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知財,特に特許を中心とした事件を扱っている理系の弁護士の雑記帳です。知財の判決やトピックについてコメントしたいと思っております。
1 今日は商標ということで。これはNHKのニュースです。
 一番早いニュースは昨日でしたかね,いやあ驚きました。そりゃ識別力はあるだろうけど,権利行使とかどうすんだろう?という意味です。

 立体商標というのは,商標法2条1項に定義があるとおりです。
この法律で「商標」とは、文字、図形、記号若しくは立体的形状若しくはこれらの結合又はこれらと色彩との結合(以下「標章」という。)であつて、次に掲げるものをいう。
一  業として商品を生産し、証明し、又は譲渡する者がその商品について使用をするもの
二  業として役務を提供し、又は証明する者がその役務について使用をするもの(前号に掲げるものを除く。)
 商売する人が使う識別標識(これが商標)のうちには,立体的形状も含まれるってやつです。
 
 まあそれ自体はわかると思います。立体的形状でも,これはあそこの製品だ~あそこの会社のものだとわかれば識別標識になりますのでね。

 ペコちゃんとか,カーネル・サンダースとか,コカ・コーラの瓶だとか,これまでもありました。
 でも,今回,色々考えるのは,こういう機能的であり,意匠的なものもあるんだなあということです。

2 そもそもスーパーカブのデザインは,ホンダに意匠権があったものです。そして,国内各社に権利行使し,中でもスズキに権利行使して訴訟までになったものはつとに有名です(東京地裁昭和43年(ワ)第11385号、昭和48年5月25日判決)。
 すげえ昔,今から40年以上前の判決ですが,知財やっている人はあることでよく知っていると思います。

 それは認容額の大きさです。実は,この認容額は,金7億6100万円もの高額だったのです。昭和40年代に知財の判決で,7億円を超える賠償額というのは今では一体いくらくらいに当たるのでしょうね。本当,すごいものです。
 確か,その後のエピソードで,裁判に勝ったものの,本田宗一郎は,スズキに賠償金の支払い自体を求めなかったということでも有名になったんじゃなかったでしたっけ(うろ覚え)。

 賠償金に関しては,その後,平成10年にシメチジン事件(俗にH2ブロッカー事件)で,損害賠償金25億5936万円と不当利得金5億円という高額のものが出ました。
 しかし,それまで25年もの間,知財における日本一の高額のものは,スーパーカブの意匠権のやつだったのですね。もっとも,スーパーカブの意匠権はすでにエクスパイアしている筈ですが。

3 で,元に戻りますが,要するに,立体商標を取ったのはいいけど,何に権利行使するのだろうって所がよくわかりません。

 商標自体は,こんなやつです。

 商願2011-010905ですね。指定商品は,12 二輪自動車のようです。

 例えば,審査基準には,こう載っております。

9.(1) 立体商標の類否は、観る方向によって視覚に映る姿が異なるという立体商標の特殊性を考慮し、次のように判断するものとする。ただし、特定の方向から観た場合に視覚に映る姿が立体商標の特徴を表しているとは認められないときはこの限りでない。
        (イ) 立体商標は、原則として、それを特定の方向から観た場合に視覚に映る姿を表示する平面商標(近似する場合を含む。)と外観において類似する。
        (ロ) 特定の方向から観た場合に視覚に映る姿を共通にする立体商標 (近似する場合を含む。)は、原則として、外観において類似する。
        (ハ) 立体商標は、その全体ばかりでなく、原則として、特定の方向から観た場合に視覚に映る姿に相応した称呼又は観念も生じ得る。
    (2) 立体商標が立体的形状と文字の結合からなる場合には、原則として、当該文字部分のみに相応した称呼又は観念も生じ得るものとする。

 つまりこの審査基準によると,立体商標との類否が問題になるのは,平面商標(スーパーカブに類した絵や写真の商標ってこと)や,立体商標(例えば,ガソリンスタンドやファミリーレストランの軒先にあるような立体的なデカい看板)くらいってことになります。

 じゃあ,一番コアとも思える,それこそ,スズキやヤマハが(カワサキは原付きは無かったはず),似たようなバイクを出したからって,それに権利行使は無理だと思いますよ。何故か?それは商標的使用じゃないからです。

 私のこのブログだって,ここまで,ホンダやスズキやヤマハやコカ・コーラやカワサキなどのブランド名をバンバン出してきました。
 それって商標権侵害?指定商品が違うからいい?

 違いますよ。単に説明で使っているだけ,だから侵害じゃないのです。商標的に使用していない,自他商品等を識別するような態様で使用しているわけじゃないでしょ,だから指定商品等が合致したとしても,商標権侵害にならないのです。

 ということは,いくら立体商標を登録商標にしたとしても,形態を真似したバイクに権利行使は無理!
 そりゃそうです。だって,バイクという乗り物に当たり前の使用法(乗ったり運んだり)をしているだけで,これが某社のバイクじゃ~!って使い方をしているわけじゃないでしょ。カタログに載せてもそれはやはり説明のためだから,無理じゃないかなあ。

 ま,勿論,立体商標での侵害訴訟の事例って,ひよ子事件があるくらいで(審決取消訴訟の方で決着がついてしまった。),きちんとした判決まで出たのをあまり見ませんので,実際どうなるかはわかりませんけどね。

 音の商標とかどうすんだろう?本当,権利行使まで考えて出願しないと金と時間の無駄でっせ,旦那。

 
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