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知財,特に特許を中心とした事件を扱っている理系の弁護士の雑記帳です。知財の判決やトピックについてコメントしたいと思っております。
1 概要
 本件は,被申立人(日本ボート協会)が、2012年ロンドンオリンピック・アジア大陸予選の男子軽量級ダブルスカル(LM2X)日本代表クルーを決定するに当たり、2011年11月 21日から同月25日にかけて行った最終選考合宿において、同合宿に招集された申立人を含む6名の選手で最終選考を行い、そのうち2名の選手(後記のAとB)を代表として 決定したが、申立人はこの代表に選ばれず補漕(補欠)とされたところ、申立人が、被申立人に対し、この選考の方法は著しく不公正な方法によるものであると して、同内定を取り消し、新たに代表2名の内定(決定)を求めたものです。

 これに対し,日本スポーツ仲裁機構は,申立人の主張を一部認め,「被申立人が行った2012年ロンドン五輪大会アジア大陸予選会の男子軽量級ダブルスカル(LM2X)日本代表クルーの内定(2011年11月24日内定、2011年11月29日発表)を取り消す。」との仲裁判断を下しました。

 今年は,ロンドンオリンピックの年です。先週末も水泳などで日本選手権が行われ,ロンドンオリンピックの代表内定等が続々と出ております。
 そして,その中の1つ,いまだ五輪代表というわけでないのですが,ある競技で,ロンドンオリンピックのアジア予選への代表選考がやり直され,その結果が出たという小さいニュースがありました。これが,先週の金曜,4/6のことでした。ほうほう,これは気になる話だわい,法律家として,いや元アスリートとして,という感じで,この再レースの元になった仲裁判断が今回のもの,というわけですね。

2 問題点
 スポーツの選考等は,まあ好きだからやってんでしょ,と言われればそれまでなのですが,五輪等の代表に選ばれるか選ばれないかでそれこそ天と地との差があることが殆どです。ですので,必死でやっている競技者と同様,選考も必死で公正にやらなければならないのは当然です。しかも,昨今アマチュアと言ってもお金の絡むことは多く,とても,好きだから,では済ませられないわけです。

 他方,そういう選考で気に入らないことがあった場合,どうすればいいかというと,これが訴えてやる!というわけにはいかないのですね。裁判できるのは,法律上の争訟というもの,すなわち,①当事者間の具体的な権利義務ないし法律関係の存否であって,②それが法律を適用することにより終局的に解決することができるもの,に限られるのです。

 スポーツの選考は,ある競技者を代表に選ぶ義務が団体に生じるものではなく,他方,競技者も選んでもらう権利を持っているわけではありませんね。しかも,何の条文を適用して,その効果として,どうなる(具体的には,代表に選んでもらう等なのでしょうけどね。)ってえのを書いた法律なんかありませんからね。法適用のしようもありません。まあそれに,仮に裁判でOKと言っても,判決が来年だったら,実際に救済はできませんよね。当事者間の具体的な権利義務については,慎重に判断しなければなりませんが,こういうスポーツ選考は時間との戦いの面もあり,そういう面からしても裁判には適しないと思います。

 ままともかくも,スポーツの選考は法律上の争訟に当たらない,というわけなのです。しかし,これでは競技者は困りますよね。じゃあどうすればいいんだ!?ってことになります。ちょっと前の水泳の千葉すず選手の件は,このブログでも書きましたが,日本でもそういう件を処理するため,日本スポーツ仲裁機構というのがあり,競技者と団体間での,そういう争いの処理を行なっております。

 さて,仲裁って,何?という方はどこかで調べて下さい。しかしながら,平たく言うと,裁判は,合意なく手続に入らされ,しかも結論に強制力があるもので,他方,仲裁は合意しないと手続に入らされることはないが,結論には強制力があるというものです。ですので,今回のポイントは,実は,申立人のT選手よくやったということよりも,競技団体が仲裁に入ったという入り口が非常にポイントだったわけです。ここで,仮に競技団体が拒否したりすれば,今回のような仲裁判断や,さらには先週金曜の最終的結果は無かったわけですからね。いやいや怖い,怖い。

