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知財,特に特許を中心とした事件を扱っている理系の弁護士の雑記帳です。知財の判決やトピックについてコメントしたいと思っております。
1 概要
 本件は,発明の名称を「プレス加工方法における薄板断面成型法」とする発明について,平成16年12月6日に特許出願(特願2004-352477)をした原告が,拒絶査定を受けたので,これに対する不服の審判を請求するとともに,手続補正書を提出したにも関わらず,拒絶審決(進歩性なし)を受けたことから,これに不服の原告が,審決取消訴訟を提起したものです。

 これに対して,知財高裁3部(飯村さんの合議体です。)は,原告の請求を棄却しました(要するに,審決とおりでよし,ということです。)。

 よくあるパターンで,しかも拒絶理由等が進歩性で,飯村さんの合議体ですから,お,また進歩性の斬新な判断でもありましたか~と思われるかもしれません。でも違います。

 ポイントは,人間的な,あまりに人間的な,ということです。

2 問題点
 私は今年47歳になるのですが,まあこのブログを読んでいる方,少なくとも現実の私とあまり接点のない方からすると,印象はどうなのでしょうね。
 おそらく,悪ガキ,又は皮肉屋,こんな所でしょう。要するに,大人気ないなあという印象は少なからず持つのではないでしょうか。

 ですので,私としても,大人って何だろうなーと思うことも時々あります。大人なんて~ウンタラカンタラで有名な人と言えば,尾崎豊でしょうが,この人私と同い年。生きてりゃ私と同じ,今年で47歳です。おっさんですね~。

 そうだそうだ尾崎豊で思い出しましたが,実は,尾崎豊のお兄さん,法曹なんですね。まあ法曹の皆さんはよくご存知だと思うのですがね。弁護士から,弁護士任官されて,今は裁判官です。
 丁度,私が修習生で横浜地裁に居た頃,尾崎裁判官も,横浜地裁の確か5民にいらしたと思います。その5民は当時,喋り過ぎるのが嫌いな某I裁判官と地裁のA所長の間で仁義無き戦いの真っ最中,Y部長もさぞや大変だったと思います,って議題からズレ過ぎましたなあ。

