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知財,特に特許を中心とした事件を扱っている理系の弁護土の雑記帳です。知財の判決やトピックについてコメントしたいと思っております。
1 本件は,原告(南京町商店街振興組合 )が,被告(神戸瑞穂本舗株式会社)に対し,①原告の後記商標権を被告が侵害したとの不法行為(民法709条)②被告が,原告商標を含む商標「南京町」を組合規約ないしその他の合意に反して使用した債務不履行のいずれかに基づき,原告に生じた損害の賠償及びこれに対する請求の日(訴状送達日)の翌日から債務不履行に基づく請求に関し,商事法定利率である年6分(不法行為に基づく請求に関しては年5分)の割合による遅延損害金の支払を求めた事案です。
 ただし,このうち②の訴訟物については,撤回し,新たに,「被告は,組合員らしく振る舞った者であるから,原告の規約等に拘束される」旨の主張(以下「組合契約以外の法律関係に基づく請求」という。)を追加しております。
 これに対し,大阪地裁第21民事部(谷さんの合議体です。)は,原告の請求をいずれも棄却しました。

 若干話題になった神戸の中華街である「南京町」の事件ですね。ということで,久々の商標ということもあり取り上げました。

 なお,原告の商標は, この通りです。
 洒落た感じにしているのでしょうかね。指定商品及び役務の区分は,第30類及び第43類で,指定商品及び役務は,「茶,氷,菓子及びパン,調味料,穀物の加工品,ぎょうざ,しゅうまい,肉まんじゅう,ハンバーガー,べんとう,即席菓子のもと,飲食物の提供」です。
 他方,被告の商標も原告の商標の下の6つのやつです。大体,南京町冷麺というのが基本になっているようです。

2 検討
 ま,今回は「南京町」ということで,殆ど一般名詞みたいなやつが殆ど過誤登録と言ってよい登録になった場合の権利範囲って何?ってやつです。

 こういう場合,通常は,商標法26条1項2号3号があります。
第二十六条  商標権の効力は、次に掲げる商標(他の商標の一部となつているものを含む。)には、及ばない。
二  当該指定商品若しくはこれに類似する商品の普通名称、産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、数量、形状(包装の形状を含む。次号において同じ。)、 価格若しくは生産若しくは使用の方法若しくは時期又は当該指定商品に類似する役務の普通名称、提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途、数量、態 様、価格若しくは提供の方法若しくは時期を普通に用いられる方法で表示する商標
三  当該指定役務若しくはこれに類似する役務の普通名称、提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途、数量、態様、価格若しくは提供の方法若しくは時 期又は当該指定役務に類似する商品の普通名称、産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、数量、形状、価格若しくは生産若しくは使用の方法若しくは時期を 普通に用いられる方法で表示する商標

 例えば,私が,「ローオフィス」なんて商標を出願して,たまたまそのとき特許庁の審査官がXvideosなんかを見ていて,登録されちゃったとしましょう。
 そうすると,ここぞとばかりに,英語でHPとかに表記している同業他社に,おら~使うんじゃねえぞ,これは俺の商標なんだからな,なーんて言ったときに,そんな変な権利行使を防止するためのものです。
 だって,本来普通名称なんてみんな使うわけなので,一人の独占には合わないのですね。

 ただ,今回,南京町は,一般名称と言っていいですけど,指定商品とのマッチングが無かったのですね。法律事務所でローオフィスなら,その普通名称と言えますが,穀物の加工品や飲食物の提供で,南京町が普通名称とは言えませんよね。

 ただ,単なる地名なので,南京町って聞いても誰の何の商売かまったくわかりませんよね。豊後高田や大分と同じです。
 勿論,豊後高田市自身が豊後高田という商標を使えば,豊後高田だってわかりますから,誰の何の商売かわかります。でも,そういう事情すらないと,あ~コリャコリャって所ですね。
 
3 判旨
「ア  原告は,被告標章と原告商標とが類似であることの前提として,原告商標の書体に格別の意味はなく,標準文字で表現される「南京町」も,原告を指すものとして自他識別力がある旨を主張する。
    しかしながら,前記(1)によると,原告商標のロゴデザイン(字体)を捨象して,標準文字「南京町」としてみた場合には,単に神戸市中央区の元町通と栄町通の区域(いわゆる中華街)を指称するものとして,原告設立以前から長年にわたって使用されてきた一般的な名称であるといわざるを得ず,自他識別標識として機能するということはできない(商標法3条1項3号,4号に該当し,登録要件を欠くことに帰する。)。
    そうすると,原告商標は,特徴的な字体を含む外観を一体としてみた場合にのみ出所識別標識として機能するものであり,その範囲でのみ商標権としての効力を有するというべきである。
イ  また,原告は,組合法に基づいて設立された,商店街の振興等を目的とする法人であるところ,原告自身は,原告商標の指定商品等を製造販売等する事業者ではなく,中央区の元町通と栄町通の区域に所在する事業者すべてが原告の組合員であるといった事情も認められない。むしろ,証拠(原告代表者本人)によると,原告の定款上の地区内には約140店の店舗があるが,うち,原告に加入するのは81店舗にすぎない。
    さらに,証拠(甲69ないし76)のほか,本件全証拠及び弁論の全趣旨によっても,原告商標の指定商品の需要者として想定される一般消費者において,「南京町」の語自体が原告を指すものとして,周知性を獲得したとは認められない。原告が,その定款上の地区の復興,環境整備等に尽力したことをもって,そのような周知性の獲得の根拠とすることもできない。
    したがって,原告の主張する事情を考慮しても,「南京町」の語自体は一定の区域を指称する一般的な名称であり,原告商標の識別力は,特徴的な字体を含む外観にあるとの前記アの判断は左右されない。 ・・・」

「被告標章は,「(神戸)南京町」と,「冷麺」「れーめん」「生冷麺」をそれぞれ組み合わせたものといえ,外観上いずれかの部分に特徴的な区分は認められず,観念上も,「冷麺」は,商品そのものの名称であるが,「(神戸)南京町」の部分も,前述のとおり単に神戸市中央区の元町通と栄町通の区域(いわゆる中華街)を指称する一般的な名称であるから,結局一般的な名称の組み合わせにすぎず,いずれの部分にも独立した出所識別機能があるとは認められない。したがって,被告標章において,「南京町」の部分が独立して要部となることはないというべきである。
    なお,上記のとおり,被告標章はそれ自体としてはほとんど出所識別機能を有しない反面,被告商品(甲8)及びその広告(甲9)には,被告の商号が明記されており,これらが出所識別標識として機能するものと言わざるを得ない。 ・・・
  上記を前提として,被告標章と原告商標を対比すると,「南京町」という,一部共通する部分がある称呼,観念を合わせ考えても,同部分は被告標章の要部とはいえない上,被告標章が,いずれも標準的な字体で構成され,原告商標の出所識別機能を果たす特徴的な字体(ロゴ)を想起,感得させるようなデザインがされていない以上,需要者である一般消費者において,被告商品の出所が原告であると誤認混同するおそれはないといわざるを得ず,結局,原告商標と被告標章はいずれも類似しないというべきである。 」

4 検討
 ま,きちきちやると,無効の抗弁で,原告の商標をぶっつぶしてもいいような感じですね。ただ,被告からはそういう主張が出なかったようです。
 それに,仮にこういう主張が出たとしても(口頭弁論終結日には登録日から5年の経過ギリギリOKのようですが,時間のことを考えるとキルビー抗弁も出す必要はあったでしょう。),ややこしいことになりそうなので(原告は商店街の組合),こういう昔の特許でよくあった公知技術除外説みたいな権利解釈をしたのでしょうね。