3 判断内容の一部
「(1)被申立人が E 選手の漕いだクルーの全記録を除外して選考したことの適否について
 そこで、第7レースで集計に含むべきでないイレギュラーな事態が発生したとする被申立人の判断の適否についてはひとまず置くとして、仮に、被申立人の主張 するイレギュラーな事態があったとした場合に、それに対処するために被申立人が E 選手の漕いだクルーの全記録を除外した選考方法の適否を検討する。
 (2)この点、被申立人は、このような選考方法を採用した理由として、第7レースの結果だけを除外すると、他のペアが第7レースで良いタイムを出している 可能性もあり、不公平を生じるのでこの方法は採用しえないこと、E 選手が関わったクルーのすべての記録を除外することは、最下位の選手を除外した上位5人 によるタイムを集計するものであり、どの選手にとっても同一条件で公平であり、特定の選手に有利にも不利にもならないから、公平公正な選考方法であること を主張している。
 (3)しかしながら、被申立人が採用したように E 選手の漕いだクルーの全記録を除外して選考すると、この記録の除外によって、E 選手と漕いだ際に良いタイ ムを出した選手には集計した平均タイムにおいて不利、同じく悪いタイムを出した選手には集計した平均タイムにおいて有利となる結果が生じることは明らかで ある。もとより、被申立人は、本件の最終選考要領においては、平均タイム上位2名を代表に選考するとの基準を明確にしていたのであるから、選考のためのタ イムの集計方法としては、当然、良いタイムを出した選手が上位となる方法をとるべきである。しかるに、被申立人は、E 選手の漕いだクルーの全記録を除外す ることによって、被申立人が明らかにしていた選考基準と全く相反する結果を生じる選考方法を採用したことになっており、このような選考方法は到底合理的と いうことはできない。
 さらに、E 選手がこのシートレースでは記録が振るわず6名中最下位の成績であったとしても、他の選手にしてみれば、本件のようなシートレースによる選考 においては、そのような選手と組んだときにいかに良いタイムを出すかがまさに課題となるわけであり、そのことによって各選手の技術や経験が試されるという ことも十分に考えられる。しかし、最下位の E 選手と組んだ際の記録を除外するという選考方法によると、これらの点は全く評価されなくなってしまうのであっ て、そのような選考方法が公正公平ということはできない。
 また、イレギュラーな事態に対処するための選考方法は他にも多数考えられるが、被申立人において他の選考方法を十分に検討した跡が認められない。しか も、第7レースのみにイレギュラーがあったとすれば、最終選考合宿の日程には11月25日の朝も含まれていたのであるから、これを利用して再レースを行う ことも検討されてしかるべきであったところ、被申立人がそのような検討を行ったことも認められない。
 以上のとおり、仮に被申立人の主張するイレギュラーな事態があったとしても、それに対処するためにE 選手の漕いだクルーの全記録を除外する選考方法を設定し、これに基づいて被申立人が選考判断したことは、著しく合理性を欠く結果を生じているといわざるを得ない。」

4 検討
 経緯からすると,今回最終選考合宿に,申立人、C、B、A、E、F の6名の各選手が選ばれ,その選考方法として,シートレース(実際に水面上のボートに2人づつ乗り,漕いでもらうもの。しかし,結局,誰と誰のペアを組ませ,その結果をどう判断するかにかなり裁量がある様子。今回の仲裁判断は,そこまで立ち入ったものではありません。)で決めることになり,その条件が,「シートレースは、予定した1500m10本全ての結果を集計し、平均タイムにより 上位2名を代表クルーとして指名する。平均タイムの評価はヘッドコーチが行う。但し、2位と3位が「僅差」の場合は、11月24日の第10レースの後に、 プレーオフシートレースを行い、勝者を2位とする。」と記載されていた。そして、僅差については「平均タイムにして、0.4秒以内の差を僅差として判定する。」と記載されていた。
 プレーオフシートレースの実施要領については、「11月24日の第10レース終了後、10本のレース結果を直ちに集計し、2位と3位が僅差の場合に実施す る。」「プレーオフシートレースは、シートレース上位4名にて2X艇2艇を用いて以実施する。レースは1500mレースで行う。1本目漕いだ後、クルーを 変更し2本目を実施する。レース結果は両者の2本の平均タイムで比較し、平均タイムの速いほうを勝者とする。尚、このタイム差が前述規定の僅差以内であっ ても速い方を勝者とする。」と記載されていた。」とされていたようです。

 その結果,本番10レース中の第7レースで,AEペアが大きく遅れたため(この原因も一応論点だったようですが,仲裁判断では,留保したようです。),Eの関わった全レースの結果を削除して,更に,申立人、C、B、Aの4名による余分の2レースも行われ選考した結果,ABが代表に内定することになったのでした。
 そうすると,上記のとおり,Eとペアを組んで遅かった人は嬉しいでしょうが,Eとペアを組んで早かった人は,おいおいちょっと待ってくれ,と言いたいでしょうね。結局,今回の申立人の言いたいこともそれに尽きると思います。

