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知財,特に特許を中心とした事件を扱っている理系の弁護土の雑記帳です。知財の判決やトピックについてコメントしたいと思っております。
1 二日連続して商標の話です。ま,ちょうどいいタイミングの話でもありますね。

 東京に2020年の五輪が来ることになり,本当嬉しい限りです。何度も言いますが,本当良かったと思います。

 私は,こういう時にちょっと斜に構えてみました~,おめでたの中にも警句を発します~的な,人と違うちょっと格好いいオレみたいなものが大嫌いなので,そんなこと全くするつもりはありません。
 そんなのは,滾ってねえし,チンポの皮がズル剥けじゃねえんだよ~♫

 ただ,最近,上記の報道等で,マジか,そこまでか,調子こき過ぎかと思いました。だって,おめでとう東京もだめ,あと,tokyo2020もダメらしいなんて言い出してますからね。

 色んな報道を見ると,JOCからお叱りだの,JOCから禁じられているだの,罰金がどうのこうのだの,えーいつからJOCは特高警察みたいになったんだ,コラ,どういう法的根拠でこんなことを言えるのかさっぱりわからん~つうことで,ちょっと調べてみました。

2 まずは,公益財団法人日本オリンピック委員会,つまりはJOCです。特許電子図書館で,JOCが商標権者である登録商標を見ると,おっと62件もあるなあ。
 
 中でも,すごいのが,これ,【登録番号】第265220号 【登録日】    昭和10年(1935)5月16日 の縦書カタカナの「オリンピツク」です。ただ,これ指定商品が,9類の「防じんマスク,防毒マスク,溶接マスク」 っちゅうのは,何じゃ??
 あと,太陽の中にJAPANと書かれ,その下に五輪のマークのある,JOCが一番よく使っていると思われる商標はほぼ全類とってますね。

 次に,本家,IOCです。日本語では, 「コミテアンテルナショナルオリンピック」 となります。日本国内では,13件の登録商標があるようです。
 やはり,【登録番号】   第286186号【登録日】    昭和12年(1937)1月29日という古い登録があり,これは,五輪のマークの下に,オリンピツクとカタカナであるものです。ただ,これも指定商品はそんなに広くありません。
 これ以外のもので,JOCと同様,類をまんべんなく取っているようですね。

 最後に招致委員会です。正式名称は,特定非営利活動法人東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会です。3件の登録商標と1件出願中のものがあるようです。
 商標は,何と,ポスター等でよく見る花の図柄の下に,TOKYO●2020とあるものです。なるほど,これがあるから,tokyo2020もダメだというわけなのですね。これも全類取ってきているようです。

3 うーん,結構見くびってなめてましたね。きちんと商標権を取っているわけです。
 勿論,五輪くらい有名なものだと,不正競争防止法の2条1項2号の著名な商品等表示に関する不正競争行為でも捕捉できるでしょうから,念には念を入れて・・ということなのでしょうね。

 ま,とすると,報道は舌足らず過ぎますね。私のような専門家からすると,何もないのに,道義的な責任だけか~,又は,スポンサー企業との契約に縛られるのはJOC等だけで第三者を縛れるわけねえじゃんと思っていたのですが,きちんと法的な権利等があったわけです。当たり前ですけどね。

 でも,登録商標でないと思われるもの,おめでとう東京とかについては,果たして,不競法上の追及ができるかという問題はあると思います。

 ですので,何事も温すぎる私からすると,あまり,キチキチ言うのは下らねえので,そんなのはやめてもらいたい所です。

 ただ,繰り返しますが,中心的なもの(「五輪」,「オリンピツク」,マークその他)については,確かに業としての使用(ダブリ)はまずいでしょう。

 で,最後にJOCのHPを見てみましたが,あ,こっちはきちんと書いていますね。下手な報道を見るより,よっぽどこっちを見たほうがいいでしょう。
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1 本件は,別紙商標権目録記載の商標権(本件商標権)を取得した原告が,携帯電話,スマートフォン及びコンピュータ上で行うことができる,「雀ナビ」との名称のオンライン対戦型麻雀ゲーム(本件ゲーム)を提供し,また,本件ゲームの提供に当たり,映像面に別紙被告標章目録記載1の標章(被告標章1)を付し,さらに,本件ゲームの広告を内容とする情報に被告標章1並びに別紙被告標章目録記載2及び3の標章(被告標章2,被告標章3)を付して電磁的方法により提供している被告に対し,商標法36条1項及び2項に基づき,被告各標章の使用の差止め及び抹消を求める商標権侵害訴訟の事件です。

 これに対し,東京地裁民事第46部は,原告の請求をいずれも棄却しました。

 商標にしては珍しい2年ものです。にも関わらず,判決の写しは,たった6pです。長い時間がかかった割にはあっさりの判決というわけですが,判決を読めば,はは~んなるほど,とわかりますね。

 なお,商標ですが,登録商標も,被告の使用商標も,別紙がありますので,ゆっくり見て下さい。
 一応,メモしておきますと,登録商標は,ゴシック体の「JanNavi」及び「ジャンナビ」の文字からなるものです。
 指定商品等は,9,28,41類とありますが,このうち,41類の「インターネットのネットワークを利用して対戦する麻雀ゲームの提供,通信を用いて行う麻雀ゲームの提供」「麻雀競技会の企画・運営又は開催」「麻雀大会の企画・運営又は開催」「娯楽の提供,娯楽情報の提供」の類否が問題となったようです。

 ですので,一見すると,短期に原告の勝利で決着がついてもよさそうな感もある事件なわけです。

2 問題点
 問題点は,いろいろあったと思うのですが,実はこの登録商標,不使用取消審判などで,侵害訴訟で問題となっている部分があの世行きになっているのですね。
 これが,知財高裁に出訴されたのが,平成25(行ケ)10023~10025号(知財高裁平成25年06月20日判決)です。で,この審決取消訴訟は,これにて確定しております。

 そうすると,判決にもありますが,商標法54条2項
前項の規定にかかわらず、第五十条第一項の審判により商標登録を取り消すべき旨の審決が確定したときは、商標権は、同項の審判の請求の登録の日に消滅したものとみなす。
により,商標権は一部なくなっているわけです。

 勿論,無効ではなく,取消ですので,損害賠償を請求する分には,ちょっと違う話も出てくるのかもしれませんが,今回,差止ですので,なかなか難しいなあという話になってきます。

