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知財,特に特許を中心とした事件を扱っている理系の弁護士の雑記帳です。知財の判決やトピックについてコメントしたいと思っております。
1 自営業をやっていると,忙しいときとそうじゃないときの落差が大きく,もうちっと平準化できなもんかなあとよく思います。

 まあ,自営業と言っても職種によって違うとは思いますが,弁理士と比べると弁護士っていうのは,本当水商売ですね。例えるなら,弁理士が農家とすると,弁護士は漁師,特に一本いくらのマグロを追いかける大間の漁師~という感じです。
 当たればデカイが,当たらないと何日も何ヶ月も坊主の日が続くわけです・・・。

 6月の初めは本当暇でどうしたもんじゃろか~♫って感じだったのが,後半はちょっとこのブログもまあちょっと適当でいいや~ってくらいになりましたもんね。いやあ本当不思議。

 あ,ところで,このブログで,時々匂わせていた,例の中出しじゃなく,所謂愛人,二号関係ですが,漸くゲラ二校まで終わりました。つーことでスケジュールが概ね決まりました。

 8月の初旬の刊行で,お盆のころには一般書店の店頭に並ぶようです。
 諸事情で,やはり第2版の出ることのない拙著「知財実務のセオリー」と被る話も多少はありますので,続編を期待していた人には多少のコンペンセイトにはなるかもしれません。
 ただし,今回は,ちょっと客層が違いますので,まあどうなんでしょうねえ~♡と,今の段階で言われても困るでしょうが。

 書名とか正式に決まったら,またここでもお知らせ致します。

2 で,まずはアメリカです。
 
 実は,昨日,弁理士会の関東支部主催の研修で,「米国特許訴訟判決アップデート、2016年の重要判例総括及び2017年前半の重要判例速報」というのがあったのですね。 

 最初はこの話を全面に~と思ったのですが,まあそれ程でもねえか~つーことで,細目(要するに小ネタ)になったわけです。

 私は,基本的には反米保守とレッテルを貼られるタイプでして,中国よりも韓国よりもアメリカが嫌いです。
 ですが,全て是々非々で考えることにしておりまして(そこは理系なのですね。),良いものは取り入れ,真似すべきものは真似したらいいのになあと思うわけです。

 日本の特許実務,特にlitigationに関しては,何年か何十年か遅れで,アメリカの様式がやってきますので(知財高裁も,均等論も,アメリカ発のものです。),アメリカの訴訟の流行り廃りをある程度勉強しておく必要はあるのです。
 
 それに,日本の裁判官(知財専門部の人も)もアメリカに留学している人が多いので,目に見えない影響を多大に受けていたりするのです(勿論,賛否両論あるでしょうけどね。)。
 なので,クライアントのために勝つ確率を上げるためにも,手持ちの武器(インテリジェンス=諜報というのは重要な武器です。)を増やしておく必要もあるわけですね。

 で,昨日の研修では私なりの注目点が2つありましたね。
 一つはここでも紹介した管轄の話です。要するに,原告側に有利なテキサス州東部地区連邦地裁には提起しずらくなるという話です。

 で,この判例の射程なのですね,問題は。私は日本人で日本企業のクライアントしかいませんので(まあ渉外事件もね~),日本企業をアメリカで訴える場合はどうなるのか?ってことが知りたいわけです。

 その結論は~知りたいでしょ,教えてあげますよ。
 今回のこの判例の射程外ということです。ただし,現地法人(多くが子会社)には適用がある,ということした。
 そうすると,どうなるかというと,従前アメリカで日本企業をパテント・トロールが訴える場合は,現地法人の子会社を訴えるケースが多かったと思いますが,今後は日本本国の親会社を訴えることが多くなるのではないかということでしたね(日本で,米国の会社,例えばグーグル本社だとかアマゾン本社だとか訴えるのは結構な手間です。登記とかどうしますかね?それと同様に,アメリカで日本の会社を訴えるのは手間なのです。)。

 まあそれに対する対策もお話していましたが,さすがにこれは行った人の特典ということで,これは内緒です。

 さて,二つ目は,日本でも報道されつつある,おーそんな発想ありか?っていうことの話です。

 アメリカでは数年前特許法が大改正されました。世界で唯一の先発明主義(アメリカのこういう所が嫌いなのですね。未だにメートル・グラムじゃなく,ヤード・ポンドを使っている所だとか。)から,先願主義になったアレ(AIA法)です。

