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知財,特に特許を中心とした事件を扱っている理系の弁護士の雑記帳です。知財の判決やトピックについてコメントしたいと思っております。
1 概要
 本件は,控訴人(興和,原告)が,被控訴人(東和薬品,被告)に対し,控訴人の有する本件商標権(4942833です。)に基づいて,主位的には,原判決別紙被告標章目録記載1~5までの各標章(「ピタバ」を横書きにした標章)を付したPTPシートを包装とする薬剤の販売差止めとその廃棄を,予備的には,本判決別紙被控訴人標章目録記載6~10までの各標章(「ピタバ」と「スタチンCa」を横書きに上下二段に配して成る標章)を付したPTPシートを包装とする薬剤の販売差止めとその廃棄をそれぞれ求める事案の控訴事件です。

 原審の東京地裁民事40部(東海林さんの合議体ですね。)は,「被控訴人は,被控訴人標章1~5に係る商標的使用をしておらず(予備的主張である被控訴人標章6~10に係る商標的使用も否定した。),商標権の侵害行為又はみなし侵害行為のいずれも認められないとして,控訴人の原審請求をいずれも棄却した。」わけです(平成26(ワ)772,平成26年11月28日判決)。

 で,やはりこの結果に気に入らない原告が控訴したのが本件というわけです。

 これに対して,知財高裁2部(清水さんの合議体ですね。)は,控訴を棄却しました。要するに,やはり商標的使用はしていない!ってことです。

 お,何か数日前に同じようなを紹介しましたね。そう!原告も商標権も同じで,被告が違うだけです。
 ま,何かの判決で書かれたように,後発薬を商標権で牽制したものの,見事に失敗~♫の事例の一環です。

 で,わざわざこんな同じような事件を取り上げたのは理由があります。それは裁判官独立の原則!です。

2 問題点
 問題点は上記のとおり,商標的使用です。

 商標的使用はもういいですよね。数日前の記事を見て下さい。

 で,そのとき問題になったのは,商標的使用の主張立証責任の所在です。
 何と言っても,商標法26条1項6号,
第二十六条  商標権の効力は、次に掲げる商標(他の商標の一部となつているものを含む。)には、及ばない。 六  前各号に掲げるもののほか、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができる態様により使用されていない商標
が,抗弁事実の条文のところに来ましたので,従前の多くの裁判例のやり方(請求原因事実)と異なるのではないか,が一応問題になったわけです。

 ほんで,数日前の知財高裁4部の富田さんの合議体は,改正されて条文が加わったよね→じゃあ被告側に主張立証責任ありだ→被告側の立証成功!商標的使用無し→請求棄却,控訴棄却としたわけです。

 で,今回の判決はどうでしょうか?

3 判旨
「2 当審における当事者の補充主張(争点(2))
(1) 控訴人
・・・・
(2) 被控訴人
・・・・」

「⑦ 原判決21頁13行目から同25頁10行目までを次のとおり改める。
「(2) 検討
 前記第2,1及び上記(1)の認定事実によれば,①慢性疾患薬である被控訴人各商品は,通常,PTPシートごと患者に交付されること,②被控訴人各商品・・・・
被控訴人標章1~10が,患者との関係において,有効成分と理解されているのか,あるいは,販売名と理解されているかはさておいて,これらの標章は,他種の薬剤との混同を防止するという識別のために用いられているのであり(患者にとってみれば,その表示の意義を知らないでも,自分が飲むべき薬か否かの区別がつけば十分である。),他社の同種薬剤との混同の防止,すなわち,出所識別又は自他商品識別のために用いられているのではなく,かつ,そのような機能も果たし得ない。
 したがって,被控訴人標章1~10が,本件商標の使用に該当すると認めることはできない。・・・・」」

4 検討
 清水さんの合議体では,商標法26条1項6号のしょの字さえ出てきておりません。上記のとおり,判旨も,控訴人から書かれており,商標的使用の主張立証責任は,控訴人(原告)にあるように見えます。
 いやあ,不思議ですね。