 仲裁判断はその辺を汲んで,内定決定を取り消しました。そして,競技団体は,申立人とCのペア VS 一旦内定をもらったABのペア による再レースで決着をつけることにしたわけです。その結論は上のリンクのとおりです。
 種々の報道では申立人のT選手よくやったという観点からの報道が多いようですが,仲裁判断は,別に,そこまで競技団体を非難してはいません(当然ですが。)。本当に非難されるべきは,仲裁判断のされた争点の一点のみだったなあという気がします。

 ところで,時間の話が上に出ましたが,本件,申立が本年の2/2で,結論が示されたのが,2/27です。こういうスピード感もスポーツの選考に合致しておりますね。裁判じゃようやく期日の指定(期日でなく)がされるくらいのペースですから。

 ともかくも,次はアジア予選(4/26-29),頑張って本当の代表を掴みとって欲しいものです。


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1 はじめに
 この二三日で,首記に関する重要な裁判所の判断がありましたので,取り上げました。まあステルスマーケティングの一環でもありますけどね。

 ただ,名誉毀損に関しては,大手メディアの最高裁を道具にした自殺行為と言えるものだと思いますので,こっちから先に行きましょう。

2 平成22(受)1529号(最高裁第二小法廷平成24年03月23日判決)
(1)概要
 本件は,読売新聞西部本社とその従業員(法務室長も含む。)である上告人らが,インターネット上のウェブサイトにフリーのジャーナリストである被上告人が掲載した記事により名誉を毀損されたと主張して,被上告人に対し,不法行為に基づく損害賠償を求める事案です。

 これに対し,一審のさいたま地裁は,原告だった上告人らの請求を棄却,さらに,東京高裁も控訴を棄却したようです(平成21(ネ)5834号,東京高裁平成22年04月27日判決)。
 そして,今回最高裁が逆転で,原判決を破棄し,東京高裁に差し戻すことになったのです。

 まあよくあるパターン,確かにそうですね。しかし,これってそれで済ませて良いことでしょうかね。

(2)問題点
 表現の自由は,憲法上の権利だとされております。芦部先生の「憲法」(岩波書店)にも,「表現の自由はとりわけ重要な権利である。」と書かれております。
 「第二十一条  集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
  検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。

 何故重要か,というのは,色んな理由があるのですが,やはり民主政に資するから,という理由が一番しっくりくるのだと思います。
 インフォームド・コンセントという言葉がありますが,このとき,きちんとした説明を受けることが前提でないと,コンセントは無効のはずです。不正確な情報,出鱈目な情報,インチキな情報,金儲け第一の情報,こういう情報に目くらましをされると正しく理解して同意することはできませんからね。

 これは政治に関しても同じなわけです。ただ,普通の人は,午後NHKで放送される国会中継をつきっきりで見たり,民主党の党大会に自費をはたいて馳せ参じたり,霞が関の官庁などに政策をいちいち聞きに行ったりはできません。そんな暇じゃないですから~♫。
 ということは,それを伝えるいわゆるマスメディアとかマスコミとかいうものの意義は非常に大きいわけです。彼らがしがらみを恐れず,いろんな権力・圧力に屈することなく,ありのままを報道等してくれるおかげで,正しく判断できるということになるわけです。

 ですので,まあマスメディアとかマスコミとかが多少勇み足をしたとしても,大目に見てあげるというのが正しい姿勢なのではないかと思います。勿論,やり過ぎはよくないですが,ほんのちょっとのことで,民事刑事の責任を問われるとなると,萎縮してしまい,及び腰になってしまいますからね。

 まあともかくも,そういうマスメディアとかマスコミにとって,表現の自由は何よりも大事なはず!,と普通は思いますよね。いくら自分達にとって掲載されたくない記事を掲載されたとしても。

(3)判旨
「(1) ある記事の意味内容が他人の社会的評価を低下させるものであるかどうかは,一般の読者の普通の注意と読み方を基準として判断すべきものである(最高裁昭和29年(オ)第634号同31年7月20日第二小法廷判決・民集10巻8号1059頁参照)。
 前記事実関係によれば,本件記事は,インターネット上のウェブサイトに掲載されたものであるが,それ自体として,一般の閲覧者がおよそ信用性を有しないと認識し,評価するようなものであるとはいえず,本件記載部分は,第1文と第2文があいまって,上告人会社の業務の一環として本件販売店を訪問したX2らが,本件販売店の所長が所持していた折込チラシを同人の了解なくして持ち去った旨の事実を摘示するものと理解されるのが通常であるから,本件記事は,上告人らの社会的評価を低下させることが明らかである。
(2) そして,前記事実関係によれば,本件販売店の所長が所持していた折込チラシは,訴外会社の従業員が本件販売店の所長の了解を得た上で持ち帰ったというのであるから,本件記載部分において摘示された事実は真実ではないことが明らかであり,また,被上告人は,上告人会社と訴訟で争うなど対立関係にあったという第三者からの情報を信用して本件サイトに本件記事を掲載したと主張するのみで,本件記載部分において摘示した事実が真実であると信ずるにつき相当の理由があったというに足りる事実を主張していない。
(3) そうすると,被上告人が本件サイトに本件記事を掲載したことは,上告人らの名誉を毀損するものとして不法行為を構成するというべきである。」

