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知財,特に特許を中心とした事件を扱っている理系の弁護士の雑記帳です。知財の判決やトピックについてコメントしたいと思っております。
1 本件は,原告らが,その平成17年10月18日付け出願に係る特願2007-542886につき,誤った内容を記載した手続補正書を提出したのに対し,特許庁審査官が,上記手続補正に係る特許出願につき,平成23年10月31日付けで拒絶査定を取り消し,特許査定をする旨の決定をし(本件特許査定),原告らが,本件特許査定につき取消しを求める旨の行政不服審査法(行服法)に基づく異議申立てをしたのに対し,特許庁長官が,平成24年4月26日付けで却下決定をした(本件却下決定)ことに関し,主位的には①本件特許査定が無効であることの確認(行政事件訴訟法(行訴法)3条4項所定の抗告訴訟としての無効確認訴訟),②本件却下決定の取消し(行訴法3条3項所定の裁決取消訴訟)及び③特許庁審査官につき本件特許査定を取り消すことの義務付け(行訴法3条6項2号所定の申請型義務付け訴訟)を求め,予備的には①本件特許査定の取消し(行訴法3条2項所定の抗告訴訟としての取消訴訟),②本件却下決定の取消し(上記主位的請求②と同じ),③特許庁審査官につき本件特許査定を取り消すことの義務付け(上記主位的請求③と同じ)を各求めた事案です。

 これに対し,東京地裁民事29部(大須賀さんの合議体ですね。)は,原告の請求を一部認め,「本件特許査定の取消しを求める請求(予備的請求第1項)及び本件特許査定が取り消すべきものである場合に本件却下決定の取消しを求める請求(予備的請求第2項)はいずれも理由があるからこれを認容すべき」としました。

 いやあ珍しい。今年で特許の仕事をやるようになって16年にもなりますが,拒絶査定不服審判ならぬ特許査定不服の訴訟なんて初めて見ました。しかも特許査定が取り消されてるし~♫すげえすげえ(ま,でも事件の経緯を見るとそんな大したことないのですけどね。)。

 ま,要するに,事務所の弁理士がしくじった補正書を出した所,審査官もよく確かめもせず,ネゴとおりと思ってそのまま特許査定をした所,何とか気づいたという事案です。良かったですね,代理人の皆さん~オホホホ。

2 問題点
 問題点としては,行政法上の論点がズラズラ並んでいるのですが,ま,包括的に言えば,そもそも特許査定に対する不服申立てなんてあり?なし?って所だと思います。

 だって,普通だと,特許査定って利益処分だから不服はないはずです。そりゃ第三者からするとこんな広い特許つまり瑕疵ある特許権なんか許せない~♫ってあるでしょうが,そりゃあ無効審判でやればよいだけです。
 ま,ただ,出願人にとって,分割したかったのに~♫ということもあると思います。数は極めて少ないですが,一度も拒絶理由通知を喰らわずにストレートで特許査定になる出願もありますので,その場合昔は分割の機会が無かったのですね(特許査定後の分割が認められたのは,H18年改正で,H19.4.1以降)。

 だから,そういう場合には,不服の余地はあります。ただ,それって,自分が気をつければいいことで(拒絶理由通知が来る前など自発的に分割等すればよい。),わざわざ不服を認める必要はないとも言えます。
 しかも特許法195条の4って,こうなってます。
査定又は審決及び審判若しくは再審の請求書又は第百三十四条の二第一項の訂正の請求書の却下の決定並びにこの法律の規定により不服を申し立てることができないこととされている処分については、行政不服審査法 による不服申立てをすることができない。

 査定は,拒絶査定だけでなく特許査定も含むようにも見えますよね。

 でも,今回の事例のような場合に認めないとちょっと可哀想という気もします。今回の事例の経緯を示します。

 ・平成17年10月18日,原告らは,発明の名称「1-[(6,7-置換-アルコキシキノキサリニル)アミノカルボニル]-4-(ヘテロ)アリールピペラジン誘導体」とする発明につき,平成16年11月17日を出願日とする大韓民国特許庁10-2004-0094232及び10-2004-0094233を基礎とするパリ条約に基づく優先権を主張して,本件出願(特願2007-542886)をした。