 上記の審決取消訴訟の判決を見ましたが,本当に使っていなかったようですね~。となると,結果は見えてきているわけです。

3 判旨
「 本件は,原告が,被告による本件ゲームの提供についての被告各標章の使用が本件各指定役務についての本件商標に類似する商標の使用に当たるとして,被告各標章の使用の差止め及び抹消を求めるものである。
  ところで,証拠(甲4,乙32,35及び36の各1ないし3)及び弁論の全趣旨によれば,本件商標権について,本件各指定役務を含む指定商品等に係る商標登録を取り消す旨の審決が確定したこと及び平成23年8月2日に商標権一部取消し審判の予告登録がされたことが認められる。したがって,本件商標権のうちの本件各指定役務に係る部分は,平成23年8月2日に消滅したものとみなされる(商標法54条2項)。
  以上によれば,本件各指定役務に係る本件商標権の行使をいう原告の請求は,その根拠を欠くものというほかない。 」

4 検討
・多少要件事実っぽい話をしますが,無効の抗弁で請求棄却になった場合は,抗弁ですので,一応請求原因は立った上でのもの,ということになるわけです。
 でも,今回のように,商標権がなくなってしまうと,そもそも請求原因自体が立たなかったという,恐るべきマヌケな話になってしまうわけです。特許の場合は,無効が確定するまで侵害訴訟は一審地裁でペンディング~♫にはとてもなりませんから,今回のようなことはほぼ起きません。
 商標の場合は,若干早いので,不使用取消→審決取消訴訟のルートで結論が出るまで待ったのでしょうね。

 ただ,条文をよく見てもらいたいのですが,商標法39条で準用する特許法104条の3は単純な準用ですので,所謂無効の抗弁って,「商標登録の無効審判により・・・無効にされるべきものと認められるときは」という要件にしかならないのです。

 つまり,明文上は,不使用取消審判で,取消にされるはずのものだから権利行使できない!という抗弁はないのです。

 こういうような場合,権利濫用の抗弁という,所謂信義則に従った抗弁を出すしかありません。
 でも,信義則を出すというのは,ある意味負け筋です。というようなこともあり,被告は訴訟戦略上,このようなグニャグニャの抗弁は出さず,他方,待ってくれるかどうか保証はなかったけど,裁判所に待ってもらったということなのでしょうね。

 ですので,判決はあっさりしておりますが,非常に深いところがあります。
 さて,私のような悪徳金権弁護士なら,どうしたかというと,ちょっと,使用してから,訴訟を提起したと思います。
 こうすれば,少なくとも,カウンターの不使用取消審判をくらうことはありません。勿論,それ以上に権利濫用だと言われる虞はありますが,ま,そんときゃそんときです。

・で,今回問題となった取消審判と,一般的にも知られている無効審判って,まさに,民法でいう取消と無効の概念を引きずっていると思います。

 民法上,無効は,93~95条などが有名ですし,他方取消は,96条などが有名です。そして,取消の効果は,121条などにあります。ところが,無効の効果って,明白には民法には記載されておりません。

 これは,無効というのが,言わずもがな,つまり,誰がいつ何時でも,無効は無効,初めから無効,というのが変わらない,極めて強いものだからです。
 ところが,取消はそうではありません。追認したり,善意の第三者に対してなど,有効になる場合もあります。相対的と言ってもよいですが,平たく言えば無効よりも弱い感じのものです。
 これが,民法上の無効と取消です。

 他方,商標法上の無効審判は,「商標権は、初めから存在しなかつたものとみなす。」(商標法46条の2)というわけで,商標法上の取消審判に比べて,やはり強い効果のものです。同じ言葉ですもの,民法だとか商標法だとかの違いはあっても,共通する部分があるということですね。

 ま,こういうことは,あまり弁理士だと考えないことでしょうね。
 だって,弁理士に民法上の無効と取消なんて聞いてもちゃんとした答えなんて期待すべくもないでしょう。いや,別に弁理士をバカにしているわけじゃないですよ(今回はね。)。

 私は以前弁理士だけだったので,よくわかるのです。例えるなら,こんな感じ~♫
 両目を瞑ってください。そして,片目だけ薄っすらあけてください。薄っすらでも結構は見えますね。これが弁理士。じゃあ,両目を通常とおり,あけてください。これが弁護士。このくらいの違いがあります。

 でも昨日は司法試験の合格発表だったようですが,今や両目を瞑ったまま,弁護士にもなれちゃう時代ですから,いやはやですね。ま,漢字で名前が書けただけで受かるんだから仕方ないか~オホホホ。

・で,無効と取消で思い出しましたが,勉強の初めにわからなかったものに,悪意と善意があります。うん,中身の知った知らない,とかじゃないですよ。
 善意・無過失とか善意・無重過失とか,悪意・重過失とかの話です。初級者のころはこれがわからなかったな~。わかりやすさで有名な内田先生の教科書も,ここは全然書いてなくて,本当苦労しました。いま思うと,問題は,この「・」ですね。これが多義的なのです。

 上の例で最初から行きましょう。
 実は,・の意味は,それぞれ,善意and無過失,善意and無重過失,悪意or重過失の意味です。orとandを同じ記号で表しているので,わからなくなるのです!ですので,3つの状態ではなく,4つの状態なのですね(こういうことも・で書くと,わかりづらい!)。

 更に,分析的に書くと,これらは,善意and無過失,善意and軽過失,悪意or(善意and重過失)となります。
 一番最初は,知らないでしかも何の落ち度もないとき,二番目は,知らないんだけどちょっと落ち度はあるとき,三番目は,知っているとき(一番悪い),四番目は知らないんだけど,すごく落ち度のあるとき,という意味です。三番目と四番目の順番も本来逆ですよね。

 法律って,実は極めて論理的で,理系向きだということがわかりますね~,ってわかんんないか。

1 最高裁のHPを見ると,裁判所の夏休みも徐々に終わってきたのか(やつら20日も休みますからねえ。いい身分です。),判決のアップも結構あります。

 なかでも,墓石の意匠権の侵害訴訟がなかなか面白いなあと思ったのですが,面白いのは事案だけで,中身は大した事が無かったのでやめました。

 代わりに,昨日の夜半に飛び込んできたニュースを冒頭に,あとは小ネタで行きたいと思います。
 今日の日経の一面は,この記事かなあと思ったら違いましたね。このYOMIURI ONLINEだけのようです。ポイントは,改正法案の提出時期が今秋の臨時国会という,このスケジュールですね。

 前回も書いたように,世の中の99%はプロレスであり,この商標法の法改正も,もはや台本策定済み,あとは実際にやるだけ,という段階だと思います。
 でも,私はこの改正には大反対,実務ひいては取引界に混乱を来たすだけです。ま,こういうのって,賛成している方(アメリカ人のbig cockが忘れられない企業の方々,新規出願でうっしっしの弁理士の方々)の声は大きくなりがちで,いや別に要らないんだけどなあと思っている方の声はかき消されがちです。

