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知財,特に特許を中心とした事件を扱っている理系の弁護士の雑記帳です。知財の判決やトピックについてコメントしたいと思っております。
1 概要
 本件は,商標4695627号の登録商標(標章は,ALL STATEのゴシック体で,指定商品は,第25類の被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴。)持つ被告に対し,原告が,指定商品のうち「被服」について不使用による登録取消しを求めて,不使用取消審判請求をした(取消2012-300230号)ものの,不成立審決を下されたことから,これに不服として,審決取消訴訟を提起したものです。

 これに対して知財高裁2部(塩月さんの合議体ですね。)は,原告の請求を棄却しました。要するに,審決のとおり,使用はあったとしたのですね。

 ということで,問題点は,使用の有無だけと言ってよいのですが,ここで取り上げたのは,そんな素直な理由じゃありません。

 要するに,慣れないことをするのはやめた方がいいんじゃなーい,餅は餅屋に頼まないと~というステマが理由です。

2 問題点
 商標法50条1項は,こんな条文です。

継続して三年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが各指定商品又は指定役務についての登録商標(書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであつて同一の称呼及び観念を生ずる商標、外観において同視される図形からなる商標その他の当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標を含む。以下この条において同じ。)の使用をしていないときは、何人も、その指定商品又は指定役務に係る商標登録を取り消すことについて審判を請求することができる。

 同法2項はこうです。
前項の審判の請求があつた場合においては、その審判の請求の登録前三年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請 求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについての登録商標の使用をしていることを被請求人が証明しない限り、商標権者は、その指定商品又は指定役務に 係る商標登録の取消しを免れない。ただし、その指定商品又は指定役務についてその登録商標の使用をしていないことについて正当な理由があることを被請求人 が明らかにしたときは、この限りでない。

 法律家からすると,結構親切な条文だなあって気がしませんか?弁理士のころはあんまり意識しませんでしたが。
 使用していないことの証明は,悪魔の証明なので,そんなのはできませんね。ですので,請求された側としては,面倒ですが,明文上使用していることの証明を商標権者側に課したわけです。
 
 ですので,商標権者側としては,兎に角証拠をバンバン集めればいいのです。法的主張なんてある意味どうでもいい話です。
 つーか法的主張は,基本弁論主義だとかの当事者主義の範疇の外の話であり,法令の解釈適用はそもそも裁判所の責任・専権ですので,代理人を含めて当事者は,兎に角事実の主張,そして,それを裏付ける証拠を集めればそれでいいのです。
 格好つけて変な法的主張を繰り出すなんてね~,奇策好きに戦略家なし,ですわ。

 ところが,それがよくわかっていない場合があります。
 弁護士でもわかっていない場合もありますが,まあ弁護士なら,まだ何とか大丈夫かなあ(後述)。でも,弁理士だと,本当わかっていないことが多いです。つーか,そういう訓練していないので,当然と言えば当然なのですけどね。

3 判旨
 「商標使用は,商標権者が登録商標管理として入念に配慮しなければならず,その関係の内部資料を保管しているべきであって,たやすく立証可能な事実であるのに,被告はネットの掲載などの断片的な証拠を提出するのに甘んじている。しかし,上記1認定の各事実を総合すると,レイラニ社は「2012-02-06」すなわち平成24年2月6日に「ALL STATE」の文字を含む本件標章を取り入れた革製ジャケットについてネット上で広告・宣伝したことはかろうじて認めることができる。・・・なお,上記1(4)の認定事実によれば,在庫商品の「ALL STATE」の革製ジャケットに本件商標が付されていたのか不明であり,商標法2条3項1号に該当する使用の事実があったか必ずしも明らかではないといわざるを得ない。
 ただし,上記1(1)の認定事実によれば,レイラニ社の在庫商品として刻印,下げ札等により商品に本件商標を付していたことがうかがわれ,かかる行為自体は,商標法2条3項1号に該当するといってよい。もっとも,その時期は特定されておらず,本件審判請求の登録前3年以内であるか否かは必ずしも明らかではないといわざるを得ない。
 また,レイラニ社の本件商標の付いた在庫商品の数は平成23年7月10日分しか判明しておらず,その前後の変動は不明であり,在庫商品が実際に販売に供されて譲渡されていたかもまた不明といわざるを得ず,商標法2条3項2号に該当する行為があったとは認められない。
 以上のとおり,本件商標使用の事実立証は極めて雑ぱくなものといわざるを得ないが,当裁判所は,上記(2)におけるただ1回の広告・宣伝の事実だけはかろうじて認定が可能と評価したものである。」
 