(4)検討
 最高裁を責めるのはやめておきましょう。筋違いという気がします。前例に則り判断するとこうなりますよ。
 しかし,さいたま地裁も東京高裁も,大目に見たものを何でかなあとは思いますが(ちなみに,今回の事件とは別に著作権の争いもあります。一審二審とも,本件の一ニ審と同様の結果です。)。
 
 さて,とにかく結果として上記のように判断されました。
 ということは,表現の自由を最大限尊重しなくてはならない筈の大手メディアが,表現の自由の制約に一役買ったということになります。私が自殺行為だと書いたのもこの点にあります。

 本来私は反人権派弁護士ですので,人権のことなど論じたくありません。口が腐りますからね。
 しかし,今回の件は,最高裁の判決が出た非常に大きな事だと思いますが,大手メディアで報道したのは,当事者の読売新聞だけです。普段人権にうるさい筈の某新聞も,人権カルトの日弁連も何の音沙汰もありません。

 名誉毀損というのは,刑法犯(刑法230条)の予定もあり,しかも民事と刑事の規範がほぼ同じということはよく知られています。ということは,今回の最高裁判決をたてにして,国家権力が動こうと思えば,動けるのです。
 勿論,読売新聞西部本社に対しても,例外ではないはずです。そのとき捜査当局に対し,この程度のことでどうして?と言えますかね?自業自得ってことになりますよ。表現の自由の制約に加担した者,いわば放棄した者が,今度は自分の表現の自由を守ってくれなんて言っても誰も聞いてくれません,当たり前です。

 将来,ああ,あの時が分かれ目だったのだ,あんまり誰も言わなかったけど,あそこで潮目が変わったんだな,となりうる重大なことだと思いますね。

 もっとも,今回の件に積極的な意義も見出すこともできます。つまり,既存の大メディアはシビアな場面で頼りにならないということがわかりましたので,これから,インターネットの果たす役割は更に重要になったということです。

2 グーグルへの仮処分
 今日の日経紙の社会面にも結構大きな記事になって出ています。
 まあたしかに,このサジェスト機能というのは便利です。ちなみに,私の苗字を入れると,・・・そう,仮面ライダーバース役の俳優さんが真っ先に上がってきますね(後藤ちゃん,大丈夫~♫)。ただ,こういう便利さというのは,今回の仮処分でもわかるように諸刃の剣でもあるわけです。

 さて,注目するのは,今回のグーグルの対応ですね。
 私も仮処分で日本の会社に対応をお願いすることがあるのですが,そのとき,裁判所の決定が出ると,結構迅速に対応してくれます。
 他方,じゃあ会社が無視するということなると,どう保全執行するのかなあというのはありますね。基本,これは,仮の地位を定める仮処分であり,満足的仮処分になりますので,強制執行ということになると思います(民事保全法52条1項)。で,そうすると,こういうタイプのものは,不代替的なす債務ということになると思いますので(その人がやってくれないと意味がない,又はその人しかやれない。),間接強制ということになり,なさない限り金払えということなるのでしょうね(民事執行法172条)。

 とすると,アメリカに本社のあるグーグルに,ちゃんと措置しない限り金払えっと言っても,無視されれば,ほぼとりうる手段はないわけです。
 ただ,上記のように,日本の会社は,間接強制など経ず,決定が出た時点で措置をしてくれますので,グーグルもそうなんだろうなあという見通しがあったのかもしれませんね。例えば,今や海外に拠点を移した2chも,日本の裁判所の仮処分の決定があれば,削除とIPの開示には応じてくれるようですので,代理人としてもパラレルに考えたのかもしれませんね。でも,グーグルは2chよりもかたくなだったわけですが。

 ただ,商売重視の私企業ですので,世論の情勢いかんによっては,かたくなな態度が変わる可能性があります。そうすると,私のような自分でパイオニア的に新しい先例を切り開くという意思も能力もない弁護士が,金魚の糞のように追随してグーグルへの仮処分を,ちょっと前の過払い請求の如く群れる可能性がありますね~♫ですので,今後のグーグルの対応に注目するわけです。
1 今回は,半分宣伝です。タマにはいいでしょ。
 というのは,独立して結構すぐに依頼のあった事件について,ようやく解決したからです。
 そして,その事件というのが,首記のとおり,インターネット上に変な書き込みをした犯人を見つけ,それなりの償いをさせたという事件だったからです。