 でも,新しい制度を導入するときは,本当じっくり考えた方がいいですよ。本当に必要なら,TPPに関わりなく導入すべきでしょうが,じゃあ今まで何故,視覚依存つまりは静的な商標登録のみ認め,それ以外の動的(音も静止音が原理的にあり得ない以上,動的て言ってよいでしょう。)なものを認めていなかったのか,よく考えた方がいいですよ。
 焦るマスカキザルは,民法のウッチーとツツイーのみで十分ですから。

2 続いて,パテントの8月号です。
 しばらく机の上にほっておいたのですが,9月になり,あ早く読まねえと9月号が来ちまうわ,と思い,読んだのですが,結構関心を惹く記事がありました。

 まあ,特集は,渉外事件をやるほどの高級弁護士じゃない私には,猫に小判なのですが,「弁理士のタイプに応じた義務研修講座推薦に関する検討」記事に興味を惹かれました。

 こういう記事って,いつもは,弁理士会はこういうやつが好きなんだよなあ,何でもかんでも外部に委託して分析すりゃあいいってもんじゃないのに,誰の金だと思ってんだ,という感想なのですが,今回はちょっと違いました。

 というのは,弁理士会の提供しているe-ラーニングの人気講座から,講座推薦を導くという方法なのですが,その人気講座に,私が昔講師をした「近時の数値限定発明の判例分析」というのが複数回載っていたからです。

 あれは,もう3年も前になるんですね~。東京では,新霞ヶ関ビルの灘尾ホールで,あとは大阪と名古屋でも講師をやって,e-ラーニングは東京会場のやつを録画したと思うのですが。

 勿論,私だけでなく,相棒として,弁理士の方が前半,私が後半ということで,私の寄与度ではなく,その弁理士の先生の寄与なのかもしれませんが,それにしてもと思います。

 講師をやった当時は少しは反響があるかと思いきや(特に仕事の依頼の),全く無かったので,結構落ち込んで,もう講師なんかやるもんじゃないと思っていたのですが,何~だ,ムッツリスケベが多いのだなあって感じです。

 
 e-ラーニングは何年か毎に内容を刷新するので,私の講師の姿を見たければ,早いうちに,上記のe-ラーニングを見ておくとよいと思いますよ。次回の講師はきっと私ではないでしょうから。

 それ以外でも,塩月部長の講演の模様など,今回のパテントは面白かったです。毎号,このくらい読ませるネタがあるといいんですけどね。

3 更に小ネタということで,ジュリストの9月号行きましょう。

 昔は,自由と正義系の,若干偽善色が強かったのですが,2012年から,何故か企業法務系の雑誌になり,今に至ります。
 ま,迷走すると,休刊に至ると思うのですが,売れているんですかねえ。

 さて,今号の特集は,「標準必須特許の権利行使をめぐる動き」ということで,例のアップルVSサムソンのFRAND特許判決を嚆矢として,様々な論客が,色々言っているという感じのものです。
 ただ,前回の特集でも書いたのですが,どれもこれも中途半端っていう気がします。
 要するに,あんまり実務で役に立たねえな,という感じしかしないのです。不思議ですよね~。おおと思う特集なのですが,まあそりゃそうだろうな,そうならそうだろうな,うん,それはそうそうという感想は出ますが,これをどう実務に活かす?という視点はありませんねえ。

 恐らく,これはジュリストの客層なのでしょうね。ジュリストのHPを見ると,「月1回刊行の「ジュリスト」は,商社・銀行をはじめとするビジネスマンを主な読者層に想定し,忙しい人でも,すきま時間を使って読むことのできるよう一つ ひとつの記事を短く,読みやすく工夫することによって,理論的水準は保ちつつ,実用性を重視した雑誌へとシフトいたします。」とあります。さもありなんですわ。

 法務部でも知財部でもなく,当然弁護士も読者層じゃありません。結構,日経紙の読者層とダブっているような感すらあります。そうすると,基本雑学,そして何かのときだけ,そういえば,あの号のジュリストにそんな話が載っていたから・・・という形で役に立つこともある,くらいに考えてた方が良さそうですね。

 ちゅうことで,食い足りないのは当然,これはジュリストを責めても仕方がないなあという所です。

4 東京は,先週の金曜くらいから暑いまんまです。9月に入っても暑いと調子が狂いますね。ま,彼岸くらいまでは,覚悟しておかないといけませんね。

 
 で,先ほど,日課となった散歩に出かけたのですが,やはり,相当に暑かったです。散歩ももう少し涼しくなってからにしないと,死にそうですね。
 写真は,目黒川沿いを溯上したので,目黒の雅叙園付近です。左手に見えるお城のような建物がかの有名な目黒エンペラーです。いやあはじめて見たぜ~♫
 
 

1 本件は, 第32類「レモンを加味した清涼飲料,レモンを加味した果実飲料」を指定商品として,後記の構成からなる登録第5427470号商標(平成21年12月1日登録出願,平成23年6月27日登録査定。)の商標権者である原告(カルピス)に対し, 訴外サントリーホールディングス株式会社は,平成23年10月21日,本件商標は,自他商品識別標識としての機能を果たし得ず(商標法3条1項3号),また,本件商標は,需要者が何人かの業務に係る商品であるかを認識することができない商標に該当する(同項6号)として,登録異議の申立てをし,更に,訴外キリンホールディングス株式会社も,同月24日,本件商標は,自他商品識別標識としての機能を果たし得ない(同項3号)として,登録異議の申立てをし,これに関し,この2件の登録異議の申立ては,異議2011-900380号事件として特許庁で審理され,特許庁は,平成24年9月4日,本件商標の商標登録を取り消す旨の決定(商標法3条1項3号に該当し,また,本件商標について使用により自他商品識別力を獲得したものと認められないから,同条2項に該当しない。)をしたため,これに不服の原告が,取消決定取消訴訟を提起したものです。

 これに対して,知財高裁1部(飯村さんの合議体ですね。)は,原告の請求を棄却しました。要するに,取消決定そのままでよし,としたわけですね。

 マスコミでも結構取り上げられた,例のほっとレモン商標事件です。
 
 商標はこのとおりです。
 まあ,なかなか登録の難しい商標ということであろうことは,ちょっと見わかるのですのですが,中身に行きますかね。

2 問題点
 問題点は,上記のとおり,商標法3条1項3号に該当し,識別力がなく,3条2項に非該当ということは,使用により識別力を獲得したわけでもない,ということの適否ですね。

