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知財,特に特許を中心とした事件を扱っている理系の弁護士の雑記帳です。知財の判決やトピックについてコメントしたいと思っております。
1 それ系の話はこのブログで散々しましたから,いいでしょ。

 ただ一言だけ。
 よくだまし討ちだとかsneaky attackとか言われてますが,ちょっと違うと思いますね。
 私はニーチェ信奉者で強者の論理にしか興味がありません。つまり,パール・ハーバーの米兵は,アレだけの通告(ハルノート)をしておいたにもかかわらず,呑気に昼寝でもしていたのかって話です。屈強な精兵たちだったんでしょ,違うんすかね?
 だまし討ちだとかsneaky attackとか言うのは弱者の論理ですね。あそこで死んだ米兵も浮かばれないってやつです。

 おっと,ちょっと書いてしまいました~。
 さて,そういう話よりも,これはちょっと注目だというニュースが飛び込んできたので,その話です。

2 「フリー、マネーフォワードを提訴 「特許権を侵害」」
 ということらしいです。日経の速報で,今朝上がってきたもので,詳細はわかりません。

 フリーも,マネーフォワードもフィンテック関連のベンチャーです。両者ともここの所,結構有名になっています。
 実は,この前の11/25にやったセミナーでも,裏のお題が「フィンテック」だったので,この両社の話をちょっとしたのですね。なので,このタイミングっていうのは結構ビックリしました。

 特許権者がフリーの方ですので,Jplatpatで検索してみますと,2件しかありません。特許第5936284号と特許第5503795号です。

 前者のクレーム1はこうです。

【請求項1】   クラウドコンピューティングによる会計処理を行うための会計処理装置であって、  
 ユーザーにクラウドコンピューティングを提供するウェブサーバを備え、前記ウェブサーバは、  
 ウェブ明細データを取引ごとに識別し、  
 各取引を、前記各取引の取引内容の記載をキーワードに分節し、各キーワードに対応づけられた1又は複数の勘定科目の出現頻度を参照して、特定の勘定科目に自動的に仕訳し、  
 日付、取引内容、金額及び勘定科目を少なくとも含む仕訳データを作成し、  
 作成された前記仕訳データは、ユーザーが前記ウェブサーバにアクセスするコンピュータに送信され、前記コンピュータのウェブブラウザに、仕訳処理画面として表示されることを特徴とする会計処理装置。

 後者のクレーム1はこうです。
【請求項1】   クラウドコンピューティングによる会計処理を行うための会計処理装置であって、  
 ユーザーにクラウドコンピューティングを提供するウェブサーバを備え、前記ウェブサーバは、  
 ウェブ明細データを取引ごとに識別し、  
 各取引を、前記各取引の取引内容の記載に基づいて、前記取引内容の記載に含まれうるキーワードと勘定科目との対応づけを保持する対応テーブルを参照して、特定の勘定科目に自動的に仕訳し、  
 日付、取引内容、金額及び勘定科目を少なくとも含む仕訳データを作成し、  
 作成された前記仕訳データは、ユーザーが前記ウェブサーバにアクセスするコンピュータに送信され、前記コンピュータのウェブブラウザに、仕訳処理画面として表示され、  
 前記仕訳処理画面は、勘定科目を変更するためのメニューを有し、  
 前記対応テーブルを参照した自動仕訳は、前記各取引の取引内容の記載に対して、複数のキーワードが含まれる場合にキーワードの優先ルールを適用し、優先順位の最も高いキーワードにより、前記対応テーブルの参照を行うことを特徴とする会計処理装置。

 まあ両者とも自動で仕訳するソフトウエア関連発明ですね。
 あ,「仕訳」がわかりませんか。これは複式簿記の基本です。

 例えば私が仕事用の鉛筆を1万円分,現金で買ったとします。そうすると,仕訳はこうなるでしょう(消費税考えない。)。

  消耗品費 10000  現金 10000

 だけど,文房具屋さんが,自分の店に並べる鉛筆を1万円分現金で卸から買ったとします。そうすると,仕訳はこうなるでしょう(消費税考えない。)。

  仕入 10000  現金 10000

 同じ1万円分の鉛筆を買っても仕訳が違うのです。

 私は日商簿記2級なので,簡単に分かります。慣れた経理の人もこんなの朝飯前でしょう。でもね,この説明ですら何のこっちゃ?!という人がたくさんいるんじゃないですかね。

 理系の技術に詳しいって人でも,ここらへんさっぱりわからないんじゃないでしょうか。金勘定なんて女のやるもんだくらいに思っている人だって居るでしょう。
 法律家でも多いですよ。倒産系の事務所に就職が決まって慌てて簿記の勉強し出すとかね。

 ちなみに,超有名ソフトの弥生会計でも,何の勘定科目になるかという仕訳は考えてやらないといけません。税理士の存在意義もそういうところにありそうですね。

 しかし,フリーの上記の特許は,そういうクソ面倒なこと(勘定科目を考えて仕訳する。)をソフトでパパッと済ませるので,すごいのです。

 第5936284号の特許は出現頻度に基いて(例えば,「・・文具店」なら消耗品費が多い,「・・・卸」なら仕入が多いなど),自動で仕訳けるのでしょう。
 他方,特許第5503795号は,テーブル(つまりは,表というかデータベースに,「・・文具店」なら消耗品費としろ,「・・・卸」なら仕入としろなど),こちらも自動で仕訳るのでしょう。

 で,マネーフォワードのサービスか何かが,これらの特許のいずれかと関連深いってことなのでしょうねえ。

 ま,まアグレッシブですわ。フリーの特許からすると,代理人は,出願担当をした事務所そのままでしょうね(法律事務所としても有名な知財ブティックです。)。権利行使もハードルが低かったのではないかと思います。

 兎も角も,流行りのフィンテック関連で,ベンチャー企業同士の争いということで,なかなか目が離せませんね。
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