかね。今や死語?要するに,バズワード,しかも典型的なやつがこのIPランドスケープという言葉です。

 なので,今日の法務面の中身を読むと,知財のリテラシーのある方はこう思うでしょう。これって特許マップ(パテントマップ)のこと?
 そうです。結局あんまり企業に浸透しなかった~あのパテントマップが帰ってきたのです。上っ面だけリニューアルして。

 まあ仕方がないのです。IPランドスケープなんちゅうことを言うのは特定の弁護士と弁理士に限られています。両者とも,従来の出願や訴訟が右肩下がりなもんで,食っていくのが厳しくなる→コンサルタント化,というよくあるパターンです。
 特許の世界では,定期的にこういうバズワードが流れ,やった感を出すために,バズワードと分かっていて企業担当者が集り,そして流行らなくなり,次のバズワードに向かうというパターンが続いています(まあどこの業界もそんなもんでしょうけどね。)。

 例えばビジネスモデル特許,例えば特許ポートフォリオ,がその例です。だけど,これらは一定の流行りは作りましたから,まだマシです。
 CIPOって知っていますかね?Chief Intellectual Property Officer(知的財産最高責任者)の略らしいです。これも,ちょっと前に流行らそうとした挙げ句,ちっとも流行らなくて,大笑い~となった事例です。

 IPランドスケープも,ビジネスモデル特許じゃなくて,CIPOの道を辿りそうですなあ。

(2)まあ要するに,逆なのです。知財のシステムをいかに良くしようとも,それでは何も生まれないのです。

 地方なんか典型じゃないですか。
 地方で栄える業種は今や2つしかありません。分かりますかね?
 一つは公務員,もう一つは病院です。

 まあ別に栄えて悪いってわけじゃありませんが,両方とも付加価値を生むわけではありません。要するにイノベーションには資さないってわけです。

 田舎に帰ると,トシちゃん,ふるさと納税頼むで~と同級生の市役所勤めのやつからよく言われます。しゃあしいやっちゃちゅう感じです。

 で,うちの田舎で,呉崎という海に面した地域があり,そこは白ネギの産地としてかなり有名になりました。呉崎の白ネギというと,食通,こだわりの料理人など,都内でも結構知られるようになってきています。

 ですので,呉崎に行くと,ネギ御殿が結構建っているわけです。仮に市役所の同級生が何かするなら,ふるさと納税のおねだりじゃなく,こういう白ネギみたいなものをもっと増やすということじゃないですかね。

 ほんで,そうすると,他の地域のネギと区別し,ブランド化しないといけない,またネギの栽培法も真似されたくない・・・,こうなって初めて「知財」を考える必要があるってことになります。
 そう!求めよさらば与えられん,なのです。どんなに素晴らしい知財のシステムを作ったって,考えたって,求めがないなら全くの無意味!
 今の日本は須らく発想が逆なのに,やった感を出したいから,そこに気づかぬフリをする~重症ですね。

3 次は経済教室です。

 まあどういう話かというと,「転勤に利点、柔軟性高めよ」というタイトルのものです。
 中身には,「  まず、職務遂行能力は転勤経験者の場合、非経験者に比べその属性を考慮しても有意に高い。時間当たり賃金も約11%高く、様々な属性を加味しても、約7~9%高くなっている。 
 転勤回数の影響をみると、海外転勤回数のみ賃金に影響を与える。さらに課長以上に昇進する確率は、転勤経験者の方が同様な手法を用いても有意に高くなっており、転勤経験者のパフォーマンスは相対的に高いことがわかる。」ということも書いております。

 だけど,そもそもここでいう職務遂行能力とかパフォーマンスとか,一体どういう基準で測ったのか,全く分かりません。恐らく,給料(賃金)の高さだけだと思いますね。

 だとすると,私のような企業勤め,特に転勤もあるような大企業勤めの経験者からすると,はあ?何言ってんの?という感想しか持たないのではないですかね。

 この先生,「  ここで、企業はもともと能力・スキルの高い人を選んで転勤させているのであって、転勤経験だけで能力・スキルが向上し、賃金や昇進可能性が高まったわけではないという指摘もありうるだろう。 
 ただ分析を見ると、賃金や昇進に対しては、学生時のクラブ活動経験や勤勉性といった就業前要因の影響を差し引いても、プラスの転勤経験効果が維持されているという結果が出ている。ここからも、転勤は就業前の要因だけでは捉えられない理由によって、賃金や昇進などに一定の影響を与えていると言えそうだ。」とも書いています。
 でも,このエクスキューズを読んでも,やはりはあ!何言ってんの!となると思います。

 まあ私が指摘するまでもないと思いますけど,一応,ツッコんでおきます。
 これねえ,一番肝腎なポイントが抜けているのですよ。

 ちょっと前に,村八分とマラソンの大迫に関し,こういうことを書きました。
 ポイントは,「ういやつとそうじゃないやつでの差別」,これが日本の集団,組織の特徴であり,これがイノベーションを阻む最大の要因でもある,ってことです。