 その前に,あまりここでも取り上げたことのない,異議の話も少し触れましょうかね。昔むかしは,異議という制度は特許にもありました。更に昔は付与前異議ということでしたが,trips協定に伴って,付与後異議となり,その後,ここで,disったように,平成15年改正で,なくなりました。
 ただし,なくなったのは,特許のみで,商標は生き残ったのですね。
(登録異議の申立て)
第四十三条の二  何人も、商標掲載公報の発行の日から二月以内に限り、特許庁長官に、商標登録が次の各号のいずれかに該当することを理由として登録異議の申立てをするこ とができる。この場合において、二以上の指定商品又は指定役務に係る商標登録については、指定商品又は指定役務ごとに登録異議の申立てをすることができ る。
一  その商標登録が第三条、第四条第一項、第七条の二第一項、第八条第一項、第二項若しくは第五項、第五十一条第二項(第五十二条の二第二項において準用する場合を含む。)、第五十三条第二項又は第七十七条第三項において準用する特許法第二十五条 の規定に違反してされたこと。
二  その商標登録が条約に違反してされたこと。 」

 
 
私がソニーに居た頃は,出た公報をその分野の担当者がくまなくチェックし,やばい特許には異議をかけるというのがデフォ―でした。ですので,商標も同じように今でもやっていると思います。

 本件でも,サントリーとキリンが,その異議をかけたわけですね。ただ,異議というのは,再審査のような扱いで,基本異議をかけた人達は,異議の審理から外れます。最初だけ,当事者主義で,あとは職権主義というわけです。他方,異議をかけられた方は,再度の審査という感じですから,場合によっては,意見書を提出することになります。

 ですので,異議をかける方は,ダメで元々ということで,フィーもそんなにかからないし,手続きの負担もありませんので,結構有意義な制度という感じがします。
 他方,かけられる方は,何とか苦労して登録までしたのに,またこれかよ~!って感じがしますねえ。

 あ,あと,異議は,審判ではありませんので,その取消訴訟は,審決取消訴訟でないことに注意です。ただ,査定系の審決取消訴訟と実際行政訴訟法上どういった違いがあるのかは,私にはわかりません。こういうのはオナニー大好きの学者先生に尋ねるとよいでしょう。

 で,次に,取消の理由ですが,商標法3条1項3号は,こういうやつです。
三  その商品の産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、数量、形状(包装の形状を含む。)、価格若しくは生産若しくは使用の方法若しくは時期又はその役務 の提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途、数量、態様、価格若しくは提供の方法若しくは時期を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる 商標 」

 そして,3条2項は,こうです。
「前項第三号から第五号までに該当する商標であつても、使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるものについては、同項の規定にかかわらず、商標登録を受けることができる。 」

 まず,商標法3条1項3号は,所謂記述的商標はダメよ,と言っているわけです。判決であるのは,ビールに「本生」ってやつの事件が有名です。
 ただ,商標ってやつは,別にその言葉を保護するわけでなく,その裏にある信用などを保護する制度ですから,逆に,使用により信用が溜まったような商標については,一見,記述的で,誰の何の商品とかわからないようなやつでも登録できるのです。

 昔いた会社の商標で,ミニディスクというものがありませんでしたか?今はipodに駆逐されてしまいましたが,持っていた人は多いと思います。
 この商標も,相当苦労したけれど,ついに使用による識別力を認められ登録に至ったという話です。

 ですので,今回の「ほっとレモン」の商標も,一見,暖かいレモンの飲み物を想起させるだけの識別力なし,とも思えますが,どの程度,識別力の確保をしたのかがポイントになろうと思います。

3 判旨
・3条1項3号「 本件文字部分のうち,片仮名「レモン」部分は,指定商品(第32類「レモンを加味した清涼飲料,レモンを加味した果実飲料」)を含む清涼飲料・果実飲料との関係では,果実の「レモン」又は「レモン果汁を入れた飲料又はレモン風味の味付けをした飲料」であることを意味し,また本件文字部分のうち,平仮名「ほっと」部分は,上記指定商品との関係では,「熱い」,「温かい」を意味すると理解するのが自然である(上記1(3)及び同(4)参照)。また,本件輪郭部分については,上辺中央を上方に湾曲させた輪郭線により囲み枠を設けることは,清涼飲料水等では,比較的多く用いられているといえるから(上記1(6)参照),本件輪郭部分が,需要者に対し,強い印象を与えるものではない。さらに,「ほっとレモン」の書体についても,通常の工夫の範囲を超えるものとはいえない。
  そうすると,「ほっとレモン」との文字及びそれを囲む輪郭部分の組合せからなる本件商標は,本件商標の指定商品(「レモンを加味した清涼飲料,レモンを加味した果実飲料」)との関係では,商標法3条1項3号所定の「商品の・・・品質,原材料・・・を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」に該当するというべきである。 」

・3条2項「本件商標は,本件輪郭部分と「ほっとレモン」との本件文字部分から構成されている。
  ア  使用商標における「輪郭部分」は,右上隅以外の隅がレモンの図形等により隠され,その全体の形状を確認することができない。したがって,輪郭部分の形状が長く使用され,その特徴によって,商品の出所識別機能を有するに至ったと解することは到底できない。
  イ  使用商標における「レモン」の文字部分については,以下のとおりの理由から,商品の出所識別機能を有するに至ったとすることはできない。
  すなわち,①使用商標には,レモンの図柄が描かれていること,②使用商標には,レモンを連想させる色彩でグラデーションされた円形図形が施されていること,③使用商標には,輪郭部分の外側においても,レモンを連想する彩色が施されていること,④一般に,本件商標の指定商品を含む清涼飲料・果実飲料においては,各種果物がその原材料として使用されていること等の事実を総合すれば,「レモン」の文字部分は,当該商品が,果実の「レモン」又は「レモン果汁を入れた飲料又はレモン風味の味付けをした飲料」であることを端的に示したものと合理的に理解されるから,「レモン」の文字部分が長く使用され,その特徴によって,商品の出所識別機能を有するに至ったとすることは到底できない。
  ウ  使用商標における「ほっと」の文字部分は,以下のとおりの理由から,商品の出所識別機能を有するに至ったとすることはできない。
  すなわち,①使用商標では,「輪郭部分」及び「『ほっとレモン』の文字部分」は,いずれ「温かさ」,「暖かさ」を連想させる赤色に彩色されていること(この点は,本件商標も同様である。),②使用商標では,上段に「ほっと」,下段に「レモン」が,丸みを帯びた赤く彩色された書体により,まとまりよく表記されていることから,一連の意味を持つものとの印象を需要者に与え,そうであるとすると「温かいレモン飲料」を容易に想起させ得ること,③「ホットレモン」との語が,レモン果汁を入れた温かい飲料又はレモン風味の味付けをした温かい飲料を意味するものとして定着していると認められること,④平仮名「ほっと」については,本件商標の指定商品を含む清涼飲料・果実飲料においては,「ほっとドリンクゆず」,「ほっとカシス」,「ほっとりんご」,「ほっとアセロラ」,「ほっと金柑」,「ほっと梅」,「ほっとアップル」,「ほっとゼリー」,「ほっとゆずれもん」,「ほっとグレープフルーツ」が販売され,「ほっと」と「果物等の素材」とを組み合わせた文字は,当該商品が果物等の素材を原材料とし,あるいは加味した,温かい清涼飲料・果実飲料であることを示す語として普通に使用されていることから,需要者は,上記のように認識,理解していると解するのが合理的であること,⑤原告商品それ自体も,「温かいレモン果汁を入れた飲料又はレモン風味の味付けをした飲料」であること等の事実を総合すれば,使用商標における「ほっと」の文字部分は,温かい状態で飲まれることを想定した清涼飲料等であることを示す表記であるといえる。したがって,使用商標中の「ほっと」の文字部分が長く使用され,その特徴等によって,商品の出所識別機能を有するに至ったとすることは到底できない。」
「 「ほっとレモン」,「ホットレモン」等の名称に関する調査結果等について 調査会社が,平成24年12月に,原告からの依頼を受けて行った本件商標に関連した調査結果(甲24)には,以下の記載がある。すなわち,
  ①「『缶やペットボトル入りの温かいレモン飲料』ときくと,なんという商品名やメーカー(会社名)が思い浮かぶか」との質問に対して,「ホットレモン」と回答した者は全体の27.3%であり,「ほっとレモン」と回答した者は全体の20.3%であったとの結果が得られたとしている。②「ホットレモン」と回答した者のうち,メーカー名について回答した者は,「わからない」との回答者が一番多く(全体の14.7%),原告であると回答した者は,全体の1.0%であった。③「ほっとレモン」と回答した者のうち,メーカー名について回答した者は,同様に「わからない」との回答者が一番多く(全体の11.0%),原告であると回答した者は,メーカー5社中最下位(全体の0.3%)に位置し,「ほっとレモン」の文字を含む商品を市場に提供していないメーカーと対比しても低いことが記載されている。・・・ 同調査結果は,その他の質問回答もされているが,本件商標が,その使用によって,特定の出所識別機能を有するものとなったことを認定するに足りる調査結果を見出すことはできない。 」

