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知財,特に特許を中心とした事件を扱っている理系の弁護土の雑記帳です。知財の判決やトピックについてコメントしたいと思っております。
1 読書週間はまだまだ続くよ~♫というわけじゃないですが,今日はこんな本の紹介です。
 ま,時期的には実にいい感じじゃないかと思います。何せ,平昌五輪,開会式は明日ですが,競技は既に始まっております(これマジ)。
 
 日経の土曜の書評で紹介されて,実に面白そうだなあと思い(しかし,お陰で書評の移った日曜の紙面はスカスカですよね~。「NIKKEI The STYLE」って評判いいのかねえ。あんなクソみたいな内容,誰が読むんじゃ!と思いますが。),買ってみたわけです。

 いやあそしたら,凄い面白かったです。字びっちりで360pくらいある,非常に大部なものですが,多分1週間かかってないですね(本屋で実物見てください。)。
 読み進めると,何と言いますか,よく出来た推理小説みたいに,謎解き・・・が進むのですね(とは言え,私が最後に推理小説を読んだのは小学生のとき)。

 しかも,あとがきでそれに類したことを著者が書いているのですけど,これは私が好きな系譜学ですわ~つまりは「悲劇の誕生」「道徳の系譜」みたいな,ね。
 

2 このくらいじゃ何のことかわかりませんが,ちょっとタイトルがイマイチではあるのです。

「オリンピック・デザイン・マーケティング」というタイトルなのですけど,これは分かりにくいです。
 正確にには,オリンピック・デザインとオリンピック・マーケティングだと思います。だけど,オリンピックが共通項なので,パンデクテン方式か数式の整序か分かりませんが,オリンピックを前だししたのでしょう。

 なので,中身は,オリンピックデザインから始まって,オリンピックマーケティングに移行していくという話がメインです。
 
 ところで,ここでよく書いているように,私の目下のところの目標は,東京オリンピックにおけるアンブッシュマーケティング規制法の阻止!です。

 別に,それは嫌儲じゃないですよ。私も大手企業や大手企業から金もらっている人と同様,金こそすべてじゃ~という資本主義信奉派ですからね。
 ただし,だったら全部スポンサー筋で何とかせいや,税金出させるなや,ただでさえ金がないのに~♫ちゅう理由です。

 東京オリンピックも,税金投入0,全部トップパートナー等で賄います,なら何の文句も言いません。でなければ,私も含む国民の自由を制限することには断固反対ってわけです。五輪まんじゅうくらい売らせろや,バーカ,っていうことなのですね。

 なので,この本もいかにオリンピックがスポンサー筋の方を向くようになったか,そして,それに電通が絡んでいったかってことをよく書いています。

 例えば,長野大会に関する記述でこんな記述があります(そう言えば長野からちょうど20年ですね。)。

 「長野冬季大会は”電通マーケティング祭り”なのであった」p143
 「このようなアンブッシュ対策が強まれば強まるほど,長野市民の期待値は下がったことである。」p149

 他にも
 「開催都市や企業がなぜIOCの方針(なかでもスポンサー保護)に従わなくてはならないのかは疑問に思われてしまうところである。」p173
 の記載もあります。

 2020に向けてアンブッシュマーケティング規制法を望む方からのロビー活動は今後激しくなりそうですが,私は若干楽観しております。
 この本によると,スポンサーを取り付けた代理店のフィーは大会によってマチマチではあるのですが,およそ,10~15%くらいのようです。
 とすると,上記のトヨタのスポンサー就任に関し,電通が得たのは,200億から300億円!

 ですので,仮にスポンサー筋からのロビー活動がきつそうなときは,え?そのアンブッシュマーケティング規制法って,結局電通が儲けるためだけじゃないの~っていうことでネットの嫌儲派に火をつければ(電通には,こういう痛いスネの傷もあるはずです。),旧エンブレム騒動のようになるかもしれませんよ~。

 ま,私も金儲けは大好きなので,ほどほど&バランスが大事ってことでシクヨロ~♫

 おっと,本の話かいつものようなスポンサー筋への悪口か,とっちらかってよく分からなくなってしまいましたね。

3 ということで,この本は,ほぼ文句はない労作,秀作です。
 でも,それだけじゃ面白くないわけで,1点苦言,1点アドバイスなどを。

 今回,エンブレムに纏わる話ですので,マークの話の分量も多かったと思います。なので,その辺に関する記述が気になったのですが,完璧でした。専門じゃないと思うのですが,知財に関する記述に文句はありません。

 だけど,1点,法律の条文が間違っています。まあ細かい話なのですけど,いかんせん一応弁護士なもので,気になるのですよ。
 p354に
 「地方自治法(第一六七条の二)における随意契約
 という記述があります。ま,しかし,地方自治法に第一六七条の二という条文はありません。
 これは,地方自治法施行令の間違いですね。随意契約は,その施行令マターですから。
 