4 検討
 判旨を平たく言えば,もうちょっとましな証拠があるはずなのに,適当な証拠しか出さない~,しっかりせえや,代理人もついてるんだろ~,ギリギリおまけじゃ,こーんガキャあ(ここは大分弁),というところでしょう。

 これは勝ったから良いようなものの,代理人が当事者を厳しく突いて,もっと資料を出させるべきだったでしょうね。上にも書きましたが,やはりそういうところは弁理士は甘いです。

 そして,ちょっと検索したら,同じ被告でこういうものも出て来ました。何かこれは巻き込まれ(コラテラル)事故ってな感じで,ちょっと可哀想ですが,やはりうーんという感じがしますね。

 弁理士の方は,そりゃ特許や商標の専門家かもしれませんが,契約の専門家ではありません。
 契約を結ぶときに,個々の条項の意味がわからずひな形を使ったり,それを当事者に言われたままちょっと変えるだけじゃあ,ダメなんじゃないですかね。いやいや恐ろしいことですよ。

 というのは,私はかつて弁理士だけでした。それが今は,弁護士でもありますので,弁理士時代の自分がいかに契約というものを知らなかったかが,如実にわかるからです。
 一言でいえば,そんなことすら知らないのに,よく契約書をレビューしたり,契約の交渉に出て来れるもんだ,って所です。

 まあこういう年寄りのボヤキみたいな話になったのも実は元があるのですが,このブログには一応ポリシーがあります。ときどきは例外的なこともありますが,やはり事件のことは書けません。

 ですので,こういう書き方になったのですね。いやあ本当はすごく書きたいのですが,しょうがありません。

5 昨日のサッカー
 昨日は勝てませんでしたが,よく引き分けたと思います。アンラッキーな失点には,ラッキーな得点を,という人生良し悪しのバランスが同じということでしょうかね。
 私も,良い事が続いたら,やばいな~と思いますし,悪いことが続くと,良かった良かったと思いますけどね。

 サッカーに話を戻しますと,ブルガリア戦に比べれば,戦う姿勢にはなっていたと思いますよ。ただ,その中でも本田は頭一つ抜けていたって感じがしますね。後で,PKのときのVTRを見るとわかるのですが,本田が一人だけペナルティーエリア目指して歩んでいるのに,他のメンバーはもう一目散にペナルティーエリアから退散しているのですね。

 だって,そりゃあ外せば罵倒されるかもですが,あそこで決めれば,明日のヒーローじゃないですか。クラブに戻ったら給料も上がるかもしれないし,CMのオファーだって来るかもしれないし,合コン行ってもお姉ちゃん持ち帰り放題ですよ!美味しいことが一杯あります。
 だのに,本田とPKのキッカー争いをせずにスタスタ見学に回るなんて,考えられないな~。

 ですので,負けると思ってたと言ったウッチーは,正直過ぎてダメだし,圭佑くんみたいなのがあと二三人欲しいと言ってた香川は減点100ですね,お前がなればいいだけの話。

 下世話な欲望丸出しでもいいから,ギラギラが足りないな,本当。
 私は世代的にギラギラし過ぎかもしれませんが,こういうのって,いざというとき意外と大きかったりするんだよなあ。

 ま,兎も角も決まって良かったと思いますよ。昨日負けてたら,アウェイ(ドーハですけど)のイラクにも負けて,他のチームの成績と睨めっこの可能性が大きかったとおもいますからね。それじゃあ気分良くありませんしね。
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理論物理学者を志望したのはもう30年近く前のこと。某メーカーエンジニアを経て,弁理士に。今は,弁護士です。
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