4 検討
 まあ,「ほっとレモン」自体には,識別力がないかなあというのはわかりますね。書体もよくあるパターンですしね。
 でも,調査結果はいただけませんね~。つーか,ほっとレモンと聞いて私はカルピスのものだとは思いませんでした。さらにつーか,カルピスってホット飲料出してたのね??ってくらいの認識ですわ。

 法的なものって,何か特別なことのように思っている人もいると思いますが,違いますよね。最後は,普通の常識で判断するものです。
 私が上記のように思ったってことは,「ほっとレモン」って,まったく認知度がなく,それなのに,識別力があるなーんて結論になるわけないっしょ。

 この事件を代理した先生方も,ほっとレモンがカルピスだって認識した人,何人いたことでしょうね~,本当正直に手を上げてちょうだい。
 そんなんで,勝てるわけがないというか,カルピスは大会社でしょうが,このほっとレモン自体は大したブランドじゃないってことですから,マスコミで騒ぐような事件だったのかなあ,とそもそも疑問ですニャ。
1 概要
 本件は,原告(自然人)が,別紙商標目録記載の商標権を有するとして,被告(法人)に対し,別紙登録目録記載の登録の抹消登録手続,被告による別紙被告標章目録記載1ないし6の標章(被告標章)の使用の差止め及び被告標章を付した商品等の廃棄並びに本件商標権侵害による損害賠償として損害金500万円及びこれに対する平成24年6月12日付訴えの変更申立書送達の日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案です。

 これに対して,東京地裁民事47部(高野さんの合議体です。)は,原告の請求の一部(抹消登録のみ)を認めました。つまり,侵害は無かったけど,あんたが保持するのはオカシイというわけです。

2 問題点
 問題点と言っても大して問題点はありません。引き続き,概要的な話をします。

 登録商標は,標準文字で,「RATIOFIN」です。
 そして,指定商品等は,
 「第25類 被服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴
 第28類 サーフボード,サーフボード用バッグ,サーフボード用附属品,サーフボード用デッキ,サーフボード用リーシュコード,サーフボード用プロテクター,サーフボード用流れ止め,サーフボード用ワックス」です。

 ま,サーフィンしているとわかりますね。サーフィンのフィンのブランド,というわけです。
 他方,被告の使っていた商標は,代表的なもので,こちらです。
 32bd6c66.jpeg
 





 ま,RATIOFINを飾り文字にしたもので,フィンを初めとする色んな被告商品にこの商標を付していたようでした。ですので,形式的には,侵害と思えるわけですね。

 ところが,まあ,こういう中小事業者でよくある話で,原告と被告は共同事業をやっていたわけです。これが,問題となっているサーフボードのフィンの製造販売で,そのブランドが,レイシオフィンだったのです。

 しかし,そのうち,色んな理由で,原告は被告に事業を譲渡し,そして,理由は定かではありませんが。本件の登録商標も被告に移転登録がなされました。
 さらに,しかし,被告の方は,このブランドではなく,独自のブランド,「PROSFIN」を立ち上げ,レイシオフィンの事業はやめたらしいのですね。
 ということで,宙ぶらりんとなったレイシオフィンのブランドを巡っての争いが顕在化したようなのです。

3 判旨
「原告が被告代表者らに対して本件商標権を譲渡したことを認めるに足りる証拠はない。
 確かに,本件事業は,「ratiofin」のブランド名を使用したサーフボード用フィン等の製造販売を目的とするものであり,本件事業を遂行するためには本件商標の使用が不可欠であるが,そうであるからといって,本件商標権を保有していなければ本件事業を遂行することができないというわけではないから,本件商標権が当然に本件事業資産を構成することにはならない。そして,証拠(原告,被告代表者)によれば,原告から被告代表者らに対して本件事業を譲渡するに当たり,本件商標権の譲渡について当事者間で特段の話合いが持たれた形跡がないことが認められる。そうであるから,本件事業を遂行するために本件商標の使用が不可欠であることをもって,原告が被告代表者らに対して本件商標権を譲渡したということはできない。
 したがって,原告が本件商標権を喪失したとは認められないから,原告の抹消登録手続請求は理由がある」

4 検討
 商標権の移転は,商標法35条で準用する特許法98条1項1号により,「登録しなければ,その効力を生じない」のです。つまり,効力発生要件なのですね。

 この点について,不動産の登記が第三者対抗要件であるのと違います。しかしながら,勘違いなきようにして欲しいのですが,商標権の登録が効力発生要件だろうが,不動産の登記が第三者対抗要件だろうが,その前提の実体的法律関係が無効なら,そもそも効力も発生しないし,第三者対抗力も発生しません。