 何の話でしたっけ。大人の話でしたね。ま,要するに,大人が何だかはよくわかりません。ただ,大人気ないってえのはよくわかります。今回の判決は,そんな判旨です。

3 判旨
「3 取消事由3(審判合議体の不公正)について
 原告は,審判合議体には,①審判官が原告代理人に対し,復代理人を定めるよう指示する越権行為をした,②審判官が指示した補正案のとおりに原告代理人が手続補正書を提出したにもかかわらず,審判請求を不成立と判断した,③審判官が,本願発明について進歩性を認めないことを前提としながら,本件補正を認めた点で,公正を欠く行為がある旨主張する。
 しかし,原告の主張は失当である。
 ア 認定事実
 甲7の4(弁論の全趣旨から,本件の審判手続を担当する審判官ないし審判合議体が,原告代理人に宛てて送付した書面であると推認される。)には次の記載がある。
15日に再度お送りいただいた補正案ですが,依然として全く不明瞭であるため,・・・先生には特許のクレームを書くノウハウがないものと判断して,当方の独断で,補正案を基礎としながら,当方が理解したとおりの発明を表現するように,書き改めてみました。本来,クレームは請求人が取得しようとする権利を請求人側が特定すべきであって,庁側が決定するものではありませんので,この案を採用するよう要請することはありません。あくまでも,参考として,こんな書き方もあるのではないか,ということです。請求人とも相談して,お望みの権利内容となるように必要なら手を加えた上で,補正してください。庁側が,請求人側に代わってサービスでクレームを作成する,または押し付ける,などという悪い先例とならぬよう,願いたいものです。今後は,クレームを書ける方に複代理人(判決注 復代理人の誤記と認められる。)になってもらう,等の対応をお願いします。
 【請求項1】・・・
 ただし,上記補正案により明確化した本件発明は,特開昭58-135732号公報に記載された発明とは,第1の下金型の丸みの有無のみにおいて相違し,進歩性が認められる可能性は著しく低いことを付記しておきます。
 イ 上記①の主張について
上記ア認定の事実の,審判官ないし審判合議体が原告代理人に宛てて送付したと推認される書面(甲7の4)の記載によれば,審判官ないし審判合議体が審判請求人(原告)代理人に対し,復代理人を選任するよう指示したものと解することはできず,原告主張に係る越権行為があると評価できない。
 ウ 上記②の主張について
 上記ア認定の事実によれば,甲7の4には,請求項1に関する補正案が示されているが,「この案を採用するよう要請することはありません。あくまでも,参考として,こんな書き方もあるのではないか,ということです。請求人とも相談して,お望みの権利内容となるように必要なら手を加えた上で,補正して下さい。」との付加記載があり,同記載を併せて読めば,原告に対し,上記補正案を採用することを要請したものではなく,原告が手続補正を行う際の参考案が例示されたものと解される。
 したがって,原告が提出した平成23年7月22日付け手続補正書の内容が,上記補正案に全面的に依拠したものであったとしても,原告が自らの判断でこれを採用し,上記補正書を作成,提出したと解されるから,審判官ないし審判合議体に,原告の主張に係る「教示義務違反」等の違法があるとはいえない。また,原告は,本願発明は,新規性ないし進歩性に多少問題があっても,有用性の観点から,特許を付与されるべきである旨も主張する。しかし,特許法には,発明の新規性ないし進歩性の有無にかかわらず,その有用性によって特許を付与すべき旨を定める規定は存在しないから,原告のこの点の主張は失当である。
 エ 上記③の主張について
 上記ア認定の事実によれば,甲7の4には,「上記補正案により明確化した本件発明は,特開昭58-135732号公報に記載された発明とは,第1の下金型の丸みの有無のみにおいて相違し,進歩性が認められる可能性は著しく低いことを付記しておきます。」と記載され,同記載は,甲7の4記載の補正案に依拠して補正をしたとしても進歩性がなく,本件審判の請求は成り立たない結論に至る可能性がある旨示唆されているものと理解される。そして,原告(審判請求人)代理人において,同記載の内容を参照して,補正の要否等を検討することができる点を考慮すれば,上記の記載によって,原告が手続上の不利益を受けたとも考え難い。
 エ 以上によれば,甲7の4の記載がされたことにより,審判手続において,審決の手続に違法を来すものではない。」

4 検討
 上記,甲7の4の文面を御覧ください。こんなoffice actionが特許庁から来たら,もう顔から火が出ますね,超恥ずかしいです。

 でも,特許庁の審判官も大人なんだから,もうちょっと書きようがあったのではないかと思います。「・・・先生には特許のクレームを書くノウハウがないものと判断して・・・」ってえのは,こりゃ大人気ないですよ,どう見ても。

 他方,そう書かれた先生ですが,今度は訴訟で,こう書かれたことを,審決取消の取消事由で掲げてます(取消事由3)。
  しかし,これで,審決を取消すほどの違法とは言えないことはこれまた明らかでしょう。
 ですので,訴訟を起こした先生も,売り言葉に買い言葉というのはわかりますが,些か大人気ない,という感じは否めませんね。

 さらに,もっと大人気ない人がいます。

 そんな官と代理人の大人気ないやり取りを全世界からアクセスできる知財高裁の判決に証拠引用しちゃった,知財高裁3部です。
 この辺,弁論主義なんだから,こんなものを証拠提出した原告に文句言ってくれというところなのでしょうが,ここは別に引用しなくてもいいんじゃないかなあという気がしないでもありません。

 いやあ大人って何でしょうね。多分死ぬまでわからないと思います。
  でも大人気ないっていうのは,結構簡単にわかりますね~。
  ですので,大人気ないことをしない人が大人だ,ということになれば,この世に大人なんていないっていうことになりそうです。ムフフ。
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理論物理学者を志望したのはもう30年近く前のこと。某メーカーエンジニアを経て,弁理士に。今は,弁護士です。
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