2 私の事務所のHPにも載せてますが,ネット上で変な書き込みをされたので,何とかして欲しいという依頼が増えております。その書き込みの内容というのは多岐に渡りますが,一番問題なのは,誰がやったか大変わかりにくいというところです。

 良いことをして恥ずかしいので,匿名ということもありえますが,悪いことをする場合には更に匿名ということが通常の人間の心理なのでしょう。また,匿名の方が発言しやすいということもあるのだと思います(個人的には,匿名でないと発言できないような発言はやめちまえ!と思っておりますが,まあそれは私見ですからね。)。
 ですので,変な書き込みしても一体誰の書き込みか容易にわかりません。更には,ツイッターで問題になったように,なりすましの問題もあります。

 そこで,プロバイダ責任制限法の枠組みで,プロバイダなどに,誰の書き込みか,その情報を開示してもらい,犯人とおぼしき人物に主として民事上の責任を追及するというわけです。
 このプロバイダ責任制限法そのものについては,いろんなサイトがありますので,そちらを見てもらうとして,ここで話すのは,実際どうなの?という事柄です。

3 上に,独立して結構すぐに依頼のあった事件が解決したと書きました。ということですので,依頼から1年半以上,いや2年近く経っているのです。
 これは長すぎるとは思いますが,ネットの書き込みを捕捉して,犯人に至るまでは結構な手間なのです。

 まず,解決に至るまで,通常3回の裁判手続をやらないといけません。3回も!・・・なのです。

 1回目は書き込みのあった掲示板やブログなどの管理者宛です。書き込んだのは誰ですか?誰かわからないなら,書き込んだ日時(タイムスタンプ)とIPアドレスなどを教えてちょうだい~と任意の請求をやるわけです。
 しかし,これできちんと教えてもらった試しがありません。法上,情報開示の要件として,「権利が侵害されたことが明らかであるとき」とあるので,通常,掲示板などの管理者達(いわゆるIT企業が多いです。)は,一様に,明らかじゃない,明らかじゃない,と唱えてきます。

 ですので,ここで最初の裁判手続をやるわけです。本案(普通の裁判)でもよいのですが,通常は仮処分で十分だと思います。
 ただ,仮処分は早くてよいのですが,民事保全手続ですので,担保金が必要です。大体,東京で今30万円が相場だと思います。会社がクライアントさんの場合は,この程度の額は大した負担ではありません。しかし,個人の場合,かなりの負担です。弁護士に着手金払って,しかも返ってくるとはいえ(あくまで担保なので,いつかは返ってきます。),個人で30万円って結構な額ですよね。そうじゃないと思うあなたは金持ちなのですね。

 ですので,弁護士報酬に加えて30万円を用意できるという場合には,仮処分をやった方がよいと思いますし,そうでないなら,地道に(ログ消すなよ,と牽制しながら)本案をやるしかないということになります(早めの期日で早めの和解で対応します。)。

4 もうここまででうんざりしてきたのではないでしょうか。
 さて,仮処分ないし本案の結果から,通常,犯人が掲示板にアクセスした時間(タイムスタンプ)とIPアドレスがわかります。そこで,つぎに,そのIPアドレスをwhoisなどを利用して,どこのプロバイダを使っているのか確認し,今度は,そのプロバイダに,その日時で書き込んだ者の契約者情報の開示を請求するわけです。

 しかし,上と同様,各プロバイダは,一様に,権利侵害が明らかじゃない,明らかじゃない,と唱えてきます。

 さらに,近時パソコンではなくスマートフォンが普及してきたため,スマートフォンの抗弁というのが問題になっておりました。
 というのは,携帯電話というのは,IPアドレスと発信者情報との結びつきが一対一ではないようなのですね。ですので,スマートフォンなどからの書き込みの場合,IPアドレスの他に,携帯の機種番号やSIMカード識別番号がわからないと特定できないのです。
 ところが,プロバイダ責任制限法で,法上開示を請求できる発信者情報(省令で定めている。)には,そんなのなかったのです。まあプロバイダ責任制限法ができたのが2002年で,もう10年近く前の話のため,携帯などに対応できていなかった,というわけです。ですので,携帯会社としては,法上開示しなくていいんだもーん,しらねーよ,という対応がありえたのでした。

 これが問題だったのは明らかであり,近時(今年の9/15,たった3週前ですよ!),発信者情報を定める省令が改正され,携帯の機種番号やSIMカード識別番号がそれらに加わり,漸く解決しました(余談ですけどね。)。
 詳細には,この官報を見てください(まだ生き残ってました。11/10/17時点ではさすがに,リンク切れのようです。あとは主務官庁の方でも検索してください。)。