 ・ 平成23年1月20日,原告らは,拒絶理由通知の対応として,特許庁長官に対し,手続補正書及び意見書を提出した。 クレームは以下のとおり。
 「下記化学式1で表される1-[(6,7-置換-アルコキシキノキサリニル)アミノカルボニル]-4-(ヘテロ)アリールピペラジン誘導体又は薬剤学的に許容可能なそれらの塩。
  (化学式1~省略~)
前記化学式1において,X及びYは各々NまたはC-R 7 であり,R 1及びR 2 は各々水素原子,C 1 -C 3 アルコキシ,C 1 -C 3 アルキルまたはハロゲンであり,R 3 はC 1 -C 3 アルキルであり,R 4 ,R 5 ,R 6 及びR 7 は各々水素,C 1 -C 3 アルコキシ,C 1 -C 3 アルキル,C 1 -C 3 ハロアルキル,C 1 -C 3 アルキルカルボニル,ハロゲン,シアノまたはニト ロ で あ る 。 た だ し , R 1 及 び R 2 が 同 時 に 水 素 原 子 で あ る こ と は ない。」

 ・平成23年2月14日拒絶査定。

 ・平成23年6月20日,原告らは,特許庁長官に対し,本件拒絶査定につき拒絶査定不服審判を請求するとともに,本件特許出願に係る手続補正書(本件補正書)を提出した(本件補正)。クレームは以下のとおり。
 「下記化学式1で表される1-[(6,7-置換-アルコキシキノキサリニル)アミノカルボニル]-4-(ヘテロ)アリールピペラジン誘導体又は薬剤学的に許容可能なそれらの塩。
  (化学式1~省略~)
    前記化学式1において,X及びYは各々NまたはC-R 7 であり,R 1はフッ素であり,R 2 は塩素であり,R 3 はC 1 -C 3 アルキルであり,R4 ,R 5 ,R 6 及びR 7 は各々水素,C 1 -C 3 アルコキシ,C 1 -C 3 アルキル,C 1 -C 3 ハロアルキル,C 1 -C 3 アルキルカルボニル,ハロゲン,シアノまたはニトロである。ただし,R 1 及びR 2 が同時に水素原子であることはない。」

 おやおや~補正し過ぎかなあ。それもそのはず,「前記補正は,「R 1 はフッ素であり,R 2 は水素原子,C 1 -C 3 アルコキシ,C 1 -C 3 アルキルまたは塩素であり」と補正すべきところを,出願人(原告ら)代理人であったB(以下「担当弁理士」という。)が誤って「水素原子,C 1 -C 3 アルコキシ,C 1 -C 3 アルキルまたは」の部分を削除して本件補正書を作成したことによりされたものであった」らしいですよ。

 ・平成23年8月8日,前置審査移管

 ・平成23年10月31日,特許査定

 ・平成24年1月6日,原告らは,行服法に基づき,特許庁長官に対し,本件特許査定を取り消す旨の決定を求める異議申立てをした(本件異議申立て)。

 ・平成24年4月26日,特許庁長官,本件異議申立てを却下する旨の決定をした。

 ・平成24年8月27日,原告ら本件訴訟提起。

 ポイントとしては,判旨でも述べていますが,審査官と弁理士の間で,こうすると特許できますよ,というネゴが出来ており(電話です。これはよくある話です。),それが,R 1 はフッ素であり,R 2 は水素原子,C 1 -C 3 アルコキシ,C 1 -C 3 アルキルまたは塩素でありっていうわけなんですよね。
 それが,何故か弁理士がボケていたのか,R 1 はフッ素であり,R 2 は塩素であり,というようわからん補正書を出し,さらに,審査官もそんな疑問に思うことなく,そのまま特許査定になっちゃったってことなのです。

 ですので,一番悪いのは,このネゴとおりに補正書を出さなかったバカ弁理士なのですが,審査官の方も,ばかなやつが悪いんで俺の知ったこっちゃねーやという私並のストーンコールドぶりがどうなのよ~って問題になったわけなのですね。