 ただ,そうすると,この南京町の元に集まれ~♫みたいなやり方には今後反旗を翻すことが多くなりそうですね。やっぱ,これってそういえば単にここの地名だもんなあ,書体を変えればOkみたいなことを裁判所が言ってたもんなあってなると,仮にこの商標権の維持やライセンス料として,幾ばくか払わないといけないってなったらそんなの誰が払いますかいな。バカバカしいってやつです。書体を変えてレッツラゴーです。

 ただし,まだ地裁レベル~今後の高裁があれば,どうなるかはわかりませんよ。

5 その他
 本日は,3/11ですね。あれから3年ですか~。早いですね。今の東京はそのときの影響はほぼないと言ってよいと思いますが,私の生活もちょっと変わりました。

 そのときの模様は,このブログで書いたとおりですが,革靴で,10km程度歩く羽目になりましたので,普段は,軽くて歩きやすく,もはや走れるくらいの靴にしております。しかも,事務所には運動靴を完備です。ま,そんな程度の準備で済んでいるというのは不幸中の幸いと言えましょう。

 あの日,私は東京駅のお客さんの所から,東京地裁までタクシーで行ったのですが,そのときのタクシー運転手は気仙沼からの出稼ぎの方だったのですね。その後の津波で大きな被害があったことを知りましたが,あの運転手の家族の方は無事だったのでしょうかねえ。私を東京地裁で降ろした後,すぐに弁護士と思しき方々が代わりに乗っておりましたが,安否の確認などする暇は無かったでしょうね。私が,津波に気づいたのも,ワンセグのテレビだけでしたもの。

 実は,昨日は昨日で所謂東京大空襲の日で,東京の下町で一晩で10万人以上が死んだ日でした。それまで基地とか工場とか狙っていた米軍が何故か住宅密集地の東京の下町を狙って焼夷弾を無差別に落としたという,まさに戦争犯罪(東京裁判の訴因にもならなかった人道に対する罪ですな。)です。

 昨日今日と多くの日本人が亡くなった日なわけです。ま,あんまり起こっちゃいけねえとは思いますが,備えは常にしておく必要がありますね。

6 追伸
「特許法等の一部を改正する法律案」が閣議決定されました」ということです。早いな~経産省。

 ざっと見ると商標以外は小粒な改正ですが,まとまるとでかいなあって感じがします。意匠での画像デザインのやつは審査基準などで行くんでしょうね。つまり,意匠法2条1項の定義は変わらん,ということでしょう。あと,弁理士法の改正条文を早く見たい所ですね。

 スケジュールですが,前回のH23年改正も3/11に閣議決定(当然上の日ですよ。)して,私がぐじゃぐじゃ書いた記憶もあります。

 今回もこの通りに行くと,4/1に国会に提出され,5月の終わりか6月のはじめに成立するということになると思います。で,施行は来年の4/1からで,この解説本が来年早々出るという感じでしょうね。弁理士試験の受験生は気をつけた方がよいでしょう。

 まあしかし,商標法は本当に改正するんですね。
「 (3)商標法の改正
①保護対象の拡充
他国では既に広く保護対象となっている色彩や音といった商標を我が国における保護対象に追加します。

 他国でやると自国でもやらないといけないんでしょうかね。隣の**ちゃんがDS持っているからうちも買ってよ~っちゅう子供と同じってことですかね。
 ま,確かに官僚も学者も子供みたいな奴が多いので,さもありなんって所ですが,国民の皆さんはよくよく考えた方がいいですよ。
 色彩や音といった商標なんか無くってもこれまでも大して困らなかったし,これからも大して困らないです。弁理士は仕事が増えるだけの話だから,反対しねえか~,とすると反対するのは,やっぱ私みたいな常識派だけってことですかねえ。オホホホ。
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1 概要
 本件は,この概要が非常に重要です。
 判決の概要をそのまま載っけます。
1  本件商標
 原告は,平成13年8月24日,「エコルクス」の片仮名を標準文字で表してなり,第11類「電球類及び照明器具」を指定商品とする商標(以下「本件商標」という。)について,商標登録出願を行い,平成14年8月16日に設定登録(以下「本件商標登録」という。)を受けた(登録第4595453号)。
  2  特許庁における手続の経緯等
(1)  被告は,平成21年4月14日,本件商標の指定商品のうち第11類「LEDランプ」について,本件商標登録の不使用取消審判を請求し,同月30日,審判の請求の登録がされた。特許庁は,これを取消2009-300445号事件(以下「前件審判」という。)として審理し,同年12月9日,前件審判請求が成り立たない旨の審決をした。
 被告は,これを不服として審決取消訴訟(知的財産高等裁判所平成22年(行ケ)第10012号。以下「前件訴訟」という。)を提起し,同裁判所は,平成22年12月15日,審決を取り消す旨の判決を言い渡し,同判決は,その後,確定した。
 そこで,特許庁は,平成23年3月23日,本件商標の指定商品のうち第11類「LEDランプ」について,本件商標登録を取り消す旨の審決(以下「前件審決」という。)をし,同審決は,その後,確定した。

(2)  被告は,平成22年6月14日,本件商標の指定商品のうち第11類「LEDランプを除く,電球類及び照明器具」について,本件商標登録の不使用取消審判を請求し,同月30日,審判の請求の登録がされた。特許庁は,これを取消2010-300651号事件(以下「本件審判」という。)として審理し,平成24年2月13日,本件審判請求が成り立たない旨の審決(以下「第一次審決」という。)をした。
 被告は,これを不服として審決取消訴訟(知的財産高等裁判所平成24年(行ケ)第10102号。以下「第一次訴訟」という。)を提起し,同裁判所は,同年9月12日,第一次審決を取り消す旨の判決(以下「第一次判決」という。)を言い渡し,同判決は,その後,確定した。
 そこで,特許庁は,平成25年8月9日,本件商標の指定商品のうち第11類「LEDランプを除く,電球類及び照明器具」について,本件商標登録を取り消す旨の審決(以下「本件審決」という。)をし,その謄本は,同月19日,原告に送達された。
  (3)  原告は,平成25年9月10日,本件審決の取消しを求める本件訴訟を提起した。

 これに対して,知財高裁4部(富田さんの合議体ですね。)は,原告(アイリスオーヤマ)の請求を棄却しました。要するに,審決とおりでOKってことです。

 これは上記のとおり,前訴と前審決があり,そこでのつながりからここで紹介するものです。
 しかし,それよりも大きな理由があります。これ,原告切ないなあ,染みるわ~ということからです。

2 問題点
 こういう不使用取消審判の審決取消訴訟での,普通の論点というと使用したか使用していないかという論点です。
 ところが,今回の論点は,「 (1)  被告による本件審判請求が権利の濫用に当たるか(取消事由1)
  (2)  本件審決には,原告に意見陳述の機会を付与しなかったとの手続の違法があるか(取消事由2)。
  (3)  原告による本件訴訟の提起が訴権の濫用として不適法なものといえるか。」ということです。何やら,一般民事のような有り様です。

 ですので,概要,経緯が問題になるのですね。

 まず,前件訴訟までの復習です。
 ・H21.4.30 被告(訴外鳥海工業㈱の代取)が,「エコルクス」の片仮名を標準文字で表してなり,第11類「電球類及び照明器具」を指定商品とする本件商標(登録4595453号)について,不使用取消審判を請求して登録。対象は,「LEDランプ」。

 ・審決では使用あり,訴訟では使用無しとして,判決は確定。審決はその後,「LEDランプ」を取り消して確定。→商標法54条2項により,H21.4.30~本件商標の指定商品は,第11類「LEDランプを除く,電球類及び照明器具」となった。
 