 以上のとおり,任意の開示にはやはり応じてもらえませんので,ここで2回目の裁判手続をやるわけです。
 ここも,本案か仮処分か迷うところですが,とにかくどっちかやらないと契約者である犯人に辿り着きません(ちなみに東京地裁では,仮処分だと受け付けてもらえません。)。
 なお,弁護士報酬ですが,相手方が異なるということで,通常,別事件扱いということになります。担保金は,上のものを使い回しできますが,弁護士報酬は別途払わなければなりません。そうそう,言い忘れましたが,最初の事件(IT企業宛)の報酬金も必要でしたね♪(本当大変!)。

5 さあここまできました。3回目の裁判手続ですね。こうなりゃもうヤケクソです。
 プロバイダが犯人の情報を開示してくれれば,あとは通常の不法行為に基づく損害賠償請求その他の一般事件と変わりません。煮るなり焼くなり好きにせいというところですね。

 ところで,ヤケクソはヤケクソなのですが,実はここまで辿り着くのは幸運な場合です。色んな理由で,途中でアクセスログが消えていたりすると,ここまで来ませんから。
 ときどきあるのが,任意の請求のときに,アクセスログを消すなよ,と言っているのに,侵害情報を消した際に一緒にログも消しました~という業者がいて,困ってしまいます。
 右足を出せっち言われよったら右手までつられて出すんか,こーん,という大バカ加減です。

 ただ,やはり,ここも別事件扱いとなるのが普通なので,前の事件(プロバイダ宛)の報酬金の精算をして,犯人宛の事件の着手金を支払って,犯人宛の事件が解決すれば,その報酬金も必要だ,となります。

 まあ最後の事件で賠償金がうまくとれれば,依頼者にも顔が立つのですが,そうでないとまあ・・・というところですね。

 以上,私は金金弁護士ですので,金の話が多かったのですが,クライアントの方にとっても重要と思えますので,正直なところを書きました。

 しかし,読んでいて,そこまでしないとダメなんだねえという感想だと思います。ただ,法律を使って問題を解決するというのは,本質的にどんな事件も結構時間もお金もかかる面倒なものです。
 いやあどこかの芸人さんのように,ピシッと早い団体の方に頼みたいなあと思うかもしれませんが,急がば回れです。

6 という風に何か知った風なところを書きましたが,私は理系とはいうものの,コンピュータやITとかに詳しいわけではありません。事件を通して勉強を続けている半可通に過ぎません。
 ですので,よく見させていただいているのが,神田先生のブログです。やっぱ専門家というのは,こうでなきゃいけません。非常に勉強になります。

ということで,本日は宣伝ばかりでした~♪
1 本日,首記のガイドラインの登録専門家の説明会が行われました。
 しかし,いまだよくわからないし,何なんだろうな~というところも多いので,書き留めておきます。

2 この内容については,グーグルで引いてもらうとよいと思います。
 まず,説明会によると,登録専門家の1件あたりの報酬は,2万円程度だそうです。説明では,半分ボランティアだとか言っておりました。
 しかし,比喩で小学生のお年玉と言うことがありますが,本当にそれと同じ程度の額というのもね~。私のような金権弁護士からすると我慢のならぬ低額さですね。

 次に,もっと本質的なところなのですが,これは債権者が1名,ないし2名程度を想定しているそうです。しかも金融機関で。
 もちろん,効果として,債務免除という大きな効果が得られることはメリットですが,債権者が1名2名ならば,こんな制度を使わず,相対して債権者それぞれと交渉した方がよいのではと思います。法的手続では,むしろ債務免除が原則ですしね。

 今回の説明では,8/22の開始から既に600人もの相談が来ているとありました。ただ,数的には多いとは思うのですが,これはより適切な相談場所を知らないため,ここに相談に来ているだけのような気がします。

3 最後は得意の当てこすりです。
 中心となっている旗振り役の思いはそれとしても,実は,思っているような需要は大して存在せず,妄想が妄想を生み,取らぬ狸の皮算用,さらには,ブラジル日系人における勝ち組騒動(太田恒夫著「日本は降伏していない」文藝春秋,が詳しいです。初版の発売当時に読みましたが,非常におもしろい本です。もう手に入れるのが難しいかもしれませんね。)並の状況というのが昨今多いなあと思います。

 まあ何のことを茶化しているのか,このブログをよく読んでいる人にはおわかりですね。
1 日々知財の訴訟の判決のウオッチングをしている方ならおわかりかもしれませんが,知財の訴訟は,侵害訴訟だけではなく,審決取消訴訟も下降気味ですね。正確な統計をとったわけではありませんが,ブログをはじめた昨年に比べて,裁判所のHPにアップされる頻度が低い上に量も少ないという感があります。

 まあもっとも,審決取消訴訟の場合,特許の,拒絶査定不服審判に対する審決取消訴訟の割合が多いわけで,近時,登録の割合が急上昇しているところを見ると,この類型の訴訟が減るのも当然ということかもしれません。

 ということで,本日もどうでもよい系の話です。

2 1÷0,0÷0,0÷1,まあどれも要素に1か0しかないのですが,この計算の答えはわかりますか?

