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知財,特に特許を中心とした事件を扱っている理系の弁護士の雑記帳です。知財の判決やトピックについてコメントしたいと思っております。
1 首記は,本日の日経の社会面の記事ですね。ただ,何か同じようなニュースを聞いたことがありますね。
 それは,去年9月の日経の大学面の記事でした。

 要するに,同じ年の同じことの記事なんだけど,ソースが違うだけ!って感じなのでしょう。
 9月の記事は,「日本経済新聞社が日本経済研究センターの協力を得て全国有力大学の学長を対象にまとめた調査によると」とソースが書いてあります。
 他方,今日の記事は,「文部科学省が大学や高等専門学校(高専)、研究機関計1073機関を対象に調べたところ、」とあります。

 まあ大した意味はありませんが,何らかの意味はあるのでしょうね,アホみたい~♪

2 ですので,感想も同じです。大学が特許出願して何か意味あんの?ってことです。

 今回の記事によると,2008年度ですが,「経費は約25億円に上った」らしいです。2013年度の経費を発表していないのは卑怯千万なのですが,恐らく同程度だと思います。「出願件数は近年、横ばいが続いており、」ということですのでね。
 ということは,全体として,25億円の経費をかけているのに,22億円の売上げしかないわけです。経費に何を含めているのかが気になりますが,所謂粗利の計算でも,既に-3億円です。

 頭が悪い人がやると大体こういう風になります。日本での失敗の典型例です。
 要するに,グランドデザインがないというか,哲学がないというか,戦略がないというか,何故?何故?ということを突き詰めてないからこういう風になるのですね。

  ボワーンとした動機
    ⇓
  特許をとろう,特許出願を伸ばそう
    ⇓
  TLOをつくろう
    ⇓
  結構出願数が伸びてきた,特許の数も増えてきた
    ⇓
  あれ,思ったより収入にならんなあ  ←今ここ

 当たり前じゃん,バカじゃねえの~。

  ボワーンとした動機
    ⇓
  機動部隊によるパールハーバーにある米海軍基地の急襲
    ⇓
  結構上手く行ったねえ(でも壊滅には至らず)
    ⇓
  あれ,何か盛り返されてきたような
    ⇓
  聞くも涙語るも涙の顛末~

 まだまだありますね。例えば,ロースクールとかね。

 何故,そのことをする必要があるのかを根源的に考えた上で,戦略をきちんととらないとこんなことになります。
 
 ポイントは,特許の性質と大学の性質です。特許って,独占排他権を付与するものですが,基本防御的に使うものです。つまり,自社の事業を守る,特許という高い塀で他社を来させないようにすることがポイントです。ですので,その高い塀を作る費用は,ある意味青天井でもよいわけです。特許に費用をかけても,他社の参入を阻み,自社で独占できる事業の利益って凄いものになりますからね。特許の使い方の基本は,時代や業種が変わっても,これがデフォーです。

 他方,大学って?自分で事業してますの?してないでしょ,だから基本特許なんて要りませんよ!

 ただ,こう主張する向きもあるでしょう,別に大学が特許を取ったからって害になるわけじゃないし,企業に権利行使やライセンスすれば,それなりのメリットがあるのでは?ってやつです。

 例えば,企業と大学が,同じような特許を取得したとします。企業は,自社で実施する特許ですから,取得後というか出願後すぐにそのまま実施できます。タイムラグは0,自社でやるから余分な費用もかかりません。

 でも,大学の場合どうでしょうか?大学は自分では実施しませんので,実施してくれるライセンス先を探さないといけません。それには,時間もかかります。また,特別な特許弁護士に頼まなくても,それ相応のコーディネーター的な人に頼まないといけません。つまり,取引コストが結構かかるわけです。そういう取引コストは結局誰が負担するのでしょうね?私立大学なら,いいですよ。でも国立大学だったら?

 あのね,アメリカで特許収入が凄い大学って大凡みんな私立ですよ。ま,オバマケアで右往左往するくらいだから,そういう有名大学が私立って当然ですよね。だから,自分で何とかせんといけんちゅうわけですよ。
 ところが,日本の理系の有力大学って殆ど国立大学ですわな。国立大学法人になったからって,官製であることは変わりないわけです。にも関わらず,中途半端に,大学も特許を出願し,それをライセンス等して儲けよう~だなんて,アホの発想極まれり,まさに下衆の極み~♪
 経費をコンペンセイトする事業をやっておらず,そのため取引コストもかかるってえのにね。

 しかも特許権なんかあると,当然自由実施が阻まれます。
 論文で発表するだけなら,公共財となり誰でも自由実施ができるのに,特許になったせいで,国民の税金を投入してるのに国民が自由に実施もできないアホらしさ~♡イノベーションを阻み,余計な機会コストが増大することにもなります。

 どうですか,何のメリットもないでしょう。

 いや,勿論例外的に大学が特許出願するべきときもあります。それは前回でもちょっと書きましたが,統御というか仕切らないといけないような場合です。でも,これは結局通常は自分で実施しないような大学が,実施者になるような場合ですね。

 Myriadの米国最高裁の件,まだ覚えている人はいると思います。これ,何が問題だったかというと,Myriadは乳がん等の遺伝子検査をやっていて,それが高額過ぎるってことがそもそもの発端だったわけです。

 京大が何故iPS細胞の特許取得に熱心かというと,これと同じことを繰り返さないためです。先般,薬事法が改正されましたが,そのポイントの1つが再生医療等製品,つまりiPS細胞などの取扱です。このようなことからわかるように,iPS細胞も実用化の時代に入っているわけです。
 そのとき,特許を統御していないと,こんなことが起きます。京大で,iPS細胞を初めとした再生医療等製品を使おうとすると,べらぼうな値段の正規品を買わされ,金持ちしかそういう治療を受けられなくなります。そう,Myriadのように特許をとった企業が,独占して競争なく値付けできるとそりゃあ開発コスト回収のため,結構な値付けになるわけです。

 だから,実施者の立場があるから,京大はiPS細胞の特許取得に熱心なわけだし,それは熟考して,戦略を練った上での結果なのですね。そして,重要なことは,こんな京大のやり方は,例外中の例外で,iPS細胞だけにあてはまることと言えましょう。

 で,他の大学が本当にそこまで考えてやっているのですかな。
 恐らく,本当にきちんと考えたなら,うちの大学はもう特許取得しないことにしました~TLOは解散です,お疲れ様でした~っていうのも全然ありだと思いますよ。
 
 でも,初めに戻りますが,日本の場合,途中でやめるってできないのですよね~,それを推進したクソオヤジの責任問題になるから~なのかもしれませんが。ロースクールは問題山積みのくせに制度自体は護持しようとしているし,この特許の問題も同じですよね。
 焼け野原になって,御聖断を仰ぐほどにっちもさっちもいかないようにならないと気が付かないのかもしれませんね~。何故かって?,そりゃあバカだからですよ。ムハハハ。

3 追伸
 いつもの散歩のコーナーです。今日は,一週間後の立春に先立ち,非常に春めいた暖かい日です。昨日も夜雨は降ったのですが,暖かかったです。まさに散歩日和~。

 ほんで,ソニーの旧本社です。
 
 何やら全体的に足場が組まれましたね。
 その隣の4号館です。
 
 おっと土手っ腹に,大穴がぶち開かれました。
  
 こうなると建物自体はあと数ヶ月の命って所でしょうかねえ。栄枯盛衰ですなあ。
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理論物理学者を志望したのはもう30年近く前のこと。某メーカーエンジニアを経て,弁理士に。今は,弁護士です。
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