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知財,特に特許を中心とした事件を扱っている理系の弁護士の雑記帳です。知財の判決やトピックについてコメントしたいと思っております。
1 昨日の日経紙の夕刊を見てびっくりしました。何と一面トップが商標法の記事!珍しい~。
 ただ,中身を見ると,ああ,あのことね,ということで若干残念でした。
 
 内容は,こちらの日経のweb版でも見てもらった方が早いと思います。
 要するに,従来保護の対象でなかった,色,音,動き,位置,などについても保護しようというものです。記事には,TPPでどうせ要求されるだろうから,先取りしておくみたいなことも載っていたと思います。

 しかし,どうなんでしょ。

2 この話題については,以前も書きました。私もそうですが,弁理士を初めとする知財関係者は,みんな知っていた話であり,それが漸く全国紙に出たということは,単に一般国民へ周知するだけのことです。

 ということで,私も昔のブログを見直し,「商標の保護」日本工業所有権法学会年報第31号(2007)の鈴木將文先生の論文を読みなおしたのですが,うーん,やっぱり弊害が多そうだなあって感想です。

 そもそも他の国で保護するからうちの国でも,という論理というか理由は,はっきり言って理由になっていませんわな。あんた自分家の子供にも同じようなこと言われたら,ハイハイ言って何でも買ってやるんですかな。そうじゃないでしょ。
 
 例えば,アメリカでは,音の商標は登録できます。その上で,有名な,インテルのポン・ポポポーン♪が,アメリカで保護され,日本で保護されないと具体的に何か問題あるんですかねえ。
 問題が生じるのは,誰かがそれを真似したときです。ポン・ポポポーン♪が具体的に真似されるのは,当然テレビ,ラジオのCMなどでしょうし,街の電器店での展示の際などでしょう。
 しかしながら,テレビ,ラジオのCMだと,コストの関係からなかなか真似しづらいでしょうし,街の電器店では,ビジュアルを確認するでしょうから,それ単体での識別性はどうかな~と思います。
 そして,そもそも,それで保護されないからって,インテルが日本での販売をやめるかとか支障があるかっていうと,そうではないと思いますしね。そうすると無理して,国際調和する必要はないのでは,と思いますね。ましてやTPPにあわせるなんて,アホかって話です。

 さらに私が気になるのは,鈴木先生も指摘しておりましたが,特定性の問題です。私は弁護士なので,登録がどうのこうのって言うより(これは主として弁理士の職分),登録された後の権利行使が気になります。そのとき,視覚でわかるものの特定はし易いと思うのですが,そうでないものの特定→同一性の判断って,どうやるんでしょうかねえ。

 ポン・ポポポーン♪の例だと,同じ指定商品のCPUの販売などに使用した場合,誤認・混同を生じるかっていう「類似」の規範にならざるを得ないでしょうが,音楽の専門家でも連れてきて,一音ずれているだけなので,これは類似の範囲だ云々ってやるんですかね。何とも大変だし,誤認逮捕じゃないけれど,誤認侵害が相当生じるような気がします。視覚だって,主観に依る場合も多いのに,さらに客観視できない聴覚頼りって何とも心細い話です。

 一応推移は見守りますが,どうなるんでしょうかねえ。
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理論物理学者を志望したのはもう30年近く前のこと。某メーカーエンジニアを経て,弁理士に。今は,弁護士です。
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