 ここまではいいですよね。

 その後,被告は第11類の残りの指定商品まで不使用取消審判を請求したので,切ないことになりました。

 ・H22.6.30 被告が,本件商標の残りの部分の不使用取消審判を請求して登録。

 で,何が切ないかというと,原告の意識は,「LEDランプ」というのは,LED電球類のみを指し,アプリケーションである例えば,LEDを光源とする「乾電池式LEDセンサーライト」(本件商品)なぞは含まれない,という意識だったのですね。
 ですので,原告としては,H22.6.30前3年以内に,「乾電池式LEDセンサーライト」に「エコルクス」の商標を現に使っていましたので(ただし,H21.4.30以降です。),登録商標は,LED電球類の所のみ穴ぼこになったものの,それ以外の「電球類及び照明器具」について使用していたんだから,絶対不使用取消なんかならない!って思っていたんでしょうね。

 ところが,こういう原告の期待というか希望というか単なる一人よがりというか自分の良いような解釈というかは,今回の審決で裏切られます。

 その審決では,「「LEDランプ」の用語は,第一次審決が説示するようにLED電球類を指称するものに限定して使用されているものとは認め難く,むしろ取引者により,本件審判の請求の登録前3年間において,光源としてLEDを使用した多様な商品又は部材を指称するものとして広く使用されており,それ以上に対象に応じて厳密に使い分けられているものではないばかりか,少なくとも,防犯等を目的として室内又は室外に設置するために作られた,人の動きを探知して自動的に点灯する乾電池を電源とするセンサーライトであって,LEDを光源とするものも指称すると認識されていたものと認められる。」と認定されました。

 どういうことかというと,「LEDランプ」というのは,LED電球類のみを指すのではなく,アプリケーションである例えば,LEDを光源とする「乾電池式LEDセンサーライト」(本件商品)も含まれる,ということです。ギャー原告の意識とは真逆です。イヤ~怖い,逃げて~,って感じです。

 つまり,「乾電池式LEDセンサーライト」に「エコルクス」の商標を現に使っていたとしても,それは「LEDランプ」での使用に他ならず,しかも,H21.4.30以降の使用のため,権利を持っていないのにも関わらず,謂わば禁止権の範囲を事実上使用していたに過ぎず,登録商標の同一の範囲の使用じゃないね,ということになったわけです。ガーンです。

 実は,このH21.4.30以降については,原告のアイリスオーヤマは,このアプリケーションについて,かなり広告費を費やして宣伝しております。本来穴ぼこは,電球だけで,アプリケーションはOKなんだもんーんと思っていたからでしょう。それに,そういう意識で,前訴も戦ったんだもーんって所でしょうね。

 ところが審決は上記のとおりでした。

 いやあだったら,前の訴訟のときに言ってくれよ・・・とは思うかもしれませんね。

3 判旨
「1  事実認定
 ・・・この前件審判及び前件訴訟において,原告は,特定のLED電球の包装に本件商標を付したとの事実を主張し,それ以外の使用に関する事実を主張しなかったため,被告は,原告によるLED電球に関する本件商標の使用事実を否認して争ったものの,それ以上に,「LEDランプ」との用語が,例えば防犯等を目的として室内又は室外に設置するために作られた,人の
動きを探知して自動的に点灯する乾電池を電源とするセンサーライトであって,LEDを光源とするもの(本件商品)を含むものである旨を主張はしなかった。・・・

 第一次訴訟において,原告は,本件商標の指定商品中の「LEDランプ」とは,「LED電球類(電球型LEDランプ又は蛍光灯型LEDランプ等のLEDを用いた一般的に光源として利用される電球類)」の意味であり,「LEDを使用した照明器具」を含まない旨主張する・・・

 第一次判決の理由の要旨は,以下のとおりである。 ・・・「LEDランプ」の用語は,第一次審決が説示するようにLED電球類を指称するものに限定して使用されているものとは認め難く,むしろ取引者により,本件審判の請求の登録前3年間において,光源としてLEDを使用した多様な商品又は部材を指称するものとして広く使用されており,それ以上に対象に応じて厳密に使い分けられているものではないばかりか,少なくとも,防犯等を目的として室内又は室外に設置するために作られた,人の動きを探知して自動的に点灯する乾電池を電源とするセンサーライトであって,LEDを光源とするものも指称すると認識されていたものと認められる。 ・・・

  したがって,本件商品は,前件審決の確定により前件審判の請求の登録の日(平成21年4月30日)に本件商標の指定商品から消滅したものとみなされる「LEDランプ」に該当するから,同日から本件審判の請求の登録の日までの間において,本件商標の指定商品に該当しない。そして,原告は,上記期間内における本件商品に対する本件商標の使用のほかに,本件商標又はこれと社会通念上同一の商標を本件商標の指定商品について使用したとの事実を何ら主張立証していない。
 以上によれば,原告は,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品「LEDランプを除く,電球類及び照明器具」のいずれかについて,本件商標を使用していたことを証明していない。したがって,この点の認定判断を誤る第一次審決は取消しを免れない。・・・ 」

「2 争点(1)(被告による本件審判請求が権利の濫用に当たるか(取消事由1))について
 ・・・原告は,前件審判及び前件訴訟において,特定のLED電球の包装に本件商標を付したとの事実を主張し,それ以外の使用に関する事実を主張しなかったため,これを争う被告は,原告によるLED電球に関する本件商標の使用事実を否認して争えば足り,それ以上に「LEDランプ」との用語が,乾電池式LEDセンサーライト(本件商品)のようなものを含むものであることを主張する理由も必要もなかったのであって,被告が前件審判及び前件訴訟において,「LEDランプ」の用語についてこの点を明確に主張していないからといって,そのことは,何らかの意味において原告の信頼の根拠となるものではない。また,訴外会社は,平成19年7月10日頃には,LEDを光源として使用する青色防犯灯を販売するようになり,平成20年8月11日頃から,当該青色防犯灯に被告商標を付し継続して使用しており,被告は,前件審判の請求に当たり,「LEDランプ」との用語が光源としてLEDを使用する防犯灯を含む意図を有していたものである。
 そうすると,原告において,LED電球以外の照明器具については,前件審判の取消しの対象である「LEDランプ」には当たらないと信じ,本件商標を本件商品その他の照明器具について使用し,平成22年ないし平成24年6月までの期間に,総額16億円以上の費用を負担して宣伝広告を行い,その結果,取引界において,本件商標が原告の出所を表示するものとの幅広い信用が形成されていたとの原告の主張を前提としたとしても,被告による本件審判請求が権利の濫用に当たるということはできず,他に被告による本件審判請求が権利濫用に当たることを基礎付けるに足りる事実を認めることはできない。」

4 検討
 誰が悪いんでしょうね。
 いやあ誰かがきちんと説明して原告が納得できていたら,禁止権の範囲(今となっては全部消えてしまいましたので,禁止権もクソもないのですが。)での広告宣伝に16億円も支払わなくても済んだということですかね。

 それとも,どっかで和解していれば良かった?

