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知財,特に特許を中心とした事件を扱っている理系の弁護士の雑記帳です。知財の判決やトピックについてコメントしたいと思っております。
1 ということで,本日は台風直撃の月曜日,皆様いかがお過ごしでしょうか。
 案の定,昨日鵠沼海岸でサーファーが一人流され,不明となっております。

 実は,昨日は久々にサーフィンの予定だったのですが,天気が悪いのと,海に入ってもとても太刀打ち出来ないという判断でサーフィンは回避したのですね。
 いやあ,49歳,弁護士,サーフィンで行方不明,友人の話によると,たまにしかやらないのでやめた方がいいと言ったのだが,インサイドで水遊びしているうちに間違って離岸流にでも流されたのだろう,水遊びなら家の風呂でも出来たのに,となると悲惨というか物笑いの種ですので,良い判断です。

 で,本日は,日経の法務面に首記の特集がありましたので,これで行きましょう。

2 ただ,この話題,結構頻繁のような気がします。ですので,日経で,こういう特集があったということは,特許小委員会で,漸く議事録の公開があったのかなあと思ったのですが,いまだありません。

 なので,何の意図を持ってこのタイミングで記事にしたのかさっぱりわかりません。主題としては,職務発明の帰属は会社に,ただ,従前会社側が頑なだった,報奨は会社に任せろというのを譲歩して,社員の請求権を認めるようになったので,法案の提出も可能になった,ということのようです。

 でもそれって,いつもいつも聞いたような話です。そして,きちんとフォローしている人であれば,まだそのような所まで機が熟したとは言えないと思っているのではないでしょうか。おかしいですよね。
 それに,会社側が譲歩したからってどうしたというのでしょうか?社員側は,そもそも帰属が会社になるのはおかしいということから争っているような気がしますよ。社員側がそれでよい,ってそこを譲歩しないと,本来まとまらないと思うのですが。

3 つーことで,本来今日の記事なんて,ここで取り上げる程の価値あるものではありません。何つっても,日経の記事の100倍以上,このブログの方が価値ありますからね。

 いや,本当ですよ。だって,東工大出て,院まで出て,ソニーでエンジニアやって,その後知財部に異動して,弁理士試験に受かり,その後昔の超ムズイ司法試験も受かった,現役の弁護士が直々に書いているんですから。日経のゴミクソみたいな記者が敵うわけないでしょ,ワハハハ。

 ただ,今回の記事を取り上げたのには理由があります。
 無いと思っていたものがあったのです!ついに発見しました!UFOや宇宙人,ツチノコ以上の未確認現象を今般,この私が大発見したのです!

 それは,今回の立法事実です。前の職務発明規定の改正から10年も経っておらず,しかも訴訟すら起きていないのに,何故改正するのか?立法事実がないじゃないか!と皆さん疑問だったと思います。勿論,御用学者の先生たちは,いや0ベースで考える~なんてインチキ発言しておりましたが,そんなのに騙されるウブな私じゃありません。ですので,立法事実なんて無いと思っていたし,立法事実がないのに改正するなんて~という思いから,反対派も気勢を上げていたと思うのですね。

 でも,今般,立法事実が見つかりましたから,その点は安心してくださいな。

 で,肝腎の立法事実ですが,それが何かというと,知財部員の事務作業量の低減,です。薄々はそうじゃないかなあと思っていたのですがやはりそうだったようです。

 今回の日経の記事には,以下のような内容があります。

「ただ、大企業は対価の算定が大変だ。ホンダは特許の出願時と登録時に各1万円を払い、業績に貢献した特許に追加で補償するが、対象は従業員数千人、特許数万件にのぼる。別所弘和・知的財産部長は「管理部門の負担は大きい」と話す。」
「同様の社内手続きがある日立製作所も「発明者の確認・追跡のために数百人がかかわり、毎年、億円単位の管理コストがかかる」(鈴木崇・知的財産権本部長)。」

 この前,このブログで職務発明のことを書いたときに,萩原委員代理と土井委員との間での,こんなやりとりを抜き出しました。

○奥村(萩原委員代理)  先ほど私がうっかり・・・そういう意味で、大方の発明者は、私も誤解をおそれずに申し上げますと、企業内の大方の研究者の方は企業内の決めたところである程度は御納得いただけていることが多ございます。ただし、そうでない方というのは非常にエキセントリックに反応してまいります。そういったところが、お互いにわからない者同士議論をするわけですから、とても難しい状況になるということでございます。 ・・・」
「○土井委員  ありがとうございました。前回、規則の事例を出してほしいと発言しましたので、出していただいてありがとうございます。先ほど奥村委員が御説明の中でポロッとおっしゃっていたのですが、基本的には社内規則でほとんどの社員がうまくいっているのだけれども、一部のエキセントリックな方がいて、その法的なリスクに対応するためにかなりガチガチに対価を算定する必要があり、御苦労されていらっしゃるというお話があったと思います。一部のエキセントリックな人たちのために法律の根本的な権利の帰属を変えるのかというと、そういうことにはならないと思っておりますので、最初にそれを申し上げておきます。

 まさに,立法事実は,ポロッと出ていたのです。すき家の鍋の乱ならぬ,知財部員の算出の乱!です。

 つまり,金にうるさく口うるさい,面倒な発明者,恐らくそんなに割合は多くないと思いますが(1%くらいなもんでしょ。),そういう奴の対応をするために,知財部員の事務作業量がめちゃくちゃ取られるということです。
 それ以外の殆どの発明者は,別に金なんかどうでもいいし,まあ登録になってナンボかもらえりゃあいいと考える呑気な人が多いと思いますよ。だって,他にやることが多いですからね。

