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知財,特に特許を中心とした事件を扱っている理系の弁護士の雑記帳です。知財の判決やトピックについてコメントしたいと思っております。
1 復活第二弾は,こんなお題でやりましょう。
 4月に入り,平成27年改正特許法が施行され,やはりホットイッシューは,職務発明でしょうから,こういうのも便宜かなって気がします。
 ですので,職務発明関係の本の,ズラズラとした書評ってことです。

 とは言え,私職務発明の事件ってそんなやっていないのですね。え!そうなのって感じかもしれませんが,そうなのです。しかしながら,経験の少なさを持ち前の能力の高さで補って余りあるって感じでしょうかね,デヘヘ。あ,能力の高さと性格の良さは,経験上一致しないことが多いかなと思います。少なくとも私は全く一致しませんね,ムフフ。

 ほんで,何故そんな職務発明の事件をやっていないかというと,イソ弁時代にお世話になった事務所の影響でしょうかね~。そこでは少なくとも発明者側で事件を受けることはなかったですね。そりゃそうです。使用者側,つまりは企業の側に立った方が,継続的にお金になるからですわな。
 それに,結局労働問題なんですよね~,職務発明って。労働問題だと燃えるっていう弁護士も多いとは思いますが,私はそういうのに全く燃えないタイプですので~(大体ダラーっとしていますし。),尚更腰が重いニャーって所でした。

 ということで,私も独立してしばらくはそんな感じでやっていたのですが,背に腹は代えられないってことで(意味はわかりますよね。何せ稀代の負け組弁護士ですので。),独立してからぼちぼちやってきたってわけです。

 おっと,また議題から逸れかけました。ま,このブログは議題から逸れることが裏の議題みたいなもんですから,いいでしょ~。

 発行日順に行きます。当然私が自腹で買った本だけです。知財部向き,発明者向き,はたまた弁護士向き,ということは示します。価格は税抜きで。あと,役に立つ度合いを☆で示します(アマゾンのパクリ)。私の個人的・属人的評価なので,恨みっこ無し~ですよ~。

2 ここからがメインの話
(1)「徹底解析 職務発明」(飯塚 卓也,森濱田松本法律事務所編著)商事法務
 2005/9/16発行 2,900円 ☆☆☆ 知財部向き
 この3月31日まで有効だった平成16年法が施行されたのが,2005/4/1~なのですね。なので,この時期,結構職務発明の本が発行されてたりします。これもその一つです。

 だから,当然,今回の新法(平成27年法)の話は全くありません。でも,例の中村修二さんとの件を初めとして,職務発明事件として揉めた件から,平成16年法の話まで,網羅的に載っております。職務発明規程の例から判決のレビューまで載っておりますし,会社側の弁護士にとても十分と言える内容です。
 それに,B5版だからかもしれませんが,非常に見やすく,かつわかりやすく書かれております。
 上記のとおり,平成27年法のことは全くありませんが,未だに参照する機会もある良い本だと思います。この,平成27年法版が出たら,迷わず5つ☆ですね。

(2)「企業と研究者のための職務発明ハンドブック」(永野周志著)経済産業調査会
 2009/3/24発行 3,200円 ☆☆☆☆ 弁護士向き
 誰向きかはっきりとはわかりませんが,弁護士,特に発明者の代理人弁護士向きだと思います。上記のとおり,私個人としては職務発明の事件はぼちぼちやっているだけなのですが,そのとき,一番参照するのがこの本です。
 多少わかりづらい所があるのですが(永野先生の本は,他にも進歩性のことを書いた「特許権・進歩性判断基準の体系と判例理論」,クレーム解釈のことを書いた「特許権侵害判断認定基準」と,特許の大きな論点で網羅的にあるのですが,どちらも非常に難しいです。わざとわかりにくくしているんじゃないかと思われる程です。ところが,この本はハンドブックというだけあって,その2つの本に比べれば随分分かりやすいです。),代理人として気をつけなきゃいけない所が抜けなく書かれてありますので,実に参考になります。
 惜しむらくは,やはり,平成27年法のことは全く載っていないという所です。

 ところで,永野先生は,私と同郷,少なくとも小学校3年くらいまでは,同じ小学校だったようです(ご本人から直接お聞きましたので。)。それから宇佐か中津かに転校したらしいですね。ということは,東京高裁に居て要件事実で大儲けしている私の同級生とも当然同じ小学校です。だとすると,豊後高田市出身の現役法曹は,4人いることになりますかな。

(3)「職務発明規定変更及び相当対価算定の法律実務」(高橋淳著)経済産業調査会
 2014/5/15発行 2,500円 ☆☆ 知財部向き
 上の(1)の飯塚先生の本と同様な感じのものです。ですので,職務発明規程の例,裁判例のレビュー,その他の論点の考え方など,一通りのことは載っております。じゃあ,何故☆が伸び悩んでいるかというと,非常に読みづらいからです。
 本来ここに書けばいいのではないかという所ではなく,別な箇所に載っているものがあります(例としては消滅時効。これは裁判例のレビューのところがよいと思います。)。にもかかわらず索引がないので,いちいち探さないといけない(そう言えば,今回紹介する本のうち,索引があるのは,(5)だけです。私も自分で本を書いた経験があるので,確かに索引って一番最後にやらないといけないので面倒なのは重々承知です。でも,これがあるとないとじゃ随分親切さが違いますね。)。
 それに,本の作りが何か変なのです。章のはじめに取って付けたようなパワポの資料のようなものが来ており,調子狂うなあって感じがします。
 なので,もしかして,これってセミナーのレジメをそのまま本にしただけか~と思ったら,もうそのとおり。最初の刊行の狙いって所に「セミナーのテキストをベースにしたものである」って書いております。ズコーッ。
 そりゃセミナーだと講師のフォローがあるので分かると思いますが,それ本にしたら説明してもらえず,わかりづらいのは当然ですわな~。あーあ。
 あとは誤植です。参考文献の所に,「田村和之」とありますが,この先生で当該論文等を検索した所,全くヒットしません。特許で田村先生といえば,アレおかしいなあ,下の名前が違うのでは?と思ったらそのとおり,田村善之先生ですよね。こんな重要な所,間違っちゃマズイんじゃないの~♬