3 判旨
・特許査定に不服を認めるべきかについて
「まず,特許査定に対する実体的理由に基づく不服について検討する。実体的理由に基づく不服については,特許査定された内容よりも出願人に有利な範囲の特許査定がされるべきであったとする不服と,特許の実体的要件を備えないのに特許査定がされたという不服が考えられる。このうち,後者の不服(特許の実体的要件を備えないのに特許がされたという不服)について,特許法は,特許無効審判を請求することができるものとしており,その無効理由について詳細に定めている(特許法123条1項)。したがって,それ以上に不服申立てを認める必要はないものと解される。前者の不服(特許査定された内容よりも出願人に有利な範囲の特許がされるべきであったとする不服)については,それが出願人の真意に基づく出願どおりに特許査定された限りにおいては,出願人は出願どおりの利益処分を受けたのであるから,実体的理由に基づくその救済手続を認める必要は存しない。また,仮に,審査官において出願より狭い範囲の特許査定しかできない場合は,通常,拒絶査定がされるのであるから,それに対する不服申立てである拒絶査定不服審判を申し立てれば足りる。 そうすると,特許査定に対する実体的理由に基づく不服については,それを必要とする場合について,特許法上の救済手段が設けられており,他の手段によることが必要かつ適切かを問うまでもないと考えられる。これに加えて行訴法に基づく取消又は無効確認の訴えを提起できるとされているのであるから,不服申立手段としては十分であると考えられる。
 したがって,特許法195条の4の「査定」について,特許査定の実体的理由に基づく不服を申し立てる場合を含まないと解釈する必要はないものと解される。
 次に,特許査定に対する手続的理由に基づく不服について検討する。特許法における手続的理由に基づく不服申立についてみると,不適法な手続であって補正をすることができない場合の却下(特許法133条の2)のように出願人側の手続違背の場合の取扱いについての規定はあるものの,審査官側の手続違背を理由とする救済手段についての定めは見当たらない。しかるに,現行特許法が制定された昭和34年より後の昭和37年に訴願制度が改められて行服法が制定され,行政の適切な運営の確保が求められ(行服法1条の法律の趣旨においては,国民の権利利益の救済とともに,行政の適正な運営を確保することが挙げられている。),同年,行訴法が制定され,さらに,平成5年には,行政運営の公正の確保のため行政手続法が定められたのであって(特許法195条の3は行政手続法第2章,第3章の規定の適用は排除しているものの,「行政運営における公正の確保と透明性…の向上を図り,もって国民の権利利益の保護に資する」という同法1条の目的等の規定を含む第1章の規定の適用は除外していない。),これらにより,行政手続についての不服申立手段が整備されたものということができる。したがって,行服法においては,行政の適正な運営の確保のために,実体的な違法理由だけではなく,手続的な違法理由をも考慮し,同法1条1項の「違法…な処分」であるか否かが審査されるものというべきである。
 以上のとおり,行服法は,行政機関の専門的知識を活用し,簡易迅速な手続により,行政庁の違法(手続的違法を含む)又は不当な処分その他公権力の行使に当たる行為に関し,国民に対し広く行政庁に対する不服申立ての途を開くことを目的として制定されたものであるところ,特許査定について,特許法上,特段,審査官側の手続違背についての定めがないことに照らせば,審査官の手続違背による違法について,行服法上の不服申立手続(行服法1条1項)を排除し,行訴法上の訴えのみをその救済手段とすることが必要であり,又は適切であるとみるべき事情は見出せない。・・・
 以上によれば,特許査定について審査官の手続違背を理由とする不服については, 特許法195条の4において列記された処分につきみられた,前記アの「行政不服審査法による不服申立てをすることができない」とすることが相当である理由,がいずれも妥当しないのであるから,同条にいう「査定」には特許査定の全てが含まれるのではなく,処分に審査官の手続違背があると主張される場合の特許査定は含まれないものと解するのが相当である。」

