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知財,特に特許を中心とした事件を扱っている理系の弁護士の雑記帳です。知財の判決やトピックについてコメントしたいと思っております。
1 このブログは,基本的に勤め人の暇潰し~ですので,土日に更新したって誰も見ません。
 1週間のアクセス数を見ると面白いですよねぇ~。もう月曜がダントツの1位で,金曜に行くに従って徐々に少なくなります~。
 みんな月曜日をぶっ飛ばしたいんだなあ~って実に思いますが,でも政府が働き方改革とか言ってる割に内実全く進んでいないことがよくわかりますよ~。この1週間の傾向が変わるのはいつになるのだろう~。

 ということでいつものように長い前置きです。

 ソースは昨日の日経の夕刊の一面~私はびっくりしました。見出しはこんな感じです。

国際仲裁 日本で拡大へ 政府、外国法弁護士の登録容易に 知財訴訟に対処

 これだけだと,ふーんって感じですよねぇ~。特段,今日の記事のタイトルとそんな関係ある話ではないように見えます。むしろ,うん?弁護士会の間違い?って感じすらします。

 しかし,記事の中身が問題です。
政府は外国の弁護士資格の保有者が日本で活動しやすくなるよう、法改正を検討する。日本での弁護士登録の要件を緩和するほか、日本の弁護士と共同で国内法人を設立できるようにする。

 問題はこの最後の部分です。要するに,B法人の解禁!です。これが重要なことなので,土曜にもかかわらず更新したわけです。

2 例えばアメリカでの弁護士の資格があるからってそのまま日本で弁護士の活動はできません。逆もそうです。だって,法律って属国的要素がデカすぎますからね。それに,言語の問題もあります。
 
 なので,外国での資格があって日本でも弁護士の活動をしたい場合は,外国法事務弁護士ということで登録し,その制限内で活動をすることになっています。そうじゃないと単なる非弁行為になります。

 で,問題なのは,そういう外国法事務弁護士が日本で活動する場合,個人相手に所謂街弁的に活動するわけがありません。
 世界中に拠点があり,数千人単位で弁護士の居る巨大ファームの日本支社の駐在員,日本の所謂五大事務所の外国要員,日本の大企業の渉外要員,逆に国際大企業の日本要員,こんな感じです。

 で,そういう状況で,ニーズがあるのは,外国法事務弁護士の弁護士法人というのがよくわかると思います。
 ただし,これはもう解禁されております。色んな意見もあったのですが,まあ外国法事務弁護士だけの法人(A法人)なら,活動範囲は限られていますので,まあ良いだろう~となったのです。このブログでも少々書いております。

 ほんで,今回の日経の記事によると,それだけではなく,上記のとおり,日本の弁護士と外国法事務弁護士との共同事務所の法人(B法人)を認めるようですね。

 ということで,漸く記事のタイトルに迫ってきました。

3 このB法人に利害関係が一番あるのは,実は,弁護士,勿論弁護士会ではないのです。外国法事務弁護士の需要のある所は上記のとおりですので,日本の弁護士と共同法人が出来たからって,従来のパイを侵食するわけではないのです。

 このB法人に利害関係が一番あるのは,実は弁理士,弁理士会なのです。ですので,弁理士会はここここにあるとおり,会を挙げて大反対していたのです。
  そして,A法人を認める法整備があったときはB法人を除外することができ,一定の成果はありました。しかし,上記の日経の記事によると,恐らく弁理士会の反対にもかかわらず,B法人を認めることにしたのでしょうね。

 で,肝腎の反対の理由ですが,これは簡単です。外内の出願を取られるから,です(反対意見は色々御ためごかしのことを並べておりますが,本質はここです。)。

 外内というのは特許事務所用語で,内外というのもあります。
 from外国to内国(日本)が外内,つまりinbound(インバウンド)です。
 他方,from内国(日本)to外国が内外,つまりoutbound(アウトバウンド)です。

 私は個人的にインバウンドやアウトバウンドよりもこの外内,内外の方が方向性が言葉に表され,ああどっちかなあと思わないだけ優れていると思うのですけど,どうでしょうかね。

 ま,それはいいとして,じゃあB法人が何故外内の出願を侵食するかですが,A法人だけだと日本の出願はできません。
 外国法事務弁護士では日本の弁護士の仕事はできませんので,弁護士法3条2項の「弁護士は、当然、弁理士及び税理士の事務を行うことができる。」が効かないのです。

 ところが,B法人だと日本の弁護士が居ますので,日本の特許庁に対して代理業務ができます!これがポイントです。
 アメリカのデカイ特許事務所,それは法律事務所でもあるのですけど(日本と違って,アメリカの弁理士は弁護士でもありますから。),なので,その所属員が日本に来たら外国法事務弁護士として活動できます。
 あとは,ロースクールによって大量生産されている安く雇える日本の弁護士(勿論,日本の特許法の知識も技術の知識も不要です。)を一人でも入れれば,アメリカの企業にとって,実に使える日本の特許事務所が出来上がり~♪という寸法です。

 ご存知のとおり,日本の特許出願(これは内内と呼ばれています。)は低値安定です。しかも,小さいパイを特許事務所同士で奪い合っておりますので,クライアントは値段をたたき,単価は下がる一方です。

 ところが,外内は,お客さんが外国企業なので,そこまでお金にうるさくありません。外国の企業にとっては勝手の分からない外国(日本)の話ですので,相見積もりをとって・・・明細書の出来に細かくチェックを・・・なかなかできません。
 なので,日本の特許事務所にとっては,残されたたった一つのブルーオーシャンと言って良かったわけです。

 それが,今回,日本の特許事務所の独占を破るということになったわけですので,大問題も大問題~ずーとロビイングしてきたくせに,一体どうなってんだ?!って話です。

 まあ恐らくロビイングは継続していたのでしょうけど,企業のニーズに押し切られたというのが実情でしょうね(ま,直接的には宗主国であるアメリカからの要求を飲まざるを得ないといういつものパターンかもしれませんけど。)。
 で,そういうときに,反対し続けているのを無視されたということを避けるため,弁理士会も渋々容認~というこれまたいつものパターン,なのかもしれませんけどね。フフフ。

4 さて,今後ですけど,まあやると決めた以上,これが撤回されることはないと思います。

 ですので,弁理士会のやれることのベストは,弁護士法の改正でしょうね。
 上記のとおり,弁護士法3条2項の削除,ないしは「弁理士」の文言の削除でしょう。

 とは言え,これはハードルが高すぎますね。弁理士の話なのに,弁護士法かい~?ってことになりかねません。特に弁護士が反対するでしょう。

 じゃあ,せめて弁理士法7条の弁理士となる資格を規定している条文から,2号(二 弁護士となる資格を有する)の削除を求めるべきでしょう。
 
 上記のどちらかのバーターとしてなら認める,今後の交渉はこの方向でしょうね。でも,政府からすると,弁理士会や弁理士なんてどうでもいいわ~♡と思われているなら,何の効果もないかもしれません。
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理論物理学者を志望したのはもう30年近く前のこと。某メーカーのエンジニアを経て,弁理士に。今は,弁護士です。次は何かな。
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