(4)「職務発明規定 改正対応の実務」(高橋淳著)レクシスネクシス・ジャパン
 2014/12/22 2,600円 ☆ 知財部向き
 これねえ,色々疑問な本です。本来☆もつけたくないくらいですが,つけておかないとこれを買った私の見識の方を疑われると思いますので,一応つけました。
 内容は,(3)とほぼ一緒の話に,平成27年法改正法の動向ということを付けただけです。
 で,その(3)との一緒さ加減というのは,である調をですます調に変えただけと言ってよいかと思います(例えば,上記の消滅時効の話は,(3)でp156~p158の9-1~9-4に書かれております。他方,(4)ではp207~208の10-1~10-4にあります。持っているひとは見比べてください。裁判例を注に移したりしていますが,ほぼ同じ文言です。)。
 半年経たずに出したとは言え,前の本だとこうだけど,今回の本だとどうだろう?と思って見比べた私の驚きが分かりますかね。
 まあ消滅時効の所がたまたま一緒だっただけで,他の所は変えてあるよね~♡って・・・他の所も見たら,他の所も一緒!えーーうそ~ですわ。
 まあ,字のポイントは(3)より大きいので(その分ページ数もアップ),私のような老眼のおっさんには見やすいのですが,本当(3)に比べた取り柄はそのくらいしかありません(改正法の動向と言っても,改正法案公表の前に発行されているので,改正法案そのものの話はありません。)。
 しかし,こういうのを何故あのレクシスネクシス・ジャパンが出したのか,疑問だし,色々解せない本ですわ。ま,何でも中身を見て買わないと痛い目に遭うってことで,良い勉強になりました。

(5)「実務解説 職務発明 平成27年特許法改正対応」(深津 拓寛 , 松田 誠司, 杉村 光嗣, 谷口はるな著)商事法務
 2016/3/15 3,000円 ☆☆☆☆ 知財部向き
 現時点での,平成27年法改正法まで含めた本としては,ほぼパーフェクトじゃないでしょうか。刊行する前は,ただのガイドライン(新35条6項)の解説かと思ってたのですが,随分違いました。特に良いのは第5章からの職務発明Q&Aですね。これで,企業の知財部の皆さんの疑問はほぼ晴れるのではないかと思います。さらに職務発明の規程の例まで載っておりますので,こんなん出されたら,民にやることなし!ですわ(この著者らは,特許庁で立法を担当した方々です。)。
 惜しむらくは,立法者はこう考えている,これは1つの説に過ぎないってことをそんなに大きく言っていないってことです。つまりは,この本のとおり完璧にやっても後で裁判所から違う判断が下される虞があることです(そんなの何でも当たり前ですけどね。)。
 でも,ウブな人が読んだら,さもこの本に書いていることが通説で,これでいいのだ~!と思ってしまいそうです。そこがちょっとアレかな~と思います。
 あと,本の趣旨からして当然なのですが,過去の裁判例の分析などはありません(揉めた時に参照する,論点本タイプの本ではないからです。)。
 とは言え,現時点では十分と思います。

(6)まとめ
 ということで,発明者から相談された弁護士なら(2),知財部や知財部から相談された弁護士なら,それに加えて(5)があれば,十分です。

 今回,この記事を書くにあたって,アマゾンで他にどんな本が出ているか見ましたが,全体の数が少ないですね(たった5冊の紹介でも意味があるかどうか確認したということ。)。ですので,それなりに役に立つかもしれません。

3 追伸 
 毎度おなじみ流浪の弁護士,散歩のコーナーでございます。
 本日は,ここ山本橋に来ております。
 
 いやあ,桜も見事に散ってこんな感じです。
 山本橋での桜の見頃は先週の初めくらいでしたかな。
 
 こんな感じでした。これが4/4ですね。移り変わりの凄まじさです。

 ところで,その散歩の帰り,恐らく「ウチくる!?」のロケだと思われる芸能人を見かけました。
 中山秀ちゃん(相方は今どこで何をやっているのでしょうか。),厚切りジェイソンまでは確認できました。あと女性が二人いたのですが,残念ながらわかりませんでした(下心の対象外だとこんなもんです。)。
 その皆さんは,私の事務所の近くに知る人ぞ知るという非常にリーズナブルでおいしいイタリアンがあるのですが,そこに入って行きました~♫いやあまたこれであの店に入るのが大変になりそうだニャー。
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理論物理学者を志望したのはもう30年近く前のこと。某メーカーのエンジニアを経て,弁理士に。今は,弁護士です。次は何かな。
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