・特許査定の取り消しについて
「 まず,本件において,担当審査官に,原告らが主張するような手続上の義務が課されているといえるか否かについて検討する。 (ア)  審査官の資格は政令で定めるものとされるところ(特許法47条2項),特許法施行令12条は,審査官の資格を有する者につき,4年以上特許庁において審査の事務に従事した者(同条1号)等であって,職務の級が一定以上の者であり,かつ,独立行政法人工業所有権情報・研修館における所定の研修課程を修了した者とする旨定めている。また,審査官には,除斥の規定が適用される(特許法48条,139条1号ないし5号,7号)。
    このように,審査官は,その資格によって,専門的知識を有する者であることが担保され,かつ,除斥の規定によって,その公正性も担保されているものであり,特許法は,このように専門的知識を有し,かつ,公正性が担保された審査官に特許出願を審査させるものとすることにより(特許法47条1項),特許審査が公正かつ適切にされることを担保し,発明の適切な保護を確保しているものと解される。
(イ)  また,審査官は,特許出願が特許法49条各号のいずれかに該当するときは,その特許出願について拒絶をすべき旨の査定をしなければならないものとされ(特許法49条),拒絶の理由を発見しないときは,特許をすべき旨の査定をしなければならないものとされる(特許法51
条)。
    そして,拒絶査定をしようとするときには,審査官は,特許出願人に対し,拒絶の理由を通知し,相当の期間を指定して,意見書を提出する機会を与えなければならないものとされ(特許法50条),拒絶理由通知を受けた特許出願人は,上記期間内において,補正をすることができる(特許法17条1項)。
    このように,審査官は,特許出願について拒絶理由がある場合に,直ちに拒絶査定をするのではなく,出願人に対する拒絶理由の通知をすることによって,出願人に意見書を提出し,かつ,補正をする機会を与えるものとされている。その趣旨は,特許出願人に,拒絶理由につき意見を述べ,かつ,補正によって拒絶理由を解消する機会を与えるという手続的利益を保障するとともに,審査官にも,特許出願人から提出される意見書を検討することによって再考の機会を与え,特許査定又は拒絶査定の適正を確保し,かつ,発明の適切な保護を確保しようとするところにあると解される。
    拒絶理由通知及びこれに対する意見書の提出・補正の機会を設けた特許法の上記趣旨に鑑みると,拒絶理由通知が特許出願人に正しく理解され,これに対応した意見書の提出及び補正がされ,審査官がこれを十分に理解することによって,適正な内容の特許査定又は拒絶査定がされることを特許法は予定しているものと解することができる。
(ウ)  特許法は,拒絶査定に対する拒絶査定不服審判の請求と同時にその請求に係る特許出願の願書に添付した明細書等につき補正があったときは,当該拒絶査定をした審査官にその請求を審査させなければならないとしているところ(いわゆる前置審査,特許法162条),これは,拒絶査定不服審判請求と同時に明細書等につき補正があった事案につき,拒絶査定をした審査官に再審査をさせることによって,事件の適正かつ迅速な処理を図ろうとするものである。そして,審判請求人は,拒絶理由通知及び拒絶査定の内容(拒絶査定における備考欄の記載等)を検討し,上記拒絶査定の原因となった拒絶理由を解消して特許査定を受けるべく,拒絶査定不服審判を請求し,かつ,意見書及び補正書を提出するものと解されるのであって,前置審査において,審査官は,審判請求時の適法な補正によって拒絶査定の理由が解消され,かつ,他に拒絶理由が発見されない場合には,原拒絶査定を取り消して特許査定をすることとなるのであるから(特許法51条,164条1項),拒絶査定がされた場合においても,特許出願人において拒絶理由通知又は拒絶査定から看取される拒絶理由について意見を述べ,かつ,拒絶理由を解消する機会を与えるという手続的利益の保障と,審査官において再考の機会を与え,その判断の適正と発明の適正な保護を確保するという前記趣旨において,拒絶理由通知がされた段階と異なるところはない。
    したがって,拒絶査定がされた場合においても,特許出願人がこれに対し拒絶査定不服審判を請求し,かつ,意見書及び補正書を提出する場合には,同様に,上記拒絶理由が特許出願人に正しく理解され,これに対応した意見書の提出及び補正がされ,審査官においてこれを十分に理解することによって,適正な内容の審査が行われることを特許法は予定しているものと解される。
(エ)  もとより,特許出願人は,願書における特許請求の範囲を自ら決定することができ(特許法36条2項),審査官は,当該特許出願について,その実体的特許要件の審査を行うのであるから(特許法49条,51条),審査官は,特段の事情がない限り,出願人の出願に係る特許請求の範囲に記載された発明が特許要件を充たすか否かを判断すれば足り,これを超えて出願人の出願内容がその真意に沿うものであるか否かを確認する義務はない。
    しかし,拒絶理由通知又は拒絶査定がされ,これに対し意見書の提出及び補正をする場合については,上述したその趣旨(拒絶理由について意見を述べ,かつ,拒絶理由を解消する機会を与えるという手続的利益を特許出願人に保障し,審査官に再考の機会を与えることにより,その判断の適正と発明の適正な保護を確保する)からみて,拒絶理由を出願人が正しく理解し,これに対応した意見書の提出及び補正がされ,審査官においてこれを十分に理解して審査を行うことが予定されているのであるから,拒絶理由通知又は拒絶査定に記載された拒絶理由と補正の内容とがかみ合ったものであることが,その前提として,特許法上予定されているものというべきである。
    そうすると,拒絶理由通知又は拒絶査定に記載された拒絶理由と意見書又は補正書(通常,意見書と補正書の趣旨は一致することから,以下においては,両者のうち補 正書及びそれ による補正のみをとり上 げる。)の内容が全くかみ合っておらず,当該補正書が,出願人の真意に基づき作成されたものとはおよそ考え難い場合であって,そのことが審査の経緯及び補正の内容等からみて審査官に明白であるため,審査官において補正の正確な趣旨を理解して審査を行うことが困難であるような場合には,このような補正に係る発明につき適正に審査を行うことが困難であり,また,発明の適正な保護にも資さないのであるから,審査官は,特許出願人の手続的利益を確保し,自らの審査内容の適正と発明の適正な保護を確保するため,補正の趣旨・真意について特許出願人に対し確認すべき手続上の義務を負うものというべきである。 」
「・・・・ 以上によれば,本件において,担当審査官は,本件特許査定に先立つ審査に当たり,特許出願人である原告らに対し,本件補正の内容が原告らの真意に沿うものであるかどうかを確認すべき手続上の義務があったところ,上記義務を怠ったものであり,担当審査官には手続上の義務違背があったものと認められる。・・・
 他方,本件特許査定に手続上の重大な瑕疵があることは前述のとおりであるところ,上記手続上の瑕疵により,本件特許査定の内容に影響が及ぶものであることは明らかであるから,本件特許査定はこの点において取消しを免れない 」