 勿論,上記の判旨のとおり,今回,原判決を修正するパターンの二審判決なので,必要な所しかいじっておらず,原判決を踏襲しているだけだ!と言えないこともありません。そうすると,一審判決時には,商標法26条1項6号なんて無かったのですから(改正前),今回の二審判決にも商標法26条1項6号がでなくて当然かもしれませんね。

 でもでもやはり,気になります。実は富田さんの合議体の判決の口頭弁論終結日が今年の5/28で,今回の清水さんの合議体の判決の口頭弁論終結日も今年の5/28,つまり,全く同じ日です(あ,口頭弁論終結日の大事さは,民訴法の基本書などで勉強してくださいね。特に弁理士の皆さん~♡)。
 にも関わらず一方は,商標法26条1項6号真っ正面で,他方は商標法26条1項6号の欠片もないって,実に不思議じゃないですか。

 被告は違いますが,原告は同じなわけでしょ。
 私のような質の悪い代理人だと,清水さんの合議体でも,いやいやいや~商標法が改正され商標法26条1項6号ができたでしょ,これって原告の主張立証責任じゃないですよ~被告にきちんと主張立証させてくださいよ~全部の要素を挙げてそれを一々商標的使用じゃないってやる証明か,それとも商標的使用と論理的に両立しない態様での使用であることの証明か,どちらかやってくださいよ~♫って準備書面に書きますね。

 恐らく,原告はそれっぽいことを主張したんじゃないかなあ,よくわからんけど。でも,裁判所は,一審判決修正パターンで押し切ったのかもしれません。じゃないと,口頭弁論終結日が同じなのに,一方は条文の明文の該当で切り,他方はグニャグニャよ~で切った理由がわかりません。

 実に不可解ですよね。ですので,若干面倒かもしれませんが,ここは原告にこの両事件について,上告等をやって欲しいです。いやあこのままじゃ,糞切りが悪いっちゅうか,残尿感があるっちゅうか,中出し切れていないっちゅうか,ですのでね。

5 追伸
 毎度おなじみ流浪の弁護士,散歩のコーナーでございます。
 本日は,ここ大井町駅近くに来ております。
 
 東海道線や京浜東北線で,品川から大井町の間の線路際,海側に,桜並木が見えませんかね。それがここです。もう,大井町駅間近って場所です。
 かなりの古樹のせいか,セミの大合唱です。

 と散歩をしているのですが,昼休みの間なので,結構しんどいですね。今日の東京の最高気温は,35度ちょうどだったようです。こんな日に歩いていると本当倒れそうです。

 いやあこう暑いと海に~って感じなのですが,あいにく湘南の方は,いつもの湘南に戻っており,ちょっとサーフィンも厳しそうですね。一応,明日もサーフィンの予定なのですが。

 で,本日で7月も終わりです。
 このブログで振り返ってみても,月の初めは梅雨寒で,雨ザーザーな上,気温も低くどうなってんのこれ?っていうような7月だったと思います。ところが,中旬に入った途端,気温も上昇,そして台風で梅雨も吹き飛び,一気に夏本番になったわけです。
 本当,同じ月の話だとは思えませんね。

 さあ,明日から8月。どんな月になるんでしょうね。

6 さらに追伸
 何か色んなところでオリンピックのロゴ問題が騒がれているようです。 
 と,すっとぼけておりますが,私の所にもマスコミから取材の申し込みがあったようです。

 こんなことがあると一番先にこのブログに書きそう~と思われているようですが,何故か全く書いておりません。まあ,個人的には騒がない方がいい話かなあと思っているわけですね。

 ですので,野次馬の皆さんや,その野次馬を当てにしているマスコミの皆さんには申し訳ない限りです。ですが,私は自分で言うのは何ですが,皆さんよりチョビっとだけレベ~ル~が違いますので,ご了承のほどを。
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理論物理学者を志望したのはもう30年近く前のこと。某メーカーエンジニアを経て,弁理士に。今は,弁護士です。
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