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知財,特に特許を中心とした事件を扱っている理系の弁護士の雑記帳です。知財の判決やトピックについてコメントしたいと思っております。
1 今日も肌寒い東京です。先週の木曜に今季一番の暑さになったと思ったら,それ以降イマイチ寒い日の連続で,昨日も寒かったですね~。今朝も息が白かったですよ。全く,早く夏になれっちゅうのに。

 ほんで,締め切りに追われている中,面白い話があれば取り上げるということでしたので,こんな記事はどうでしょう。今朝の日経の法務面でした。

2 内容は,「シャープはこのほど、同社が液晶ディスプレーなどに使う「IGZO(イグゾー)」の登録商標を無効とした特許庁の審決を不服とし、知的財産高等裁判所に提訴した。・・・商標問題が起きたのは、IGZOに関する特許を保有する科学技術振興機構(JST)が昨年7月、登録商標の無効審判を特許庁に請求したのがきっかけだ。」ということです。

 特許電子図書館で検索すると,商願2011-44151の商標第5451821号ですね。商標は,標準文字の「IGZO」,指定商品は9類の「電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,電池,電線及びケーブル,配電用又は制御用の機械器具」のようです。

 JSTが無効審判を提起したのは,そのとおりで,指定商品中「気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,電池,配電用又は制御用の機械器具」について,です(無効2013-890052 )。

 そして,商標法3条1項3号,つまり記述的商標ということで,無効の判断がされたようです。
以上からすると、「IGZO」は、「In(インジウム)、Ga(ガリウム)、Zn(亜鉛)及びO(酸素)の複合物からなる酸化物の略語であって、1995年に東京工業大学の細野教授が国際会議において、「『酸化インジウム・ガリウム・亜鉛(IGZO)』と呼ぶ新型酸化物半導体」として紹介され、2004年に英国科学雑誌「Nature」に発表した論文が契機となって、国内ディスプレイメーカーなどが応用研究を始め、幅広い分野での開発が行われていることが認められる。  
 そして、本件商標の登録査定時前において、「IGZO」は、国内外の多くのディスプレイメーカーにより、例えば、高解像度・3次元・大型液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、(甲第2号証の1)、モバイル機器、高精細ノートPC、高精細液晶モニター(甲第6号証)、薄膜トランジスタ(TFT)、液晶テレビ(甲第10号証)、3Dテレビ、大型ディスプレー、(甲第9号証)、液晶パネル、大型有機ELパネル(甲第11号証)、電子荷札(ICタグ)に使用されるRFID(無線自動識別)チップ(甲第12号証及び甲第16号証)、電源回路の半導体(甲第15号証)、スマートフォン用中小型液晶パネル(甲第17号証)等の各種商品に使用し実用化するための研究開発が進められているものと認められる。  
 そうとすると、「IGZO」の文字は、本件商標の登録査定時前において、研究者など一部の限定された者にとどまらず、液晶ディスプレイや半導体の分野のエレクトロニクス業界において、上記酸化物を表すものとして、広く知られていたといえるものである。
(3)本件商標の指定商品において、電子応用機械器具及びその部品には、半導体素子や電源回路の半導体等が含まれ、また、電気通信機械器具には、前記液晶ディスプレイ・パネル等が含まれる。  さらに、電池や配電用又は制御用の機械器具には、蓄電池や蓄電器等が含まれるものであって、これらの関連商品として、蓄電状況を表示するモニターや停電時に視認しやすい液晶パネルを有した商品がある。  
 そして、上記商品は、事業者間での取引に供される機械器具の部品、或いは関連商品といえ、最終消費者ではない事業者が需要者(取引者を含む。)となる商品が多々含まれるものである。
(4)小括  以上を総合してみれば、本件商標の登録査定時において、本件商標を構成する「IGZO」は、上記商品を構成する原材料の一を示すものとして使用され、少なくとも上記(3)の商品に係る事業者(取引者・需要者)の間において認識されていたといい得るものである。  
 してみれば、標準文字で表された本件商標「IGZO」は、これを請求に係る指定商品に使用した場合、その商品の原材料を表したものと認識されるというのが相当であるから、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものであるというのが相当である。  
 したがって、本件商標は、その指定商品中、請求に係る指定商品について、商標法第3条第1項第3号に該当すると判断されるものである。

 うーん,これって,知財高裁に行ってもなかなかひっくり返らないって感じがしますね~。やっぱ標準文字ですので,影響がデカ過ぎます。

 私もこの分野のエンジニアだったので,ITOが登録商標になったり,TFTが登録商標だったりすると,やっぱ変な感じがします。それに一番初めに言い出したのは,東工大の細野教授のようですし。

 他方,シャープも,標準文字のIGZO以外の飾り文字というかロゴ的なIGZOを出願して登録しており,これはJSTも不問です。
 ですので,標準文字のようなIGZOは真似しても,そりゃあOKということでいいんじゃな~いかと思える一方,シャープの利益もそんなに減じることもないので(ここら辺JSTは戦略的に無効審判を提起したと思えます。),こちらもこれでいいんじゃな~いと思えるわけですね。

 ま,とは言え,裁判官も人の子,どんでん返しがあるかもしれないことはいつものとおりです。

3 ついでにもう一つ。
 今日発売の週刊ダイヤモンド,「ソニー消滅!!」というおどろおどろしい特集だったので,買ってみました。

 ま,内容は見て頂くとして,一個苦言を。
 p36~37の記事,「旧本社のNSビル。早くも工事が始まっている」と写真入りで載っていますが,これは誤導ですね。典型的なマスコミの記事ってやつです。
 記事の写真でもよーく見るとわかりますが,旧本社のNSビルのはるか向こうの工事と旧本社のNSビルとを一緒に写しているのです。ちなみに,その工事は,パークシティ大崎のビルですので。
 
 こういう風に撮ると,きちんとした位置関係がわかります。これは旧本社前の歩道橋の上から撮ったものです。私の散歩コースです。

 ところが,週刊ダイヤモンドのようにこの上部だけを重ねて写すと,いかにも工事が進んでいるように見える!ってわけです。汚いやり方です。

 ま,私はソニーがどうなろうとどうでもいいのですが,卑怯なやり方は嫌いなのです。何故かって?そりゃあ,私が卑怯者なもので,キャラが被るんだよ!

 こんなやり方すると,記事の全部についても疑うよなあ。週刊ダイヤモンドを買うことはもうないかもしれません(と言っても,気はよく変わるのですが。)。

4 あと,まともな更新は,しばらくぶりなので,桜の模様も。
 
 いやあ,新緑の季節ですね。真ん中の工事中のビルは,パークシティ大崎のものじゃないと思いますが,この辺,本当再開発が活発なのですね。
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理論物理学者を志望したのはもう30年近く前のこと。某メーカーエンジニアを経て,弁理士に。今は,弁護士です。
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