4 検討
 まず,特許法195条の4の「査定」については,特許査定に実体的理由の瑕疵がある場合は含み,特許査定に手続的瑕疵がある場合は含まれない,ということでした。
 つまり,実体的理由の瑕疵ある特許査定については,他に不服申立てもあるし,ここで認めなくてもいいんじゃね,ということです。他方,手続的瑕疵ある特許査定については他の不服申立てと言っても特許法上ないし,ここで認めてもいいんじゃね,としたわけですね。

 次に,その手続的瑕疵があったかどうかですが,原告の言うとおりのネゴとおりだ大丈夫だ~みたいな漫然とした審査をしたわけではないけど,ちょっと見りゃネゴとおりじゃないのがわかるのに,どうして尋ねたりせんのだ~という所をとらえたようですね。

 でもさ~,それって,特許庁の審査官に酷なんじゃないの~。
 お,珍しく特許庁の方の肩を持ちかますか~って所ですが,私は別にどっちかの肩を持ったりしたことはないですよ,私は常に私の思うがままやっているだけです。
 だって,ネゴとおりじゃなかったとしても,色んな事情があって,ネゴ以上に減縮した場合だってあるでしょう。
 しかも,このしくじった事務所,老舗の大事務所ですよ。素人相手じゃあるまいし,ここはまだ変ですよ,ちょっとおかしいみたいですよ~なんか言わねえといけねえのかよ。ちょっとおかしいんじゃねえの。倒れそうな人に声をかけたら,最後まで面倒を見なさい,袖振り合うも何かの縁~みたいな条理上とか信義則上とか,そんな義務は審査を担当している公務員にはないと思いまっせ。

 何かねえ,傍から見ると,老舗の大事務所のお偉いさんが頭サゲサゲしてるので(代理人の欄参照),ここはまあ特許庁の方に折れてもらって~みたいな八百長というかインチキというかそんな匂いがプンプンしますね。

 個人的には,上訴して欲しいなあと思いますね。特許庁もこんな変な義務があるなんて言われてまさか黙っちゃいないですよね~,ね~。

 ところで,判旨では,これで確定した後の手続きがどうなるか,という所までの説明もあります。ま,それはそうなんだろうなあって所です。

 で,上にもちょっと書きましたが,現在では,こういうバカ弁理士がしくじってもそんな慌てる必要はありません。変なクレームで特許査定になったとしても,分割すればよいのです(特許法44条1項2号)。ただし,お代は事務所持ちでしょうけどね。他方,この出願は,現行法の規定が適用される前の出願だったので,こんな見事な慌てっぷりを見せたというわけです。

 しかし,こういう色んな事情が立ち処にわかるっていうのは,私が弁理士出身だからでしょうね。恐らくこの事案で,何で分割せんのだ,もしかして昔の出願か~と思いいたる弁護士は少ないと思いますよ。と自画自賛しておきましょう。まバカ弁理士とはありとあらゆる面でちょっと違うってことですかねえ。

5 追伸
 ところで,本日は非常に暖かい東京です。こんな日和は,先月の28日以来だと思います。おかげで絶好の散歩日和ということで,目黒川沿いの桜の模様です。
といっても,まだこんな有り様。さすがにもう10日ほど経たないと蕾すら見えないって所でしょうかね。いやあやはり暖かいっちゅうのはいいものです。

 ほんで,いよいよ本日「そんじょそこら商店街」放送です。

 楽しみですね~どの辺が出るのか。予告編だと商店街は勿論のこと,富貴寺も出てましたね。万事抜かりなくしておりますが,上記の例もありますし,念には念を入れておきますかねえ。
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理論物理学者を志望したのはもう30年近く前のこと。某メーカーエンジニアを経て,弁理士に。今は,弁護士です。
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