 そのとき,日本の無効審判に類似したIPR(Inter partes review)というのを導入したのですね。
 このIPRの威力は凄まじく,導入直後は8割9割の特許が無効という憂き目に遭ったわけです。今は少し落ち着いて5割6割程度らしいですが,それでも凄いです。
 
 そのため,パテント・トロールの活動が縮小したのは当然でしょう。

 で,今回の訴訟は,そのIPRの合憲性についてです。つまり,日本で言えば,無効審判が違憲だ!という主張なわけですね。

 まあよく考えれば,特許法123条以下で規程する無効審判が,憲法32条「第三十二条  何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。」に本当に反していないかはこれまで争われていない以上,100%保証はありません。
 だって,私人の権利である特許権が,司法手続を経ずに最初から無くなる(無効)になるなんて(不服があれば訴訟できますが,その訴訟でも確定的に有効だと決めることはできないわけです。訴訟でできるのは,審決を取り消すことだけ。),実は憲法32条違反だったのかもしれません。

 そう考えると,今後,無効審判で無効審決をくらった特許権者は審決取消事由で憲法違反を主張すべきだし,それでも知財高裁で請求棄却をくらった特許権者は憲法違反という絶対的上告理由(民訴法312条1項)を掲げて上告すべき,ということになります。

 まあとは言え,裁判所HPにアップされた判決を眺めていると,本人訴訟系でその手の主張がされている場合も無くはないかなあという所です。なので,代理人がこの手の主張をする場合は,裁判所に鼻で笑われないよう,今回のアメリカの判決など,様々に準備する必要はありそうです。

 でも,それでもこういう発想自体は素晴らしいと思いますね。

 研修についてはこんな所でしょうか。
 
 そうそう,あと講師の人が,今アメリカの企業は特許クリアランスを全くやっていないと話してました~。まあこの辺も今後の日本企業にとって有用な話でしょう(アメリカの流行りは遅れて日本に上陸します。)。でも,詳細は割愛~♫です。

3 かなり長くなりましたが,次です。
 本日の日経です。
「ICO」米で急拡大 独自の仮想通貨で資金調達 証券介さず、秒速で億単位
 という記事です。

 要するに,直接金融の方法として,株式ではなくビットコインのような仮想通貨で行うというものです。IPO(initial public offering )ではなくICO(initial coin offering )というわけですわ。

 まあそんな海の物とも山の物ともつかない,こども銀行のおもちゃのお金みたいなもらったって何が嬉しいのかという話ですが,それはビットコインだって同じです。
 お金って,別に政府が発行したり中央銀行が発行しているから偉い!凄い!流通する!ってわけではないですよね(もしそう思っている人が居たら,かなりの抜作ですな。)。
 あれ(例えば日本銀行券)は皆がお金だって幻想を抱いているから流通するだけですよ。だって,ただの紙ですよ~。火をつけりゃ燃えるし,あれでテレビも映らないし,食べられもしないし・・・です。

 それを皆さん後生大事にしているのは,皆がお金だって思っているから,ただそれだけです。

 なので,仮想通貨を株の代わりに発行しても嬉しい~と思い,ほしいなあと思う人は居るわけです。

 私は実に良いアイデアだと思いましたね(HYIPなんてやっていないで,こういうのに投資すべきですわ。)。


 じゃあということで,日本です。

 何と,こういうことができなくなりました~。ちょっと前まで出来たのですが。
 日本だとビットコインなどの仮想通貨を扱う業者は登録制になりましたよね,この春から。資金決済法が改正され施行されたからです。

 そうすると,IPOの代わりにICOしようとしているスタートアップ企業が,金融庁のお墨付きを得るべく・・・ってそんなの無理に決っているじゃん。そんなのが出来るなら,もうICOなんかしなくていい状況ですわな。

 いやあ本当,とんでもないです。規制なんてしないにいいが決まっています。
 例外的に非常に困る,本当に困る,これじゃあ人が死ぬ~という場合には仕方がないと思いますよ。でもねえ,そうじゃないのにやっている規制って多いんじゃないですかねえ。

 このICOのアイデア,誰が一番最初に考えたのか知りませんが,実に良いアイデアだと思います。
 こんなんじゃますますアメリカとの差がつきますなあ。私の終生の夢,ホワイトハウスのてっぺんに日の丸を立てる!には程遠い現状です。

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理論物理学者を志望したのはもう30年近く前のこと。某メーカーエンジニアを経て,弁理士に。今は,弁護士です。
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