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知財,特に特許を中心とした事件を扱っている理系の弁護士の雑記帳です。知財の判決やトピックについてコメントしたいと思っております。
1 首記は本日の日経紙の朝刊5面の記事です。
 やはり、これも大本営発表そのままのパターンですね。

2 内容は,職務発明の相当対価の支払請求訴訟(特許法35条4項)に関するものです。
 企業側が,発明者への反論等をするときに,資料を出しやすくするため,侵害訴訟における特許法105条の書類の提出等や105条の4の秘密保持命令と同様の趣旨の規定を創設するとのことのようです。

 日経紙の批判は飽きてきたので,それは措いておくことにして,この改正案自体に???です。

3 日経紙によると,この規定の目的は首記のとおり,迅速化です。しかし,この類型の訴訟は,これまた日経紙によると,5年で52件だそうで(1年間で日本中でたった10件程度ということですよ。),それでも迅速化する必要があるんですかなあ。
 裁判員裁判などを見ると,迅速なのか拙速なのかわからないところがあり,訴訟の迅速化自体,諸手を挙げて賛成することなのかどうか甚だ疑問です。

4 それよりも何よりも,いまだにこの訴訟類型を対症療法的に何とかしようと考えているところが許せません。
 私は,エンジニア出身で,自身が発明者となった登録特許が何件かあります。そのうちのいくつかは,プレゼンでよく使う液晶プロジェクター用の液晶に使われていると思います。しかし,だからと言って,もらってない相当対価を払えという気にはなりませんね。

 私が常々思うことは何事もバランスだということです。相当対価の請求訴訟は,リスクをとらない者にリターンだけ,何故か法律上発生するような立て付けとなっており,どうもバランスを欠きます。
 そげえいい特許っちゅうんじゃったら,われがリスクとって事業化して力いっぺ儲くらいいんじゃねえんか,われが能力あるっちゅうんじゃったら,同じんくらいの発明をまたしたらいいんじゃねえんか,というのが私の考えです。
 ですので,特許法35条は,とっとと削除すべきだと思います。特許法は,産業立法ですので,個人がどうのこうのというのは,筋違いもいいところですね。

PS. ところで,最近の裁判所のHPの「最近の判例一覧」の知財のところの更新スピードがえらく遅いですね。あまり判決がないのでしょうか。もちろん,侵害訴訟は通常の民事訴訟なので,和解で終わることもあるため,判決が少ない場合もあり得ます。
 しかし,審取訴訟は,行政訴訟で和解などありえませんから(取下げはあります。),こんなに少ないのは変だなあと思います。「平成22年7月1日から,裁判文書の正本のうち認証文言が記載されている用紙などに,偽造防止措置を施した用紙(認証等用特殊用紙)を使用することになり ました。」の影響なのでしょうか。

 


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理論物理学者を志望したのはもう30年近く前のこと。某メーカーエンジニアを経て,弁理士に。今は,弁護士です。
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