 全部0?外れ! こんな答えをした人は,学者にも法曹にも向いていないとは思いますが,経営者や政治家には向いているかもしれませんね。

 全部小学校で出てくる単純な演算と要素なのですが,実はものの本質をきちんとわかっていないと答えが出ないのです。
 おそらくこの計算をきちんとわかるのは,理系の高校生以上ではないかと思います。

 例えば,手持ちの計算機で計算すると,初めの2つの計算はエラーになるはずです。答えが一義的に出るのは,最後の0÷1のみのはずです。もし計算機でそうならなかった場合,その計算機は安物ですね。

3 一つ一つ行きましょう。割り算は,掛け算の逆の演算ですよね。今回必要な知識はそれくらいです。
 最初の1÷0も,掛け算に直すとよくわかります。つまり,この答えをある数とすると,そのある数に0を掛けると1になるというわけです。
 で,そんな数ありますかね?どんな数も0を掛けると0になってしまいます。まあ,無限大という答えもありそうですが,それは状態ですからね,ちょっと違います。
 ですので,この1÷0の正しい答えは不能です。

 次も同じです。ある数に0を掛けると0になる,そんな数を探せばよいのです。
 うん,もしかして,1でも2でも100でも1億でもそうじゃない~,その通りです。これは何でもよいのです。
 ですので,この0÷0の正しい答えは不定です。

 最後は簡単ですね。ある数に1を掛けると0になるというわけですから,この場合のある数は,0しかありませんね。
 ですので,この0÷1の答えは0です。一義的に答えが存在するのは,これだけ,というわけです。

4 この内容,きちんとわかった人はセンスがよいです。よい教育を受けてきたのでしょうね。

 まあそんな自分を含めてヨイショしても仕方ありません。このブログをよく見ている方はおわかりですね,壮大な前置きに過ぎないということを。

 民法の規定に上と似たような話があるのを知っていますか?民法131条の既成条件や民法133条の不能条件です。

 既成条件というのは,もう既に成就してしまった条件のことです。例えば,「私が弁護士になったら」というようなものです。逆に,不能条件というのは,絶対成就しない条件のようなものです。例えば「うちのばあちゃんが生き返ったら」というようなものです。

 そして,民法131条1項はこう書いております。「条件が法律行為の時に既に成就していた場合において、その条件が停止条件であるときはその法律行為は無条件とし、その条件が解除条件であるときはその法律行為は無効とする。
 この停止条件というのは,ある効果がスイッチオンになるもので,逆に解除条件というのは,ある効果がスイッチオフになるというものです。

 したがい,この民法131条1項の前半の停止条件の場合を,先の例に加え,おじさんに時計をもらう話にしますと,私が弁護士になったらもらうということになり,既になっておりますので,もらうという効果が常にスイッチオンになり,無条件に時計はもらえる,ということになります。
 他方,同項の後半の解除条件の場合としますと,私が弁護士になったら返すということになり,既になっておりますので,常にスイッチオフで絶対元に戻さないといけなくなるわけです。

 そう,つまり,前半は無条件ですので,不定を,後半は無効ですので,不能ということに近いのでは?,と思います。

 民法133条も同じような感じです。やはり無効と無条件という,不能と不定に似た概念が条文化されています。

5 これで何が言いたいか,別に学術的な分析をしたいわけではありません。頭の良い人が条文を作るとこういう感じなのではないでしょうか,という得意の当てこすりですね。

 何に対して,誰に対しての当てこすり?そんなの全部言わなくてもカンのよい方なら重々おわかりですね。
1 各報道機関の報道によりますと,岡山のスーパーに,独禁法の改正後初めて,優越的地位の濫用として課徴金が課されることになったようです。

 伝家の宝刀か,絵に描いた餅か,となるおそれはあったのですが,公取委は結構ヤル気満々ということですね。ただ,いまだ事前通知の段階らしく,公取委のHPにはこの内容はアップされておりません。

2 優越的地位の濫用というのは,一番よくある類型だと思います。
 例えば,大手家電量販店で,その量販店の社員ではなく,メーカーから派遣された人に接客されたことのある方はいませんか?
 よくみると,社員証のホルダーがその量販店の特有のものではなく,アルファベットでTOSHIBAだとかHITACHIだとかSONYだとかだったりするのです。

 性格の悪い私は,量販店でそういう人をわざと捕まえて,他社の製品についてアレコレ聞いて,しかも値引きまでさせようとさせ,さらには,こんな派遣って独禁法違反になるかもしれないって知ってました~?なーんて聞いたりします。なんて,弁護士チックなんでしょう!