 ですので,原告から被告への実体的な関係がないのに(通常は,譲渡契約),何らかの方法で(多くは書類の偽造),特許庁の登録簿だけを動かしても,ダメなわけですね。まあ当たり前です。

 そのため,商標権が原告にあることになったわけですが,請求のそれ以外の商標権の侵害については,裁判所は認めていません。要するに,共同事業やってたんだから,許諾してたんだよね~ということです。

 ちなみに,この問題となっているサーフボードのフィンってわかりますかね。
 サーフボードの後の方に舵をとるヒレ状のものが付いております。あれがフィンです。今はおそらく3つ付いているトライフィンが一番多いと思います。ロングボードだと,でかいフィンが真ん中に付いているだけのシングルフィンも見かけますし,ショートでかなり短い板で,5つついているやつもあります。

 で,今回のトラブルとなったフィンの商売がきちんと事業となるようになったのはここ最近のことだと思います。
 というのは,10年くらい前までは,グラスオンフィンという一体型のものが主流で,取り外しなんか出来なかったのです。私が最初に買った板も,二番目に買った板もこれでした。

 当然一体型で,あんな薄っぺらいものですので,ちょっと油断をすると,すぐ折れたり壊れたりしたのです。
 サラリーマン時代,海外やその他サーフトリップによく出掛けましたが(毎年ハワイに行っておりました~♬),気になるのはサーフボードの持ち運びです。ホテルに着いたら,まずフィンを確認!いやあ面倒臭いったりゃありゃしません。

 ところが,その10年くらい前から取り外し可能なフィンのシステムが多くなり,今やこっちが主流と言って良いくらいです。私が普段使いしているアルメリックのエポキシのボードもこれです。代表的なのがFCSというものですね。

 ただ,これ,着脱可能なのは非常にいいのですが,着脱するのに,細い六角レンチが必要です。
 しかし,たまにしか着脱しないので,この六角レンチがすぐになくなるのです。マーフィーの法則?私も何度なくしたことか。
 ということで,今は無くさないように,携帯のストラップに付けております(紳士の玩具じゃありません,ムフフフ。)。

 という風に,着脱可能なフィンのシステムが普及してきたので,今回問題となっている取り替え用フィンの事業も,単独で商売になっているというわけなのですね~。深い話ですね~♪(それほどでもないか。)

 さて,昨日はエロ話,今日はサーフィンということで,一体どんな弁護士じゃというわけですが,ま,超適当で,人権嫌いの金権悪徳変態エロ弁護士ということでよろしいんじゃないでしょうかね。
 
1 概要
 本件は,商標4695627号の登録商標(標章は,ALL STATEのゴシック体で,指定商品は,第25類の被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴。)持つ被告に対し,原告が,指定商品のうち「被服」について不使用による登録取消しを求めて,不使用取消審判請求をした(取消2012-300230号)ものの,不成立審決を下されたことから,これに不服として,審決取消訴訟を提起したものです。

 これに対して知財高裁2部(塩月さんの合議体ですね。)は,原告の請求を棄却しました。要するに,審決のとおり,使用はあったとしたのですね。

 ということで,問題点は,使用の有無だけと言ってよいのですが,ここで取り上げたのは,そんな素直な理由じゃありません。

 要するに,慣れないことをするのはやめた方がいいんじゃなーい,餅は餅屋に頼まないと~というステマが理由です。

2 問題点
 商標法50条1項は,こんな条文です。

継続して三年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが各指定商品又は指定役務についての登録商標(書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであつて同一の称呼及び観念を生ずる商標、外観において同視される図形からなる商標その他の当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標を含む。以下この条において同じ。)の使用をしていないときは、何人も、その指定商品又は指定役務に係る商標登録を取り消すことについて審判を請求することができる。

 同法2項はこうです。
前項の審判の請求があつた場合においては、その審判の請求の登録前三年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請 求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについての登録商標の使用をしていることを被請求人が証明しない限り、商標権者は、その指定商品又は指定役務に 係る商標登録の取消しを免れない。ただし、その指定商品又は指定役務についてその登録商標の使用をしていないことについて正当な理由があることを被請求人 が明らかにしたときは、この限りでない。

 法律家からすると,結構親切な条文だなあって気がしませんか?弁理士のころはあんまり意識しませんでしたが。
 使用していないことの証明は,悪魔の証明なので,そんなのはできませんね。ですので,請求された側としては,面倒ですが,明文上使用していることの証明を商標権者側に課したわけです。
 
 ですので,商標権者側としては,兎に角証拠をバンバン集めればいいのです。法的主張なんてある意味どうでもいい話です。
 つーか法的主張は,基本弁論主義だとかの当事者主義の範疇の外の話であり,法令の解釈適用はそもそも裁判所の責任・専権ですので,代理人を含めて当事者は,兎に角事実の主張,そして,それを裏付ける証拠を集めればそれでいいのです。
 格好つけて変な法的主張を繰り出すなんてね~,奇策好きに戦略家なし,ですわ。

 ところが,それがよくわかっていない場合があります。
 弁護士でもわかっていない場合もありますが,まあ弁護士なら,まだ何とか大丈夫かなあ(後述)。でも,弁理士だと,本当わかっていないことが多いです。つーか,そういう訓練していないので,当然と言えば当然なのですけどね。

3 判旨
 「商標使用は,商標権者が登録商標管理として入念に配慮しなければならず,その関係の内部資料を保管しているべきであって,たやすく立証可能な事実であるのに,被告はネットの掲載などの断片的な証拠を提出するのに甘んじている。しかし,上記1認定の各事実を総合すると,レイラニ社は「2012-02-06」すなわち平成24年2月6日に「ALL STATE」の文字を含む本件標章を取り入れた革製ジャケットについてネット上で広告・宣伝したことはかろうじて認めることができる。・・・なお,上記1(4)の認定事実によれば,在庫商品の「ALL STATE」の革製ジャケットに本件商標が付されていたのか不明であり,商標法2条3項1号に該当する使用の事実があったか必ずしも明らかではないといわざるを得ない。
 ただし,上記1(1)の認定事実によれば,レイラニ社の在庫商品として刻印,下げ札等により商品に本件商標を付していたことがうかがわれ,かかる行為自体は,商標法2条3項1号に該当するといってよい。もっとも,その時期は特定されておらず,本件審判請求の登録前3年以内であるか否かは必ずしも明らかではないといわざるを得ない。
 また,レイラニ社の本件商標の付いた在庫商品の数は平成23年7月10日分しか判明しておらず,その前後の変動は不明であり,在庫商品が実際に販売に供されて譲渡されていたかもまた不明といわざるを得ず,商標法2条3項2号に該当する行為があったとは認められない。
 以上のとおり,本件商標使用の事実立証は極めて雑ぱくなものといわざるを得ないが,当裁判所は,上記(2)におけるただ1回の広告・宣伝の事実だけはかろうじて認定が可能と評価したものである。」
 