 色々考えさせられます。アイリスオーヤマは,結構大手企業なので,自前で判断できると思います。
 それに,アイリスオーヤマの出願情報検索しましたが,代理人を使ってませんね。
 審判請求時には,さすがに被請求人なので使っているようですが,普段使いの弁理士はいないのかもしれません。
 他方,相手方の被告は,出願から代理人を使っております。アイリスオーヤマに比べて小さい企業なので,弁理士を頼るしかなかったのでしょうが,逆にそれが幸いしたのでしょう。

 上手の手から水は溢れるとも言います。普段,調査やら何やらをきちんとして,弁理士を頼まないでよいくらい商標登録出願には長けていたのでしょうね。だから,取消審判になったときだけ依頼した,だから,審決の解釈も自分達でやった,だからこの商品に使えば登録商標の使用と言えると思った,なんつっても,アホな弁理士なんか依頼しなくても何でもできる僕だから~♫弁理士なんか頼んでも金ばっかかかるだけでな~んもいいこと無いもんね,そうでしょ。

 だけど,虚心坦懐に何でもやらんといかんのじゃないですかね。私も,大きな事を書いているようですが,普段は意外と謙虚ですのでね。
 
 おかげで,エコルクスの商標登録はなくなりましたよ(まだ最高裁があるか。),いやあこれは知財部,法務部,全員のクビが飛んでもおかしくないと思いますねえ。
 ま,人の不幸は蜜の味~,無責任な第三者としては,まだまだ楽しませてもらいまっせ~♫

1 概要
 本件は,「LADY  GAGA」の文字を標準文字で表してなり,第3類,第9類,第14類,第16類,第18類,第25類及び第41類に属する商品及び役務を指定商品及び指定役務とし,平成22年4月12日に登録出願された商願2010-28913号に係る商標法10条1項の規定による商標登録出願の分割として,平成23年3月28日,第9類「レコード,インターネットを利用して受信し,及び保存することができる音楽ファイル,映写フィルム,録画済みビデオディスク及びビデオテープ」を指定商品とする本願商標について,商標登録出願をした(商願2011-21592号)原告(エイト  マイ  ハート  イン コーポレイテッド)が,特許庁から拒絶査定を受けたので,これに対する不服の審判請求をしたものの,特許庁は,同請求を不服2011-27961号事件として審理した上で,拒絶審決(商標法3条1項3号及び4条1項16号の該当)をしたため,これに不服の原告が審決取消訴訟を提起したものです。

 これに対して,知財高裁2部(清水さんの合議体です。)は,原告の請求を棄却しました。要するに,審決のとおりというわけですね。

 マスコミでも結構報道されたレディ・ガガ商標事件ですね。

 商標と指定商品等は,上記のとおりです。ま,ですので,なかなか識別性がないかなあという所です。

2 問題点
 別に音楽に限らず,創作者の名前や,タイトルってなかなか識別力と結びつかない所です。

 何言ってんだい~,レディ・ガガって書いてりゃあレディ・ガガのニューアルバムだってわかるし,村上春樹だって書いてりゃそうだってわかるじゃん,と思うかもしれません。でも,商標で一番大切な識別性って,それがそれとわかる,という単純な意味じゃないのですね。

 どういうことか?
 商標は,商売をしている人や法人が商品や商売道具に付けるものです。ですので,自分と他人の商売を区別するために使うものなのですね。具体的に言えば,レディ・ガガのアルバムとブリトニースピアーズのアルバムを区別するためものではなく,ユニバーサルミュージックとソニーミュージックを区別するためのものが商標だ!ということですね。

 本の題号もそうですね~,「新・商標法概説」やら「著作権法」やら,「特許法概説」やら,その商品(本ですね。)の品質(中身ってことです。)を表示しただけ,ですもんね。
 ですので,「レディ・ガガ」のアルバムって言ったときの「レディ・ガガ」って,アルバムの中身を表示しただけで,別に識別力を発揮したわけじゃないですわなあ。

 これが,商標法3条1項3号の話です。
 
 もう一方の4条1項16号は簡単です。そんなレディ・ガガ商標をブリトニー・スピアーズのアルバムに付けるとどうなるか?ってことです。
 一体だれが歌ってんだ?!となりますね。こういう商標も登録できないってやつです。

 ま,そうすると何か予想されますね~。

3 判旨
「以上によれば,「LADY  GAGA」(レディ(ー)・ガガ)は,アメリカ合衆国出身の女性歌手として,我が国を含め世界的に広く知られており,「LADY  GAGA」の欧文字からなる本願商標に接する者は,上記歌手名を表示したものと容易に認識することが認められる。
  そうすると,本願商標を,その指定商品中,本件商品である「レコード,インターネットを利用して受信し,及び保存することができる音楽ファイル,録画済みビデオディスク及びビデオテープ」に使用した場合,これに接する取引者・需要者は,当該商品に係る収録曲を歌唱する者,又は映像に出演し歌唱している者を表示したもの,すなわち,その商品の品質(内容)を表示したものと認識するから,本願商標は,自他商品の識別標識としての機能を果たし得ない。したがって,本願商標は,商標法3条1項3号に該当する。
  また,本願商標を,本件商品である「レコード,インターネットを利用して受信し,及び保存することができる音楽ファイル,録画済みビデオディスク及びビデオテープ」のうち「LADY  GAGA」(レディ(ー)・ガガ)が歌唱しない品質(内容)の商品に使用した場合,「LADY  GAGA」(レディ(ー)・ガガ)が歌唱しているとの誤解を与える可能性があり,商品の品質について誤認を生ずるおそれがある。したがって,本願商標は,商標法4条1項16号に該当する。 」

4 検討
 ま,本当原則とおりです。

 レディ・ガガ側は,他のアーティストで登録できたやつあるじゃん,と主張していましたが,これも敢え無く撃沈ですね。

 例えば上のブリトニー・スピアーズの例だと,こんな感じです。
「(111)【登録番号】商標登録第4548392号(T4548392)
(151)【登録日】平成14年3月1日(2002.3.1)
(541)【登録商標(標準文字)】BRITNEY SPEARS
(500)【商品及び役務の区分の数】4
(511)【商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務】
  第9類 理化学機械器具,測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,写真機械器具,映画 機械器具,光学機械器具,眼鏡,加工ガラス(建築用のものを除く。),救命用具,電気通信機械器具,レコード,メトロノーム,電子応用機械器具及びその部 品,オゾン発生器,電解槽,ロケット,遊園地用機械器具,スロットマシン,運動技能訓練用シミュレーター,乗物運転技能訓練用シミュレーター,電気アイロ ン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,乗物の故障の警告用の三角標識,発光式又は機械式の道路標識,鉄道用信号機,火災報知機,ガス漏れ警報器,盗難警報 器,事故防護用手袋,消火器,消火栓,消火ホース用ノズル,スプリンクラー消火装置,消防艇,消防車,自動車用シガーライター,保安用ヘルメット,防火被 服,防じんマスク,防毒マスク,溶接マスク,磁心,抵抗線,電極,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク 及びビデオテープ,ガソリンステーション用装置,自動販売機,駐車場用硬貨作動式ゲート,金銭登録機,硬貨の計数用又は選別用の機械,作業記録機,写真複 写機,手動計算機,製図用又は図案用の機械器具,タイムスタンプ,タイムレコーダー,電気計算機,パンチカードシステム機械,票数計算機,ビリングマシ ン,郵便切手のはり付けチェック装置,計算尺,ウエイトベルト,ウエットスーツ,浮袋,エアタンク,水泳用浮き板,レギュレーター,潜水用機械器具,アー ク溶接機,金属溶断機,電気溶接装置,家庭用テレビゲームおもちゃ,検卵器,電動式扉自動開閉装置
 第16類 紙類,紙製包装用容器,家庭用食品 包装フィルム,紙製ごみ収集用袋,プラスチック製ごみ収集用袋,衛生手ふき,紙製タオル,紙製テーブルナプキン,紙製手ふき,紙製ハンカチ,型紙,裁縫用 チャコ,紙製テーブルクロス,紙製ブラインド,紙製のぼり,紙製旗,紙製幼児用おしめ,荷札,印刷物,書画,写真,写真立て,遊戯用カード,文房具類,事 務用又は家庭用ののり及び接着剤,青写真複写機,あて名印刷機,印字用インクリボン,こんにゃく版複写機,自動印紙はり付け機,事務用電動式ホッチキス, 事務用封かん機,消印機,製図用具,タイプライター,チェックライター,謄写版,凸版複写機,文書細断機,郵便料金計器,輪転謄写機,印刷用インテル,活 字,装飾塗工用ブラシ,封ろう,マーキング用孔開型板,観賞魚用水槽及びその附属品
 第25類 被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴
 第28類 遊戯用器具,ビリヤード用具,囲碁用具,将棋用具,さいころ,すごろく,ダイスカップ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,マージャン用具,おもちゃ,人形,愛玩動物用おもちゃ,運動用具,スキーワックス,釣り具
【国際分類第7版】
(210)【出願番号】商願2001-37424(T2001-37424)
(220)【出願日】平成13年4月23日(2001.4.23)
(732)【商標権者】
【識別番号】501165592
【氏名又は名称】ブリトニー スピアーズ」