 ちなみに業界トップのヤマダ電機もこのようなことでかつて排除措置命令をくらったことがあります。今なら,確実に課徴金モノです。
 なお,私が昨年TOSHIBAのテレビを買ったときは,新宿のヤマダ電機でHITACHIの派遣の人に接客してもらいました,ワーオ。

3 法律の構造自体は,以前詳しく説明しましたので,それを見てください。
 報道によると,今回,独禁法2条9項5号ロないしハに該当し,同法19条違反のようですね。
 そうすると,課徴金は,同法20条の6で,一定の売上額の1%となるようです。それが2億円ということですから,結構な取引量だったのですね。

 私のような零細弁護士にとって,クライアントは大手にいじめられる立場の事業者が多いものですから,これは非常に良い武器になりますね,ホホホ。
1 昨日の夕刊に衝撃的なニュースが載っておりました。
 何とビンラディンさんが殺害されてしまったのです。そして、ホワイトハウス前では、これが正義だと大騒ぎする人々の映像もありました。

 少し前、アメリカの大学教授による「正義」に関する本が出され、日本でも話題になりました。
 アメリカ人の言う「正義」?そんなの、北朝鮮一番のプレイボーイが教えるナンパの方法、程度のものでしょう。要するに、お前が言うなとダチョウ倶楽部並の高速ツッコミをくらうのが本来適正な評価と言うべきでしょう。

2 私はネトウヨですので、現行憲法である日本国憲法よりも大日本帝国憲法の方が好きです。文言の格調高さ、物語の素晴らしさ、大日本帝国憲法の方が優っていると思います。ただ、日本国憲法にも、おおこれいいじゃん、という条文もあります。

 まず、23条、「学問の自由は、これを保証する。」です。なんと、五七五なのです。
 次に31条「何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。」です。この31条は、適正手続(いわゆるデュープロセス)を定めたものとされています。

3 つい最近、通称司忍が出所しました。そんなこともあり、今年の株主総会は近年に無く総会屋の活動が活発になるのではないかという話もあります。企業の総務部、法務部は大変なことでしょう。

 暴力団、特に指定暴力団は、社会に脅威を与えます。昨日は、ローカルニュースで、九電工の支店に火炎瓶が投げ込まれたという報道もありました。
 しかし、社会の本当の脅威という意味では、暴力団などは屁のようなものです。本当の害悪、本当の悪魔、 本当の脅威、それは、国家そのものです。
 指定暴力団といっても、その構成員、準構成員を合わせても数万人でしかありません。これに対して、自衛隊は約25万人で重装備です。警察もほぼ同程度ですから、暴力装置としては、50万人の規模となり、指定暴力団の約10倍もの大きさです。

 例えば、「指定暴力団の構成員、準構成員及びそれらの三親等内の親族については、刑法199条の「人」、刑法261条「物」の適用はないものとする。」という暴力団特別処分法を立法し、政府が、暴力装置に対して、処分命令を下したらどうなるでしょうか?
 おそらく、1ヶ月経たずして、暴力団は根絶やしになるでしょう。この前の宮崎県の家畜のように殺処分されるわけですから。

 このように、暴走して悪魔となった国家を止める術はありません。法だからよいのだとして、しっちゃかめっちゃかの法を作られてはたまりません。適正な法により国家の暴走を抑える!、これが法の支配であり、デュープロセスもこの一つです。

4 日本国憲法には、このような条文があるのです。これは、母法であるアメリカ合衆国憲法を受け継いだものとされています。
 今回のビンラディンさんの殺害は、何の権限で何の根拠で行ったものなのでしょうか?
 このようなことができ、許されるならば、ホワイトハウスをヘリで急襲し、オバマ被疑者とその家族をその場で射殺する事も当然に許されてしかるべきでしょう。
 デュープロセス、法の支配、全部あんたらが言い出したことじゃねえの?ずっと、ウソだったんだな〜やっぱばれちまったんだなあ♫

5 祗園精舎の鐘の声、
 諸行無常の響きあり。
 娑羅双樹の花の色、
 盛者必衰の理をあらはす。
 おごれる米国久しからず、
 唯春の夜の夢のごとし。
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