4 検討
 判旨を平たく言えば,もうちょっとましな証拠があるはずなのに,適当な証拠しか出さない~,しっかりせえや,代理人もついてるんだろ~,ギリギリおまけじゃ,こーんガキャあ(ここは大分弁),というところでしょう。

 これは勝ったから良いようなものの,代理人が当事者を厳しく突いて,もっと資料を出させるべきだったでしょうね。上にも書きましたが,やはりそういうところは弁理士は甘いです。

 そして,ちょっと検索したら,同じ被告でこういうものも出て来ました。何かこれは巻き込まれ(コラテラル)事故ってな感じで,ちょっと可哀想ですが,やはりうーんという感じがしますね。

 弁理士の方は,そりゃ特許や商標の専門家かもしれませんが,契約の専門家ではありません。
 契約を結ぶときに,個々の条項の意味がわからずひな形を使ったり,それを当事者に言われたままちょっと変えるだけじゃあ,ダメなんじゃないですかね。いやいや恐ろしいことですよ。

 というのは,私はかつて弁理士だけでした。それが今は,弁護士でもありますので,弁理士時代の自分がいかに契約というものを知らなかったかが,如実にわかるからです。
 一言でいえば,そんなことすら知らないのに,よく契約書をレビューしたり,契約の交渉に出て来れるもんだ,って所です。

 まあこういう年寄りのボヤキみたいな話になったのも実は元があるのですが,このブログには一応ポリシーがあります。ときどきは例外的なこともありますが,やはり事件のことは書けません。

 ですので,こういう書き方になったのですね。いやあ本当はすごく書きたいのですが,しょうがありません。

5 昨日のサッカー
 昨日は勝てませんでしたが,よく引き分けたと思います。アンラッキーな失点には,ラッキーな得点を,という人生良し悪しのバランスが同じということでしょうかね。
 私も,良い事が続いたら,やばいな~と思いますし,悪いことが続くと,良かった良かったと思いますけどね。

 サッカーに話を戻しますと,ブルガリア戦に比べれば,戦う姿勢にはなっていたと思いますよ。ただ,その中でも本田は頭一つ抜けていたって感じがしますね。後で,PKのときのVTRを見るとわかるのですが,本田が一人だけペナルティーエリア目指して歩んでいるのに,他のメンバーはもう一目散にペナルティーエリアから退散しているのですね。

 だって,そりゃあ外せば罵倒されるかもですが,あそこで決めれば,明日のヒーローじゃないですか。クラブに戻ったら給料も上がるかもしれないし,CMのオファーだって来るかもしれないし,合コン行ってもお姉ちゃん持ち帰り放題ですよ!美味しいことが一杯あります。
 だのに,本田とPKのキッカー争いをせずにスタスタ見学に回るなんて,考えられないな~。

 ですので,負けると思ってたと言ったウッチーは,正直過ぎてダメだし,圭佑くんみたいなのがあと二三人欲しいと言ってた香川は減点100ですね,お前がなればいいだけの話。

 下世話な欲望丸出しでもいいから,ギラギラが足りないな,本当。
 私は世代的にギラギラし過ぎかもしれませんが,こういうのって,いざというとき意外と大きかったりするんだよなあ。

 ま,兎も角も決まって良かったと思いますよ。昨日負けてたら,アウェイ(ドーハですけど)のイラクにも負けて,他のチームの成績と睨めっこの可能性が大きかったとおもいますからね。それじゃあ気分良くありませんしね。
1 概要
 本件は,別紙【2-1】記載の構成から成り,指定商品を「第3類 化粧品,せっけん類,香料類,歯磨き」とする商標登録第4671440号の登録商標(引用商標1),別紙【2-2】記載の構成から成り,指定商品を「第3類 せっけん類,歯磨き,化粧品,香料類」とする商標登録第1822150号の登録商標引用商標2),別紙【2-3】記載の構成から成り,指定商品を「第3類 せっけん類,歯磨き,化粧品,植物性天然香料,動物性天然香料,合成香料,調合香料,精油からなる食品香料,薫料」とする商標登録第1881500号(引用商標3)の商標権者である原告(資生堂)が,別紙【1】記載の構成から成り,指定商品を「第3類 洗濯用漂白剤その他の洗濯用剤,洗浄剤(煙突用化学洗浄剤を除く。),つや出し剤,擦り磨き剤及び研磨剤,せっけん,香料類及び香水類,精油,化粧品,ヘアローション,歯磨き」(本件指定商品)とする国際商標登録第1044057号の登録商標(本件商標)の商標権者である被告に対し,無効審判を請求した(無効2012-680001号)ものの,特許庁から不成立審決を受けたため(商標法4条1項11号又は15号に該当しない。),知財高裁に審決取消訴訟を提起したものです。

 これに対して,知財高裁第3部(芝田さんの合議体ですね。)は,原告の請求を棄却しました。要するに,審決とおりで,商標登録は有効,としたわけですね。
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商標そのものは,左図のとおりです。

1が被告の商標で,2が原告の引用商標です。ま,エリクシールに似ているのが気に入らなかったわけですね。

 特段凄い論点があったわけではありませんが,たまには商標もいいんじゃないの,ってことで,大手企業が当事者だったこともあり,取り上げました。


2 問題点
 問題点は,上記のとおり,商標法4条1項11号(又は15号)の該当性です。さらに具体的に言えば,SONYとKUSONYのように,ある程度知られた商標を構成として含む場合の類否判断が問題になるわけです(本件は,ELIXIRとNINA L’ELIXIRですね。)。

 まず,特許庁の審査基準ですが,4条1項11号の6の(6)には,以下のような記載があります。
 「(6) 指定商品又は指定役務について需要者の間に広く認識された他人の登録商標と他の文字又は図形等と結合した商標は、その外観構成がまとまりよく一体に表されているもの又は観念上の繋がりがあるものを含め、原則として、その他人の登録商標と類似するものとする。
 ただし、その他人の登録商標の部分が既成の語の一部となっているもの等を除く。
(例) 類似する例
 テープレコーダについて「SONYLINE」、「SONY LINE」又は「SONY/LINE」と「SONY」
 化粧品について「ラブロレアル」と「L‘0REAL」「ロレアル」
 かばん類について「PAOLOGUCCI」と「GUCCI」
 航空機による輸送について「JALFLOWER」と「JAL」
 映画の制作について「東宝白梅」と「東宝」