 これで注目すべきは,「ブリトニー・スピアーズ」が商品の品質を表すことになるような商品(例えばレコードとか)も,含まれているのですね~。

 ブリちゃんの方は,約10年前です。ですので,この頃は,あんまり,杓子定規に判断していないってことがわかります。

 他方,10年経っての「レディ・ガガ」はこのとおりです。
 どっちが間違いでどっちが正しいかなんか,チンピラ弁護士の私にはわかりませんけどね~。

5 その他
 中国のバイドゥのIMEから,バイドゥのサーバーへ文字情報のすべてが送信されていたそうです。バイドゥのIMEの方,ご愁傷様です。

 とは言うものの,私も普段使いのパソコンは,グーグルIMEなので,うーんと思ったわけです。

 ただ,グーグルの方は,打ったキーの情報そのままを送信しているわけではないですからね。でもちょっと考えるなあって所です。

 で,バイドゥIMEの話に戻ります。
 文字情報のすべてということは,そのとおり,打ったキーの情報をそのまま送信しているわけです。パスワードだろうが,クレジットカードの番号だろうが,極秘の文章だろうが,とにかく何でも送っていたわけです。

 このバイドゥIME,私も経験があるのですが,フリーソフトのインストールのときに,これにしませんか~?みたいな画面でやって来ることが多いのではないでしょうか。そのインストール画面で,ラジオボタンか何かのチェックを外しておかないと,こういう悲惨なことになってしまいます。

 私も以前ここで書いたように,酷い目にあい(と言っても大したことはないのですが。),それ以来中国製のものは非常に気をつけているのですが,電子データに,お前も一緒に靖国参拝しよ,なんて踏み絵をするわけにもいかないので,本当メジャーな所,あとネットでの評判などで判断するしかないわけです。

 便利なのか面倒なのかよくわかりませんね~。

6 追伸
 上にも少し書きましたが,安部総理が本日靖国参拝をしたとのことです。

 ま,この時期に参拝したってなあ~,あべちゃんならぬアメちゃんだしな~,とかなり冷めた感じだったのですが,その後の報道を見て考えが変わりました。

 何と,米国は失望だそうなのです。
 勿論,世の中の99%はプロレスですので,これもブックに書かれてたことかもしれません。でも,ブックだとしても,そういうことなら,ちょっとは評価してもいいかなあと思った次第です。

 だって,靖国参拝が大騒ぎになるのは,靖国神社に所謂A級戦犯が合祀されてるからですよね。
 でも,何故そこで祀られてるかというと,そりゃあアメリカのインチキ裁判で殺されたからですよ。だから,実は靖国参拝っていうのは,反中反韓ではなく,本来反米の印そのものなわけです。靖国神社の遊就館に行くと,それがよーくわかります。

 そういうものに,アメ公が噛み付いたということは,結構いい感じだということを予感させるわけですね。

 さてさて,来年は皇紀2674年,第2の零戦を開発する期間もあと24年しかありませんぜ~♫前回は決勝でボロ負けでしたが,次は大差で優勝って行きたいもんですなあ。
1 概要
 本件は,化粧品等を指定商品とする3個の商標権(RAFFINEの標準文字,RAffINEの標準文字,RAffINEの飾り文字)を有する原告が,被告が化粧品等に付した別紙被告標章目録記載一ないし六の標章(被告標章)が原告の商標権の各登録商標に類似すると主張して,被告に対し,商標法36条に基づき,被告標章の使用の差止め及び被告標章を付した化粧品やカタログ等の廃棄を求め,民法709条に基づき,損害金7000万円及びこれに対する不法行為の日の後である訴状送達の日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案です。

 これに対して,東京地裁民事47部(高野さんの合議体ですね。)は,原告の請求をいずれも棄却しました。

 よくある商標権侵害事件ではあるのですが,棄却になった理由が結構珍しいため,取り上げました。それは先使用権の抗弁が認められたからですね。

2 問題点
 問題点はそのものずばり,先使用権です(商標は類似ということです。)。
 条文から行きましょう。商標法32条1項です。
 
他人の商標登録出願前から日本国内において不正競争の目的でなくその商標登録出願に係る指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務についてその商標又はこれに類似する商標の使用をしていた結果、その商標登録出願の際・・・現にその商標が自己の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているときは、その者は、継続してその商品又は役務についてその商標の使用をする場合は、その商品又は役務についてその商標の使用をする権利を有する。

 ま,条文見ると,要件に色々論点になりそうな所がありますね。
①他人の商標登録出願前から日本国内においてその商標登録出願に係る指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務についてその商標又はこれに類似する商標の使用をしていること
②他人の商標登録出願前から不正競争の目的でなく使用していること
③他人の商標登録出願の際・・・現にその商標が自己の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されていること

 これらが要件になるわけです。
 で,①は,結局商標の類否のことですから,ま,商標が類似の場合はあまり問題とならないと思います。②は,主観的なものですが,外国や他業種で有名なものをパクったというような事情が無ければ,通常認められると思います。
 ということで,いつも問題になるのは,③の周知性ですね。

 で,この周知性については,有名な論点がありますよね。商標法4条1項10号の周知性と同じ程度を要求するのか?それとももうちょい低くてもよいのか?というものです。

 ちなみに,商標法4条1項10号では,審査基準が,「ある一地方で広く認識されている商標も含む」とありますので,関東地方とか関西地方とかで周知じゃないとダメってことです。つまり,1県じゃなく数県程度の範囲で周知であることが必要とされています。

 ですので,商標法4条1項10号の周知性と同じ程度を要求するなら,結構厳しいし,他方,ちょっとは低くてもよいなら,1県くらいの範囲で周知でもいいんじゃないの~ってなるわけですね。
 学説は,どちらかというと,ちょっと低くてもよし,という説が多く,判決もそのような判示が多いようです。

3 判旨
「 上記(1)認定の事実によれば,被告は,本件各登録商標の商標登録出願前の平成13年4月頃から,化粧品について被告標章を使用してホームページ等で販売するようになり,平成14年4月頃からは,本件サロンが所在する京都府内を中心に,本件サロンの広告と併せて被告各商品を含む化粧品の広告宣伝を多数回にわたり行うなどしているのであり,不正競争の目的でなく化粧品について被告標章の使用をしていた結果,被告標章は,少なくとも京都府内やその近辺において,本件各登録商標の商標登録出願の際,被告の販売する化粧品を表示するものとして,その主な需要者である女性の消費者に広く認識されるに至っていたものと認められる。
     そして,被告は,現在も,継続して化粧品について被告標章を使用しているから,化粧品について被告標章の使用をする権利を有すると認められる。 」