 法律監修の先生マターの話かもしれませんが,2刷か重版のときに直しておいてください。

 次にアドバイスです。
 私はここで何度も書いているとおり,負け組貧乏弁護士です。ですが,弁護士にとって本というのは,お店の仕入れみたいなもので,売上が低くても一定程度支出しないといけないものです。
 ということで,私が利用するのは,至誠堂の1割引!がメインです。ですが,これ,法律書だけで,今回のような本は売っていません。
 
 なので,そういう場合どうするかというと,ソニー友の会での楽天ブックスの割引か,弁理士協同組合の1割引&送料無料に合わせるかってことになります。でも,これ本の種類や時期が限られてたりするのです。

 ですので,結局,アマゾンの中古で買うことが多いのです。法律書じゃない本は殆どアマゾンの中古かなあって感じです。
 今回のこの本もそうで,送料入れても1割以上安く買えました。

 で,中古なのに,状態は凄く良かったです。ほぼサラ,つーか新品でしょって所です。全く読んだあとが窺えませんでした。
 まあ,良い品に巡り会えて良かったわいと読み進めてたら,この本からチラチラ~と紙切れが舞い落ちました。
 ああ,栞か何かと思ったら,こんなものでした。
 
 「謹呈 著者」と書かれております。

 私も2回ほど本を書きまして・・・,それはいいのですが,出版社からの謹呈分を誰に謹呈するかいつも迷います。
 お世話になった人を中心に~という所でしょうね。

 なので,この本を書いた加島先生にアドバイスすることは,謹呈はもっと人を選んだ方がいいのではないかということです。
 ちっとも読みもせず,こんな紙が挟まってることすら確認することもなく,せどり屋に出すような輩に謹呈しても仕方ないでしょう。

 まあでも気になったのは,この2点でしかも1点は属人的な話だけですから,非常に勉強になったというか,良かったですね。
 著者の言いたかったことはタイトルにもある「エンブレム問題からオープンデザインヘ」のことなのかもしれませんが,あっしには関わりのねえことでござんすっちゅうことなのでありまして,でも,そういう面を抜きにしても良い本だと思います。

4 追伸
 そうだそうだ,今日の日経の2面に関連深い話が載っていたのでした。
 「 五輪選手 CMから消える 肖像権を理由に自粛の動き 知財保護と応援、どう両立 」

 上記の本の話は,主としてオリンピックシンボルやオリンピックエンブレムというマークの話でした。

 他方,オリンピックの金づるにはもう一つありまして,それが選手の肖像権です。
 これはピンクレディー事件で明白になったとおり,パブリシティ権というものがあって,それは一定の条件の下,認められたわけですね。最高裁の判決では,人格権由来のものということですが,それに商業的価値がついたのですね。
 でも,私が今ここでパブリシティ権と言い換えたとおり,「肖像権」というと,法の明文も判例もなく,ようわからんものになってしまうのです。なので,上記の記事の話も本来はパブリシティ権のことかなあと思います。

 兎も角も,選手の肖像を利用する権利もトップパートナー等に限られているわけです。

 なので,この日経の2面に載ったような問題が起きうるのです。

 ただ,商標権のような外延のはっきりしたものとは異なり,よく分からない肖像権ですからねえ,ちょっとJOCもノイローゼ気味じゃないですかね。
 だって,自分の会社の社員なんだから,何難癖つけてんじゃ,クソJOCが,おんどりゃー,出るトコ出たろかワレ!という対応でいいのではないかと思います。

 JOC等が文句を付けて来たとしてもそれがどうしたというのでしょう。
 上で紹介した本には,やはり前の東京オリンピックのときにJOCが著作権侵害(オリンピックシンボルのね。)で,ある団体に仮処分をうった所,東京地裁で「著作権の保護期間は過ぎており・・・」という決定が出たとの記載もあります。

 64年の際には戦った団体や人も沢山居たのですから,今回も戦ってみてはどうしょうか?

 あと余計な話ですが,今回のオリンピック&パラリンピックエンブレムについては,既に商標登録出願されており,しかもこの年始に登録されたようです(第6008759号~第6008762号。カラーと白黒のそれぞれ2種です。代理人はTMIのようですね。)。

 こんなやつが代表ですね。
 指定商品等は,所謂全群の出願です。

 で,ここから重要なのは,こいつらの登録日は,1月5日です。
 なので,2ヶ月内の3月5日まで異議申し立てが出来る!ということです(商標法43条の2~)。
 どうですか~誰かやってみませんかねえ。

 あ,一応説明しておきますと,こういうブログに,上記のオリンピックエンブレム等を掲示しても,商標権侵害にはなりません(商標法26条1項6号)。所謂商標的使用じゃないってことになりますので,ご心配なく。
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