  類似しない例
 金属加工機械器具について「TOSHIHIKO」と「IHI」
 時計について「アルバイト」と「ALBA/アルバ」
 遊戯用機械器具について「せがれ」と「セガ」」


 ま,ですので,周知著名商標が中に入っていると,その周知著名商標と類似しやすくなる,ってえのはいいと思います。
 結局商標は,識別標識なわけですから,周知著名商標というのは基本識別力が強くて,それを含むものと誤認しやすくなるのは確かでしょうからね。
 ただし,この審査基準で例外もあるように,まとまりよく一体のものは,さすがに,類似しないとしたわけです。例えば,パナソニックの中にはソニが含まれておりますが,これとソニーが類似っちゅうのもねえ~と言えばわかりやすいでしょうかね。

 となると,知財高裁がどう判断したかは予想がつくっちゅうもんです。

3 判旨
「(1) 本件商標
ア 本件商標は,別紙【1】記載のとおり,「NINA」の文字部分と「L’ELIXIR」の文字部分を横書きして成るものであり,複数の構成部分を組み合わせたいわゆる結合商標と解されるものである。このような結合商標について,商標の構成部分の一部を抽出し,この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは,その部分が取引者,需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や,それ以外の部分から出所識別標識としての称呼,観念が生じないと認められる場合などを除き,許されない(最高裁平成20年9月8日第二小法廷判決)。
イ これを本件商標についてみると,外観上,本件商標を構成する各文字の大きさ及び書体は同一の全角で,等間隔でまとまりよく一体的に表されており,「NINA」と「L’ELIXIR」の間に空白部分があるものの,その広さは,半角程度にすぎず,全体として横に一行でまとまりよく表されているものであり,「L’ELIXIR」の文字部分だけが独立して見る者の注意をひくように構成されているということはできず,まして,「ELIXIR」の文字部分だけが独立して見る者の注意をひくように構成されているということはできない。
ウ これに対し,原告は,「ELIXIR」の文字部分が識別標識として強く支配的な印象を与え,全体から独立して看取される旨主張するが,以下のとおり,いずれも採用することはできない。・・・・
エ 以上のとおり,本件商標は,「L’Elixir」の文字部分あるいは「ELIXIR」の文字部分だけが独立して看取されることはないから,本件商標の「L’ELIXIR」の文字部分又は「ELIXIR」の文字部分が独立して,本件指定商品の取引者や需要者に対して,引用商標の商標権者である原告が本件指定商品の出所である旨を示す識別標識として強く支配的な印象を与えるものであったということはできず,他にこのようにいえるだけの事実は認められない。さらに,「NINA」の文字は,本件商標の指定商品に関連する一般的,普遍的な文字であるとはいえないから,「NINA」の文字部分に自他商品を識別する機能がないということはできない。
 このほかに,本件商標について,その構成中の「L’ELIXIR」の文字部分あるいは「ELIXIR」の文字部分を取り出して観察することを正当化するような事情を見いだすことはできないから,本件商標と引用商標の類否を判断するに当たっては,その構成部分全体を対比するのが相当であり,たとえ,引用商標が,本件指定商品の取引者や需要者の間で周知であったとしても,本件商標の「L’ELIXIR」の文字部分あるいは「ELIXIR」の文字部分だけを比較の対象として類否の判断をすることは許されないというべきである。
オ そうすると,本件商標は,構成全体として造語と解されるものであるから,特段の観念を生じないものといえる。もっとも,本件商標の称呼については,一般人であれば,我が国においてなじみのあるローマ字読みにするのが通常であると考えられるから,本件商標からは,「NINA L’ELIXIR」をローマ字読みにした「ニナレリクシール」の称呼を生じるものと認められる。
(2) 引用商標
 引用商標1及び3は,別紙【2-1】及び【2-3】記載のとおり,「ELIXIR」の欧文字から成るものであり,引用商標2は,別紙【2-2】記載のとおり,「エリクシール」と「ELIXIR」を上下2段に書いたものである。
 「ELIXIR」は,「錬金薬,万能薬」を意味する英語であるが,英単語として必ずしもなじみのある語ではなく,本件指定商品の取引者はさておき,本件指定商品の需要者において,「ELIXIR」が「錬金薬,万能薬」を意味するものとして一般的に認識されていることを認めるに足りる証拠はないから,引用商標は,特段の観念を生じないものといえる。もっとも,引用商標の称呼については,一般人であれば,我が国においてなじみのあるローマ字読みにするのが通常であると考えられるから,引用商標からは,「ELIXIR」をローマ字読みにした「エリクシール」の称呼を生じるものと認められる。
(3) 本件商標と引用商標との類否
 以上によれば,本件商標と引用商標は,いずれも特段の観念を生じないものであり,その外観,称呼において異なるものであることは明らかであるから,全体として類似する商標であるということはできない。」

4 検討
 気に入らないからって,勝手なところで切っちゃダメよ~♪という感じでしょうかね。
 外観は若干似ていたとしても,エリクシールとニナレクシールと,全然違うわけですから,これでいいのではないかと思います。つまりは,誤認混同も生じないのでしょうからね。

 ま,大きな会社の場合,ブランドというのを本当に大事にしますので(私がもと居た会社なんて,当時のトップ(顔のデカイ指揮者)が,一番の財産はS/O/N/Yの4文字だって言ってたくらいですから。いやあぶっ飛びましたね。社員も技術もどうでもよく,ブランドが残ればいいわけですからね。),ちょっと似ていたくらいでも,念には念を入れて~♪ということで,負けて元々の異議や不使用取消や無効審判を請求することがあります。こういうところは特許とは相容れない考えですよね。

 それはしょうがありません。今流行りのスマホやタブレットにしろ,使われている特許は何千何万でしょうが,使われている商標は,通常1個!です。つまり,特許は持ちつ持たれつで併存の可能性は大いにあるのですが,商標の場合,そんなことはあり得ませんよね(ある商品を買って,アップルかつサムソンの商品は凄いなあって??思いもしませんわな。)。
 ですので,傍から見ると,あの大手の企業で,こんな判決と思われるかもしれませんが,それなりのビジネス的合理的意図の下,やっていることなんですね。

5 追伸
 さて,5月に入ったのですが,昨日といい今日といい,この寒さは何なのでしょう。いつもはGWには冬物をなおし(大分弁),暖房もなおし,サーフィンにも行き始めるのですが,今年は無理!です。
 ああ,冬物などをなおさなくて良かったなあって思います。
 ま,昼すぎて朝の寒気は抜けたようですが,変な気候だなあ。
 
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弁護土・弁理土
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理論物理学者を目指したのはもう30年以上前のこと。某メーカーでの液晶ディスプレイのエンジニアを経て,弁理土に。今は,弁護土です。次は何かな。
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