4 検討
 上記のとおり,この判決も,トレンドに則したもの,ってわけです。周知の範囲は,1県程度でもよろし,ということですからね。

 ところで,上で,珍しいと書きました。先使用権が認められるのが珍しいわけではありません。これが裁判で認められるのが珍しいという意味です。

 どういうことか想像がつきますかね?実務やっているとすぐわかりますよね。

 商標権侵害だと思っても,すぐに訴えるというそんな短気で,アグレッシブな当事者はなかなか居ません。普通は,内容証明郵便とかを出して,警告したり連絡したりして,訴訟でなく何とか納めようとするわけです。そうすると,相手方から,相手の言い分が届きます。

 で,そのとき,普通は,先使用権が認められそうなら,いやいやあんたの商標登録出願よりも,うちの方が早いよ!と言うでしょうね。そして,これについて調べて,おっと周知性は兎も角も,確かに使用は相手方の方が早そうだ~となれば,そこで訴えるのはやめとこうかなあってなるんじゃないですかね。

 ですので,訴訟に行く前に普通は決着がつくのが大半だと思います。
 それが今回は訴訟まで行ったわけです。うーん,これは当事者が強気で行って代理人もイケイケドンドンだったのかよくわかりませんが,もうちょっと調べた方が良かったんじゃね,という判決でしたね。

 あと,福岡の会社と京都の会社の争いなのに,東京地裁で審理しているのですね。これもよくわからないなあ。

5 今日の東京は久々の雨です。いつ以来だろうという感じですね。ま,乾燥してますので,このくらいの雨はいいんじゃないですかね。

6 追伸 12/26
 この事件の原告(新日本製薬)が,本件と異なる当事者(ボディワーク)の商標の使用が商標法53条1項の不正使用に当たるとして,取消審判を請求した事件の審決取消訴訟の判決がアップされております(3件あります。)。

 これを見ると新日本製薬は,Raffine商標に凄い拘りがあることがわかりますねえ。でも,なかなか新日本製薬の意図どおりには世の中いかないようで,本件に続けて別件でも負けております。

 さらに,新日本製薬は,このボディワークに対し,無効審判を提起し,そこで負けたため,審決取消訴訟を提起し,そこでは勝っております(良かったね~)。ちなみに,無効審判合戦は,ボディワークの方も,逆提起しており,それでは,新日本製薬の商標を潰すことはできませんでした。

 ですので,まとめると,審判段階では,両社痛み分けだったのが,訴訟段階(合計67件,すべて設樂さんの3部で判断。ご苦労様でした。)で,新日本製薬の提起した無効審判の結論が覆ったため(無効),最終的には,新日本製薬の勝利と言って良いでしょうね。
1 概要
 本件は, 平成24年8月15日,「お客様第一主義の」(標準文字)からなり,第45類「金庫の貸与,ファッション情報の提供,結婚又は交際を希望する者への異性の紹介,婚礼(結婚披露を含む。)のための施設の提供,・・・・省略」を指定役務とする商標(本願商標)の商標登録出願をした原告が,同年12月25日,拒絶査定され,不服審判請求(不服2013-5424号事件)をしたものの,特許庁は,平成25年7月30日,不成立審決(商標法3条1項6号に該当)を下したことから,これに不服として審決取消訴訟を提起したものです。

 これに対して,知財高裁1部(飯村さんの合議体ですね。)は,原告の請求を棄却しました。要するに,審決とおりでOKということですね。

 今回これを取り上げた理由は,まあそうだろう,あと,典型的な商標法3条1項6号の事案と言えるからです。

2 問題点
 問題点は,簡単です。商標法3条1項6号の該当性です。まずは条文です。

自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標については、次に掲げる商標を除き、商標登録を受けることができる。
六  前各号に掲げるもののほか、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標

 要するに,識別性がないやつで,1号から5号に該当しないやつも網羅する一般的な規定と言えます。

 で,どういうやつがそうかというと,審査基準に載っているとおり,キャッチフレーズがその典型です。がんばろう東北とか,それに類するやつですね。
 こんなの聞いても,誰の何の商売に関係するかさっぱりわかりませんし,しかもそんな言葉に半永久権の商標権を与えたらとんでもないことになります。

 ですので,こんなん登録でくっか,どうくっちょっやつっちゃ,ということですね。

 ま,とっとと判旨に行きますか。

3 判旨
「 ア  本願商標「お客様第一主義の」(標準文字)は,「お客様第一主義」と「の」の各文字から構成される商標である。
  本願商標中「お客様第一主義」との文字部分は,顧客(役務の提供先)を大切にし,満足度を高めるとの基本理念や姿勢等を表した語であると理解される。同文字部分は,自己を犠牲にしてまで,顧客に尽くすとの印象を与える語であることから,別紙2「『お客様第一主義』の使用事例」のとおり,宣伝,広告等において数多く用いられている。 
  また,本願商標中「の」との文字部分は,前の語句の内容を後続する名詞等に繋げ,後続する名詞等の内容を限定する働きを有する助詞と解される。また,後続する名詞等が省略される場合においては,名詞等の意味を漠然と示唆する代用語として使われることもある(乙31参照)。
  イ  そうすると,本願商標は,指定役務に使用する場合,これに接する需要者は,顧客を大切にするとの基本理念や姿勢等を表わした語であり,場合によっては,宣伝・広告的な意図をも含んだ語であると認識するものと認められ,これを超えて,何人かの業務に係る役務表示であると認識することはないと認められ,自他役務識別力を有しない商標と解するのが相当である。
  なお,本願商標は,商標法3条1項3号に該当すると解する余地もなくはないが,本願商標には「の」の文字部分が含まれ,同文字部分は,普通に用いられる方法で表示する標章とは必ずしもいえないことに照らすと,「お客様第一主義の」からなる本願商標は,同項同号所定の,普通に用いられる方法で表示する標章「のみ」から構成される商標とまではいえない。
  ウ  以上のとおりであり,本願商標は,「前各号に掲げるもののほか,需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができない商標」であって,これが商標法3条1項6号に該当するとした審決に誤りはない。 」

4 検討
 検討も何もこのとおり,というしかありません。ま,様々な理由があって,審決取消訴訟まで来ることになったのだと思いますが,昨日の事例と同様,これは代理人が抑えるべき事案と思いますね。

5 その他
 今日,アクセスの解析を見たところ,いつものように理系弁護士ではなく,別なワードが凄い勢いで検索され,このブログに来ていることがわかりました。

 そのワードとは,川口和子先生です。
 昨日,クモ膜下出血のためお亡くなりになったということです。心よりご冥福をお祈りします。

 で,このことに触れた私の感想は,だから言わんこっちゃないっていうところです。

 川口先生と私とは同じ弁護士会に属していますが,まさに正反対です。私は知財中心,川口先生は刑事等で超有名,私は金権派,川口先生は人権派,私はまだ8年目(59期),川口先生は24年目(43期。そうそう,私の小中高の同級生の裁判官が46期ですから,その優秀さがわかりますよね。)・・・です。

 でも共通点もあります。同世代であること(私が昭和40年生まれ,川口先生が昭和39年生まれであること),そして何よりメンタルの弱さです。

 私はこのブログにさんざん書いているように,あんたそれでも弁護士~♫ちゅうくらいメンタルが弱いです。実に弁護士に向いておりません。でもね~,悪いことばかりじゃないのです。

