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知財,特に特許を中心とした事件を扱っている理系の弁護士の雑記帳です。知財の判決やトピックについてコメントしたいと思っております。
1 やはり,ピンと来るような判決はないため,弱火系の話です。

 報道や,特許権者のHPなどによりますと,シルキーブラインドで有名なタチカワが同業他社のバクマ工業を相手取り,特許権侵害を理由として,差止の仮処分申立を行ったようです。

 仮処分って,教科書的にはよく見ますが,最近はそんなに多くないと思いますので,取り上げました。

2 このブログをご覧の方の中には弁理士の方も多いと思います。そして,一部の弁理士の方には民事訴訟の訴訟代理権すらあります。

 では,問題ですが,仮差押と上の仮処分って何が違うんですかね?両方,「仮」がつきますが,違いが理解できていますか。ぱっと言えないなら,訴訟代理人はやめといた方が良いと思いますね。
 仮差押は金銭債権を被保全権利とするもので,仮処分は,そうでないものです。そして,仮処分は,係争物に関する仮処分(イザコザが終わるまで,土地の名義を変えるなってやつです。だって,訴訟が終わって判決が出ても,もう僕の土地じゃないんだもーん,新しい所有者に言ってちょ~,ってなったら可哀想でしょ。)と,仮の地位を定める仮処分,という2通りあります(民事保全法23条1項と2項)。つまり,民事保全法で規定されている保全のスキームは大きく3つあるということですね。

 では,今回のタチカワが申し立てた仮処分は,どっちの仮処分ですかね?そりゃ,仮の地位を定める仮処分ですよ。仮に特許権者であるとして,その仮の地位に基づいて差止めまでやるのですからね。
 ですから,仮の地位を定める仮処分は,満足的仮処分とも言われております。確定的に権利関係が定まっていないにもかかわらず(勝訴判決が確定していない。),勝訴判決確定と同じ効果が得られますからね。

 ただ,そのような大きな効果があるため,相手方への影響も多大です。今回のバクマ工業としても,これで差止めまで認められれば,商売に多大な影響が出ます。
 ですので,相手方の意見等を聞く審尋が必要です(他の,仮差押や係争物に関する仮処分だと,相手方の意見は聞かず,ダマでやれます。いちいち聞いていたら,金を隠されたり,とっとと売却されたりしますからね。)。

 しかし,そういう審尋を経るということになり,しかも特許権という結構面倒くさい中身のものですから,手続はゆっくりになってしまいます。
 現在,普通の訴訟(本案と言います。)でも,特許権侵害訴訟は早いです。ですので,仮処分でやってもあまり変わらなかったりするようです。という事情もあり(もちろん係争自体減っているというのが大きな理由ですけどね。),仮処分の申立は少ないのかなあという気がします。

 なお,東京地裁での仮処分の場合,申立は,第9部ではありません。知財部の民事第29部,第40部,第46部,第47部での持ち回りです。確か今は47部じゃなかったかなあ,間違っていたらごめんなさい。

3 さて,上記のとおり,近時流行っていない仮処分をやるということはそれなりの意図があるということだと思います。その場合,気を付けないといけないのは,行き過ぎた仮処分の申立が不法行為になる場合もあるということです。まあ今回は大丈夫だと思いますけどね。
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理論物理学者を志望したのはもう30年近く前のこと。某メーカーエンジニアを経て,弁理士に。今は,弁護士です。
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