 今回のこの経済教室には,この視点が欠けているのです。だから,はあ?となるわけです。
 つまり,会社の言うことを聞く,どんな場所でもどんな職場でもイエッサー,ジークハイル!と転勤に応じるういやつ,他方,ええ,何でワシがそんな関係のない所に行かないといけねえの,しかもこの前やっと家買ったばかりなのにと転勤を渋るういやつじゃないやつ,さあどっちを評価しますか?また評価するだろうと思いますか?アキラ的差配を旨とする日本的権限者の皆さん,そしてそんなアキラ的差配を目にしたことのある,企業勤め経験者の皆さん。

 答えは簡単ですよね。前者です。

 私のサラリーマン時代(ソニー)の同僚等に,私のサラリーマン時代の評価,特にネガティブな評価を聞くと面白いと思います。
 勤勉じゃない,不真面目,セクハラばっかしてた,恐らくそういう評価だろうと予想されます。だけど,同じネガティブ評価でも,仕事が出来なかったとか,能力が低かったとか,恐らく一つもないでしょう。

 ソニーでは,自分の会社からの評価を確認する方法(勿論,客観的な方法)が年に2回あります。
 ま,大手企業だとどこもそうだった(今もそうかも)ので,わかるひとにはわかるでしょう。
 そう,賞与,ボーナスです。

 給料ってそんなに変わらないのですね,同期間で。ま,大手企業も官公庁もそうでしょうけど。
 だけど,ボーナスって結構変わります。

 で,基本給の何倍・・・がボーナスですから,その何倍の値が,会社の評価値で結構変わるのです。
 例えば,通常3月が,1個評価が上がると,3.5月になるとか,1個評価が下がると2.5月になるとかです(まあこんな大目盛りじゃないですけど。)。

 ソニーは,5段階か7段階だったと思います。なので,3つ目か4つ目が標準でした(評価値は,ボーナス日である6/10と12/10に,会社の外で,共産党系?の労組がビラを配っていてそれを見ることで分かりました。)。

 で,私はどこだったかというと,5段階の4番めか,7段階の6番目でした(ソニーをやめる直前)。
 とにかく,ブービー賞,一番下から2番めだったというのはよく覚えています。

 ドベってなかなかないですね。休職者用の評価だと聞いたことがあります。
 なので,私の評価は休職者よりちょっとマシ!な程度,ってことです。

 ソニーをやめて弁護土になったなんて言うと,ときどき,いやあもったいなかったんじゃない,そのまま居た方が良かったんじゃないの~と聞かれます。 
 だけど,私,上記のとおりです。もったいないと思えるほどのお金はもらっておりませんでしたので,かなりアッサリ決心がつきました。また,やめてこの方,もったいなかったなあって思ったことは皆無です。

 会社で出世できる(給料がよくなる)類型の人って決まっています。そういう視点がない今回の経済教室,本当底が浅いです。いっぺんでも会社勤めしていれば決して欠かさない視点だと思います。

 また,傷口に塩を塗る話で恐縮ですが,さらに今回の経済教室,欠点があります。
 上記のとおり,転勤なんてあるのは,大企業の正社員だけ!なのです。中小零細企業には支社も工場もありませんので,転勤なんていう可能性ははなっからありません。

 今どき,もはや大企業で一括採用,終身雇用制じゃないだろうと言われているなか,それでも大企業の正社員の転勤傾向を分析することには,こんなに意味があるのだ!という前提がないと,そもそも全部,はあ?今更何?という所になるのではないかと思います。
 その辺もこの経済教室の記事,全く不十分でした(それっぽい導入部はあるのですけど,だから何故?転勤?という観点はありません。)。

4 まとめますと,今回の法務面も,経済教室も,日本がいかに重症かということをまざまざと見せつけてくれたという面では良かったと思います。

 まあ個人的には,ガラガラポンの破壊と創造という猪木イズムしか,日本の明日はないと思うのですけどね。

5 追伸
 毎度おなじみ流浪の弁護士,散歩のコーナーでございます。
 本日はここ東海寺横の目黒川沿いに来ております。
 
 右の塀が東海寺ですね。
 で,通路のずっと奥,画面中央が,ソニーの大崎テックです(小さすぎかな。)。

 上記の話題に上りましたので,写真にも入れました,ムフフフ。

 散歩し始めはちょっと寒かったのですが,事務所に戻るころには暑くなってきましたよ。
 いい日和ですね。
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弁護土・弁理土
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理論物理学者を目指したのはもう30年以上前のこと。某メーカーでの液晶ディスプレイのエンジニアを経て,弁理土に。今は,弁護土です。次は何かな。
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