 みなさん川口先生を検索して何故私のブログに来たか,それは夏に一弁の会報に載った川口先生の書いた記事のことを書いたからですよね。
 そして,その一弁の会報の記事には,メンタルが弱いからこそわかることもある旨のことが書かれております。

 そう,これは私も同じですね。メンタルが弱いからこそ,わかることもあるのです。だって,私は川口先生には一度もお会いしたこともありません。
 上記のとおり,右と左で,考え方も正反対!
 でもしかし,一弁の会報という実にオフィシャルな媒体に,ほんのちょっと書かれた文章を見て,この人は相当無理をしているということがわかるということは,それを書いた人間と同じ類の人間なのでしょう。

 弁護士って,基本小さい頃からのガリ勉優等生,真面目タイプが殆どですから,そのイメージと裏腹に,実はメンタルの弱い人は多いと思います。
 私なんか歳をとってズーズーしくなって,そんなのでも売りにしようかなってくらいですが,一般にはそうではないですわな。

 ですので,実に残念です。クモ膜下出血なんて過労死もいい所じゃないですか。何でそこまでしなきゃいけなかったのかなあって実に思いますね。いやいや本当。
1 概要
 本件は,原告が有する下記商標登録(本件商標,登録第5348154号,指定商品第16類「雑誌,新聞」)について,被告が行った商標法51条1項に基づく商標登録取消審判請求に対し,特許庁がこれを認容する審決をしたことから,原告がその審決の取消しを求めた事案です。

 これに対して知財高裁2部は原告の請求を棄却しました。つまりは,審決とおり,登録取消でよし!としたわけです。

 まずは,本件商標等です。

 上段が,登録されている原告の登録商標です。他方,下段が実際に原告が使用していた商標です。登録商標では,NURSEという部分と,HEARTという部分と,ナースハートという部分がありますが,実際使われていたのは,HEARTの部分だけなのですね。

 他方,原告の同業他社である被告は,循環器系疾患医療に関わる看護師を主な対象読者として,昭和62年11月1日に看護雑誌「HEART  nursing」(被告雑誌)を創刊し,当該創刊時から平成16年3月頃に至るまで,16年以上,以下の態様からなる商標(旧被告商標)を使用してきたそうです。
 
 その商標がこれです。

 で,原告が,上記のHEARTの部分だけをフューチャーした欧文字からなる商標(本件使用商標1)を,循環器系疾患医療に関わる看護師を主な対象読者とする月刊雑誌(原告雑誌)において,その題号として使用し,平成23年12月1日発行の雑誌からは本件使用商標に登録商標であることを示すの記号(Rのやつ)を付記した商標(本件使用商標2)を使用していたようなのですね。

 そうすると,昔から雑誌にHEARTをフューチャーした題号をつけていた被告としたら,原告何してんねん,真似じゃんということになり,何とかしたいと思ったのでしょうね。で,こういう取消審判を提起したわけです。

2 問題点
 問題点は,判旨のとおり,①原告による下記の本件使用商標1及び2(本件使用商標)と本件商標との類似性,②被告の業務に係る商品との出所混同を生ずるおそれの有無,③原告の故意の有無です。

 ただ,商標法51条1項の審判が何かわからないと??ですよね。ですので,これから若干説明します。条文は,こうです。
 「商標権者が故意に指定商品若しくは指定役務についての登録商標に類似する商標の使用又は指定商品若しくは指定役務に類似する商品若しくは役務についての登録商標若しくはこれに類似する商標の使用であつて商品の品質若しくは役務の質の誤認又は他人の業務に係る商品若しくは役務と混同を生ずるものをしたとき は、何人も、その商標登録を取り消すことについて審判を請求することができる。

 ちょっと傍線部はややこしいんじゃないですかね。商標をよくやる法曹や弁理士には,あ,禁止権のところね,となるのですが,慣れないとさっぱりでしょう。

 実は,商標権て特許権と権利の性質が大きく違います。特許権の場合,仮に特許を取れたとしても,そのクレームの範囲で自由に実施できるかどうかわかりません。つーか,通常自由に実施できないでしょうね。
 何故か?それは,誰かの特許を改良したような発明でも特許が取れるからです。だって,技術は日進月歩,階段のように先人の知恵の上に積み重なっていくものですからね。特許法も72条で,それが前提である規定を置いております。

 ですので,特許の意味は,これから自分の技術を真似しようとするようなヤツを排除することに意義があるのです。今特許をとれたからとして,過去の特許を蹴散らすことはできませんよ。
 ですので,本当に自由実施できるかどうかは,世界中のある程度の過去の特許を検索し,それと自分のやりたい技術を比べないとわからないという,正直気の遠くなるようなことをやらないといけないわけです。これが,FTO調査(Freedom to operate)と呼ばれているものです。

 他方,商標は,商標同一商品等同一の範囲は使用権と言われ,その範囲であれば,原則として,誰からも文句を言われず,自由に使用できます(商標法25条)。
 ですので,特許と違い,他人の登録商標との調整規定はありません(商標法29条はありますが,これには他人の商標権が含まれていないことに注意です。)。つまり,登録商標がとれたら,基本,使用権の範囲で自由に使用できるのです!
 これに対し,商標同一商品等類似,商標類似商品等同一,商標類似商品等類似(使用権と併せてマトリクスにするとよくわかります。要するに,類似の範囲です。)の範囲は禁止権と呼ばれ,他人の使用をやめさせることはできるのですが(商標法37条1号),この中では商標権者と言えども自由に使用はできず,他人の禁止権に入らなければ,事実上使用できるに留まるのみです。

 ですので,事実上使用できるにも関わらず,その中で,変な使用をしたら,サンクションとして,登録を取り消す!というのがこの取消審判の趣旨です。

 長々と説明しましたが,こういう風に遡ってやらないと多分わからないと思います。

 ということで,要件は,条文のとおり,A商標権者であること,B故意であること,C禁止権の範囲での使用であること,D誤認・混同が生じたことです。

 で,一番上の論点を見ればわかるとおり,今回は,B~Dのすべてが論点となっております。

3 判旨
C禁止権の範囲での使用であること(①の論点)について
「 ・・・以上を総合すると,本件商標の外観から,「HEART」部分が,「NURSE」あるいは「ナースハート」の文字部分を凌駕して,需要者において「HEART」部分のみに注目するとまでは言い難いものの,上記に認定した取引実情等や,原告自身が登録商標であることを示すの記号を付して,本件使用商標2を使用しており,本件審判段階においても,本件使用商標が本件商標の使用であることを争っておらず,かえって,「HEART」が中核であると自認していたとの経緯をも踏まえれば,本件商標のうち,「HEART」の部分が自他商品識別機能を有する部分として,本件使用商標との類似性を認めるのが相当である。 」

