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知財,特に特許を中心とした事件を扱っている理系の弁護士の雑記帳です。知財の判決やトピックについてコメントしたいと思っております。
1 首記は,昨日弁理士会館であった,研修も兼ねた発表会です。
 テーマは「特許権の間接侵害について」です。

 結構,実務的なテーマということもあり,4時間という長丁場ですが,聞きに行ってきました。
 で,その中の後半の討論会で,とても聞き捨てならない,え!本当か!という話があったため,皆様にも考えてもらおうと思い,再構成してみます。

2 テーマのリーダーである名古屋大学の鈴木先生からのお題は下のようなものでした。
 case2(非専用品型間接侵害について)
2-1 通常の部品:機械装置の発明に係る特許との関係における,当該機械装置の部品A

 乙→70個 丙 直接侵害
  →30個 丁 非侵害

 この例で,乙は?というものです。

 若干補足すると,非専用品である部品Aを製造した乙が製品メーカーである丙や丁に卸したという構図です。

 これで口火を切ったのは,最近関西法律特許事務所から独立した岩坪先生です。曰く,主観的要件のところで切れる,丙の70個分は間接侵害で,丁の30個分は間接侵害でない,というわけです。

 他方,これに噛み付いたのは,京大の愛知先生です。いやいや,間接侵害品かどうかは客観的属性なんだから,主観的要件とかで変わるわけがない,100個全部間接侵害となる,と言い出したのです。

 私はポカーンです。恐らく会場の弁理士の多くもポカーン~だったことでしょう。何言ってんだこのとっちゃんぼうやは~ってな感じでしたね。

 その後,弁理士の細田先生が,こういう場合は,「その物の生産に用いる物」とは言えないだろうから,主観的要件じゃなく,そこで判断し,丙の70個分は間接侵害で,丁の30個分は間接侵害でないと思う,と至極当然の話をされました~。掃き溜めに鶴というか,地獄で仏というか,何か漸く真っ当な話が出ました。

 で,若干話が進んだ後,大江橋の重富先生が,再度確かめのために,愛知先生に,さっきの話だと,独立説的なお考えをお持ちのようですが,それはそれでよろしいですか?ということを聞かれました。ほんで,愛知先生は,それで結構,ただ,差止のところでウンタラカンタラという自説をちょっと述べられましたね。

 いやあ,変な説があるものですよ。奇しくも岩坪先生が,主犯のないところに従犯なしという話をされましたが,この愛知先生の説は,独立説でも,最左翼の実行従属性が要らないまさに独立性説ですわ。
 あ,弁理士の人はついていけないかもしれません。弁護士の人ならわかるでしょう。

 実は,刑法と特許法の考えって非常によく似たところがあります。
 構成要件と弁理士に問うと,それは特許のクレームのことですよね,となります。他方,構成要件と弁護士に問うと,それは刑罰法規の要件(つまり罪の部分)のことですよね,となります。

 恐らく,これは両方共Tatbestand(ドイツ語)の訳なんでしょうね。一般的な訳だと,実定法上の要件ということになります。まさに,クレームと刑罰法規にぴったんこです。

 さらに,直接侵害と間接侵害の考え方も,正犯と共犯の考え方に相通じるところがあります。上記のとおり,直接侵害ないのに間接侵害を認める考え方を独立説というわけです。
 これは,正犯が実行に着手すらしていないのに,共謀などだけで共犯という犯罪の成立を認める独立性説とパラレルです。現在,自殺関与罪という,正犯を処罰しないのに共犯だけを独立して処罰する類型があるのですが(刑法202条),それをどの犯罪についても認めろ,ていうような説です。

 愛知先生の説はこの説に近いわけです。でも,特許の独立説も,構成要件充足性がないものまで認める説はありえないと思います。独立説で問題となる事例は,直接侵害者的な行為が,業としての実施でない場合,許諾がある場合,研究目的の実施の場合,外国での実施の場合,などです。いずれも,構成要件充足性はある前提です(・・・の実施,ですから。)。
 だって,そうしないと,上記の細田先生が指摘されたとおり,「その物の生産に用いる物」とはいえなくなりますからね。

 ですが,上の愛知先生の物言いだと,直接侵害者(正犯者)に関係なく,間接侵害品の客観的属性で決まるということですので,直接侵害者(正犯者)に構成要件充足性が全くなくても(実行行為の着手がなくても),間接侵害が成立しうる(共犯が成立)ということになってしまいます。

 いやあ,本当にこんな説を取っているのだとしたら,もう実務から180度離れていますね。私も,初めは単なる勘違いかと思ったのですが,上記のとおり重富先生が確認されましたからね~。
 ただ,非専用品の条文の要件の再検討と言いながら,愛知先生の論文(別冊パテント12号)は,「その物の生産に用いる物」の検討は全く行っておりません。もしかしてだけど,もしかしてだけど~「その物の生産に用いる物」の解釈知らなかったんじゃないの~♪だとしたら超ハズですけど,どうなんでしょうね。ムフフ。

3 追伸
 箱根駅伝予選会の結果は,非公式ながら,昨日個々でも書きました。
 ほんで,関東学生陸上競技連盟のHPに正式に発表されたようです。東工大のエースは8番目で選ばれ,取り敢えずは良かったです。

 でも,エントリーは見てのとおり,16名。この中から調子の良さなどを鑑みて,実際に走る選手を10人選ぶわけです。
 つまり日本代表の23名に選ばれても,実際にピッチに立つのは11人のみというのと同じです。しかもサッカーと異なり,一旦走り始めたら途中交代できませんから,本当に走る10名は直前に決まるはずです。

 さーここからも勝負ですね。
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理論物理学者を志望したのはもう30年近く前のこと。某メーカーエンジニアを経て,弁理士に。今は,弁護士です。
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