 だからと言って,多数派の発明者に合せてどんぶり勘定をしたら,「一部のエキセントリックな方」からやいのやいの言われてしまいます。とすると,本来どんぶり勘定でもいい多数派の発明者に関しても,「一部のエキセントリックな方」と同様に,厳密に細かく注意深くやらざるを得ません。
 つまり,他人の金勘定というクソ面倒くさいもの(だって人の給料の算定ですら難しいですからね。),そんなものを本来そういう仕事がメインでない知財部員がやらなきゃいけないっていうのが,実に不幸ですわ。上記のとおり,「一部のエキセントリックな方」だけじゃなく,全員についてそんなしょうもない仕事をしなきゃいけないのが,現在の知財部ということです。

 なので,末端の知財部員から,幹部連中に突き上げが来たことは想像に難くありません。いつまでこんな仕事ばっかさせんじゃ,経団連か知財協にでも言って改正してもらえよ,この給料どろぼうどもめが,てわけです。

 ですので,上記に名前の出た萩原委員代理の奥村さんが,Foolの役割を演じたのも,よっぽど切羽詰まった内情があったのでしょうね。

4 でもね~。今般,最初に書いたような立法案で進んだら,この立法事実に釣り合うのでしょうか???

 個々の知財部→経団連・知財協の要請は,あくまで会社側に職務発明を帰属させ,請求権は適当という話だったと思います。それは,そうすると,事務作業量が一番少なくなるからです。

 仮に,上記の立法案だと,帰属が会社になるだけです。勿論,そうなっただけでも,ちょっと面倒だった発明者からの同意取りがなくなるというメリットはあります。でも,それって事務作業量は,大したことないのですよ。ハンを要請し,書類送るだけ,ですからね。
 他方,請求権が社員側に残るとすると,やはりその請求権に相応しい報奨の計算の事務作業量は膨大で,基本今と変わりません。なので,今更,そんな改正案じゃあ,全く意味無いんだけどなあっていうのが会社側の本音でしょうね。いやあ,知財部の奴等にどうやって説明しようかなあ,ガクブルガクブルって所でしょう。

 まあ,そういうことが立法事実だとすると,今回の改正運動って一体何なんだろうと思いますね。作業量は変わらないのに,制度は新しくなるから,それに適合させるため,最初は事務作業量が今より増すかもしれませんよ~。

 それでもやるんですかねえ。
 立法事実は本当はこういうことでした,すみません,何かうまい案があれば,皆で考えてもらえますか,別に改正にこだわりませんので,と正直に言ってやった方がうまくいくのではないでしょうかね~。
 いやあ所詮他人事なので,どうでもいいのですが,税金が勿体無いんだよなあ~♪。

5 追伸
 台風は午前中に23区を通り過ぎて,午後の東京はいい天気になりました。風の吹き返しがどうのこうのという話がありましたが,今回の台風は雨台風ですね。

 ほんで,さきほど,弁理士会からまた役員選挙に関するハガキが来ておりました。また何の用じゃろ,と思った所,「当選人決定通知」ということでした。

 は?選挙はまだ先だけど,と思ったら,何と立候補者が複数おらず,無投票で決まったらしいです。前回,前々回と結構荒れましたから,派閥の方でかなり根回しをしたのでしょうね。いやあ,嫌がらせで立候補してやりゃあよかったなあ。

 そう,弁護士会よりも人数の少ない弁理士会の場合は,浮動票自体も少ないため,基本,派閥の順回しで,会長も決まります。

 今回の会長選のただ一人の立候補者であり,来期の会長となるのは,伊丹勝さん(9282)ですね。
 ちょっと調べりゃわかりますが,弁理士会五大派閥の1つ,南甲弁理士クラブの推薦です。これはそもそも中央大学系の派閥ですね。あと,春秋会,PA会,稲門,無名会とあります。

 弁理士会の派閥は,基本,大学の学閥です。春秋会は東工大出身者が母体で,私が弁理士試験に受かったときにその祝賀会で菅直人を初めて見た,とこのブログでも書きました。PA会は国立大系で,稲門は早稲田大学出身者ですね。無名会はよくわからないのですが,その名の通り出身大学にとらわれないということだと思います。この中で,出身大学を限定するのは,今は稲門だけだと思いますね。さすが,スーパーフリーでSTAP臭いだけのことはあります。

 さて,私のような誰からも好かれない者からすると,派閥なんて何の意味があるんだろう?と思うのですが,こういう選挙のときなどには極めて有効な力を持つようです。まあ,あとは公に近い仕事をするときなど派閥からの推薦が功を奏するみたいですよ~,ハハハーン。それもこれも私には関係ありませんがね。

 ですので,今回,南甲で行こう伊丹さんで行こうというのが,根回しの結果決まったのでしょう。
 そう世の中の99%はプロレスだ!と豪語したのは私ですが,まさに,ブックとおり台本とおりに事が進んだというやつです。クソつまりませんねえ。

 選挙でもありゃあ,世間のアピールにもなるのですが,昔と同じようなやり方をしてるだけで昔と同じような濡れ手に粟のボロい商売が続けられるかというと全く疑問なはずです。そういうことに自覚的でない集団は,そのうち世間から完全に置いてけぼりにされると思いますよ。

 弁護士もそうですが,弁理士もいかにオワコンのものかがよくわかる今日このごろですね~♪
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理論物理学者を志望したのはもう30年近く前のこと。某メーカーエンジニアを経て,弁理士に。今は,弁護士です。
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