D誤認・混同が生じたこと(②の論点)について
「  (2)  本件使用商標と被告商標の類似性について
  被告旧商標は,前記のとおり,「HEART」の右の「RT」の下部あたりに「nursing」との記載部分を配置してなり,被告現商標は,「HEART」の右横下に「nursing」と記載されてなるところ,いずれについても,「HEART」は,「Times  New  Roman」の大文字書体で「nursing」よりも格段に大きく,太く示されており,「HEART」部分の文字は,「nursing」の文字から明瞭に区別することができ,被告商標に接した需要者等は,大きく記された「HEART」部分を強く意識することが多いものと認められる。そして,上記認定のとおり,「HEART」は,被告雑誌の表紙に表題を示すものとして,大きく記され,証拠(乙31~37)によれば,広く「HEART」として呼称されるなどして被告雑誌を示す商品表示として機能していると認められることからすれば,「HEART」部分は被告商標の要部であると認められる。
  以上を前提として,本件使用商標と被告商標の類否について見ると,両者は,「ハート」との称呼を生じ,観念についても上記と同様に,「心」,「心臓」との観念を生ずるものである点で共通する。また,外観について,被告旧商標は,本件使用商標1及び2と酷似しており,被告現商標は,「Λ」と「R」の表記においてデザインがやや異なっているものの,単なる書体の違いにすぎず,需要者がそこから受ける意味合いや呼称,全体から受ける印象に大きな違いはない。さらに,取引の実情についてみると,本件使用商標及び被告商標は,いずれも看護師を主たる対象とする月刊誌において,表紙の雑誌題名を記す部分に使用され,書店においていわゆる面出しの状態で陳列販売される場合もある。これらのことからすれば,本件使用商標と被告商標とは類似するものと認められる。
    (3)  出所混同のおそれについて
  以上を踏まえ,「他人の業務に係る商品…と混同を生ずる」おそれがあるか否かについて検討する。
  原告雑誌及び被告雑誌はともに,循環器系疾患医療に関わる看護師を主たる読者とする雑誌である点で共通し,店頭で医療雑誌として販売されるという点でも共通しているところ,そのいずれもが雑誌の表題を示す表紙部分に「HEART」と「Times  New  Roman」書体でほぼ同じ大きさ,配置で表題が示されており,両雑誌がいわゆる面出しの状態で医療雑誌のコーナーで陳列販売される場合があり,雑誌を購入する読者にとって,最も識別力を有するのは雑誌の表題部分であると推認されることからすれば,一見して紛らわしいものである。そして,上記のとおり,被告雑誌が,循環器系疾患医療に関わる看護師用の月刊誌として,周知されていることからすれば,需要者が原告雑誌を広く知られている被告雑誌と混同するおそれは十分に認められる。加えて,実際に,需要者において原告雑誌と被告雑誌を混同し,あるいは,混同のおそれを感じている者がいることが認められる(乙14,15,17ないし21,34,35,37,40)
  そうすると,本件使用商標の使用は,被告の業務に係る被告雑誌と混同を生じるおそれのあるものと認められる。 」

B故意であること(③の論点)について
「 商標法51条1項における商標権者の「故意」とは,商標権者が,指定商品について登録商標に類似する商標等を使用するに当たり,その使用の結果,他人の業務に係る商品と混同を生じさせること等を認識していたことをもって足りるものと解される。そして,原告は,前記のとおり,平成23年8月ころから,「HEART」という雑誌名の原告雑誌に本件使用商標1を使用し,同年12月1日発行分から本件使用商標2を使用しており,これらの本件使用商標開始時において,原告にかかる認識があったか否かについて検討する。
・・・本件使用商標と被告商標の類似性や,取引形態,使用形態の共通性,類似性を考慮に入れると,本件使用商標の使用が,被告の業務に係る被告雑誌と混同を生じさせることを当然に認識していたものと認めるのが相当である。
  したがって,原告において,本件使用商標を使用するに当たり,被告の業務に係る商品と出所混同を生じさせることについて故意を有していたものと認められるから,これと同旨の審決の判断に誤りはない。 」

4 検討
 ということで,すべての要件が認められ,審決は特段問題なしとなったわけです。

 ただ,このサンクションは,大して使っていない登録商標の取り消しに留まるだけです。別に,HEARTの題号を差し止めるなんてできません。
 それには別途商標権侵害訴訟や,不正競争防止法に基づく差止訴訟をしないといけません(被告は,不正競争防止法の方でやったようですね。)。

 ですが,折角の登録商標が取消になれば痛手も痛手ですし,こうやって裁判所のHPに原告名がデカデカと載り,私のようなチンピラ弁護士がブログで書き散らすとなれば,更にダメージ大でしょうね。

 ま,変な使用はしないに限るということでした。
1 本日は,ノーベル賞の興味も尽き,知財の判決のアップもないので,首記のような軽い話題で行きましょう。それに,弁護士ドットコム経由でコメントした責任も若干ありますしね。

 まあ,経緯としては,「おんせん県」という商標登録出願は識別力なし,ということで拒絶となり,他方,大分県人が通った後はペンペン草も生えんと言われるだけあって,再度,「おんせん県おおいた」で出願し,見事?登録されようとしているということですね。

 でも,商標のことを少しでも知っている人からすると,あ「おんせん県」ってもう諦めたのね,と思われるでしょうね。

 え!なんで?「おんせん県おおいた」で登録されようとしているというのに,と思われるかもしれませんけどね。

2 端的に言うと,「おんせん県おおいた」と「おんせん県」は,全く違います。

 例えば,下手なモノマネでも「こんばんは~もり~しんいちです~」と言えば,誰のモノマネをしているかわかります。
 だって,森進一だって言ってますからね。うまいモノマネはやはり,名乗らず,誰のモノマネかわからないといけないわけでしょ。

 それと同じです。
 前回下手な歌を歌って審査員に誰のモノマネかわからないと言われたわけです。ほんで,今回,歌の練習もせず,名乗ってしまった~そりゃ誰だかはわかりますよ。「おおいた」って入っているんですから!でもこんなの何かの意味があるんですかね??
 今回の件は,大分県が,「おおいた」と商標登録出願して登録されました~と同じことですからね。

「おんせん県」が何故拒絶されたか?それは「おんせん県」だけじゃあ,どこの県だかわからなかったからです。それを「おんせん県おおいた」として登録できるのは当たり前!でも,識別力のあるのは「おおいた」の部分ですからね~残念。

 ま,企業のブランド戦略でも,こういうことはよくあります。
 例えば,今回と同様,識別力のない標章(でも,逆に,そういう識別力のない標章で,登録できた場合のインパクトはでかいのです。おんせん県が大騒ぎになったのはそのためです。)や,立体商標の場合,なかなか登録できません。
 その場合,あせって,その標章に加えて企業名を大きく入れるとか,立体商標予定のビンとかにも企業名を大きく入れちゃうとか,しがちです。

 で,そうやって仮に知名度を得たとして,再度出願しても無駄に終わります。だって,その標章やそのビンの形がその企業のものだとわかるのは,その標章やそのビンの形自体ではなく,一緒に付した企業名があるからだ~とされてしまうからです。当たり前ですよね。

 ですので,ブランド等に企業名を付してのものを出願して登録するのは,よっぽどのことがない限りやりません。もしそのようなことを薦めるインチキ弁理士やインチキコンサルがいれば,本当にインチキだと思って下さい。

 でもまあ様々な理由から,しょうがなく商標登録出願しても,必ず,使用する場合には,企業名など入れずに,単独で使わないとダメです。つまり今回の場合は,「おんせん県おおいた」ではなく,「おんせん県」として,です。
 そうじゃなく,「おんせん県おおいた」を使うということであれば,やはり「おんせん県」はもう諦めたということになってしまうわけですね。わかったかな~♫

 ま,意外と難しい商標の戦略~,そういうのもどうぞ弊事務所に~♫と言いたい所ですが,もうちょっと詳しい先生の方がいいと思いますよ。マジで。

3 ところで,東京は先週の土曜(10/5)に雨が降って以来,非常に蒸し暑いです。ま,今は日本全国そうかもしれませんね。
 今日も暑い!蒸し暑い!9月の終わりには一度,すごく涼しいというか,寒くなったと思うのですが,季節外れで暑いと困りますね。

 さて,今日は早めに帰って昨日録画したリーガル・ハイを見ようと思いましたが,ちょっと難しいかなあ。
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